2026年度の中学入試がいよいよ本格化しています。1月に実施された埼玉県を中心とする入試では、社会科において時事問題が例年以上に多く出題されました。
今回は、栄東中・大宮開成中・開智中・淑徳与野中・浦和明の星女子中など、すでに実施された入試で出題された時事問題を分析し、2月入試に向けて押さえておくべきポイントを解説します。
1. 複数校で出題された頻出テーマ4選
1月校の入試を分析した結果、複数の学校で共通して出題されたテーマが明確になりました。これらのテーマは2月入試でも出題される可能性が高いため、重点的に対策しておきましょう。
1参議院議員選挙
栄東中 淑徳与野中 浦和明の星女子中
2025年7月に実施された参議院議員選挙に関連して、選挙制度の基本知識が複数校で問われました。特に参議院の定数(248名)、公職選挙法、衆議院との違いなどが出題されています。
2大阪・関西万博
大宮開成中 栄東中
2025年に開催された大阪・関西万博をきっかけに、万博の歴史や近畿地方の地理に関する問題が出題されました。世界初の万博開催地(ロンドン)や、1970年大阪万博との関連も問われています。
3丙午(ひのえうま)と周年問題
栄東中 開智中
2026年が干支で「丙午」に当たることから、「午年」に起きた歴史的出来事をまとめた年表を題材にする問題が登場。日清戦争(1894年)や甲午農民戦争など、干支と歴史を関連付けたユニークな出題が見られました。
4インターネット・SNS・AI
淑徳与野中 開智中 大宮開成中
生成AIの普及に伴い、著作権の問題やSNSでの誹謗中傷対策に関する出題が増加。デジタル社会における情報リテラシーが問われる傾向にあります。
2. 実際に出題された問題と解説
ここからは、実際に1月入試で出題された問題を紹介し、その解答と考え方を解説します。
<国内政治・行政>
2025年、日本で初めて女性の内閣総理大臣が誕生しました。この人物の名前を答えなさい。
2025年に高市早苗氏が日本初の女性首相に就任し、大きなニュースとなりました。首相の役割(国会で指名され天皇に任命されること、内閣を代表し行政を指揮すること、自衛隊の最高指揮監督権を持つこと等)や、女性首相誕生の歴史的意義についても確認しておきましょう。
日本の参議院の定員(議員定数)は現在何名ですか。数字で答えなさい。
参議院の定員は、2019年の法改正後に248名となりました(それ以前は242名)。2025年の参院選は新定数で実施されており、この数値を答えさせる問題が栄東中で出題されています。定数だけでなく、参議院の選挙制度(選挙区選挙と比例代表選挙)や衆議院との違い(解散の有無、任期6年で3年ごと半数改選など)も合わせて確認しましょう。
日本の国政選挙のルールや手続きを定めた法律を何といいますか。
公職選挙法は、日本の選挙制度の基本となる法律です。被選挙権年齢(衆議院・市区町村長は25歳以上、参議院・都道府県知事は30歳以上)、期日前投票制度、インターネット選挙運動(2013年解禁)などのルールが定められています。
<社会問題・経済>
2025年はコメの価格が急騰し、「令和の米騒動」とも呼ばれました。1918年に富山県の主婦たちの抗議運動を発端として全国に広がった米価高騰に対する騒動を何といいますか。
米騒動は1918年(大正7年)に起きた日本初の大規模な民衆運動です。シベリア出兵に伴うコメの買い占めなどで米価が急騰し、富山の漁村の女性たちの抗議から全国的な騒乱に発展しました。当時の寺内正毅内閣は総辞職に追い込まれています。2025年のコメ価格高騰と関連付けて、歴史上の米騒動を問う問題が複数校で出題されました。
AI(人工知能)による文章生成に関する問いです。「ChatGPTなどの生成AIは、オンライン上の大量のデータを学習し、ユーザの指示に応じて文章を作成します。この作成された文章によって、どのような侵害が起こり得るか。」
ChatGPTをはじめとする生成AIが身近になる中、その利活用と問題点が議論されています。AIがネット上のデータを学習して文章を生成する際に、他人の文章や作品を無断で模倣してしまう恐れがあることから「著作権の侵害」が問題となります。AI関連では他にも、「データ偏りによる差別・偏見の助長」「フェイク情報の拡散」なども社会問題化しており、デジタル社会における情報リテラシーも重要テーマです。
宅配便の再配達問題について、次の文章の空欄に当てはまる言葉を答えなさい。「ネット通販の利用増加により、配達先が不在の場合に荷物を改めて配送し直す(ア)が増え、物流業界ではその負担が深刻化しています。その負担が増えるのは配達を担当する(イ)です。」
近年、ネット通販の普及で再配達が社会問題化しています。2024年には「物流の2024年問題」(働き方改革関連法によりトラック運転手の残業規制が強化され、人手不足が懸念された問題)もクローズアップされました。「置き配の促進」「物流効率化」「再配達率を減らす取り組み」といった時事的なキーワードも関連知識として押さえておきましょう。
<国際関係・歴史>
カトリック教会で、ローマ教皇が亡くなったときに次の新しい教皇を選ぶ選挙を何といいますか。
コンクラーベ(Conclave)は、カトリックのローマ教皇を選出する選挙のことです。2025年末に前教皇の逝去に関するニュースが話題となり、茨城キリスト教学園中で出題されました。答えはラテン語由来の「コンクラーベ」で、「鍵をかける」という意味です(教皇選挙は有権枢機卿たちがシスティーナ礼拝堂に閉じこもって行うため)。カトリック系学校を受験する場合は特に注意が必要です。
世界で最初に万国博覧会(万博)が開催された都市はどこですか。
世界初の万博は1851年のロンドン(水晶宮で開催の「ロンドン万博」)でした。大宮開成中で出題され、選択肢にはパリやウィーンなど他都市も並んだと推測されます。万博の開催年や開催地、日本に関連する出来事(1970年大阪万博、愛知万博2005年、2025年大阪など)、さらに次回2030年の万博予定地(サウジアラビア・リヤド)なども話題となっています。
「甲午農民戦争」は1894年に朝鮮半島で起こった農民反乱で、日本のある戦争のきっかけの一つとなりました。この戦争とは何ですか。
甲午農民戦争(東学党の乱)は、1894年に朝鮮で起きた大規模農民反乱です。日本と清国双方が出兵する事態となり、結果的に日清戦争開戦の一因となりました。2026年が干支で丙午に当たることから、「午年」に起きた出来事を整理する問題が栄東中(東大特待入試)で出題されています。日清戦争時の日本の首相である伊藤博文を漢字で書かせる設問もありました。
3. 今年の入試傾向まとめ
2026年度入試の社会科では、以下のような傾向が顕著に見られました。
📊 2026年度入試の特徴
- 同じテーマが複数校で出題:参議院選挙、大阪万博、丙午などが複数校で出題され、事前に予測しやすいテーマが多い
- 時事と歴史の融合:「令和の米騒動」→1918年の米騒動、大阪万博→1970年万博など、現代の出来事から歴史を問う形式が増加
- 周年問題の重視:戦後80年、昭和100年、国連創設80年など、「節目の年」に関連した出題が多数
- デジタル社会への対応:AI・SNS関連の問題が増加、情報リテラシーを問う傾向
- 記述問題の充実:単なる暗記ではなく、背景や因果関係の理解を問う出題が目立つ
⚠️ 注意すべきポイント
時事問題は「その出来事自体」を問うだけでなく、関連する基礎知識を問う形式が主流です。例えば「大阪万博」が題材でも、実際に問われるのは「万博の歴史」や「近畿地方の地理」といった既習範囲の知識です。
時事問題対策は、ニュースをきっかけに地理・歴史・公民の復習をするという意識で取り組みましょう。
4. 2月入試の予想問題
1月校の出題傾向を踏まえ、2月入試で出題されそうな問題を予想しました。
予想問題1:戦後80年
2025年は日本にとって「戦後80年」という大きな節目の年でした。第二次世界大戦が終結した西暦年を答えなさい。また、その終戦の日付(日本がポツダム宣言を受諾し降伏した日付)はいつですか。
1945年8月15日に日本はポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争が終結しました。2025年はあれから80年の節目となり、戦後の歩みを振り返る報道や式典が行われました。関連して、日本国憲法の施行(1947年)やサンフランシスコ平和条約発効(1952年)、国際連合への加盟(1956年)といった戦後の出来事も問われる可能性があります。
予想問題2:国際連合
国際連合(国連)は第二次世界大戦後の1945年に発足し、2025年に創設80周年を迎えました。日本がこの国際連合に加盟を許可されたのは西暦何年のことですか。
日本は戦後しばらく国連に加盟できませんでしたが、1956年12月18日に国連総会で加盟が承認されました。安全保障理事会の常任理事国(米英仏中露の5か国)や、主要な機関(総会・安保理・国際司法裁判所など)の特徴を問う問題も予想されます。近年はロシアのウクライナ侵攻問題で国連安保理の機能不全が議論されており、「国連の課題」に関する出題も考えられます。
予想問題3:政府備蓄米
2025年、日本ではコメの価格高騰に対し政府が異例の対応を取りました。具体的に政府はどのような措置を講じたか、簡潔に答えなさい。
2025年にはコメの小売価格が急騰し、政府備蓄米の放出が決定されました。政府備蓄米とは食糧安全保障のために国が保管している米で、価格高騰時に市場に放出して価格抑制を図る目的があります。過去の類似策として1970年代の減反政策(コメ余剰時代に生産調整として実施)や、戦中戦後の食糧管理制度なども関連知識として押さえておきましょう。
5. 直前チェックリスト
最後に、2月入試に向けて確認しておきたいポイントをまとめました。
📝 社会科時事問題チェックリスト
- 参議院の定数(248名)、任期(6年・3年ごと半数改選)、衆議院との違い
- 公職選挙法の基本、被選挙権年齢、インターネット選挙運動
- 日本初の女性首相の名前と就任年
- 大阪・関西万博のテーマ(いのち輝く未来社会のデザイン)
- 世界初の万博開催地(ロンドン・1851年)、日本の万博の歴史
- 終戦の年(1945年)と日付(8月15日)
- 日本の国連加盟年(1956年)
- 安全保障理事会の常任理事国5か国
- 1918年の米騒動の背景と結果
- 生成AIと著作権の問題
- 物流の2024年問題と再配達問題
- ウクライナ紛争、イスラエル・パレスチナ問題の基本
| テーマ | 押さえるべきキーワード |
|---|---|
| 戦後80年 | ポツダム宣言、8月15日、日本国憲法(1947年施行)、サンフランシスコ平和条約 |
| 国際連合 | 安全保障理事会、常任理事国、拒否権、SDGs、日本の国連加盟(1956年) |
| 選挙制度 | 公職選挙法、参議院定数248、比例代表制、衆議院の優越 |
| 大阪万博 | いのち輝く未来社会のデザイン、夢洲、1970年大阪万博、ロンドン万博(1851年) |
| 米・食糧問題 | 米騒動(1918年)、減反政策、備蓄米、食糧管理制度 |
| デジタル・AI | 著作権侵害、フェイクニュース、ファクトチェック、個人情報保護 |
📌 まとめ
- 1月校では「参議院選挙」「大阪万博」「丙午」「AI関連」が複数校で出題された
- 時事問題は「きっかけ」であり、実際に問われるのは地理・歴史・公民の基礎知識
- 2025年は「戦後80年」「昭和100年」「国連創設80年」の周年イヤー
- 時事と歴史を関連付けた出題が増加傾向
- 2月入試でも同様のテーマが出題される可能性が高い
時事問題は、単なる暗記ではなく「なぜその出来事が注目されたか」「歴史上の類似事例は何か」「社会にどんな影響を及ぼすか」といった背景や因果関係まで理解しているかが問われます。
2月入試本番まで残りわずかですが、このチェックリストを参考に、漏れのないよう学習内容を最終確認してください。
🌸 受験生の皆さんへ
ここまで頑張ってきた皆さんなら、きっと大丈夫です。時事問題は「知っているか知らないか」で差がつきやすい分野ですが、裏を返せば直前期の対策でも十分に得点につながる分野でもあります。
残りの時間を有効に使って、自信を持って本番に臨んでください。皆さんの合格を心より応援しています!