お城は「現存天守」かどうかで、見えるものが変わります
お城に行く前に1つだけ確かめておくと、その日の見え方が変わります。その天守が江戸時代の木造のまま残っているのか、戦後に建て直したものなのかです。
江戸時代までに建てられた天守がそのまま残っているのは、全国で12だけです。弘前城、松本城、丸岡城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城。これを現存12天守と呼びます。柱も梁も階段も当時のものなので、木のすり減り方や段の高さがそのまま残っています。
大阪城や名古屋城の天守は、戦後に鉄筋コンクリートで建てられたものです。中は博物館として作られていてエレベーターもあるので、小さなお子さまには回りやすい造りです。どちらが良いという話ではなく、見えるものが違うということです。
そして戦国時代を知りたいなら、建物が残っていない城跡のほうが向いています。現存12天守の多くは江戸時代の建物で、戦うためというより政治の中心としての城だからです。
🏯 現存12天守(国宝5城・重要文化財7城)
江戸時代までに建てられた天守が残っている12の城です。すべて国宝か重要文化財に指定されています。
| 城 | 指定 | 今の天守 | 見どころ |
|---|---|---|---|
| 弘前城 青森県 弘前市 | 重要文化財 | 1810年 | 三重三階の小さな天守。石垣を直す工事のため本丸の中を移動したことがあります |
| 松本城 長野県 松本市 | 国宝 | 文禄年間 | 黒い下見板の五重天守。天守と乾小天守が渡櫓でつながる形が残ります |
| 丸岡城 福井県 坂井市 | 重要文化財 | 江戸時代前期 | 二重三階の小さな天守。屋根に石を薄く割った瓦が使われています |
| 犬山城 愛知県 犬山市 | 国宝 | 天正年間 | 木曽川に面した高台に建つ三重四階。最上階の外を歩いて一周できます |
| 彦根城 滋賀県 彦根市 | 国宝 | 江戸時代初期 | 三重三階。屋根の形が場所ごとに変えてあり、外観の変化がわかりやすい城です |
| 姫路城 兵庫県 姫路市 | 国宝 | 1609年 | 五重六階地下一階。世界遺産でもあり、白い漆喰の壁が遠くからでも目立ちます |
| 松江城 島根県 松江市 | 国宝 | 江戸時代初期 | 2015年に65年ぶりで国宝になりました。天守の中の柱の使い方が独特です |
| 備中松山城 岡山県 高梁市 | 重要文化財 | 江戸時代前期 | 山の上に天守が残る城。現存12天守でいちばん高いところにあります |
| 丸亀城 香川県 丸亀市 | 重要文化財 | 1660年 | 天守は三重三階と小さめですが、下から積み上げた石垣の高さで知られます |
| 松山城 愛媛県 松山市 | 重要文化財 | 江戸時代後期 | 山頂の本丸に多くの建物が残ります。ロープウェイとリフトで上がれます |
| 宇和島城 愛媛県 宇和島市 | 重要文化財 | 江戸時代前期 | 三重三階。上から見た城の形が五角形になっている珍しい縄張です |
| 高知城 高知県 高知市 | 重要文化財 | 江戸時代中期 | 天守だけでなく本丸の建物がまとまって残っている、全国でも数少ない城です |
指定区分は文化財保護法にもとづくものです。料金・開館時間・所要時間は各都道府県のページに、公式サイトで確認した内容を載せています。
木造で建て直した城(2 か所)
鉄筋コンクリートで建てた天守(7 か所)
天守のない城跡(8 か所)
遺跡・古墳から古代を見る(10 か所)
城下町・武家屋敷を歩く(5 か所)
歴史博物館でつなげる(8 か所)
👦 学年別の入り方
小1〜小2
天守に上ることより、門をいくつ通ったか、何回曲がったかを数えるほうが記録になります。山の上の城は歩く距離が長いので、平地の城か城下町から始めると無理がありません。
小3〜小4
石垣の積み方の違いに気づける学年です。写真を撮って並べるだけで比較になります。社会科で地図記号を習うので、天守から見えたものを地図に描く作業ともつながります。
小5〜小6
戦国の山城と江戸の平城を1つずつ見て、城の役割が変わったことを説明できる学年です。復元された建物が何をもとに建てられたかを調べると、歴史の調べ方そのものを学べます。
📝 自由研究テーマ
1回の見学で材料がそろうテーマにしぼりました。その場で数える・くらべる・記録するだけで成立します。
天守を4つのタイプに分けてみる
行った城が現存天守か、木造で建て直したものか、鉄筋コンクリートか、天守のない城跡かを調べて表にします。同じ「天守閣」という言葉で呼ばれていても中身が違うことを、自分の足で確かめた城で説明できます。
石垣の石の積み方をくらべる
石をほとんど加工せず積んだものと、四角く整えて隙間なく積んだものがあります。写真を撮って並べ、どちらが古い積み方かを調べます。同じ城の中でも場所によって違うことがあります。
天守から見えるものを地図に描く
最上階から東西南北に何が見えるかを記録します。川、海、街道、平野。なぜこの場所に城を建てたのかを、見えたものから考えます。
城の入口の数と曲がり角を数える
門から天守まで歩きながら、何回曲がったか、門をいくつ通ったかを数えます。まっすぐ進めない造りになっている理由を考えると、城が戦いのための建物だと分かります。
城下町の道が曲がっている場所を探す
城下町を歩き、見通しが悪くなっている場所を地図に印をつけます。武家の区画と商人の区画で道の造りが違うかも見ます。
遺跡から出たものを時代順に並べる
博物館で見た土器・石器・銅の道具を、作られた順に並べた年表を作ります。材料が石から土、金属へ変わっていく流れが1枚で見えます。
同じ時代の城を2つくらべる
戦国時代の山城と、江戸時代の平地の城を1つずつ選び、場所・大きさ・造りをくらべます。戦いのための城から、政治をするための城へ変わったことが説明できます。
復元された建物の「もと」を調べる
復元された門や御殿が、何をもとに建て直されたのかを館内の説明で探します。古い図面、写真、発掘した跡。根拠があって復元されていることが分かります。
❓ よくある質問
現存天守とはなんですか。
江戸時代までに建てられた天守が、建て直されずに今まで残っているもののことです。全国に12だけあり、現存12天守と呼ばれます。弘前城、松本城、丸岡城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城です。
国宝5城と重要文化財7城の違いはなんですか。
どちらも文化財保護法にもとづく指定で、現存12天守はすべてどちらかに指定されています。国宝は松本城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城の5つです。松江城は2015年に国宝になりました。残りの弘前城、丸岡城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城の7つが重要文化財です。
大阪城や名古屋城は現存天守ではないのですか。
違います。どちらも戦後に鉄筋コンクリートで建てられた天守です。ただし中は博物館として作られており、エレベーターもあるため、小さなお子さまや階段が苦手なお子さまには回りやすい造りです。現存天守は木の階段が急なところが多く、荷物が多いと上りにくいことがあります。
低学年でも楽しめますか。
天守に上ることそのものより、門をいくつ通ったか、何回曲がったかを数えるほうが低学年には向きます。数えるという行為が記録になり、そのままノートにできます。山の上にある城は歩く距離が長いので、はじめは平地の城か城下町から始めるのが無理がありません。
戦国時代を学ぶならどこがよいですか。
建物が残っていない城跡のほうが、かえって戦国時代らしさが分かります。安土城跡の大手道、竹田城跡の石垣、一乗谷朝倉氏遺跡の町並みは、いずれも戦国時代のものです。一方、現存12天守の多くは江戸時代に建てられており、戦いのためというより政治の中心としての城です。
雨の日はどうしますか。
城跡や城下町は屋根がないため、雨の日は歴史博物館に切り替えるのが確実です。大阪歴史博物館、古代出雲歴史博物館、佐賀城本丸歴史館などは屋内で完結します。
料金や所要時間はどこに載っていますか。
このページには書いていません。施設ごとの料金・開館時間・所要時間は、各都道府県のページに公式サイトで確認した内容を載せています。施設名の下のリンクから進んでください。
自由研究のテーマになりますか。
なります。城は同じ言葉で呼ばれていても中身が4種類に分かれるため、「分類する」というまとめ方がそのまま使えます。このページの自由研究の見出しに、1回の見学で材料がそろうテーマを8つ載せています。