悩み・教育方針
4月に習い事を整理する
── 「続ける・やめる・始める」を決める5つの基準
やめさせるのも続けるのも、親が決めるのは迷いますよね。
わが家はどれ? 相談室の答え
相談室に届く相談のうち、この悩みで多い場面です。答えは子育て相談室と同じものです。いちばん近い場面を開いてください:習い事に行きたがらない・やめたいと言う/習い事で疲れて、寝る時間が遅くなる/費用や送り迎えで、親が続けられない
習い事に行きたがらない・やめたいと言う
Q. 習い事の日の夕方になると「おなかいたい」「きょうは行かない」。玄関で靴をはかずに座りこむ。
💬 行きたがらない朝や夕方は、親のほうもつらくなりますよね。
「やめたい日」と「やめる日」を分けます
なぜ? 行きたくない日には、その前に何かがあったのかもしれません。
今夜の1つ 行きたくない理由を4つ(先生・友だち・むずかしい・疲れ)から一緒に選ぶ
📌 明日のための1行カード:もし「自分でやりたいって言ったでしょ」と言いそうになったら、「いちばんいやなのは、先生?友だち?むずかしいところ?」と言う
2週間後 2週間後、行く前にぐずる時間が短くなっていれば合っています。理由が「先生」「友だち」のまま変わらないなら、教室の先生に相談するときです。
そのまま言える言いかえ
- 「自分でやりたいって言ったでしょ」→「いちばんいやなのは、先生?友だち?むずかしいところ?」 責めると理由を言わなくなります。選べる形にすると、子どもは答えやすくなります。
- 「じゃあ、もうやめなさい」→「やめるかどうかは、発表会が終わったら一緒に決めよう」 その場の勢いで決めないと伝えると、子どもも親も落ち着いて考えられます。
- 「行くって決めたんだから行きなさい」→「今日は行ってみて、帰ったらどうだったか教えて」 行ったあとの話を聞くと、理由が見えてきます。
今夜の手順
- 理由を4つから一緒に選ぶ。「先生?友だち?むずかしい?つかれた?」 理由:理由によって、続ける・休む・変える、のどれが合うかが変わるからです。
- 「やめるかどうかは、発表会のあとに一緒に決めよう」と伝える 理由:今日決めなくていいと分かると、子どもも親も落ち着いて話せるからです。
- 続けるなら、次の区切りの日をカレンダーに書いて、子どもに見せる 理由:終わりが見えると、それまでがんばることを自分で引き受けやすくなるからです。
今夜はしなくていいこと 今夜、やめるかどうかを決めること 理由:区切りの日に一緒に決める、と伝えておくだけで十分です。
お子さんに聞いてみる 「行きたくないのは、どれがいちばん近い?」
- 「先生がこわい・合わない」と答えたら:先生のことなら、次の回を見学させてもらい、どの場面がこわいのかを親の目で確かめてから話します。
- 「友だちのこと」と答えたら:友だちのことなら、教室の先生に「最近、だれと組むことが多いですか」と1つだけ聞いてみてください。
- 「むずかしくて、できない」と答えたら:むずかしいなら、いまの級や曲を1つ下げられないか先生に相談します。できる体験が戻ると、行く気持ちも戻りやすくなります。
- 「つかれる・ねむい」と答えたら:疲れなら、習い事そのものより、その日の予定の詰まり方が原因かもしれません。下の「帰ると疲れている」も見てください。
学年で変わること 低学年は、新しい場所や先生に慣れるのに時間がかかる時期です。始めて1か月ほどの行き渋りはよくあります。 高学年は、勉強や友だちとの時間と、習い事をくらべ始める時期です。本人の優先を聞きます。
なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)
行きたくない日には、その前に何かがあったのかもしれません。先生に注意された、友だちとうまくいかなかった、むずかしくてできなかった、ただ疲れている。その日の気持ちのまま「じゃあ、やめる?」と聞くと、子どもは「うん」と言い、落ち着いたあとで後悔することがあります。だから、やめるかどうかは、気持ちが落ち着いた「区切りの日」に決めます。
根拠:米国ペンシルベニア大学ダックワース教授の家族のルール(いやなことがあった日ではなく区切りの日にやめる、何をやるかは本人が選ぶ)
研究でわかっていること 子どもがスポーツをやめる理由を調べた研究43件をまとめたところ、理由は大きく「楽しくない」「できると思えない」「まわりからのプレッシャー」「ほかにやりたいことがある」「体の成長やけが」の5つに分かれていました。理由によって打つ手が変わります。
たくさんの研究のまとめ(Crane, J., & Temple, V., 2015)
考えてみてほしい問い この習い事を始めたとき、子どもは何が楽しくて始めましたか?
💬 わが家の場合を相談室で続ける(名前・メール不要)→
習い事で疲れて、寝る時間が遅くなる
Q. 習い事から帰って、ごはんを食べながらうとうと。宿題が終わるのは9時すぎ。朝は起こしても起きない。
💬 疲れて帰ってくる顔を見ると、続けさせていいのか迷いますよね。
週の合計時間を、年齢と比べてみます
なぜ? 1つ1つの習い事は週1回でも、移動と宿題を足すと、平日の夜が全部うまっていることがあります。
今夜の1つ 1週間の習い事を書き出して、合計の時間を出す
📌 明日のための1行カード:もし「みんな週4日行ってるよ」と言いそうになったら、「うちは、寝る時間から決めようか」と言う
2週間後 2週間後、朝、起こしてから起きるまでの時間が短くなっていれば合っています。
そのまま言える言いかえ
- 「みんな週4日行ってるよ」→「うちは、寝る時間から決めようか」 比べる相手を、よその家ではなく、わが子の体にすると話がまとまります。
- 「疲れたなんて言わないの」→「今日はがんばったね。宿題は少しにしよう」 休んでいいと言われると、次の日も続けられます。
- 「全部続けなさい」→「1つ休むなら、どれがいい?」 子どもが選ぶと、納得して減らせます。
今夜の手順
- 1週間の習い事を書き出し、移動の時間も入れて合計を出す 理由:合計を見ないと、どこを減らせばいいか決められないからです。
- 寝る時刻を先に決めて、そこから夕方の予定を並べ直す 理由:眠る時間を後回しにすると、毎日少しずつ削られていくからです。
- 同じ競技が続く日を、週に1日は空ける 理由:休む日があると、体も気持ちも回復するからです。
今夜はしなくていいこと 疲れていても、今夜の練習や宿題を全部やらせること 理由:眠る時間を守るほうが、次の日も続けられるからです。
お子さんに聞いてみる 「いちばん疲れるのは、何曜日?」
- 「月・火」と答えたら:週のはじめなら、週末の予定で疲れが残っていないかを見てください。
- 「水・木」と答えたら:週の半ばなら、その日の習い事と宿題の順番を入れかえられないか考えます。
- 「金・土・日」と答えたら:週末なら、試合や発表の日の次の日を、予定のない日にしておきます。
- 「わからない」と答えたら:分からないときは、1週間、帰ってきたときの顔を「元気・ふつう・ぐったり」の3つで記録します。
学年で変わること 低学年は、たっぷり眠りたい時期です。習い事で寝る時刻が遅れていないかを先に見ます。 高学年は、習い事と塾が重なる時期です。週に1日、何もない日をつくります。
なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)
1つ1つの習い事は週1回でも、移動と宿題を足すと、平日の夜が全部うまっていることがあります。米国では、スポーツの練習が週に「年齢と同じ時間」を超えると、けがが増えたという研究があります。目安は週に年齢と同じ時間です。体の回復には眠りが要り、小学生は9〜12時間が目安です。
根拠:ジャヤンティほか(2015年)、米国小児科学会(2016年、週に1〜2日はその競技を休む)、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
研究でわかっていること 米国睡眠医学会の専門家13人の合意で、6〜12歳は1日9〜12時間の睡眠をふだんから取ることをすすめています。足りていることは、注意・行動・学習・気持ちの調整がよいことと関連していました。米国小児科学会も支持しています。
専門家の目安(Paruthi, S., et al., 2016)
考えてみてほしい問い 1週間の中で、子どもが何もしないでのんびりできる時間はどれくらいありますか?
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費用や送り迎えで、親が続けられない
Q. 月謝の引き落としの日に、ため息。送り迎えのために仕事を早く切り上げる週が続く。でも子どもに「やめよう」とは言い出せない。
💬 お金や送り迎えのことは、子どもには言いにくいぶん、ひとりで考えこみがちです。
親が続けられるかも、続ける条件の1つです
なぜ? 習い事は、子どもの気持ちだけでなく、お金と送り迎えの時間で成り立っています。
今夜の1つ 習い事ごとに、月の費用と送り迎えの時間を書き出す
📌 明日のための1行カード:もし「お金がかかるんだから、ちゃんとやって」と言いそうになったら、「いちばん続けたいのは、どれ?」と言う
2週間後 2週間後、書き出した表を見て「これは残す」と子どもと決めたものが1つあれば、話は進んでいます。
そのまま言える言いかえ
- 「お金がかかるんだから、ちゃんとやって」→「いちばん続けたいのは、どれ?」 費用の話を子どもの責任にすると、好きだったものまで嫌になりやすくなります。
- 「こんなにお金かけてるのに」→「続けたいなら、送り迎えのことを一緒に考えよう」 子どもにも分かる形で、家族で決めます。
- 「もうやめよう」→「次の区切りの日まで続けて、それから一緒に決めよう」 区切りを決めると、子どもも心の準備ができます。
今夜の手順
- 習い事ごとに、月の費用(月謝・用具・発表会)と、送り迎えの時間を書き出す 理由:費用と時間を並べると、何がいちばん重いかが見えるからです。
- 子どもに「1つだけ残すなら、どれ?」と聞く 理由:残すものを先に決めると、見直しが子どもへの罰になりにくいからです。
- やめる・減らすときは、月末や発表会のあとなど、区切りの日を選ぶ 理由:区切りでやめると、子どもも「途中で投げ出した」と感じにくいからです。
今夜はしなくていいこと 子どもに、送り迎えや費用の大変さを話すこと 理由:子どもは自分のせいだと受け取りやすいからです。決めるのは大人どうしで大丈夫です。
お子さんに聞いてみる 「もし1つだけ残すなら、どれ?」
- 「いま一番通っているもの」と答えたら:通っている時間が長いものなら、それは最後まで残す候補にします。
- 「いちばん好きなもの」と答えたら:いちばん好きなものが分かれば、見直すとき、それは残すと先に決められます。
- 「まだ決められない」と答えたら:決められないのは自然です。1週間あとにもう一度聞いてみてください。
- 「全部やめたい」と答えたら:全部やめたいなら、まず1つ休んで、空いた時間をどう過ごしたいかを聞いてみます。
学年で変わること 低学年は、送り迎えが必要な時期です。近所の家庭と送り迎えを分け合う方法もあります。 高学年は、一人で通えるようになる時期です。通い方を変えると、親の負担が減ることがあります。
なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)
習い事は、子どもの気持ちだけでなく、お金と送り迎えの時間で成り立っています。親が無理を重ねると、そのしわ寄せは家の空気に出て、子どもにも伝わります。公立小学校の学校外活動費(塾・習い事など)の平均は年256,489円です。わが家の数字と並べると、「多すぎる」のか「思ったほどではない」のかが分かります。
根拠:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月訂正)
研究でわかっていること 家計の苦しさは、まず親の気持ちの負担や夫婦の言い争いを増やし、そこから子どもへの関わりが荒くなることで、子どもに影響が出やすいという考え方(家族ストレスモデル)を、多くの追跡研究をもとにまとめた総説です。
たくさんの研究のまとめ(Masarik, A. S., & Conger, R. D., 2017)
考えてみてほしい問い 習い事にかけている時間とお金で、家族として本当に大事にしたいのは何ですか?
💬 わが家の場合を相談室で続ける(名前・メール不要)→
📅 2026年4月1日✏️ スクールコンパス編集部⏱ 読了目安 6分
新学年が始まる4月。「去年から続けている習い事、このまま全部やる?」と考えていませんか?
小学生の習い事の平均は2〜3個。4個以上は「やりすぎ」のサインです。でも「やめる」のは怖い。「ここまでやったのにもったいない」と思う。だからこそ、感情ではなく5つの基準で判断するのが大事です。
なぜ4月が整理のベストタイミングなのか
4月は学年が変わり、学校のスケジュールも変わる。新しい友だち、新しい先生、新しい時間割── 子ども自身が「リセット」を受け入れやすい時期です。また、多くの教室が年度替わりでクラス編成を変えるため、「新しいクラスに上がるタイミングでやめる」のは最も自然な辞め方です。
5つの判断基準
基準① 子どもが自分から行きたがるか
最もシンプルで最も重要な基準。「行きたくない」が3週間以上続いている習い事は、見直しの対象です。「行く前は嫌がるけど、帰ってきたら楽しそう」は問題なし。「行く前も帰りも楽しくなさそう」は要注意。
基準② 3カ月前と比べて成長が見えるか
「上手くなった」「できることが増えた」が見えていれば続ける価値がある。3カ月やって何も変わっていないなら、教室が合っていないか、子どもの興味が別のところにある。
基準③ 親の負担に見合っているか
「送迎に片道30分」「毎日の練習フォローで親子喧嘩」「月謝+発表会費で月2万円」── その負担を払ってでも続ける価値があるか。「子どものため」ではなく、「家族全体のため」で考える。
基準④ 他の習い事や学校生活を圧迫していないか
習い事のせいで宿題が終わらない、友だちと遊ぶ時間がない、睡眠時間が削られている── 「習い事が生活を支配している」状態は本末転倒。習い事は生活の一部であって、生活のすべてではない。
基準⑤ やめた場合に失うものは何か
冷静に考えてみてください。「やめたら失うもの」は何ですか?
- 「先生との関係」→ 良い先生なら、やめた後も応援してくれる
- 「ここまでの投資」→ すでに使ったお金は戻らない(サンクコストの罠)
- 「周りの目」→ 「あの子やめたんだ」は1週間で忘れられる
- 「子どもの成長機会」→ やめた分、別のことに時間を使える
失うものより、「やめることで得られる時間と余裕」の方が大きいなら、やめる決断を。
整理チェックシート
習い事ごとに5問で判断
- 自走:子どもが自分から行きたがっているか
- 成長:3カ月前と比べて目に見える変化があるか
- 負担:親の送迎・費用・フォロー負担に見合っているか
- 生活:宿題・遊び・睡眠を圧迫していないか
- 代替:やめた場合、その時間でもっと有意義なことができるか
5問中「はい」が4つ以上 → 続ける。「はい」が2つ以下 → やめる or 教室を変える。3つ → もう1カ月だけ様子を見て再判定。
「減らす」は「諦め」ではない
習い事を減らすことは「選択と集中」。5つを薄く広くやるより、2つを深くやる方が子どもは伸びます。「3つやっている子」より「1つを本気でやっている子」の方が、結果的に多くを学びます。
「新しく始める」なら何がいい?
整理して空いた枠に新しい習い事を入れるなら、「今の子どもに足りないもの」を補う発想で選んでください。
- 運動系しかやっていない → 学習系(そろばん・プログラミング)を1つ
- 座学系しかやっていない → 運動系(水泳・体操・ダンス)を1つ
- 1人でやる習い事ばかり → チーム系(サッカー・チアダンス)を1つ
📌 この記事の情報について
習い事の平均数・費用は学研教育総合研究所「小学生白書」および各種調査に基づく目安です。
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よくある質問
子どもが「やめたくない」と言っている場合は?
子ども自身がやりたいなら続けてOK。ただし「友だちがいるから」だけが理由の場合、友だちと遊ぶ場は学校でも確保できます。「その習い事自体が好きか」を確認してください。
習い事を減らしたら子どもが暇になりすぎない?
「暇」は悪いことではありません。何もない時間に子どもは自分で遊びを考え、想像力を使います。毎日予定で埋まっている方がむしろ問題。「暇な時間」は創造性の源です。
やめ方のベストな伝え方は?
「先生に直接言うのが礼儀」と教える良い機会。子どもと一緒に「今までありがとうございました」を伝えに行きましょう。先生側も慣れているので、気まずさを心配する必要はありません。