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慶應義塾普通部

🏫 男子校

📖 慶應義塾普通部 詳細ガイド

慶應義塾普通部は、1898年に設置された慶應義塾の中等教育を行う学校の中では唯一の男子校で、最も古い歴史を持つ中学校です。神奈川県横浜市港北区日吉本町の慶應義塾大学日吉キャンパス内に位置し、125年以上の伝統を誇る名門校です。1858年に福澤諭吉により蘭学の家塾として発足した慶應義塾は、1868年に現在の名称に改称し、1873年に正則科と変則科の課程を置き、1890年に大学部が開設され正則科・変則科を総称して普通部となりました。1947年の学制改革により3年制の新制中学校となり、現在に至っています。

校名の「普通」とは「平凡」という意味ではなく、「普(あまね)く、通ずる」学びを意味しており、基本的、普遍的な力を養うという福澤諭吉の思いが込められています。全国で唯一「中学」も「中等」も名称に入らない中学校であり、福澤が存命中に設立した唯一の中学校でもあります。慶應義塾の一貫教育校であり、慶應義塾の一貫校は大学の附属ではなく、普通部は普通部で完結している独立した学校です。

教育理念は慶應義塾の基本精神である「独立自尊」を基盤に、時間を惜しまず自分の心身を思う存分に活動させて、その中で自ら考え、自主的な選択決定ができるようにする「労作教育」を行うことです。知識偏重型ではなく、実際に手を動かして学ぶことを重視しており、特に生徒自らテーマを決めて一つの作品を一から完成させていく9月の労作展は有名です。1927年に始まった労作展覧会は、1945年・1946年の2年間を除いて続けられ、2024年度で96回を迎えました。普通部の教育と文化、その個性を象徴する伝統行事として高く評価されています。

内部進学できるという利点を活かし、大学受験にとらわれない「学問の本質」を突き詰める教育が行われています。どの科目でも書く力を重視しており、3学期制で各学期末に各科目A〜Eの5段階評価で成績が示されます。期末試験を中心に、小テスト・レポート・提出物・平常点などが評価の対象となります。「受験が終わって安心、のんびりできると思っていたら、宿題、テスト、レポートなどが思っていたよりもかなり多く、驚いた」という声がよくあり、何もしなくてもエスカレーターで大学までいけるわけではありません。慶應義塾にふさわしい学力と教養を身につけるために普通部生は頑張っており、「再修」という留年制度も存在します。

カリキュラムは週6日制で、全教科まんべんなく学んでいます。基礎を確実に身につけるとともに、時には高校・大学レベルの内容も取り扱います。通常の授業に加え、視野を広げ学びを深めるために選択授業があり、芸術科目やコンピューター、第二外国語など多岐にわたる授業が設置されており、それぞれの興味関心に基づき知見を広げることができます。中学1年では1クラス24名程度の少人数編成で、幼稚舎(小学校)からの内部進学生60〜70名とは混合クラスで、すぐに打ち解けます。2・3年生は40人学級6クラスに再編成し、理科・英語・美術などは20人ずつなどに分割して少人数で授業を行っています。

キャリア教育の一環として「目路(めじ)はるか教室」が1998年から毎年行われています。2024年度で27回を迎えたこの取り組みでは、各界で活躍している普通部卒業生の方々が、後輩である普通部生に、ご自身のご経験とともに心わき上がる熱い思いを語ってくださいます。経済、医学、法曹、マスコミ、スポーツなど異なる10の分野の卒業生から20〜30名に分かれて3時間教えを請う「コース別授業」では、多くの場合卒業生の職場で行われ、最前線の迫力を味わうことができます。法律のコース別授業で裁判を傍聴して法学に興味を持ったある生徒は、2021年秋に史上最年少(18歳3ヶ月)で司法試験に合格しました。慶應らしい実業界の縦の人脈がこうして受け継がれていきます。

進路については、普通部の全課程を終え、普通部長(校長)からの推薦を得ることで、慶應義塾の一貫教育校である慶應義塾高等学校、慶應義塾志木高等学校、慶應義塾湘南藤沢高等部(中高一貫校のため推薦を受けられる人数には制限があります)、慶應義塾ニューヨーク学院のいずれかを選択して進学することができます。普通部生の約9割は日吉の慶應義塾高等学校(塾高)に進学し、このラインが慶應義塾の本流と言えます。塾高は各学年18学級にもなる大規模校です。各高等学校卒業後は、慶應義塾大学のいずれかの学部に進学することができます。医学部への進学者も一定数おり、経済学部、法学部などの人気学部にも多数が進学しています。

部会活動(部活動)は約40ある部会で行われており、男子ラクロス部など珍しい部会もあります。OBがコーチとして指導にあたる部会が多く、慶應は縦のつながりが実に強い学校です。文武両道のため、平日は3日までの制限があります。慶應義塾中等部や慶應義塾湘南藤沢中等部との定期試合、慶應義塾幼稚舎、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学との合同イベントなど、クラブ活動を通した一貫教育校同士の「横の繋がり」も活発です。教職員でなく専門家が顧問をしている部活も多数あり、レベルの高い活動が展開されています。

東急東横線・横浜市営地下鉄「日吉駅」から徒歩5分という好立地にあります。慶應義塾大学日吉キャンパス内に位置し、大学の施設も利用することができます。校舎は伝統的な雰囲気を残しつつも、設備は充実しており、図書館、理科実験室、体育館などが整っています。

入試は2月1日に実施され、国語・算数・社会・理科の4科目の筆記試験に加えて、受験生本人のみの面接と体育実技が行われます。面接では慶應義塾の理念への理解や志望動機などが問われ、体育実技では基本的な運動能力が確認されます。学力だけでなく、人物評価も重視されるのが特徴です。2025年度の募集人員は約180名(内部進学者数により変動)で、受験者数は例年700名前後、倍率は約4倍と高倍率です。

過去問演習は10年分が目安で、特に算数の過去問演習は遅くても9月から始めることが重要です。難関中入試は算数で大きく差がつき、算数が合否を分けると言っても過言ではありません。国語も10年分、社会と理科は5年分を目安に解き、やりっぱなしにしないことが大切です。

初年度納入金は約165万円で、入学金34万円、授業料・施設費・その他合わせて約131万円となっています。ほかに普通部会費(図書資料整備費、行事運営費用、部活動など)、保有金(副教材、芸術鑑賞会・遠足費用、傷害・賠償保険料、南食堂光熱水費など)、普通部独自の物品(iPad、通学鞄、スモック、体操服、運動靴2種)の費用が必要です。慶應義塾は寄付金を募集していますが、これは任意です。

併願校としては、男子は麻布、武蔵、早稲田、海城などが選ばれることが多いです。慶應義塾の一貫教育を受けられる男子伝統校として、多くの中学受験生が夢の志望校として合格を目指しています。男子校だから活気があり、概ね満足している生徒・保護者が多く、大学受験の心配がないのが最大の魅力です。ただし、付属校ですが勉強面では相当色々と鍛えられ、のんびりする暇がないという声もあります。毎週の理科のレポートや小テストの頻度が高く、期末試験も難しいため、付属ですが塾へ行っている生徒もいます。硬派で保守的な校風を理解し、学校を信頼して子どもを任せられる家庭に適した学校です。

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