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小学生しんぶん|スクールコンパス編集部|最終更新: 2026年8月14日

準天頂じゅんてんちょう衛星えいせい「みちびき」とは? 小学生しょうがくせいにもわかるやさしい解説かいせつ

準天頂衛星とは、日本のほぼ真上を長い時間かけて通るように配置された衛星のことです。日本の測位衛星「みちびき」がこれにあたり、山やビルの多い日本でも電波がさえぎられにくくなります。

🔍 くわしく

スマホは、どうやって自分の位置を知るのか

地図アプリを開くと、青い点が「いまここ」を示します。スマホは、どうやって自分がどこにいるか分かるのでしょうか。
答えは空の上の衛星です。地球のまわりを回っている衛星が、電波を送り続けています。その電波を受け取ることで、位置が分かるしくみになっています。

「位置を測る」とは、実は「時間を測る」こと

ここがいちばんおもしろいところです。
衛星は、電波にのせて「いま何時何分何秒です」という時刻を送り続けています。その電波がスマホに届くまでには、ほんのわずかですが時間がかかります
電波の速さは光と同じ、秒速およそ30万キロメートル。だから「遅れた時間 × 電波の速さ」を計算すれば、その衛星までの距離が分かります。
距離が分かると何ができるか。1つの衛星からの距離が分かれば「その衛星を中心とした球の表面のどこか」まで絞れます。2つなら円、3つ以上なら1点に決まります。
つまり「位置を測る」とは、実は「時間を測る」ことなのです。

だから、とても正確な時計が必要

電波は1秒で30万キロメートルも進みます。ということは、時計が100万分の1秒ずれるだけで、位置が約300メートルずれてしまいます
そこで衛星には原子時計げんしどけいという、けたちがいに正確な時計が積まれています。スマホ側の時計はそこまで正確ではないので、4つ目の衛星の電波を使って、そのずれを打ち消しています
ちなみに衛星の原子時計は、銀行の取引や通信ネットワークの時刻合わせにも使われています。位置情報の技術が、社会のいろいろな土台になっているのです。

なぜ「真上」を通る必要があるのか

ここで日本の地形の話になります。日本は山が多く、都市にはビルが立ちならんでいます。
衛星が空の低いところにあると、その電波は山やビルにさえぎられて届きません。ビルに反射した電波が遅れて届いてしまい、位置がずれることもあります(これをマルチパスといいます)。
反対に真上に近いところにあれば、さえぎるものがありません。この「見上げる角度」を仰角ぎょうかくといい、仰角が高いほど電波は届きやすくなります
だから日本は、日本のほぼ真上を長い時間かけて通るという特別な軌道の衛星を用意しました。これが準天頂衛星「みちびき」です。

GPSは、アメリカのシステムです

意外に知られていませんが、GPSはアメリカが整備し、運用しているシステムです。世界中の人が使わせてもらっている、という関係になります。
日本はいま、このGPSとみちびきを組み合わせて使っています。両方から電波を受け取ることで、より正確に、より確実に位置が分かります。
世界には、EUのガリレオ、ロシアのGLONASS、中国の北斗といった測位システムもあります。主要な国と地域が、自分たちのしくみを持とうとしているという流れの中に、みちびきもあります。

7機そろえば、日本だけで測位できる

2026年8月11日4時23分31秒、H3ロケット9号機が種子島宇宙センターから打ち上げられ、約29分後にみちびき7号機を軌道に投入しました。これでみちびきは6機体制になりました。
この打ち上げには経緯があります。2025年12月のH3ロケット8号機は打ち上げに失敗し、みちびき5号機を失いました。JAXAは原因を調べ、対策をとったうえで再挑戦したのです。
国は2031年度をめどに7機体制をめざしています。7機そろえば、他国のシステムにたよらず、日本の衛星だけで測位を提供できるようになります。将来は11機体制も計画されています。
7号機には高精度測位システムが積まれており、将来的には位置のずれを5〜10メートル程度から1メートル程度まで小さくできると見込まれています。

これも「経済安全保障」の話

なぜ、そこまでして自分たちの衛星を持つのでしょうか。
位置情報は、いまや社会の土台だからです。宅配便の配送計画、農業機械の自動運転、船や飛行機の運航、災害のときの救助活動。もし使えなくなったら、止まってしまうものが山ほどあります。
借りているものは、貸してくれる側の判断で使えなくなる可能性が、原理として残ります。だから自分の分も持っておく——この考え方を経済安全保障といいます。
半導体を国内でつくろうとするのも、食料自給率やエネルギー自給率が議論されるのも、まったく同じ形の問題です。

理解りかいチェッククイズ

おしてみてください。すぐにこたえあわせができます。

衛星測位で、実際に測っているものは何?

時間です。「遅れた時間 × 電波の速さ(秒速約30万キロメートル)」で距離を求め、3つ以上の衛星からの距離で位置を1点に決めます。「位置を測る」とは、実は「時間を測る」ことなのです。

みちびきが「日本のほぼ真上」を通る軌道を使うのはなぜ?

見上げる角度(仰角)が高いほど、電波は届きやすくなります。日本の地形に合わせて選ばれた軌道です。

GPSについて正しいのはどれ?

GPSはアメリカのシステムです。日本はいまGPSとみちびきを組み合わせて使っており、みちびきが7機そろえば日本の衛星だけでも測位を提供できるようになります。

✍️ 記述きじゅつミニ道場どうじょう

中学受験ちゅうがくじゅけん記述きじゅつ問題は、おぼえた言葉ことば問題もんだいではありません。 いを分解ぶんかいし、論点ろんてんをならべ、順番じゅんばんめてからく。 その手順てじゅんそのものがわれています。

【記述問題】日本は、アメリカが運用するGPSを利用できるにもかかわらず、多額の費用をかけて準天頂衛星「みちびき」を整備している。その理由を、「基盤」「依存」の二語を必ず用いて140字程度で説明しなさい。

① 問いの分解 聞かれているのは「なぜ自前で持つのか」。①位置情報が何に使われているか ②他者に頼ることの何が問題かの2点で組み立てる。指定語2つは必ず使う。

② 論点整理 ①位置情報は物流・農業・船舶・航空・災害対応など社会の基盤を支えている→②GPSはアメリカが整備・運用するシステムである→③借りているものは貸し手の判断で使えなくなる可能性が原理的に残る→④基盤を他国に依存したままでは、供給が断たれたときの影響が大きい→⑤自国の衛星を整備しておく必要がある。加えて日本は山地とビルが多く、真上を通る衛星のほうが電波が届きやすいという地形上の理由もある。

③ 骨子組立 「位置情報は社会の基盤である」→「しかしGPSは他国のシステムである」→「依存したままでは断たれたときの影響が大きい」→「だから自前で整備する」の順。因果を一本の線でつなぐ

④ 推敲 解答例「位置情報は物流や航空、災害対応など社会の基盤を支えている。しかしGPSはアメリカが整備・運用するシステムであり、これに依存したままでは、利用できなくなった場合の影響が極めて大きい。そのため日本は自国で準天頂衛星を整備し、他国のシステムに頼らずに測位を提供できる体制をめざしている。」(139字)
食料自給率やエネルギー自給率と同じ構造だと気づけると、応用がきく

👨‍👩‍👧 おうちではなすヒント

地図アプリを開いたとき、「これ、空の上の衛星から電波が届いてるんだよ」と一言そえてみてください。ビルの谷間や地下で位置がずれる経験は誰にでもあるので、「なぜずれたと思う?」と聞くと、仰角やマルチパスの話が自然につながります。

🃏 一問一答いちもんいっとうカード(印刷いんさつできます)

このページを印刷いんさつすると、したのカードだけがます。

準天頂衛星(じゅんてんちょうえいせい)

準天頂衛星とは、日本のほぼ真上を長い時間かけて通るように配置された衛星のことです。日本の測位衛星「みちびき」がこれにあたり、山やビルの多い日本でも電波がさえぎられにくくなります。

Q. 衛星測位で、実際に測っているものは何?

A. 電波が届くまでにかかった時間 時間です。「遅れた時間 × 電波の速さ(秒速約30万キロメートル)」で距離を求め、3つ以上の衛星からの距離で位置を1点に決めます。「位置を測る」とは、実は「時間を測る」ことなのです。

Q. みちびきが「日本のほぼ真上」を通る軌道を使うのはなぜ?

A. 山やビルの多い日本では、真上に近いほど電波がさえぎられにくいから 見上げる角度(仰角)が高いほど、電波は届きやすくなります。日本の地形に合わせて選ばれた軌道です。

Q. GPSについて正しいのはどれ?

A. アメリカが整備・運用しているシステム GPSはアメリカのシステムです。日本はいまGPSとみちびきを組み合わせて使っており、みちびきが7機そろえば日本の衛星だけでも測位を提供できるようになります。

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❓ よくある質問しつもん

Q. 「準天頂」とは、どういう意味ですか?

A. 「天頂」は真上のこと。「準」は「それに近い」という意味です。つまり「ほぼ真上」ということ。完全に真上で止まっているわけではなく、8の字を描くように動きながら、日本の上空に長い時間とどまる軌道です。

Q. みちびきは、日本以外でも使えますか?

A. 日本とその周辺、オーストラリアを含むアジア・オセアニア地域で利用できます。軌道の関係で、この地域に電波が届くよう設計されているためです。

Q. なぜ7機なのですか?

A. 常に必要な数の衛星が日本の上空にあるようにするためです。衛星は動いているので、いつでも複数が見える状態を保つには一定の機数が必要になります。7機そろえば他国のシステムに頼らず測位を提供でき、将来の11機体制では故障に備える余裕も生まれます。

🧑‍🔧 このことばを毎日まいにち使つか仕事しごと

準天頂衛星は、ニュースの中だけの言葉ことばではありません。つぎの仕事しごとひとは、この言葉ことば毎日まいにち使つかっています。職業しょくぎょう調しらべや自由研究じゆうけんきゅうのテーマにも使つかえます。

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