⏱️ この号の要点(30秒まとめ)
- 人口:2025年国勢調査の速報で、日本の人口は1億2304万9524人。5年で309万人減と過去最大の減少。増えたのは東京・沖縄だけ。
- 政治:人口データから、選挙の一票の格差は最大2.274倍に。区割りの見直しが進む。
- 経済:ソフトバンクGの時価総額がトヨタを抜き国内1位(約22年半ぶり交代)。日経平均は初の6万8000円台。
- 防災:台風6号が和歌山に上陸し、全国初のレベル5氾濫特別警報を発令。
- 自然:特別天然記念物トキが本州で56年ぶりに放鳥(能登)。
- くらし:食料品の消費税を2年間1%にする案を検討。6月は1000品目超が値上げ。
- 気象:四国が梅雨入り(6/2)。台風6号+梅雨前線の大雨で、宮崎・広渡川に全国初の「レベル4氾濫危険警報」、翌日には古座川に全国初の「レベル5氾濫特別警報」。
今号のニュースに直結する漢字です。意味とセットで覚えると記述で使えます。
📕 5年生で習う漢字
📘 6年生で習う漢字
① 日本の人口、5年で309万人減 ── 国勢調査で「過去最大の減少」
総務省が2025年国勢調査の速報値を公表しました。2025年10月1日時点の総人口は1億2304万9524人で、5年前の前回調査から309万6575人(2.5%)減少。減少数・減少率とも、調査が始まった1920年以来過去最大です。
人口が増えたのは東京都と沖縄県だけで、残る45道府県はすべて減少。埼玉・千葉は調査開始以来はじめて、神奈川・愛知は戦後はじめてのマイナスに転じました。原因は、亡くなる人の数が生まれる子どもの数を上回る「自然減」の拡大です。
国勢調査は5年に1度、国に住むすべての人と世帯を調べる全数調査で、議員の定数や地方交付税、防災計画など、さまざまな仕組みの「もとになる数」として使われます。今回の数字は、このあとの②「一票の格差」の見直しにも直結します。人口が減ると、働く人(生産年齢人口)が減って税金や年金を支える力が弱まり、一方で高齢者の割合が増えるため、社会保障のバランスが大きな課題になります。
定番テーマの「少子高齢化」が、最新データで問われる年になりそうです。「自然減(出生<死亡)」と「社会減(転出>転入)」の違い、東京一極集中と地方の過疎、人口ピラミッドの形などを整理しておきましょう。グラフ・表の読み取り問題に直結します。
② 「一票の格差」最大2.274倍 ── 人口データから区割り見直しへ
国勢調査の速報値をもとに試算すると、衆議院の小選挙区で「一票の格差」が最大2.274倍になりました。人口が最も少ない石川3区(能登半島地震の避難の影響もあり)と、最も多い福岡2区を比べた差です。格差が2倍以上になった選挙区は39。
「一票の格差」とは、住む地域によって一人の票の「重み」が変わってしまう問題のこと。最高裁は2倍以上を「違憲状態」の目安としています。秋に出る確定値をもとに、選挙区の線引きを直す「区割り審議会」が本格的に動きます。
なぜ格差が生まれるのでしょうか。議員一人が代表する人数は選挙区ごとに決まっていますが、人口は都市へ集中し、地方では減り続けるため、時間がたつほど一票の重みに差が開きます。今回、石川3区の人口が少ないのには能登半島地震による避難の影響もあるとされ、「災害→人口移動→一票の格差」という形で、①の人口問題や⑤⑥の能登とも線がつながります。直すには区割りの変更が必要ですが、地域の代表をどう確保するかとの兼ね合いもあり、簡単ではありません。
憲法14条「法の下の平等」と直結する超頻出テーマ。選挙の4原則(普通・平等・直接・秘密)のうち「平等選挙」がカギです。人口(国勢調査)→区割り→選挙というつながりで説明できると強い。
③ ソフトバンクGがトヨタ超え ── 時価総額48兆円で国内首位に
6月1日の東京株式市場で、ソフトバンクグループの時価総額が48兆円を超え、45兆円台のトヨタ自動車を上回って国内企業で1位になりました。トヨタが首位を譲るのは約22年半ぶり。直前にフランスで約14兆円規模のAIデータセンター建設を発表したことや、子会社の半導体設計会社の好調が評価されました。
時価総額=株価×発行済み株式数で、いわば「会社の値段」。売上高ではトヨタが上ですが、時価総額は「これからどれだけ伸びそうか」という将来への期待を強く映します。AI・半導体に投資マネーが集まる、産業の大きな転換を象徴する出来事です。
ただし、時価総額は「期待」で動くぶん、株価が下がれば順位もすぐに入れかわります。④の日経平均が「過熱」を心配されているのと同じで、数字の大きさだけでなく「なぜその評価なのか」を見ることが大切です。会社の力をはかるものさしには、売上高・利益・時価総額・働く人の数などがあり、何を見るかで「日本一」は変わる──この視点が記述問題(問1)でも問われます。
君の知っている会社はあるかな? 順位や金額は毎日変わります(だから6月1日にはソフトバンクGが一時トヨタを抜いて1位に)。
- トヨタ自動車(自動車)── 約45兆円
- ソフトバンクグループ(投資・通信・AI)── 約44兆円 ※6/1に約48兆円で一時1位
- キオクシア(半導体メモリ)── 約41兆円
- 三菱UFJ銀行(銀行)── 約39兆円
- ファーストリテイリング(ユニクロ・衣料品)── 約25兆円
- ソニーグループ(ゲーム・映画・音楽)── 約22兆円
ほかにも、任天堂(ゲーム・約10兆円)、NTT・KDDI(通信)なども上位。出典:各種マーケット情報(2026年6月ごろの概況・日々変動)。
「日本一の会社はどこ?」は、売上高で見るか・時価総額で見るかで答えが変わるという良い教材。第二次産業(自動車)から、情報・AI(第三次産業+先端技術)へという産業構造の変化と結びつけて理解しましょう。
④ 日経平均株価、初の6万8000円台 ── ただし「過熱」の声も
日経平均株価が大きく上がり、6月3日には初めて6万8000円台に到達、終値は6万8402円と最高値を更新しました。アメリカでハイテク株が上がった流れを受け、日本でもAI・半導体関連が買われたことや、円安・海外からの資金が背景です。
一方で、市場関係者からは「上がりすぎ(過熱)」を心配する声も。実際、その後は値下がりする日もありました。株価は毎日上下するものだと知っておくことが大切です。
そもそも「日経平均株価」とは、東京証券取引所に上場する代表的な会社のうち225社の株価をもとに計算する「市場全体の体温計」のような指標です。数字が上がると景気がよく見えますが、③のソフトバンクGのように一部のAI・半導体関連の会社が大きく動くと、平均も大きく動くという性質があります。つまり「最高値」は必ずしも全員のくらしが豊かになったことを意味しません。⑧の値上げで家計が苦しいという実感と、株価最高値という数字が同時に起こりうる──この「数字と実感のズレ」を読めることが大切です。
株価は会社の「今のもうけ」だけでなく「期待」で動き、上がり続けることはない(変動する)のが基本。折れ線グラフの読み取りや、「なぜ上がった/下がったか」を一文で書く練習に向きます。
⑤ 台風6号上陸 ── 全国で初めて「レベル5氾濫特別警報」
大型の台風6号が6月3日朝、和歌山県南部に上陸しました。2026年に日本へ上陸した最初の台風で、統計のある1951年以降で4番目に早い上陸、6月の上陸は14年ぶりです。気象庁は和歌山県の古座川に、5月に運用が始まった新制度で全国初となる「レベル5氾濫特別警報」を発表。東京都内の川にもレベル4の氾濫危険警報が出されました。
警戒レベルは1〜5の5段階。レベル4で危険な場所から全員避難、レベル5は最大級の警戒を意味します。短時間に激しい雨が続く「線状降水帯」にも注意が必要でした。
この台風が大きな被害につながったのは、台風そのものだけが理由ではありません。北側に停滞していた梅雨前線(⑩)に台風が暖かく湿った空気を送り込み、「台風+前線=大雨」の形になったためです。さらに⑨の温暖化で海水温が高いと、台風は勢力を保ちやすくなります。「早い台風」「6月の上陸」という今年の特徴も、こうした気候の変化と無関係ではありません。一つの災害を、台風・前線・海水温という複数の要因の重なりとして説明できると、理科の記述で差がつきます。
台風は、日本のはるか南の暖かい海(フィリピン沖あたり・海面水温28℃超)で、大量の水蒸気をエネルギーに生まれます。低い緯度では東風(貿易風)に押されて西〜北西へ進み、夏の太平洋高気圧のふちに沿って北上。沖縄付近で速度が落ちて進路を北東に変え(転向)、本州に近づくと上空の偏西風で加速して北東へ抜けます。この“通り道”にあたるため、沖縄・九州・西日本は台風の接近・上陸が多いのです(沖縄はいちばん強い時期に通ることが多く、影響が数日続くことも)。
さらに、台風の進行方向の右側(危険半円)は、台風自身の風と進む力が重なって風が強くなります。被害の大きさは「どちら側を通るか」でも変わります。出典:気象庁・沖縄気象台。
防災は「自助・共助・公助」とセットで頻出。ハザードマップ、川の氾濫と地形(低い土地・流域)、安全な階へ逃げる「垂直避難」を押さえましょう。「梅雨・台風と日本の気候」の単元にも直結します。
⑥ トキ、本州の空へ56年ぶり ── 能登で8羽を放鳥
国の特別天然記念物であるトキ8羽が、5月31日、石川県羽咋市(能登地方)で放たれました。本州での放鳥は初めてで、本州最後の野生のトキが捕獲された1970年以来、56年ぶりに本州の空へ戻りました。これまで放鳥が進んできた新潟県の佐渡島以外へ、生息地を広げる新しい段階です。
能登の各地は、田んぼの農薬を減らすなどトキがすめる里山づくりを進めてきました。石川県は、能登半島地震や豪雨からの「復興のシンボル」と位置づけています。
トキの学名には日本を意味する言葉が含まれ、かつては全国の空にふつうに見られた鳥でした。それが乱獲や環境の変化で激減し、いったん日本生まれの野生トキは姿を消しました。今回の本州放鳥は、佐渡島で増やしたトキを、別の地域でも野生で暮らせるようにする大きな一歩です。生き物を守るには、その種だけでなくえさや水、すみかを含む「環境ぜんたい」を整える必要があります(→記述・問8)。一つの鳥の放鳥が、農業のあり方や地域の復興、教育にまで広がっていく点に、この出来事の大きさがあります。
「生物多様性」「特別天然記念物」「里山」がキーワード。人の暮らし(減農薬の農業)と生き物の保護がつながる好例で、SDGs(陸の豊かさ)や地域おこしとも結べます。
⑦ 食料品の消費税「1%」案 ── なぜ0%でなく1%?/外食はどうなる?
政府の「社会保障国民会議」で、食料品の消費税を2年間「1%」に下げる案が話し合われました。6月3日、経済産業省が示した見解では、税率を「0%」にするとお店のレジの改修に最大1年ほどかかる一方、「1%」なら半年ほどで済むとされました。より早く国民に負担軽減を届けるための工夫です。
2027年4月の導入をめざして調整中で、将来は「給付付き税額控除」という別のしくみにつなぐ「つなぎ措置」という位置づけ。高市首相が6月中に判断する見通しです。
ここで考えたいのは、「0%が一番よいのに、なぜ1%なのか」という点です。理想(負担ゼロ)を取ればレジ改修に時間がかかって実施が遅れ、早さを取れば負担が少し残る──どちらを選んでも「あちらを立てればこちらが立たず」になります。政治とは、こうした「限られた条件の中での選びとり(トレードオフ)」の連続です。また消費税は社会保障の大事な財源でもあるため、「下げる」議論は「そのぶんの財源をどうするか」とセットになります。⑧の物価高で家計を助けたい気持ちと、財源を守りたい事情との間で、答えが探られているのです。
ただし、1%にする理由は「レジの改修」だけではありません。国の「社会保障国民会議」では、値下げがきちんと価格に反映されるか(転嫁)、消費税は社会保障の財源なので税収が減る問題、外食への影響なども論点として話し合われています。さらに「価格が下がれば買う量が増え、消費を後押しする(消費促進)」というプラスの効果も期待されています。
とくに注意したいのが「外食」です。いまの軽減税率でも外食は対象外で10%のまま。今回もテイクアウト(持ち帰り)は対象でも、レストランなどの外食は対象外になる見込みです。すると持ち帰り(1%)と外食(10%)の差が大きく広がり、お客さんが外食を減らして持ち帰りに回ると、外食産業には向かい風(不利)になりかねません。一つの政策が、家計には追い風でも、ある業界には逆風になる──これが政策の難しさです(→記述・問3発展)。
さらに見落とせないのが、減税が物価に与える影響です。税が下がって使えるお金が増えると、買う量が増え(需要が増え)、お店は値段を上げやすくなります。するとかえって物価が上がる(インフレが進む)方向にも働くことがあります。⑧のように物価高が続くいま、「家計を助ける減税」が「物価高をあと押しする」面もある、という心配の声もあります。減税は、家計・外食産業・物価といういくつもの面に同時に効くのです。
消費税は「間接税」で、いまも食料品などには「軽減税率(8%)」があります。「税を下げる=すぐできる」ではなく、現場(レジ)の準備や財源とセットで決まることを理解しましょう。財政・税のしくみは公民頻出です。
⑧ 6月、食料品など1000品目超が値上げ
6月から、調味料や加工食品など1000品目を超える食料品が値上がりしました。原材料費・物流費・エネルギー価格の高どまりや円安が主な原因です。前項の「消費税1%案」も、こうした物価高への対策という背景があります。
とくに日本は、食料や原料、エネルギーの多くを輸入に頼っています。そのため円安(円の価値が下がること)になると、同じ品物を買うのにより多くの円が必要になり、輸入品の値段が上がります。さらに、運ぶための燃料費(物流費)も上がると、商品の値段に上乗せされます。④の株価最高値という「明るい数字」と、この値上げという「家計の痛み」が同時に起きているのが今の特徴です。なぜ値上げが続くのかを、「円安→輸入価格上昇→物価高」という因果でたどれるようにしておきましょう。
物価が上がり続けることを「インフレ(インフレーション)」といいます。需要と供給、円安と輸入(多くの原料を輸入に頼る日本)、家計への影響をつなげて説明できるように。
⑨ 世界の気温、今後5年も最高水準 ── WMOが予測
世界気象機関(WMO)は、2026〜2030年の世界の平均気温が、産業革命前(1850〜1900年)より1.3〜1.9℃高い最高水準で推移すると予測しました。少なくとも1年が、過去最も暑かった2024年を上回る確率は86%、少なくとも1年が一時的に1.5℃を超える確率は91%とされます。とくに北極は世界平均を上回る速さで温暖化が進む見通しです。(※発表は5月28日で本号の対象期間の直前ですが、今週の大雨・気候とも深く関わるため取り上げます。)
「1.5℃」という数字は、2015年のパリ協定で世界が掲げた目標ラインです。これを5年平均で超える可能性が高いという予測は、目標達成がいかに厳しいかを示しています。温暖化が進むと、海水温の上昇で⑤の台風や大雨が激しくなり、熱中症のリスクや農作物への影響も増えます。来週以降に「先取り」で取り上げる猛暑日(35℃)・酷暑日(40℃)といった新しい用語も、この流れの中で生まれました。「温暖化は遠い未来の話ではなく、今年の天気や災害につながっている」という視点が、記述で評価されます。
地球温暖化と「パリ協定」の1.5℃目標、温室効果ガスがキーワード。⑤の大雨・台風(異常気象)とつなげて、「温暖化→極端な気象が増える→防災が大切」という因果で書けると差がつきます。
⑩ 四国地方が梅雨入り ── 台風6号と「梅雨前線」が重なって大雨に
6月2日、気象台は四国地方の梅雨入りを発表しました(平年より3日早く、昨年より16日遅い)。ちょうど北上してきた台風6号の北側に梅雨前線が停滞し、「台風+前線=大雨」の形になって、西日本から東日本の太平洋側に記録的な雨をもたらしました。⑤の氾濫特別警報や⑪の危険警報も、この大雨の中で出されたものです。
梅雨前線は、つめたく湿った「オホーツク海気団」と、あたたかく湿った「小笠原気団」がぶつかり合ってできる停滞前線です。力がつり合って動かないため、同じ地域に長く雨を降らせます。梅雨入りは速報値で、あとから見直されることもあります。
「気団」「前線」「停滞前線(梅雨前線・秋雨前線)」は理科の最頻出。2つの気団の名前と性質(温度・湿り気)、天気図の前線記号、そして「なぜ梅雨は長雨になるのか(前線が動かないから)」を説明できるように。⑤台風・⑨温暖化とつなげて、「暖かく湿った空気が増える→大雨が激しくなる」という因果で書けると強い。
⑪ 宮崎・広渡川に全国初の「レベル4氾濫危険警報」 ── 警戒レベルを“言葉”で伝える新制度
台風6号と梅雨前線の大雨で、6月2日、宮崎県を流れる広渡川・酒谷川が氾濫危険水位に達し、「レベル4氾濫危険警報」が相次いで発表されました。5月29日に運用が始まった新しい防災気象情報のもとで、「危険警報」が出されたのは全国で初めてです。翌6月3日には、和歌山県の古座川で⑤の「レベル5氾濫特別警報」(最大級)も全国初で発表されました。
新しい制度は、川の氾濫・土砂災害・高潮などの危険度を、避難情報の「警戒レベル」と対応する言葉でそろえたのが特徴です。レベル4は「危険な場所から全員避難」、レベル5は「すでに災害が起きているか切迫」を意味します。レベル5を待たず、レベル4の段階で避難を終えるのが基本です。
⑤とセットで「警戒レベル1〜5」を整理。レベル4=全員避難/レベル5=最大級という対応を、下の図解(警戒レベル5段階)で確認しよう。「情報を分かりやすくそろえる(標準化)」という行政の工夫は、防災だけでなく公民の出題にもつながります。
A 「猛暑日」と「酷暑日」のちがい ── 2026年から"酷暑日"が正式用語に
気象庁は最高気温で日を区分しています。夏日=25℃以上、真夏日=30℃以上、猛暑日=35℃以上。そして2026年4月17日、気象庁は最高気温40℃以上の日を「酷暑日(こくしょび)」とする新しい予報用語を正式に決定しました。近年40℃以上が毎年のように観測されるようになったためです。⑨のWMO高温予測(2026〜2030年も最高水準)とあわせて、この夏は「酷暑日」が天気予報で使われる場面が出てくる見通しです。
気温の定義は正確な数値で問われます(25/30/35/40℃)。「なぜ新用語が必要になったのか」を地球温暖化→極端な高温の常態化→熱中症リスクへの注意喚起という因果で説明できると記述で差がつきます。「夏休みの自由研究」テーマにも最適です。
B 「線状降水帯」の仕組み ── 大雨災害の先行キーワード
線状降水帯とは、次々と発生する積乱雲が線のように連なり、同じ場所に長時間、強い雨を降らせる現象です。⑤の台風6号や、これからの梅雨・台風シーズンに、大雨災害の引き金として頻繁に登場します。今号で扱った全国初のレベル5「氾濫特別警報」とあわせ、「危険度を5段階で示す警戒レベル」も正確に押さえておきたいテーマです。
「積乱雲が線状に連なる→同じ地域に集中豪雨→河川の氾濫・土砂災害」という因果の流れで説明できるかが鍵。ハザードマップ・避難情報(警戒レベル)・特別警報はセットで頻出します。
C 夏の星空を先取り ── ペルセウス座流星群が「数年に一度の好条件」(8月13日)
三大流星群のひとつペルセウス座流星群が、この夏見ごろを迎えます。国立天文台によると、2026年は8月13日11時ごろに極大。日本では昼間にあたるため13日の未明(12日深夜〜13日明け方)が中心で、極大の日がちょうど新月にあたり、月明かりの影響をまったく受けない数年に一度の好条件です。あわせて、夏の夜空には「夏の大三角」(こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブ)が高く昇ります。
季節の星座は理科の頻出単元。夏の大三角の3つの星と星座名を正確に押さえましょう。流星群は「彗星が残したちりの帯に地球が突入し、ちりが大気とぶつかって光る」仕組みで説明できると◎。⑨のWMO高温予測ともつなげ、夜間の天体観測は熱中症対策(水分・休憩)とセットにすると、自由研究のテーマにもなります。
D 来年2027年は「素数」── 年号がらみの算数時事を先取り
中学受験では、その年の西暦の数の性質が算数で問われる定番があります。2027は素数(1とその数自身でしか割り切れない数)です。確かめるには、√2027 ≈ 45までの素数(2,3,5,7,11,…,43)で割り切れないことを確認すればよく、いずれでも割り切れません。2026年秋以降、「2027 素数」「中学受験 算数 2027」の検索が増えると予想されます。
素数の定義と素数判定の方法(√Nまでの素数で割る)はセットで頻出。エレコムの新ロゴ(定規とコンパスで描ける整数比の図形)のような「図形と数の性質」の話題ともつなげ、算数からの興味づけにも使えます。
E 宇宙が熱い6月 ── H3ロケット打ち上げ&「金星と木星」の大接近
① H3ロケット6号機(6月10日予定):日本の新しい大型ロケット「H3」の6号機が、6月10日に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です(JAXA)。今回は日本で初めて、横についている固体ロケットブースターを使わない「H3-30」という形での試験飛行。ブースターを省くことで打ち上げ費用を安くし、衛星をより手軽に宇宙へ運べるようにするのがねらいです。前の8号機が失敗した反省をいかした、再起をかけた一機でもあります。性能を確かめる装置に加え、大学が作った小型衛星(東京科学大の「うみつばめ」など)も一緒に宇宙へ向かいます。
② 金星と木星の大接近(6月9日ごろ):6月は、日の入り後の西の空に、とても明るい金星と木星が並んで輝きます。9日ごろに最も近づき、肉眼でもはっきり分かる見ものです(国立天文台)。さらに6月21日は夏至(1年で昼が最も長い日)、6月30日の満月は「ストロベリームーン」と呼ばれます。梅雨の晴れ間に、ぜひ空を見上げてみましょう。
理科の天体は頻出。金星は「内惑星」で、地球より内側を回るため夕方か明け方の空にしか見えず、真夜中には見えないのが重要ポイント(「よいの明星・明けの明星」)。一方木星は「外惑星」。ロケットの話題は、宇宙開発・人工衛星・国際競争・コストと結びつけて、ニュース③(AI・半導体)とあわせ「日本の科学技術」というテーマで整理できます。夏至=太陽の南中高度が最も高い日も、季節と太陽の動きの単元で頻出です。
📝 今週の社説 ── 「数字」で読む日本
今週は数字が主役の一週間だった。人口1億2304万人、一票の格差2.274倍、時価総額48兆円、株価6万8402円、警戒レベル5、気温+1.5℃──。中学入試の社会で問われる時事問題は、もはや数字を覚えるだけでは足りない。大切なのは、数字の裏にある「なぜ?」と「つながり」を読むことだ。人口が減るから一票の格差が広がり、温暖化が進むから大雨の警報が新しくなる。物価が上がるから消費税の話が出る。今号の11本は、すべてこの「数字→構造→社会の選択」という回路でつながっている。記述式問題には全問「考え方の4ステップ」を付けた。数字を入り口に、構造を言葉にする練習をしてほしい。
もう一つ、今週から大切にしたい視点がある。「明るい数字」と「くらしの痛み」が同時に起こるということだ。日経平均は史上最高値を更新したのに、6月は1000品目超が値上げされ、家計は楽になっていない。株価という数字と、買い物という実感の間にはズレがある。ニュースの数字を見るときは、「それはだれにとっての数字か」「自分のくらしとどうつながるか」を問う癖をつけたい。トキの放鳥が示すように、一つの出来事は、環境・経済・地域・政治のいくつもの面を持っている。多面的に見て、自分の言葉で説明する──それが、これからの入試でも、社会を生きるうえでも、いちばん役に立つ力になる。
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「考え方の4ステップ」=①問いを分解する ②論点を整理する ③骨子を組み立てる ④書きながら推敲する。模範解答と採点ポイントも確認しよう。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:聞かれているのは「なぜ逆転が起こるか」。条件は「時価総額の意味にふれる」「120字」。
- 論点を整理:売上高=今の事業の規模/時価総額=株価×株式数で、将来への期待を反映。SBGはAI・半導体への期待が大きい。
- 骨子を組み立て:時価総額とは何か→だから将来期待が反映→SBGはAI投資で期待が高い→ゆえに逆転。
- 推敲:「一方」「ため」で因果を明確に。字数を調整。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:「人口減少で生じる課題」を「具体例一つ」で。120字。
- 論点を整理:働く人の減少→税収・社会保障、地方の過疎→鉄道やお店の維持、学校の統廃合 など。
- 骨子を組み立て:背景(自然減)→課題(働き手の減少)→具体例(社会保障の支え手が減る)→ひとこと。
- 推敲:抽象→具体の順。「たとえば」を使う。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:「0%にしない理由」を「レジの改修」にふれて。100字。
- 論点を整理:0%は改修に約1年、1%なら約半年。早く国民に届けたい。
- 骨子を組み立て:理由(時間)→数字(1年と半年)→ねらい(早く実施)。
- 推敲:数字を入れて具体的に。100字に収める。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:プラス1つ+マイナス1つ。「消費」「外食」を使う。120字。
- 論点を整理:プラス=値段が下がり買う量が増える=消費を後押し。マイナス=外食は対象外(10%のまま)で、持ち帰りとの差が広がり外食産業に不利。
- 骨子を組み立て:プラス(消費を後押し)→マイナス(外食が対象外で不利)。
- 推敲:「だれにとって」よい・こまるかを明確に。120字に収める。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:「長雨になる理由」を「梅雨前線」「2つの気団」を使って。120字。
- 論点を整理:オホーツク海気団(冷・湿)と小笠原気団(暖・湿)が衝突→停滞前線(梅雨前線)→力がつり合い動かない→同じ場所に長く雨。
- 骨子を組み立て:2気団の名前と性質→ぶつかって前線→動かない→だから長雨。
- 推敲:因果を「ため」「ので」で明確に。120字に収める。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:地域差が生まれる「理由を二つ」。120字。
- 論点を整理:①自然増減(出生と死亡の差)②社会増減(転入と転出の差=人の移動)。仕事や進学で都市へ「一極集中」。
- 骨子を組み立て:理由1(自然減が全国で進む)→理由2(仕事を求めて地方から都市へ移動)→だから都市は増・地方は減。
- 推敲:「自然増減」「社会増減」の語を使い、二つに分けて書く。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:「レベル4で避難を終える理由」。120字。
- 論点を整理:レベル5=すでに災害が起きているか切迫。その時点では移動自体が危険。レベル4=全員避難の段階で、まだ安全に動ける。
- 骨子を組み立て:レベル5の意味→移動が危険→だからレベル4のうちに→安全に避難完了。
- 推敲:「手おくれ」を防ぐ、という目的を明確に。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:高値の「よい面」と「注意点」。なぜ過熱が心配か。120字。
- 論点を整理:株価は将来への期待で動く→期待が先行しすぎると実際の業績と離れる→何かのきっかけで急に下がる恐れ。
- 骨子を組み立て:高値=期待の表れ(よい面)→期待が過大だと実態と乖離→急落の恐れ(注意点)。
- 推敲:「期待」という語を軸に、両面をバランスよく。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:「放すだけでは難しい理由」=環境(えさ・すみか)の視点。120字。
- 論点を整理:生き物は食べ物やすみかなど環境がそろわないと生きられない。トキはドジョウ等を食べる→農薬が多い田では えさが減る。
- 骨子を組み立て:生きるには環境が必要→里山のえさ・すみか→だから環境づくりが先。
- 推敲:「生物多様性」「里山」の語を使う。
🧠 考え方の4ステップ
- 問いを分解:「大きな変化」を一つ+「関係する出来事を二つ」+説明。150字。
- 論点を整理:例=「人口減少と高齢化」→①国勢調査の過去最大の減少②一票の格差/または「気候変動」→①WMOの高温予測②台風6号・全国初の警報。
- 骨子を組み立て:変化の名前→出来事1→出来事2→だから何が課題か。
- 推敲:二つの出来事が同じ変化につながることを明示。150字に収める。
台風6号で全国初の「レベル5氾濫特別警報」が出ました。避難はレベル5を待ってはいけません。
今週の実例:6月2日、宮崎県の広渡川・酒谷川に全国初の「レベル4氾濫危険警報」(=危険な場所から全員避難)。翌6月3日には和歌山県の古座川に全国初の「レベル5氾濫特別警報」(=最大級)。いずれも5月29日に運用が始まった新しい防災気象情報での全国第1号です。レベル5を待たず、レベル4で避難を終えることが大切だと分かります。
日本のまわりには、性質のちがう空気のかたまり(気団)がいくつかあります。梅雨の時期は、北東の海上にあるつめたく湿ったオホーツク海気団と、南の海上にあるあたたかく湿った小笠原気団が、ちょうど日本付近で勢力をぶつけ合います。二つの力がつり合うと、境目にできる前線はほとんど動かなくなり(停滞前線)、同じ地域の上に雲をつくり続けます。これが、梅雨に雨が長く降る理由です。やがて南の小笠原気団が勝って前線を北へ押し上げると、梅雨明けとなり、本格的な夏(高気圧におおわれた晴天)に変わります。今年は6月2日に四国が梅雨入りし、ちょうど北上した台風6号が前線に湿った空気を送り込んだため、大雨が強まりました(→ニュース⑤⑩⑪)。
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(毎週日曜放送)は、天下統一を支えた弟・豊臣秀長(このころは小一郎)と兄・秀吉の物語です。6月5日号の次回、第22回「播磨大誤算」は6月7日(日)に放送予定。播磨(いまの兵庫県南西部)を平定したはずの秀吉でしたが、味方になったはずの武将が次々と反旗をひるがえし、二つの方面で同時に戦う苦しい状況(=大きな誤算)に追い込まれます。
ここから始まるのが、城を囲んで食料を断つ「兵糧攻め」です。力で攻めれば味方の損害も大きい。そこで城への食べ物や物資の道を断ち、相手が戦えなくなるのを待つ──これは先週とりあげた名軍師・官兵衛の「知略(かしこい作戦)」の延長にある戦い方です。
※放送日・内容は公式サイトでご確認ください。歴史用語は学校で習う表記に合わせています。
「売上高で見るか、時価総額で見るか」で答えが変わる──この問いは、数字にはいくつもの見方があることを伝える良い入り口です。お子さまと「会社の値段(時価総額)って何だろう?」と話してみてください。
本号の編集上の柱は、例年どおり記述式問題への「考え方の4ステップ」付与です。①問いを分解→②論点を整理→③骨子を組み立て→④推敲、というプロセスは、難関校の記述(100〜150字級)で安定して得点するための核心スキルです。中学受験社会の記述は「暗記」より「構造的に考える力」を測る方向へ進んでおり、今号のように人口・経済・防災・気候が交差する複合テーマが今後も頻出する見込みです。模範解答をなぞるだけでなく、4ステップの途中過程をご家庭で一緒に声に出してみると、思考の型が身につきます。
※ 大河ドラマ『豊臣兄弟!』第22回「播磨大誤算」は6月7日(日)放送予定です。歴史探究では「兵糧攻め」という戦術を、力攻めとの対比で取り上げました。放送後に「力で勝つのと、知恵で勝つのはどちらが大切?」と話し合うと、歴史と現代(外交・交渉)がつながって見えてきます。
本号は「今週のニュース深掘り」「ミニ辞典(重要語15)」「出来事カレンダー」を新設しました。お子さまには、まず気になったニュース1本を選ばせ、カレンダーで前後の出来事と並べてみてください。「この出来事は、別のどのニュースとつながっている?」と問うだけで、断片的な暗記が“つながりの理解”に変わります。深掘りの各ブロックは、そのまま記述の「考え方の見本」としても使えます。
数字の扱いについても一言。今週は「人口1億2304万人」「時価総額48兆円」「株価6万8402円」など大きな数字が並びました。桁の読み方(億・兆)を一緒に確認するだけでも、算数と社会がつながります。さらに「その数字は増えたの? 減ったの? なぜ?」と一段掘ると、グラフ・割合の読み取り(中学受験の頻出)に直結します。
① 株価が最高値なのに、ものの値段も上がっているのはなぜ?(経済と家計)
② 「レベル5」を待たずに「レベル4」で逃げたほうがよいのはどうして?(防災)
③ トキを空に放すために、なぜ田んぼや里山の準備が必要だったの?(環境)
──正解を急がず、お子さまが自分の言葉で理由を言えたら大成功です。
最後に、復習のコツを。今週の記述問題(問1〜問9)は、いきなり書かせるより、まず「考え方の4ステップ」の①②(問いの分解・論点の整理)だけを口頭でやってみてください。骨子が立てば、文章化はぐっと楽になります。書けたら、ミニ辞典の言葉を1つでも答案に入れることを目標にすると、用語の定着と得点力が同時に伸びます。バックナンバー(→「つぎに読む」)と読み比べると、同じテーマがどう深まっているかも見えてきます。
バラバラに見える今週の11本は、じつは「数字 → 構造 → 社会の選択」という一本の線でつながっています。難関校の記述で問われるのは、この“つながり”を自分の言葉で説明する力です。テーマごとに整理しました。気になったテーマから読み、最後に「自分ならどう一文でまとめるか」を声に出してみると、知識が“使える力”に変わります。
①+② 人口が減ると、なぜ「一票の格差」まで動くのか
2025年の国勢調査速報で、総人口は1億2304万9524人、5年で309万人あまり(2.5%)減りました。減少の主因は、亡くなる人が生まれる子どもを上回る自然減です。人口が減ると、まず働いて社会を支える世代(15〜64歳の生産年齢人口)が細り、税や年金を負担する力が弱まります。一方で高齢者の割合は増えるため、社会保障(医療・介護・年金)のバランスが崩れやすくなります。さらに、国勢調査の人口は衆議院の区割り(選挙区の線引き)のもとになる数字でもあります。だから人口分布が変われば、②の「一票の格差」(最大2.274倍)の是正=区割りの見直しという話に直結するのです。「人口統計→政治のしくみ」という回路を一本で説明できると、記述で強くなります。
③+④ 「日本一の会社」は、ものさし次第で変わる
6月1日、ソフトバンクグループの時価総額が48兆円を超え、45兆円台のトヨタ自動車を抜いて国内首位になりました(約22年半ぶりの交代)。ここで大切なのは、「会社の力」をはかるものさしは一つではないということです。売上高で見ればトヨタが上、時価総額(株価×株式数=会社の値段)で見ればソフトバンクG──と、見方によって“日本一”は入れかわります。時価総額は「これからどれだけ伸びそうか」という将来への期待を強く映すため、AI・半導体への巨額投資が評価されました。ただし期待で動くぶん、④の日経平均(初の6万8000円台)が「過熱では」と心配されているのと同じく、株価が下がれば順位もすぐ変わります。数字の大きさより「なぜその評価か」を読む姿勢が、経済の出題では問われます。
⑤+⑪ 防災の「新しい言葉」が、初めて実戦で使われた一週間
5月29日に運用が始まった新しい防災気象情報は、川の氾濫・土砂災害・高潮などの危険度を、避難情報の「警戒レベル」と対応する言葉にそろえたのが特徴です。今週はその新制度が、台風6号と梅雨前線の大雨で初めて実際に発令されました。6月2日に宮崎県の広渡川などへ全国初の「レベル4氾濫危険警報」、翌3日には和歌山県の古座川へ全国初の「レベル5氾濫特別警報」。レベル4=危険な場所から全員避難/レベル5=すでに災害が起きているか切迫を意味し、レベル5を待たず、レベル4で避難を終えるのが基本です。「情報を分かりやすくそろえる(標準化)」という行政の工夫は、防災にとどまらず公民の出題にもつながります。
⑨+⑩ 温暖化と梅雨前線 ── 「暖かく湿った空気」がカギ
世界気象機関(WMO)は、2026〜2030年も世界の気温が最高水準で推移し、少なくとも1年が一時的に1.5℃を超える確率は91%と予測しました。気温が上がると海から蒸発する水蒸気が増え、大気が含める水分が多くなります。これは⑤の台風や大雨をより激しくする方向に働きます。一方、⑩の梅雨は、つめたく湿ったオホーツク海気団とあたたかく湿った小笠原気団がぶつかってできる停滞前線(梅雨前線)が、力のつり合いで動かず同じ地域に長雨を降らせる現象です。「温暖化→水蒸気増→大雨が激化」「2つの気団→停滞前線→長雨」という二つの因果を、理科の言葉で書き分けられるかが差になります。
⑦+⑧ 物価が上がるから、税の話が動く
6月は食料品など1000品目超が値上げされました。背景には、原材料・物流・エネルギーの価格高と円安があります。物価高で家計が苦しくなると、負担を和らげる政策が議論されます。その一つが⑦の食料品の消費税を2年間「1%」にする案です。注目点は、「0%」ではなく「1%」が検討されていること。経済産業省の見方では、税率0%にするとお店のレジ改修に約1年かかるのに対し、1%なら約半年で済むとされ、負担軽減を早く届けるための「つなぎ」の措置と位置づけられています(その先には「給付付き税額控除」も検討)。「物価→家計→税の選択」という流れで、理想(0%)と早さ(1%)のどちらを取るかという“政治の選びとり”まで書けると深みが出ます。
⑥ トキの放鳥 ── 「生物多様性」と「復興」の交差点
国の特別天然記念物トキが、5月31日に石川県羽咋市(能登)で本州では56年ぶりに放鳥されました。トキはかつて日本各地にいましたが、いったん野生では姿を消し、人の手で守り育てられてきました。野生復帰には農薬を減らした田んぼなど「トキがすめる里山」づくりが欠かせません。これは生物多様性(いろいろな生き物が支え合う豊かさ)を守る取り組みであると同時に、能登半島地震や豪雨からの「復興のシンボル」でもあります。一つの出来事が「環境保全」と「地域の再生」の両方の意味を持つ点が、記述のふくらませどころです。
+α 国内のニュースは「世界」とつながっている
今週の出来事は、日本国内だけの話に見えて、実は世界と地続きです。③のソフトバンクGは、首位交代の直前にフランスで巨大なAIデータセンターの建設を発表しました。AIや半導体をめぐる投資は国境をこえた競争になっています。⑨の予測を出したWMO(世界気象機関)は国連の専門機関で、気候変動は一国では解決できないためパリ協定のような国際協調が必要です。⑧の値上げの背景にある円安も、世界の金利や経済の動きと結びついています。「日本のニュース」を読むときに、「これは世界のどんな動きとつながっている?」と一歩引いて考える習慣は、難関校で増えている国際分野の出題に直結します。地図帳で国の位置を確かめながら読むと、理解がいっそう深まります。
記述や選択肢で差がつく言葉を、短い定義で確認。声に出して覚えよう。
国勢調査:5年に1度、国に住むすべての人と世帯を調べる全数調査。議員定数・地方交付税・防災計画などの「もとになる数」。
自然増減:生まれた人と亡くなった人の差。死亡が出生を上回ると自然減。
社会増減:転入と転出の差。仕事や進学で人が動くことで生じ、都市への一極集中を生む。
生産年齢人口:15〜64歳の、働いて社会を支える世代。減ると税・年金の支え手が細る。
一票の格差:住む場所によって一票の「重み」が変わること。法の下の平等にかかわる。
時価総額:株価×発行済み株式数=「会社の値段」。将来への期待を強く映す。
産業構造の変化:主役の産業が移ること。自動車(製造業)から情報・AIへ、という流れ。
警戒レベル:災害の危険度を示す1〜5の段階。レベル4=全員避難/レベル5=最大級。
氾濫危険警報/氾濫特別警報:新しい防災気象情報での川の危険の知らせ。危険=レベル4、特別=レベル5。
線状降水帯:発達した積乱雲が次々と列をつくり、同じ場所に大雨を降らせる現象。
停滞前線(梅雨前線):勢力がつり合って動かない前線。同じ地域に長雨をもたらす。
気団:性質(温度・湿り気)がそろった空気のかたまり。梅雨はオホーツク海気団と小笠原気団がかかわる。
給付付き税額控除:税の負担を軽くしつつ、税より控除が大きい人にはお金を給付する仕組み。
特別天然記念物:天然記念物の中でもとくに貴重なもの。トキはその一つ。
生物多様性:いろいろな生き物が支え合う豊かさ。里山づくりはこれを守る取り組み。
パリ協定:2015年に世界が合意した温暖化対策の枠組み。気温上昇を産業革命前から1.5℃に抑える目標を掲げる。
垂直避難:浸水のおそれがあるとき、遠くへ逃げる代わりに建物の上の階へ移動して身を守る方法。
軽減税率:消費税で、食料品などの税率を他より低く(現在8%)抑えるしくみ。今回の「1%」案もこの延長の議論。
日付順に並べると、出来事の「つながり」と「速さ」が見えてきます。記述では日付の前後関係も大切です。
5月29日(木) 総務省が2025年国勢調査の速報値を公表(総人口1億2304万9524人、5年で309万人減=過去最大)。これをもとに一票の格差は最大2.274倍と試算。新しい防災気象情報の運用もこの日から開始。
5月31日(土) 国の特別天然記念物トキ8羽を、石川県羽咋市(能登)で本州では56年ぶりに放鳥。
6月1日(月) 東京株式市場でソフトバンクGの時価総額が48兆円超、トヨタを抜き国内首位に(約22年半ぶり)。6月から食料品など1000品目超が値上げ。
6月2日(火) 四国地方が梅雨入り(平年より3日早い)。台風6号と梅雨前線の大雨で、宮崎・広渡川などに全国初の「レベル4氾濫危険警報」。
6月3日(水) 台風6号が和歌山県南部に上陸(今年初・統計4番目に早い)。古座川に全国初の「レベル5氾濫特別警報」。日経平均が初の6万8000円台(終値6万8402円)。食料品消費税「1%」案について経産省が見解(0%=約1年・1%=約半年)。
5月末(週内) 世界気象機関(WMO)が2026〜2030年も世界の気温が最高水準と予測。
こうして並べると、「人口・経済・防災・気候」が同じ一週間に重なって動いたことが分かります。バラバラの事件ではなく、現代日本の大きな課題の縮図として読むのがコツです。日付を意識して並べ替えるだけでも、「どの出来事が、どの出来事の原因や結果になっているか」という因果の関係が見えやすくなり、記述の材料が整理できます。
Q. 国勢調査の速報で、日本の人口は何人になりましたか?
A. 2025年10月1日時点で1億2304万9524人です。5年で309万6575人(2.5%)減り、減少幅・減少率とも調査開始以来最大でした。増えたのは東京都と沖縄県だけです。
Q. ソフトバンクグループは何でトヨタを抜いたのですか?
A. 「時価総額(株価×発行済み株式数=会社の値段)」で抜きました。48兆円超で国内1位となり、トヨタは約22年半ぶりに首位を譲りました。売上高ではトヨタが上ですが、時価総額は将来への期待を強く反映します。
Q. 「レベル5氾濫特別警報」はどれくらい危険ですか?
A. 川の氾濫を伝える防災気象情報で最も高いレベルです。すでに災害が起きているか、いつ起きてもおかしくない状態を意味します。レベル4の時点で危険な場所から全員避難を終えておくことが大切です。
調べ学習や自由研究でよく検索される質問に、短く正確に答えます。気になる項目から読んでみましょう。
Q. 「氾濫危険警報」と「氾濫特別警報」のちがいは?
A. どちらも川の危険を伝える新しい防災気象情報です。「危険警報」は警戒レベル4(危険な場所から全員避難)、「特別警報」は警戒レベル5(最大級・すでに災害が起きているか切迫)にあたります。2026年6月は、レベル4が宮崎・広渡川(6/2)、レベル5が和歌山・古座川(6/3)で、いずれも全国で初めて発表されました。
Q. 一票の格差とは何ですか? なぜ問題なのですか?
A. 住む選挙区によって、一人の一票の「重み」が変わってしまうことです。人口の少ない選挙区では一票の価値が大きく、多い選挙区では小さくなります。憲法14条「法の下の平等」に反するおそれがあり、最高裁は格差2倍以上を「違憲状態」の目安としています。2026年の試算では最大2.274倍でした。
Q. 時価総額と売上高のちがいは何ですか?
A. 売上高は「どれだけ商品やサービスを売ったか」、時価総額は「株価×発行済み株式数=会社全体の値段」です。時価総額は将来への期待を強く反映します。そのため、売上高1位(トヨタ)と時価総額1位(ソフトバンクグループ)が一致しないことがあります。
Q. 梅雨前線はどうやってできるのですか?
A. つめたく湿った「オホーツク海気団」と、あたたかく湿った「小笠原気団」が日本付近でぶつかってできる「停滞前線」です。二つの勢力がつり合ってほとんど動かないため、同じ地域に長く雨を降らせます。これが梅雨の長雨の理由です。
Q. 食料品の消費税を、なぜ0%でなく1%にする案なのですか?
A. 経済産業省の見解では、税率を0%にするとお店のレジ改修に最大1年ほどかかる一方、1%なら半年ほどで済むとされます。負担軽減を少しでも早く届けるための「つなぎ」の措置として、1%案が検討されています。
Q. H3ロケット6号機はいつ、どこから打ち上げられますか?
A. JAXAによると、2026年6月10日に種子島宇宙センターから打ち上げが予定されています(予備期間あり)。日本で初めて固体ロケットブースターを使わない「H3-30」形態の試験機で、打ち上げ費用を安くするのがねらいです。
Q. 金星と木星は6月のいつ、どの方角で見えますか?
A. 6月は日の入り後の西の空に金星と木星が明るく並んで見えます。国立天文台によると、9日ごろに最も近づき、肉眼でもよく分かります。金星は地球の内側を回る「内惑星」なので、夕方か明け方の空にしか見えないのが特ちょうです。
Q. トキはなぜ56年ぶりの本州放鳥なのですか?
A. トキはかつて全国にいましたが、環境の変化などで激減し、野生では一度いなくなりました。佐渡島で人の手で増やしてきたトキを、農薬を減らした里山づくりが進んだ能登(石川県羽咋市)で2026年5月31日に放鳥しました。本州の野生に放されるのは1970年以来56年ぶりです。
Q. 2025年の国勢調査の結果をわかりやすく教えてください。
A. 2025年10月1日時点の総人口は1億2304万9524人で、5年前から309万6575人(2.5%)減りました。減少数・減少率とも1920年の調査開始以来最大です。人口が増えたのは東京都と沖縄県だけで、残る45道府県は減少しました。