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運動会のお弁当|前日仕込みと当日の段取り
① つけない(手・弁当箱・調理器具を清潔に)
② ふやさない(冷ましてから詰める・汁気を切る・保冷して運ぶ)
③ やっつける(中心部までしっかり加熱する)
そして前日仕込みはしてよいのですが、条件がひとつあります。前日につくったものは、弁当箱に詰める直前に必ず十分に再加熱することです。ここだけは省略できません。
運動会のお弁当が難しいのは、朝の時間と気温が同時に来るから
運動会のお弁当が普段のお弁当と違うのは、量が多いこと、家族分をまとめてつくること、そしてつくってから食べるまでが長いことです。朝6時に詰めたお弁当を、正午前後に外で食べる。この5〜6時間をどう乗り切るかが、すべてになります。
しかも、多くの学校の運動会は、まだ気温が高い時期に行われます。近年は秋の運動会でも真夏日になる日があり、春に実施する学校も増えました。「秋だから大丈夫」という前提は、もう置かないほうが安全です。
そこでこのページでは、味つけやおかずのレシピではなく、段取りと温度管理だけを扱います。根拠は農林水産省が公開している案内で、家庭のお弁当づくりに絞って書かれたものです。
大原則は3つだけ「つけない」「ふやさない」「やっつける」
農林水産省は、お弁当づくりによる食中毒を防ぐための大原則として、つけない・ふやさない・やっつけるの3つを示しています。細かいテクニックは無数にありますが、どれもこの3つのどれかに属します。迷ったときはこの3語に戻れば判断できます。
| 原則 | 意味 | お弁当での具体例 |
|---|---|---|
| つけない | 細菌を食べ物につけない | 手を洗う/清潔な弁当箱と菜箸を使う/野菜や果物は流水でよく洗う |
| ふやさない | ついた細菌をふやさない | 冷ましてから詰める/汁気を切る/保冷剤と保冷バッグで運ぶ |
| やっつける | 加熱して細菌を死滅させる | 中心部までしっかり加熱する/前日のおかずは詰める直前に再加熱する |
出典:農林水産省「お弁当づくりによる食中毒を予防するために」https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/lunchbox.html(令和4年10月18日更新)
前日にできること・前日にしてはいけないこと
「前日にどこまでやっていいのか」は、運動会のお弁当でいちばん多い迷いどころです。結論から言うと、前日の仕込みは可能です。ただし条件があります。
農林水産省は、作り置きのおかずについて当日調理が基本としたうえで、前日に調理するときや前の晩の残り物を詰めるときは、お弁当箱に詰める直前に必ず十分に再加熱するよう案内しています。冷蔵庫から出してそのまま詰める、という手順は避けてください。
・弁当箱を洗って乾かす(ふたのパッキンは外して、細かい部分まで洗う)
・おかずの下ごしらえ(切る、下味をつける、ゆでる)
・加熱調理して、冷ましてから清潔な容器に入れ、冷蔵庫で保存する
・保冷剤を凍らせる、保冷バッグを出しておく
・使い捨てカップ、割り箸、ウェットティッシュ、ごみ袋をまとめておく
前日にやってはいけないこと
・前日のうちに弁当箱に詰めてしまう
・つくったおかずを室温に置いたまま朝を迎える
・生野菜や果物を切って弁当箱に入れておく 前日の作業の目的は「朝の作業量を減らすこと」であって「朝の工程を飛ばすこと」ではありません。再加熱と冷ましは、前日にどれだけ仕込んでも省略できない工程です。
弁当箱を前日に洗っておくのには、清潔さ以外の理由もあります。洗ったあとは十分に乾かす必要があるためです。どうしても洗った直後に詰めなければならないときは、清潔なふきんで水分をしっかり拭き取ってから使ってください。
当日の朝、逆算タイムライン
朝の失敗は、たいてい「冷ます時間を計算に入れていなかった」ことから起きます。詰める工程を最後にまとめ、冷ます時間を先に確保しておくと、慌てずにすみます。以下は7時30分に家を出ると仮定した逆算例です。開始時刻に合わせて前後にずらしてください。
| 時刻の目安 | やること |
|---|---|
| 起床直後 | 手を洗う。弁当箱と菜箸、盛りつけカップを出して並べる |
| 出発の90分前 | ごはんを広げて冷ましはじめる(バットや大皿に薄く広げる) |
| 出発の75分前 | 当日調理のおかずを加熱する。中心部までしっかり火を通す |
| 出発の60分前 | 前日仕込みのおかずを取り出し、詰める直前の再加熱をする |
| 出発の45分前 | 加熱したおかずを広げて冷ます。この間に生野菜と果物を洗い、水気を切る |
| 出発の25分前 | 完全に冷めたことを確認して詰める。汁気を切り、仕切りとカップを使う |
| 出発の10分前 | ふたを閉め、保冷剤とともに保冷バッグへ。飲み物、ウェットティッシュ、ごみ袋を確認 |
詰めるときの5つの鉄則
1. 完全に冷ましてから詰める
ごはんやおかずが温かいうちに盛りつけると、ふたの内側に蒸気がこもり、それが水分になって傷みの原因になります。「粗熱が取れた」ではなく「手で触れてぬるさを感じない」まで冷ましてください。
2. 水分は大敵。汁気はよく切る
水分が多いと細菌がふえやすくなります。煮物や和え物は汁気をしっかり切ってから詰めます。もともと水分の少ない揚げ物や焼き物を中心に構成すると、より安全になります。
3. 仕切りと盛りつけカップを使う
食品からの水漏れを防ぎ、ほかの食品に細菌が移るのを防ぐために、仕切りや盛りつけカップを活用してください。シリコン製のカップを使う場合は弁当箱と同じようにきれいに洗い、暑い時期は使い捨てカップを使うほうが安心です。
4. 生野菜と果物は、洗って水気を切り、できれば別容器へ
野菜や果物は流水でよく洗い、水気を切ってから詰めます。農林水産省は別の容器に入れるとより安全としています。ミニトマトはへたの部分に細菌がつきやすいため、へたを取ってから洗ってください。
5. すき間なく詰める
これは安全面というより運搬面の話ですが、すき間なくきっちり詰めると、持ち運んでも中身が動かず、食べるときもきれいです。移動が長い運動会では効き目のある一手です。
加熱の目安(中心温度と時間)
「しっかり加熱」とはどの程度か。農林水産省は内閣府食品安全委員会の資料を出典として、原因微生物ごとの中心温度と時間の目安を示しています。家庭の調理でここまで測ることは多くありませんが、表面ではなく中心部が基準だという点は覚えておく価値があります。
| 食中毒の原因微生物 | 菌が死滅する中心温度と時間の目安 |
|---|---|
| ノロウイルス | 85〜90℃で90秒(以上)加熱 |
| 腸管出血性大腸菌/カンピロバクター/サルモネラ属菌 | 75℃で60秒(以上)加熱 |
| リステリア | 65℃で数分加熱 |
出典:内閣府食品安全委員会(農林水産省「お弁当づくりによる食中毒を予防するために」に掲載)
つくりおきのおかずを電子レンジで再加熱するときは、加熱ムラが出やすい点に注意してください。途中で一度混ぜる、平らな器に広げる、加熱後に少し置いて熱を回すといった工夫で、中心部まで熱が届きやすくなります。
入れるなら条件つき、というおかず
運動会のお弁当の定番でも、扱いに条件がつくものがあります。「入れてはいけない」ではなく、「こうすれば入れられる」という形で整理します。
| おかず | 条件 |
|---|---|
| 卵焼き・ゆで卵 | 半熟にせず、完全に固まるまでしっかり加熱する |
| ハム・かまぼこ・ちくわ | そのままでも食べられるが、できるだけ加熱してから詰める |
| 煮物・和え物 | 汁気を完全に切る。カップに入れて他のおかずと接触させない |
| ポテトサラダなど和えもの | 水分が多く、あらかじめ和えて時間が経つ料理は、暑い時期は避けるか別容器で保冷する |
| 生野菜・果物 | よく洗って水気を切る。別容器に入れるとより安全 |
| おにぎり | 素手でにぎらず、ラップや使い捨て手袋を使う。具は水分の少ないものを選ぶ |
手や指に傷がある場合は、調理用の手袋などで手を覆ってください。傷のあるところには黄色ブドウ球菌が多くついているため、そのまま調理すると食材を汚染するおそれがある、と農林水産省は説明しています。忙しい朝ほど見落としがちですが、絆創膏の上から手袋を重ねるだけで防げます。
運ぶとき・会場に置いておくとき
つくったあとの数時間が、いちばん温度の上がりやすい時間帯です。ここでの原則は「ふやさない」ひとつです。
持ち運びチェックリスト
- 保冷剤を弁当箱の上下に入れる(冷気は下に降りるため、上に置くと全体に回りやすくなります)
- 保冷バッグに入れ、直射日光の当たる場所に置かない
- 車で運ぶ場合、車内に置きっぱなしにしない。停車中の車内は短時間で高温になります
- 会場では日陰に置く。日陰がない場合はシートやタオルで覆い、保冷バッグから出さない
- 飲み物とお弁当の保冷剤は分ける(飲み物を出し入れするたびに冷気が逃げます)
- 食べる前に手をきれいにする(ウェットティッシュや携帯用の消毒を用意)
- ごみ袋を必ず1枚以上持っていく
ふたの部分に保冷剤を入れるスペースがついた弁当箱も市販されており、農林水産省もこうした製品が便利で効果が期待できると紹介しています。毎年お弁当が必要な学校であれば、検討する価値があります。
食べるとき、食べたあと
食べる前には、手をきれいにしてください。屋外では手洗い場が混み合うため、ウェットティッシュを人数分用意しておくと確実です。
そして、いちばん大事な判断がひとつあります。もしお弁当の味やにおいがおかしいと感じたら、食べるのはやめてください。朝から時間をかけてつくったものを捨てるのは惜しいものですが、判断を迷う理由にはなりません。子どもが「なんか変な味がする」と言ったときも、同じ扱いにしてください。
食べ残しは持ち帰らず、その場で処分するのが安全です。持ち帰って夕方に食べるという運用は、屋外に半日置いたものを更に数時間置くことになります。
やりがちなNG3つ
一見合理的ですが、詰める直前の再加熱ができません。前日は「つくって保存」まで、詰めるのは当日朝に。
NG2:温かいうちにふたをして、車の中で冷ます
蒸気がこもり、水分がたまります。しかも車内は温度が上がりやすい場所です。冷ますのは必ず家の中で、ふたを開けたまま。
NG3:品数を増やすために前夜遅くまでつくる
睡眠を削った翌朝は、手洗いや加熱の確認といった基本の工程が抜けやすくなります。品数より、確実な工程を優先してください。 お弁当の出来ばえは、子どもの一日の満足度を決める要素のひとつではありますが、いちばんではありません。安全に食べられて、時間どおりに会場に着くこと。これが最優先です。
つくらないという選択もあります
共働きのご家庭や、下のお子さまが小さいご家庭では、当日朝にすべてを手づくりするのが現実的でない場合があります。次のような選択肢は、いずれも十分に成立します。
- 主食(おにぎり・サンドイッチ)だけ手づくりし、おかずは市販品を組み合わせる
- 前日に総菜を購入し、当日朝に詰める直前の再加熱をしてから詰める
- 祖父母や親族が参加する場合、担当を分けて持ち寄る
- 学校が家族での昼食を想定していない場合は、そもそもお弁当をつくらない
市販の総菜を使う場合も、原則は変わりません。温かい状態で買ったものは冷ましてから詰め、冷蔵で持ち帰ったものは詰める直前に再加熱してから冷まして詰めます。「買ったものだから安全」ではなく、「買ったものも同じ工程を通す」と考えてください。
お弁当以外に、当日そろえておくもの
当日の持ち物は、お弁当だけではありません。服装や日よけ、撮影の準備は運動会の親の服装と持ち物にまとめてあります。場所取りの考え方は運動会の場所取りをご覧ください。
よくある質問
Q. 運動会のお弁当は前日につくってもよいですか?
前日に仕込むこと自体は可能です。ただし農林水産省は、当日調理が基本としたうえで、前日に調理するときや前の晩の残り物を詰めるときは、お弁当箱に詰める直前に必ず十分に再加熱するよう案内しています。冷蔵庫から出してそのまま詰めるのは避けてください。再加熱したあとは、しっかり冷ましてから詰めます。
Q. おかずが温かいまま詰めてはいけないのはなぜですか?
温かいうちに盛りつけると、ふたの内側に蒸気がこもって水分になり、傷みの原因になるためです。細菌は水分が多いところでふえやすくなります。朝の時間が足りないときは、うちわや保冷剤の上にバットを置くなどして冷ます時間を先に確保し、詰めるのは最後の工程にまとめてください。
Q. 卵焼きやゆで卵は入れても大丈夫ですか?
入れて構いませんが、半熟にはせず、完全に固まるまでしっかり加熱してください。農林水産省は卵料理について、半熟ではなく完全に固まるまで加熱することを案内しています。同じ考え方で、そのままでも食べられるハムやかまぼこも、できるだけ加熱してから詰めるほうが安全です。
Q. ミニトマトやフルーツは入れてもよいですか?
よく洗い、水気を切ってから詰めてください。農林水産省は、生野菜や果物は別の容器に入れるとより安全としています。ミニトマトはへたの部分に細菌がつきやすいため、へたを取ってから洗うと安心です。おかずの汁気が移らないよう、仕切りや使い捨てカップを活用してください。
Q. 会場でお弁当をどこに置いておけばよいですか?
温かいところに置くと細菌がふえるため、直射日光を避け、できるだけ涼しい場所に置いてください。保冷剤を入れた保冷バッグに入れたままにしておくのが確実です。食べる前には手をきれいにし、もし味やにおいがおかしいと感じたら、もったいなくても食べるのはやめてください。