悩み・教育方針
新小4「算数がわからない」は普通
── つまずきポイントと親がやるべき3つのこと
急に分からなくなると、親のほうがあせりますよね。
わが家はどれ? 相談室の答え
相談室に届く相談のうち、この悩みで多い場面です。答えは子育て相談室と同じものです。いちばん近い場面を開いてください:4年生で算数が急に分からなくなった/計算に時間がかかる・指で数える
4年生で算数が急に分からなくなった
Q. 「わり算の筆算、意味わかんない」とノートを閉じた。3年生のテストは90点が並んでいたのに、4年生の単元テストは60点。
💬 3年生まではできていたのに、急に「分からない」が増えると、親のほうがあわてますよね。
4年生の算数は、多くの子がつまずく学年です
なぜ? 4年生の算数は、わり算の筆算・小数・分数・面積・がい数と、目に見えない考え方が一度に増える学年です。
今夜の1つ 今夜は、まちがえた問題を1問だけ、図にかいて一緒に考える
📌 明日のための1行カード:もし「なんでこんなのも分からないの」と言いそうになったら、「どこまでは分かった?」と言う
2週間後 2週間後、同じ種類の問題で、図をかいてから解こうとする姿が見られれば、効いています。変わらないときは、担任の先生に、授業でのようすと、学校でできる手助け(補習など)を聞いてみてください。
そのまま言える言いかえ
- 「なんでこんなのも分からないの」→「どこまでは分かった?」 止まった場所が分かると、次にやることが決まります。
- 「3年生のときはできたのに」→「4年生の算数は、みんなが一度つまずく学年なんだよ」 自分だけではないと分かると、子どもはもう一度取り組みやすくなります。
- 「もっと問題を解きなさい」→「今日は1問だけ、一緒に図にしてみよう」 量より、1問をていねいに解くほうが、分かる感覚が戻りやすくなります。
今夜の手順
- 今夜は、まちがえた問題を1問だけ、図にかいて一緒に考える 理由:文章題は、ことばだけで式を決めるより、図にしてから解くほうが解けるようになりやすいからです。
- 単元の前提チェックで、止まっている学年の土台を1つ見つける 理由:いまの単元が分からない原因は、前の学年にあることが多いからです。
- 見つけた土台を、1日5分、日をあけて練習する 理由:一度にまとめてやるより、日をあけて少しずつのほうが長く覚えていられます。
- 練習のあと、教科書を見ないで1問だけ解いてみる 理由:見ないで思い出すほうが、読み直すより1週間後まで覚えています。
今夜はしなくていいこと 今夜、ドリルを何ページも解かせること 理由:分からないまま量をこなすと、算数そのものが嫌いになりやすいからです。
お子さんに聞いてみる 「算数で、いちばんいやなのはどれ?」
- 「わり算の筆算」と答えたら:わり算の筆算なら、九九とひき算のどちらで止まっているかを見ます。九九がすぐ出ないときは、九九の練習を1日1分だけ足します。
- 「文章題」と答えたら:文章題なら、式を書く前に、場面を絵か線でかいてみます。
- 「小数・分数」と答えたら:小数・分数なら、ピザやテープを切るなど、目に見えるもので考えると分かりやすくなります。
学年で変わること 低学年のうちは、たし算・ひき算・九九が、考えずにすぐ出るかを見ておきます。4年生の土台になります。 高学年で小4の単元が残っているときは、わり算の筆算と小数を先に固めます。5年生の割合や分数の計算につながるからです。
なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)
4年生の算数は、わり算の筆算・小数・分数・面積・がい数と、目に見えない考え方が一度に増える学年です。ここで分からなくなるのは、その子の力が足りないからではなく、前の学年のどこかが、まだ自動になっていないことが多いからです。今の単元をくり返すより、1つ前の学年の土台にもどると、わりと早く追いつけます。
根拠:Leinほか(2020)算数が苦手な子への指導のまとめ、Cepedaほか(2006)、Roediger & Karpicke(2006)
研究でわかっていること 文章題が苦手な子どもへの指導の研究33件をまとめたところ、効果は中くらいの大きさで、とくに「この問題はどんな型の話か(あわせる・くらべる・同じ数ずつなど)」を図で表してから解く教え方の効果が大きく出ていました。
たくさんの研究のまとめ(Lein, A. E., Jitendra, A. K., & Harwell, M. R., 2020)
研究でわかっていること 317の実験をまとめたところ、同じ量を一度にまとめて練習するより、日をあけて分けて練習したほうが、あとまでよく覚えていました。覚えておきたい期間が長いほど、あける間も長いほうがよい傾向でした。
たくさんの研究のまとめ(Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D., 2006)
研究でわかっていること 読み直すより、見ないで思い出すテストをしたほうが、2日後・1週間後によく覚えていました。直後だけは読み直しのほうがよくできたように見え、本人の自信も読み直しのほうが高くなっていました。
実験(Roediger, H. L., & Karpicke, J. D., 2006)
考えてみてほしい問い この子が算数で「分かった!」と言った最後の日は、いつごろでしたか?
💬 わが家の場合を相談室で続ける(名前・メール不要)→
計算に時間がかかる・指で数える
Q. 計算ドリル1ページに30分。指を折って数えているうちに、ため息が増えていく。
💬 計算に時間がかかる姿を見ていると、親のほうが焦ってしまいますよね。
計算の手順が、まだ自動になっていません
なぜ? 計算の手順を思い出すのに頭の力を使い切ると、いまの問題を考える力が残りません。
今夜の1つ 算数の前提チェック(3〜5分)で、止まっている前の単元を1つ見つける
📌 明日のための1行カード:もし「なんでこんなに時間かかるの」と言いそうになったら、「きのうより何問ふえた?」と言う
2週間後 2週間後、「1分で何問」の記録が増えていれば、効いています。
そのまま言える言いかえ
- 「なんでこんなに時間かかるの」→「きのうより何問ふえた?」 くらべる相手を、きのうの自分にします。
- 「指で数えちゃだめ」→「いまは指を使っていいよ。だんだん速くなるからね」 手がかりを急に取り上げると、計算そのものが止まります。
- 「遅い!」→「きのうより1問ふえたね」 きのうの自分とくらべると、続ける気持ちが出ます。
今夜の手順
- 算数の前提チェック(3〜5分)で、止まっている前の単元を1つ見つける 理由:原因が前の単元にあると、いまの単元をくり返しても直りません。
- その単元を1日5分、時間をはかって続ける 理由:手順が自動になるまでは、短く毎日のほうが続けやすいからです。
- 「1分で何問」を記録する 理由:速さの変化が見えると、子どもも続けやすくなります。
今夜はしなくていいこと 指で数えるのを、今夜からやめさせること 理由:手がかりを急に取り上げると、計算そのものが止まってしまうからです。前の単元が固まると、指は自然に減ります。
お子さんに聞いてみる 「計算で、いちばんいやなのは?」
- 「時間がかかる」と答えたら:時間がかかるなら、量ではなく「1分で何問」を毎日記録すると、変化が見えます(1日5分の道具)。
- 「くり上がり・くり下がり」と答えたら:くり上がり・くり下がりなら、1年生の単元の前提チェックで、10の作り方から確かめます。
- 「九九」と答えたら:九九なら、段ごとに「唱えずに言えるか」を確かめ、止まる段だけを練習します。
- 「わからない」と答えたら:分からないときは、算数の前提チェックで、どの単元で止まるかを一緒に見つけます。
学年で変わること 低学年は、指で数えるのは自然な段階です。たし算・ひき算の基本が固まると、自然に減ります。 高学年で計算に時間がかかるときは、九九やくり上がりなど、前の学年の単元にもどって確かめます。
なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)
計算の手順を思い出すのに頭の力を使い切ると、いまの問題を考える力が残りません。{ex}遅いのは、なまけているからではなく、前の単元の手順がまだ「考えないと出てこない」状態だからです。そこを短い時間でくり返すと、手順が自動になり、いまの単元に頭の力が回ります。
根拠:米国の全米数学諮問委員会の最終報告(2008年。計算の基本がすぐ出てくると、頭の力がむずかしい問題に回る)
研究でわかっていること 317の実験をまとめたところ、同じ量を一度にまとめて練習するより、日をあけて分けて練習したほうが、あとまでよく覚えていました。覚えておきたい期間が長いほど、あける間も長いほうがよい傾向でした。
たくさんの研究のまとめ(Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D., 2006)
考えてみてほしい問い 計算に時間がかかるとき、子どもはどこで止まっていると思いますか?
💬 わが家の場合を相談室で続ける(名前・メール不要)→
📅 2026年4月1日✏️ スクールコンパス編集部⏱ 読了目安 6分
小3まで算数のテストはいつも90〜100点だったのに、小4になった途端「わからない」と言い始めた──。
これは異常ではなく「普通」です。小4は算数の難易度が一段上がる「壁」の学年。わり算の筆算・小数・分数・面積など、新しい考え方が一度に出てくる学年です。大事なのは「できない」ことを叱ることではなく、「どこでつまずいたか」を見つけることです。
なぜ小4で算数が急に難しくなるのか
小3までの算数は「数を操作する」計算が中心。九九、足し算引き算の筆算、かけ算の筆算── どれも「手順を覚えればできる」問題です。
ところが小4から「概念を理解する」算数に変わります。具体的には以下の4つが壁になります。
壁① 割り算の筆算
「72÷3」を筆算で解くには、「7÷3はいくつ余るか→余りを下ろして→もう一回割る」という複数ステップの手順が必要。それまでの計算は基本的に1ステップだったのに、急に3〜4ステップになる。ここで「何をやっているかわからない」となる子が続出します。
壁② 小数と分数
「0.3+0.7=1.0」はできても、「0.3×4=?」になると混乱することがある。整数では直感的に理解できていた「数の大きさ」が、小数・分数では直感が使えなくなる。「0.1は1より小さい」ことは知っていても、「0.1×0.1=0.01」が感覚的に理解できない。
壁③ 概数(がいすう)
「四捨五入して百の位までの概数にしなさい」── 小3まで「正確に計算する」ことを学んできた子にとって、「わざとザックリにする」概念は意味不明。「なぜわざと不正確にするの?」という疑問に答えてあげないと、丸暗記になって定着しません。
壁④ 角度と図形
分度器の使い方、三角形の角度の和、平行と垂直── 計算ではなく「空間を理解する」力が初めて求められる。計算が得意だった子が図形で苦労するのは、鍛えている脳の部分が違うからです。
親がやるべき3つのこと
① 「どこでつまずいたか」を特定する
「算数ができない」は情報が大きすぎます。割り算の筆算なのか、小数なのか、概数なのか、図形なのか── つまずきポイントを1つに絞ることが最優先。
やり方は簡単。テストの間違えた問題を一緒に見て、「どこまでは分かる?」と聞く。「7÷3まではわかるけど、余りを下ろすところがわからない」と言えたら、対策は明確。
② 叱らずに「わからないと言えたね」と認める
「なんでこんなのもできないの!」は最悪の対応です。子どもは「わからない」と言えなくなり、テストの点数を隠すようになる。やがて算数自体を避けるようになる。
「わからない」と言ってくれたら、まず「教えてくれてありがとう」。つまずきを報告してくれたことが、最初の一歩です。
③ つまずきに合った対策を選ぶ
✅ 計算の手順がわからない場合
- ドリルの反復で解決することが多い
- 公文やそろばんで計算力を鍛えるのも有効
- 親が隣で1問一緒に解いて見せるだけで理解するケースも
❌ 概念が理解できない場合
- ドリルの反復だけでは解決しない
- 「なぜそうなるか」を言語化して説明する必要がある
- 親が教えるのが難しければ個別指導塾が有効
- YouTube等の解説動画も使える(分数を図で見せる等)
「算数嫌い」を作らないことが最優先
小4のつまずきは取り戻せます。でも「算数嫌い」は簡単には取り戻せない。点数より、子どもが「算数って面白い」と思える環境を維持することが、長い目で見て最も重要です。中学受験をする場合でも、小4の算数が嫌いなまま塾に入れると、入塾後に崩壊します。
📌 この記事の情報について
学習指導要領(2020年改訂版)に基づく小4算数の学習内容を参照しています。
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💬 わが家の場合は、どうしたらいい?
算数のつまずきのことで、わが家の場合を一緒に考えます。
押すと、子育て相談室ですぐ答えが出ます。そのあと、わが家の様子を書き足して続けられます。名前もメールもいりません。
よくある質問
算数のつまずきは塾で解決できる?
つまずきの内容によります。計算手順の問題なら集団塾の反復でも解決しますが、概念理解の問題は、一人ひとりの考え方を見てもらえる個別指導が合うこともあります。「算数嫌い」の状態で集団塾に入れると逆効果になることがあります。
小4で算数が苦手だと中学受験は無理?
無理ではありません。小4のつまずきは基礎の問題なので、正しく対処すれば小5までに追いつけます。ただし「嫌い」にさせないことが条件。嫌いになったまま受験勉強を始めると、6年生で大きく崩れます。
親が算数を教えるコツは?
「教える」ではなく「一緒に考える」姿勢が大切。「これ、お母さんもちょっと考えてみるね」と横に座って一緒に取り組む。正解を教えるより、「どこまで分かった?」と聞いて子どもに言語化させる方が定着します。