「塾は早いほうがいい」「まだ遊ばせたい」。「スマホを持たせたい」「まだ早い」。話し合うつもりが、いつのまにか言い合いになって、夜が終わってしまう。

どちらの考えも、子どものことを思って出てきたものです。話し合う前に、ふたりで同じ質問に答えてみてください。ちがうところだけが、はっきりします。

ふたりで同じ10問に答えて、ずれを見る

👫 ふたりで、同じ10問(1人2〜3分)。紙に書いて、ふたりで見せ合っても使えます。

  1. 中学受験について、いまの気持ちに近いのは?(受けるほうで考えたい/子どもが望むなら受けたい/どちらかといえば受けない/受けない)
  2. 塾(学校の勉強の塾も含めて)は、いつごろから考えたい?(低学年のうちから/3・4年生ごろ/5・6年生になってから/できれば塾には通わずに)
  3. 習い事は、どのくらいがいい?(いろいろ試させたい/2〜3つまで/1つを長く/習い事より、家や外で遊ぶ時間)
  4. 子どもが「習い事をやめたい」と言ったら?(やめていい/区切りまではやる/半年〜1年は続けさせたい/簡単にはやめさせない)
  5. 子ども専用のスマホは、いつから?(低学年から/3・4年生/5・6年生/中学生から)
  6. 平日のゲーム・動画の時間は?(本人に任せる/1日2時間くらいまで/1日1時間くらいまで/平日はなし)
  7. 宿題は、親がどこまで見る?(口を出さず、本人に任せる/終わったかだけ確かめる/丸つけ・やり直しまで見る/毎日そばで一緒にやる)
  8. 子どもが約束を破ったときは?(話を聞いて、約束をし直す/注意はするが、罰はつけない/決めておいた分だけ守らせる/その場でしっかり叱る)
  9. 朝、子どもが「学校に行きたくない」と言ったら?(休ませて、理由はあとで聞く/理由を聞いてから決める/遅れてでも行けるよう付き合う/できるだけ行かせる)
  10. 習い事と塾に使うお金は、1か月でどのくらいまで?(1万円くらいまで/1〜3万円/3〜5万円/必要なら上限は決めない)

答えは、このスマホの中だけに残ります。別のスマホの相手には、答えを短い記号にしたリンクで渡すので、スクールコンパスには届きません。

研究で分かっていること

💬 意見がちがうこと自体は、子どもを不安にさせにくい。不安にさせるのは、ののしり合いや無視のほうです。

どんな研究?(アメリカ・イギリス)

米国と英国ウェールズの8〜16歳の子ども約500人に、夫婦の言い争いの場面を見せて反応を調べた研究です。ののしり合いや無視は子どもを不安にさせ、落ち着いて話し合い解決に向かう姿は子どもを不安にさせにくいと分かりました。場面を見せて反応を聞いた研究で、家での実際の言い争いを長く追ったものではありません。
Goeke-Morey, M. C., Cummings, E. M., Harold, G. T., & Shelton, K. H. (2003). Categories and continua of destructive and constructive marital conflict tactics from the perspective of U.S. and Welsh children. Journal of Family Psychology, 17(3), 327-338. 論文のページ

🤝 ふたりで協力して子育てしているかは、子どもの気持ちや行動とつながっている。ただし、その差は大きくはありません。

どんな研究?(59本の研究のまとめ)

親どうしの「協力」「考えのそろい方」「子育てをめぐる言い合い」「子どもを親の言い合いに引き込むこと」と、子どもの様子の関係を調べた59本の研究をまとめた研究です。つながりは全体に小さめでしたが、それぞれの親の関わり方や夫婦の仲の良さを考えに入れても残り、あとの子どもの変化も予想していました。
Teubert, D., & Pinquart, M. (2010). The association between coparenting and child adjustment: A meta-analysis. Parenting: Science and Practice, 10, 286-307. 論文のページ

🇯🇵 日本の家庭で:夫婦の関係は、家の雰囲気やまとまりを通して、小学生の子どもの気持ちとつながっていました。

どんな研究?(日本の313世帯)

小学生(平均10歳)の子どもがいる313世帯の父親・母親・子どもに、郵送で答えてもらった調査です。夫婦の愛情の強さと子どもの落ちこみやすさは、そのままではつながっていませんでしたが、家庭の雰囲気や家族のまとまりを間に入れると、夫婦の関係が良いほど家の雰囲気が良く、家の雰囲気が良いほど子どもが落ちこみにくい、というつながりが見えました。一度だけ聞いた調査なので、どちらが原因かまでは分かりません。
菅原ますみ・八木下暁子・詫摩紀子・小泉智恵・瀬地山葉矢・菅原健介・北村俊則 (2002). 夫婦関係と児童期の子どもの抑うつ傾向との関連:家族機能および両親の養育態度を媒介として. 教育心理学研究, 50(2), 129-140. 論文のページ

🇯🇵 日本の家庭で:親の言い合いの間に入れられた(板ばさみの)感じが強い子ほど、「自分のせいだ」「こわい」と受け取りやすくなっていました。

どんな研究?(日本の青年期の子どもと両親)

青年期の子どもがいる家庭の父親・母親・子どもに答えてもらった調査です。両親の言い合いが深刻なほど、子どもは言い合いに巻きこまれている感じを強く持ち、それが「自分のせいだ」という受け取り方や、こわさにつながっていました。対象は小学生より上の年齢で、一度だけ聞いた調査です。
川島亜紀子・眞榮城和美・菅原ますみ・酒井厚・伊藤教子 (2008). 両親の夫婦間葛藤に対する青年期の子どもの認知と抑うつとの関連. 教育心理学研究, 56(3), 353-363. 論文のページ

研究で分かっていることと、編集部の工夫は分けて書いています。上の10問と、下の話し合いの順番は、研究をもとにした編集部の工夫です。研究の一覧は根拠と編集の決まりにあります。

話し合いの順番(30分)

📋 子どもが寝たあと、落ち着いている日に

① それぞれ「子どもに、どんな大人になってほしいか」を1つだけ書く(3分)
② 見せ合って「そう思ってたんだね」と受け取るだけにする。ここでは言い返さない(5分)
③ 上の10問で、いちばん大きくちがった1つだけを話す(15分)
④ 決まらなければ「いつ、もう一度話すか」だけ決める(2分)
⑤ 決まったことを紙に書き、子どもに言う1文をそろえる(5分)

①から始めるのは、同じところから話すと、ちがいがあっても同じ方向を向けるからです。疲れている夜は、話さない日にしてかまいません。

子どもの前で、言わないほうがいいこと

つい言いがち

「パパ(ママ)に聞いてごらん」
「ママ(パパ)がだめって言ったから」
子どもの前で、相手の考えを打ち消す

かわりに

「ふたりで決めて、あとで言うね」
「うちで決めた約束だよ」
「その話、あとでふたりでしよう」

子どもにどちらかを選ばせたり、言い合いの間に入れたりすると、子どもは自分のせいだと感じやすくなります(上の日本の研究)。呼び方は、おうちのことばに置きかえてください。

先にそろえておくと楽な3つ

全部をそろえる必要はありません。子どもが毎日ふれることほど、言うことがちがうと子どもが迷いやすいので、この3つから始めると楽です(編集部の工夫)。

① スマホ・ゲーム

「時間」「場所」「お金(課金)」の3つだけ。紙に書いて貼っておくと、言った言わないになりません。わが家のデジタルの約束をつくる →

② 中学受験・塾

受けるかどうかより先に、「いつまでに決めるか」の日を1つ決めます。それまでは、学校を見に行ったり子どもの話を聞いたりする材料集めの期間です。中学受験するべきか迷ったら →

③ 教育費

習い事と塾の1か月の上限を1つ決めます。上限があると、次に何かを始めるときの決め方が楽になります。わが家の6年間の教育費を出す →

話し合いが、いつも言い合いになるとき

1回に話すのは1つの話題、15分まで、と先に決めておきます。言い合いになりそうなら「続きはあしたにしよう」で止めてかまいません。止めることは、逃げることではありません。

何度話しても言い合いになる、相手が話にのらないときは、ひとりで相談できるところもあります。市区町村の子育ての相談窓口(相談先ナビ)や、子育て相談室の「ただ聞いてほしい」から。

どなる・物を投げる・手が出るなど、こわいと感じるときは、話し合いより先に安全を。
📞 DV相談+(内閣府)0120-279-889(24時間。チャットやメールでも相談できます)
📞 DV相談ナビ(内閣府)#8008(お近くの相談窓口につながります。受付時間は窓口ごとに異なります)
🚨 子どもの安全が心配なとき:児童相談所虐待対応ダイヤル 189

関連する悩みとのつながり

🔗 夫婦の考えがちがって、困りやすい場面

子どもが学校に行きたがらない朝:休みが続くとき、親の側のこと・行き渋りを親子で軽くする2週間の手順(おやこコンパス)
つい怒ってしまうとき:つい怒ってしまうのを減らす2週間の手順(おやこコンパス)・言いかえ集
親のほうが疲れているとき:親の悩み(子育てに疲れた・家族と考えが合わない)
いまの気持ちを、まず書いて置いていく:子育て相談室

📝 この記事について
公開: 2026年3月28日 / 最終更新: 2026年10月7日 / 作成: スクールコンパス編集部
研究で分かっていることと、編集部の工夫は分けて書いています。根拠は根拠と編集の決まりに。
特定の塾・教材・サービスとの利害関係はありません。

❓ よくある質問

夫婦で教育方針が違うと、子どもに悪い影響はありますか?
意見がちがうこと自体は、子どもを不安にさせにくいと分かっています。子どもを不安にさせやすいのは、ののしり合いや無視、子どもを言い合いの間に入れることです(米国・英国の子ども約500人の研究、日本の青年期の子どもと両親の調査)。考えのちがいはあっていいので、子どもに見せる話し方と、子どもに言う1文をそろえます。
教育方針が真逆のときは、どうすればいいですか?
全部をそろえる必要はありません。ふたりで同じ10問に答えて、いちばん大きくちがった1つだけを話します。決まらないときは「いつまでに決めるか」だけを決め、そのあいだは子どもに言う1文だけを同じにします。
パートナーが話し合いに応じてくれません。
「30分だけ」「1つだけ」と区切って頼むと、受けてもらいやすくなります。話し合いの代わりに、このページの10問のリンクを送る方法もあります。答えるだけなら2〜3分で、どちらが正しいかは出ません。それでも話せない状態が続くときは、市区町村の子育ての相談窓口で、ひとりで相談することもできます。
祖父母と考えがちがうときは?
祖父母には、夫婦で決めたことだけを「わが家の約束」として先に伝えます。スマホ・お菓子・おこづかいはずれやすいところなので、紙に書いて渡すと、言った言わないになりません。
10問の答えは、どこかに送られますか?
送りません。答えは、このスマホの中だけに残ります。相手に渡すリンクは、答えを短い記号にしたもので、開いてもスクールコンパスには届きません。数えているのは「中学受験」「宿題」など、どの項目でちがったかの名前だけで、どう答えたかは受け取りません。