「うちの子、全然勉強しない……」。言えば言うほど空気が悪くなる毎日に、疲れていませんか。このページは、親の不安をほどくところから始めて、親子で2週間かけて「始められる形」を見つける手順です。下の道のりから、いまの段を開いてください。
何度言っても始めない。言えば言うほど、家の空気が悪くなる。わが子のことを本気で考えているからこそ、苦しいのだと思います。
このページは、方法を並べただけのページではありません。まず親の不安と苛立ちをほどき、そのあと2週間かけて、①わが子がどこで止まっているかを見る、②子どもと話す、③いっしょに1つだけ決める、④やってみる、⑤ふり返る、を親子で順に進めます。米国やオーストラリアで効果が確かめられた親子のプログラムの考え方を、日本の家庭でそのまま使える言葉にしました。途中で選んだことや記録は、この端末の中だけに残ります(どこにも送りません)。
いまどこ?(勉強のやる気を親子で取りもどす2週間の手順・おやこコンパス)
0日目 始める前に、親の側から:この不安とイライラは、どこから来る?
子どもが勉強しない姿を見ていると、「このままで大丈夫?」という不安が、いつのまにか子どもへの苛立ちに変わっていきます。親が悪いのではありません。わが子の将来を本気で考えているから起きることです。ただ、研究を見ると、この不安と苛立ちは、子どもにそのまま伝わっていました。
- 算数に不安を持つ親が、小1・小2の子の宿題をよく手伝うほど、子どもはその1年で算数の伸びが小さく、算数への不安も強くなっていました。手伝う回数が少ない家庭では、この差は出ませんでした(Maloney ら、2015年、Psychological Science)。 原文
- 「頑張ったら認める」「できないと態度が冷たくなる」と子どもが感じている家庭では、子どもは「やらなければ」という内側からの圧力でしか動けなくなり、親への反発も強くなっていました(Assor・Roth・Deci、2004年)。
子どもが勉強を嫌いになるきっかけは、勉強そのものより、勉強の時間の親子げんかであることが多いのです。だから、子どもを動かす前に、親の不安を少しほどくところから始めます。
いまのイライラに、いちばん近いのは?
待つための見通し:小学生は「自分で始める力」が育っている途中
決めた時刻に始める、気をそらさずに続ける、まちがえても立て直す。こうした力(実行機能)は、思春期から大人になるまで育ち続けます(ハーバード大学 子どもの発達センター)。小学生が大人のようにできないのは、怠けではなく、育っている途中だからです。目安は次のとおりです(学年の分け方はスクールコンパス編集部の目安)。
| 学年 | 子どもにできること | 親の役わり |
|---|---|---|
| 1・2年生 | 決まった時刻に、決まった場所で、短い時間なら取りかかれる | 時刻を一緒に決め、始める1分だけ隣にいる |
| 3・4年生 | やる順番を自分で選べる。まちがえると止まりやすい | 2つの中から選ばせ、離れたところから見守る |
| 5・6年生 | 計画を立てられるが、気分の波が大きくなる | 計画は子どもが立て、親は終わったあとに見せてもらうだけ |
けんかで勉強を嫌いにしないための、3つの約束
- 親が不安な日は、先生役をやめる。教えるのは、ドリルの解説や、塾・学校の先生など別の大人に任せます。上の Maloney らの研究のとおり、不安なまま教えるほど、その不安が子どもに移るからです。 原文
- 勉強の話で、子どもの人がらを責めない。「だからあなたは」ではなく、「この問題、どこで止まった?」と、問題の話にとどめます。
- 言いすぎた夜は、その日のうちに修復する。けんかそのものより、けんかのあとに何もないことが、関係に残ります。
言いすぎた夜の、修復のことば
言いすぎた場面を選ぶと、その日のうちに言える修復の言葉が出ます。
「わからない」と泣いたときは、まず気持ちに名前をつける
泣く・投げる・ごねる場面を選ぶと、教える前にかける一言が出ます。
親が少しずつ手を引く4つの段(宿題を全部見ている家庭へ)
宿題を全部見ている形から、1〜2週間ずつ親が手を引いていく手順です。
わが家の宿題ルール(夫婦で同じことを言うために)
始める時刻、親の役わり、終わらないとき、家族でしないことを選ぶと、家族で持てる1枚ができます。
5つの道具は、ペアレントトレーニングのページにもまとめています。
1〜3日目 「やる気」の前に、どこで止まっているかを見る
「やる気がない」と一言で言っても、止まる場所は子どもによってちがいます。始める前に止まる子、まちがえたとたんに止まる子、親に言われると止まる子。止まる場所がちがえば、効く関わり方も反対になります。
最初の3日は、声をかけるのをいつもより少し減らして、様子を見る日にします。勉強の時間が終わったら、その日いちばん近かったものを1つ押してください。
きょう、止まったのはどこ?(1日1つ)
止まる場所から分かる、わが子のタイプ
A 始められないタイプ
勉強そのものより「始めること」が重い子です。大人でも、決めていない仕事は後回しになります。米国などの94の研究をまとめた分析では、「いつ・どこで・何をするか」を前もって決めておくだけで、やり始められる人が大きく増えていました(Gollwitzer と Sheeran、2006年)。この子に必要なのは気合いではなく、始める時刻と、最初の1分で終わる量です。
B できる気がしないタイプ
やる気がないのではなく、「どうせできない」と感じて止まっている子です。小学5年生を対象にした実験では、「頭がいいね」とほめられた子は次に難しい問題を避け、「よく工夫したね」と取り組み方をほめられた子は難しい問題を選びました(Mueller と Dweck、1998年)。この子には、できる問題から始めることと、点数ではなく工夫をほめることが効きます。分からない単元があるときは、まずそこを見つけます。
C 言われるとやらないタイプ
人は、自分で決めたと感じられないと、自分から動きにくくなります(Deci と Ryan の自己決定理論)。親の関わりの研究をまとめた報告でも、管理や口出しが強い関わりは逆効果になりやすく、子どもが選ぶ余地を残す関わりのほうが良い結果につながっていました(Pomerantz ら、2007年)。この子には、親が決めるのをやめて、2つの中から子どもが選ぶ形が効きます。
D 意味が見えないタイプ
「何のためにやるのか」が見えないまま続けるのは、大人でも難しいことです。米国の高校の実験では、理科が自分の生活にどう役立つかを生徒自身に書かせただけで、成績が伸びていなかった生徒ほど、興味と成績が上がりました(Hulleman と Harackiewicz、2009年、Science)。大事なのは、親が理由を説明することではなく、子ども自身の言葉で「役に立つ場面」を1つ見つけることです。
E 疲れ・眠気のタイプ
このタイプは、やる気の問題ではありません。睡眠が足りない、習い事や塾が続いている、学校で気を張っている、といった体と心の疲れが先にあります。ここでは勉強の工夫より、寝る時刻と予定の見直しが先です。睡眠の相談の答えを見る →
4日目 子どもと話す(責めるためではなく、知るために)
話すのは、お互いに落ち着いている時間にします。勉強のあと、宿題でもめた直後は避けます。最初の一言で、この話が「怒られる話」ではないと伝わることがいちばん大事です。
はじめの一言(そのまま言えます)
「最近、勉強のことで言いすぎてたなと思って。怒るために話すんじゃないよ。どこがいやなのか、知りたいだけ。」
そのあと、聞くのは次の3つだけです。答えに意見を言わず、「そうなんだ」で受け止めます。
- 「勉強の中で、いちばんいやなのはどこ?」(始めるとき?まちがえたとき?言われるとき?)
- 「どうなったら、少しやりやすい?」
- 「お父さん・お母さんに、やめてほしいことはある?」
子どもが言ったことを、短く残しておく(この端末だけ)
5日目 いっしょに1つだけ決める
決めるのは1つだけです。たくさん決めると、守れなかったときに親子とも自信をなくします。下の4つを、子どもが選び、親は賛成するだけにします(Cタイプの子は特に、子どもが選ぶことそのものが効きます)。
ご褒美を使うときは「点数」ではなく「やった日の数」にします。理由は下のご褒美の節にあります。
6〜13日目 やってみる(毎日1回押すだけ)
この8日間、親がすることは2つです。決めた時刻になったら「〇時だよ」とだけ言うこと。終わったら、結果ではなく取り組み方を1つだけ言葉にすること(「最初の問題、自分で始めたね」「まちがえたところ、もう一回やってたね」)。
ハナちゃんミッション(子どもが自分で押す画面)
決めた時刻になったら、この画面を子どもに渡します。子どもが「できた!」を押すか、ミッションに入れたドリルや漢字のページで実際にやると、コンパスバードに⭐が入って育ちます。親が毎回確かめて承認する必要はありません。押したことは、下の親の記録にもそのまま入ります。子ども向けの画面なので、広告は出しません。
📱 ハナちゃんミッションの画面をひらくきょうはどうだった?
できなかった日に言うこと
「きょうは始められなかったね。あしたは何時からにする?」。責めずに、次の始める時刻だけを決め直します。できなかった日をどう過ごすかで、次の日の始めやすさが変わります。
14日目 ふり返る(何が変わったかを親子で見る)
2週間で見るのは、点数ではありません。次のどれか1つでも変わっていれば、前に進んでいます。
- 決めた時刻から始めるまでの時間が、前より短くなった
- 親が声をかける回数が減った
- まちがえても、すぐには投げ出さなくなった
- 子どもが自分から「きょうは何時からやる」と言った日があった
6〜13日目の記録がたまると、ここに2週間のまとめが出ます。
変わったことがあれば、量を少しだけ増やすか、決めることを1つ足します。何も変わらなければ、1〜3日目に戻ってタイプを見直します。止まる場所の見立てがちがっていることがよくあります。
学校に行きたがらない、ひどく落ちこんでいる、眠れていないなど、勉強の前に気になる様子があるときは、勉強のことはいったん置いて、学校に行きたくないときや相談先ナビを見てください。
ご褒美は効く?逆効果?(いちばん多く使われている方法だから)
小中学生の親への民間の調査では、子どもに勉強のやる気を出させる方法の1位は「ご褒美を与える」(33.8%)でした(アタム、2025年)。研究で見ると、ご褒美は使い方しだいで、逆効果にも効果にもなります。
- 128の実験をまとめた分析では、物のご褒美を約束すると、もともと面白いはずのことへの自分からの意欲が下がっていました。言葉でほめることは、意欲を下げていませんでした(Deci・Koestner・Ryan、1999年)。
- 米国の学校での大きな実験では、「テストの点」にお金を出しても成績は伸びませんでした。一方、小学2年生に「読んだ本の冊数」に出したところ、読む力が伸びていました(Fryer、2011年)。点数は子どもがどうすれば上がるか分からないのに対し、冊数や日数は自分でどうにかできるからだと考えられています。 原文
なので、ご褒美を使うなら「点数」ではなく「やった日の数」に、物よりも言葉と一緒に過ごす時間に、が目安です。
ご褒美で動く状態から、自分で動く状態へ、2週間ごとに移す手順です。
子どもが自分で読む:勉強のやる気を出す方法
(子どもが自分で使える1分タイマーとやる気が出る言葉は、勉強のやる気を出す方法(小学生・中学生向け)にもまとめています)
(ここは、お子さんといっしょに読んでください)
- 「やる気が出てから始める」は、だいたいうまくいきません。やる気は、始めてから出てきます。だから、まず1分だけやってみよう。
- 始める時刻を、前の日に決めておこう。「おやつを食べたら、計算5問」のように。
- まちがえた問題は、自分が伸びるところの目じるしです。そこに○をつけ直せたら、きょうは大成功。
- 「なんでこれをやるの?」と思ったら、それが使えそうな場面を1つさがしてみよう。買い物のおつり、ゲームの説明文、好きなスポーツの記録。
- 眠いときは、無理しない。早く寝て、あしたの朝に5分だけやるほうが、ずっと頭に入ります。
もっと知りたいとき:宿題・学年別の見立て
宿題をしない・やらない小学生に、親ができること
「宿題やったの?」と聞くたびに、「あとで」。夜になってから泣きながら始める。毎晩このくり返しで、親のほうが先にくたびれてしまう家庭は少なくありません。
なぜ:宿題への親の関わり方を調べた研究をまとめると、いつ・どこでやるかの決まりを作ることは、宿題を最後までやることや成績とよい関係がありました。一方で、親がとなりで教えたり、細かく見張ったりすることは、子どもによってはかえって逆効果になることがありました(Patall・Cooper・Robinson、2008年)。親の役目は「先生」より「決まりの見守り役」のほうが、効きやすいということです。
今夜やること(1つ):宿題を始める「時刻」と「場所」を、子どもに選んでもらいます。たとえば「おやつのあと、4時半に、リビングのテーブル」。親は、その時刻に声をかけるだけにして、中身には口を出しません。
そのまま言える言葉:「宿題、何時にどこでやるか決めよう。決めた時間になったら声をかけるね。あとは任せるよ」。
2週間後の見分け方:声をかけてから始めるまでの時間が、最初の週より短くなっていれば、合っています。それでも毎日ぶつかるとき、宿題が多すぎて泣いてしまうときは、連絡帳で先生に伝える例文も使えます。
参考:Patall, Cooper & Robinson (2008) Parent involvement in homework: A research synthesis. Review of Educational Research 78(4)。
勉強嫌いでも、計算と読書だけは毎日:1日5分の続け方
全部をやらせようとすると、毎日けんかになります。まずは「計算1分」と「読書(1ページでもよい)」だけにしぼり、量と種類は子どもが選びます。続けるかどうかは、一般論ではなく、わが子の記録で決めてください。下の道具は、1分で解けた数と読んだページを毎日記録し、14日分のグラフで変化を見せます。はじめに、なぜ嫌がるのかを5つのことから見立てると、声かけ1つと、やめること1つが出ます。
大前提:「勉強しない=怠けている」ではない
まず知っておいてほしいのは、子どもは本来、好奇心のかたまりだということです。「これ何?」「なんで?」と聞いてきた頃のことを思い出してください。学ぶ意欲は、すべての子どもが生まれながらに持っています。
それなのに勉強を嫌がるようになったとしたら、それは「怠け」ではなく、どこかで意欲のスイッチが切れてしまった状態です。原因を見つけて取り除けば、子どもはまた動き出します。
勉強しない時期があるのは、珍しいことではありません。焦って叱る前に、原因を見極めることが最優先です。
- やる意味がわからない —「なぜこれをやるの?」が腑に落ちていない
- やり方がわからない — 授業についていけず、何をどう進めればいいか見えない
- 疲れている — 学校+習い事で体力・気力の限界を超えている
- 環境が合っていない — 集中できる場所・時間・道具が整っていない
- 叱られすぎて嫌いになっている — 勉強=怒られる体験として刷り込まれている
理由 1 / 5
「やる意味がわからない」
「将来のためだよ」と言っても、小学生には響きません。特に低学年は「今」を生きています。10年後の自分を想像して勉強する力は、まだ発達段階として育っていないのです。
子どもにとって勉強する動機は、もっとシンプルなところにあります。「できた!」という達成感、「先生に褒められた」という承認、「もっと知りたい」という好奇心。これらの小さな報酬が積み重なって、はじめて「勉強ってそんなに悪くないかも」と思えるようになります。
❌ NG声かけ
「勉強しないと将来困るよ」
「○○ちゃんはちゃんとやってるのに」
✅ OK声かけ
「この問題解けたらカッコいいよね」
「昨日わからなかったやつ、もう一回やってみる?」
ポイントは、勉強の先にある「小さな達成感」を感じさせることです。1問解けたら丸をつける。3日連続で宿題ができたらシールを貼る。子ども自身が「自分でできた」と思える仕掛けを作ることが、「やる意味」を体感させる最短ルートです。
理由 2 / 5
「やり方がわからない」
「勉強しなさい」と言われても、そもそも何をどうすればいいかわかっていない子は少なくありません。特に小3〜4で学習内容が急に難しくなるタイミングで、「授業についていけない → わからない → やりたくない」の悪循環に入りやすくなります。
算数では小2の「かけ算九九」、小3の「わり算」「文章題」、小4の「小数・分数」がつまずきやすいポイントです。国語では小2から漢字が160字に倍増し、書くこと自体がストレスになる子もいます。
この場合、「もっと頑張れ」は逆効果です。つまずいている箇所を特定して、そこまで戻ることが必要です。小4の分数がわからない子は、実は小2の九九の定着が不十分かもしれません。
対処法は、まず「どこまでわかっているか」を確認すること。怒らず、一緒に問題を見ながら「ここまでは合ってるよ。ここからがわからないんだね」と整理してあげるだけで、子どもは安心します。
理由 3 / 5
「疲れている」(体力・気力の限界)
子どもは学校で6〜7時間、ある程度の緊張感の中で過ごしています。帰宅する頃にはエネルギーが残っていないことは珍しくありません。そこに習い事が加われば、勉強に向かう余力はさらに削られます。
学研教育総合研究所の小学生白書(2024年調査)によると、小学生の習い事トップ3は「水泳」「塾」「英会話教室」。習い事が重なる日は、勉強に回せる力が残っていないこともあります。
「帰ってきたらまず勉強」が正解とは限りません。おやつを食べて少し休んでから取り組む方が効率的な子もいます。
❌ やりがちな失敗
疲れて帰ってきた子に即「宿題は?」
習い事を減らすことに罪悪感を持つ
✅ 効果的な対応
「今日はどんな日だった?」と会話してから
1週間のスケジュールを見直し、空白の日を作る
理由 4 / 5
「環境が合っていない」
勉強する場所・時間・道具が整っていないと、やる気があっても集中できません。リビング学習が主流の今、テレビがついていたり兄弟が遊んでいたりする環境では、集中は困難です。
環境を整えるといっても、立派な勉強部屋を用意する必要はありません。大切なのは「勉強モードに切り替わる仕組み」です。
例えば、「このタイマーが鳴ったら勉強タイム」「この机に座ったら勉強」というルーティンを作ること。場所を固定し、勉強中はテレビを消し、スマホやゲーム機は別の部屋に置く。これだけで集中できる時間は大きく変わります。
また、「いつやるか」を子ども自身に決めさせます。心理学の自己決定理論では、人は自分で選んだことに対してより強い動機を感じます。「17時からやりなさい」ではなく「17時と18時、どっちがいい?」と聞くだけで、子どもの受け止め方は変わります。
理由 5 / 5
「叱られすぎて嫌いになっている」
これが最も深刻で、かつ最も見落とされやすい原因です。
「勉強しなさい!」「なんでこんな問題もできないの?」「○○ちゃんはちゃんとやってるのに」——こうした言葉が繰り返されると、子どもの中で「勉強=怒られること=嫌なこと」という刷り込みが固定されます。
一度この状態になると、勉強に向かうこと自体が心理的に苦痛になります。教科書を開くだけで胃が痛くなる、宿題のプリントを隠す、テストの点数を見せない——これらは「怠け」ではなく、子どもなりの自己防衛です。
子どもの本音(教育相談での声)
「勉強しなきゃいけないのはわかってる。でも、やろうとすると怒られた時のことを思い出して、気持ちが沈む」(小5女子)
この状態からの回復には時間がかかりますが、第一歩はシンプルです。2週間だけ、勉強について一切口出ししない。代わりに、子どもが自主的にやったこと(たとえ5分でも)を見つけたら「お、やってるんだね」とだけ言う。押しつけない。評価しない。ただ気づいていることを伝える。
子どもは「見られているけど、責められない」と感じたとき、少しずつ自分から動き出します。
学年別:勉強しない原因と対処の違い
勉強しない原因は、学年によって異なります。発達段階に合わせた対応が必要です。
| 学年 | 主な原因 | おすすめの対処法 |
|---|---|---|
| 小1〜小2 | 集中力の短さ、疲労、「やり方がわからない」。そもそも「勉強」という概念が定着していない。 | 1回5〜10分から。ゲーム感覚の教材を活用。「できた!」を一緒に喜ぶ。毎日同じ時間に机に向かう習慣をつくる。 |
| 小3〜小4 | 学習内容の難化(算数の文章題、漢字量の増加、理科の概念理解)による「わからない→やりたくない」の悪循環。 | つまずき箇所を特定して前の学年まで戻る。「わからないことは恥ずかしくない」と伝える。必要なら個別指導を検討。 |
| 小5〜小6 | 友人関係・思春期の入り口・受験プレッシャーなど、心理的要因が複雑化。「勉強しなさい」への反発も強まる。 | 「なぜ勉強するのか」を一方的に教えるのではなく対話で考えさせる。自分で学習計画を立てさせる。結果より過程を認める。 |
ほかの悩みの2週間(行き渋り・つい怒ってしまう・スマホやゲーム)
よくある質問
子どもが勉強しなくて、イライラしてしまう。どうすればいい?
イライラの多くは、子どもへの怒りではなく、親自身の「このままで大丈夫?」という不安から来ています。親の不安は、宿題を手伝う場面で子どもに移ることが研究で分かっています。不安が強い日は先生役をやめてドリルや別の大人に任せ、言いすぎた夜はその日のうちに修復のことばをかけます。
小学生が勉強しない理由は?
「始めるのが重い」「できる気がしない」「言われると反発する」「意味が見えない」「疲れている」のどれかが多く、子どもによってちがいます。理由がちがえば効く関わり方も反対になるので、まず3日間、どこで止まるかを見ることから始めます。
勉強しない小学生は、放置していい?
何もしない放置はおすすめしません。ただ、毎日「やりなさい」と言い続けるのも、言われると反発する子には逆効果です。声かけを減らして様子を見る期間をつくり、そのあと親子で1つだけ決める、という順番が、放置と口出しのあいだのやり方です。
勉強のご褒美はあげていい?
使い方しだいです。点数にご褒美をつけるより、「やった日の数」につけるほうが効果が確かめられています。物のご褒美ばかりになると、もともと楽しいはずのことへの意欲が下がることがあるので、言葉や一緒に過ごす時間と組み合わせます。
何年生になったら、自分から勉強するようになる?
学年で決まるものではありません。自分から始められるようになる子は、始める時刻と量を自分で決めた経験を重ねています。何年生でも、まず「自分で決めた1分」を続けるところからです。
反抗期で、勉強しろと言うほどやらない
Cタイプ(言われるとやらない)の関わり方が合います。親が決めるのをやめ、2つの中から子どもが選ぶ形にします。口答えがひどいときの答えもあわせて見てください。
わが家の場合を、相談してみる
「2週間やってみたけど変わらない」「うちはどのタイプか分からない」というときは、子育て相談室にそのまま書いてください。すぐ下に返事が出ます。名前や住所は聞きません。
このページで使っている研究・資料
- Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis. Advances in Experimental Social Psychology, 38. 原文
- Mueller, C. M., & Dweck, C. S. (1998). Praise for intelligence can undermine children's motivation and performance. Journal of Personality and Social Psychology, 75(1). 原文
- Deci, E. L., & Ryan, R. M.(自己決定理論)/Pomerantz, E. M., Moorman, E. A., & Litwack, S. D. (2007). The how, whom, and why of parents' involvement in children's academic lives. Review of Educational Research, 77(3). 原文
- Hulleman, C. S., & Harackiewicz, J. M. (2009). Promoting interest and performance in high school science classes. Science, 326. 原文
- Deci, E. L., Koestner, R., & Ryan, R. M. (1999). A meta-analytic review of experiments examining the effects of extrinsic rewards on intrinsic motivation. Psychological Bulletin, 125(6). 原文
- Fryer, R. G. (2011). Financial incentives and student achievement: Evidence from randomized trials. Quarterly Journal of Economics, 126(4). 原文
- Maloney, E. A., Ramirez, G., Gunderson, E. A., Levine, S. C., & Beilock, S. L. (2015). Intergenerational effects of parents' math anxiety on children's math achievement and anxiety. Psychological Science, 26(9). 原文
- Assor, A., Roth, G., & Deci, E. L. (2004). The emotional costs of parents' conditional regard. Journal of Personality, 72(1). 原文
- Center on the Developing Child, Harvard University「Executive Function & Self-Regulation」
- Lebowitz, E. R. ら (2020). Parent-based treatment as efficacious as cognitive-behavioral therapy for childhood anxiety (SPACE). Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 59(3). 原文
- Havighurst, S. S. ら(Tuning in to Kids:感情コーチングの親向けプログラムの研究)/Sanders, M. R.(Triple P:前向き子育てプログラム)/Kennedy, B.(Good Inside) 原文
- 株式会社アタム「小中学生の勉強のやる気に関する意識調査」(2025年3月、親237人)
研究は海外のものが中心です。日本の家庭に合わせて、そのまま言える言葉と手順に置きかえたのは、スクールコンパス編集部です。相談の根拠と編集の決まり 2026年10月20日 公開
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