2けたでわる筆算ができない子への教え方|商は「当てる」ものではなく「直す」ものです
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そして、当たらないと「まちがえた」と感じて止まります。しかし2けたでわる筆算では、商は見当をつけて立て、合わなければ直すものです。直すことは失敗ではなく、正しい手順の一部です。
ここを先に伝えるだけで、手が止まらなくなる子がかなりいます。技術の前に、これが必要です。
4年生でいちばん手が止まる単元です
2けたでわる筆算は、小学校の算数のなかでも、とくに時間がかかる単元です。理由ははっきりしています。
3年生までのわり算は、九九の中に答えがありました。23÷4なら、4の段をたどれば見つかります。ところが736÷23では、23の段は存在しません。覚えている表の中に答えがない——これが初めての経験です。
だから、探すのではなく見積もることになります。この切りかえが、この単元の本体です。計算力の問題ではありません。
見当のつけ方:わる数を、切りのよい数に置きかえる
736÷23を例にします。
23 → だいたい20とみる
② 73は、20の何倍くらい?
20×3=60、20×4=80。73は60と80の間。
→ 商は3くらい。
③ 立てて、確かめる
23×3=69。73より小さい。OK。
73−69=4。あまり4は23より小さい。OK。 「23の段」を作る必要はありません。20の段(=2の段)で見当をつけて、あとで直す。これだけです。
わる数の一の位が5以上のとき(たとえば38)は、切り上げて40とみます。38→40、47→50。下1けたを四捨五入すると考えるとそろいます。10月ごろにがい数を習っていれば、そのまま使えます。
直すときの合図を、2つだけ渡す
見当なので、外れます。外れたときにどちらに外れたかが分かることが大事です。合図は2つだけです。
| 何が起きたか | 意味 | やること |
|---|---|---|
| かけ算の答えが、わられる数をこえた | 商が大きすぎる | 商を1減らす |
| あまりが、わる数以上になった | 商が小さすぎる | 商を1増やす |
この2つを紙に書いて、机に貼っておいてください。書いてあるだけで、大人を呼ばずに自分で進めるようになります。
「あまりがわる数以上なら商が小さい」は、3年生のあまりのあるわり算で習った「あまりはわる数より小さい」と同じ決まりです。3年生の内容が、そのまま道具になっています。ここを言葉にして結びつけてあげてください。
つまずきの場所を、3つに分けて見る
「筆算ができない」の中身は、じつは3つに分かれます。どれなのかで、やることが変わります。
| 症状 | 本当の原因 | 戻る場所 |
|---|---|---|
| 商が立てられない・手が止まる | 見積もりの方法を知らない | このページの見当のつけ方 |
| 商は立つが、かけ算・引き算をまちがえる | 2けた×1けたのかけ算、3けたの引き算 | 3年生の筆算に戻る |
| 数字を書く位置がずれる | 書く場所の管理 | 方眼ノートに変える |
2つめが意外に多いです。わり算の筆算は、かけ算と引き算を何度も繰り返す作業です。その部品がぐらついていると、わり算の考え方が分かっていても答えが合いません。この場合、わり算を練習しても直りません。3年生のかけ算の筆算と引き算の筆算に、数日戻ってください。
① 23 × 4 = (92)
② 736 − 690 = (46)
③ 「あまりは、わる数よりどうなる?」→ 小さい
①②で時間がかかる、または間違える場合、原因は3年生にあります。 わり算の筆算を1枚やらせるより、この3問を見るほうが早く原因にたどりつきます。
書く位置がずれる子へ
この単元は、ノートの使い方でつまずく子がはっきりいます。けた数が多く、商・かけ算の答え・あまりを、それぞれ決まった位置に書く必要があるためです。
- 方眼ノート(マス目のあるノート)に変える。1マスに1文字。これだけで直る子がいます
- 横罫のノートを使う場合は、ノートを90度回して罫線をたてに使うと、位がそろいます
- 問題と問題のあいだを広くとる。詰めて書くと、前の計算と混ざります
「ていねいに書きなさい」と言うより、ずれない紙を渡すほうが早く解決します。本人の意識ではなく、道具の問題として扱ってください。
商に0が立つとき
後半でもう一段、つまずきがあります。824÷41のように、途中で商に0が立つ場合です。
82÷41で商2。82−82=0。次に4を下ろす。4は41より小さいので、商は0。答えは20あまり4。
ここで0を書かずに「2あまり4」としてしまう間違いが多発します。0を書き飛ばすと、答えが10分の1になります。
対策はひとつ。「下ろしたら、必ず商を1つ書く」という約束にしてください。下ろした回数と、商のけた数が同じになるはずです。書き終わったら、その数を数えて確かめる。0でも書く、という手順にしておくと飛ばしません。
やってしまいがちなこと3つ
考え方を知らないので、考えても出ません。見当のつけ方という手順を渡してください。
商を直すのは正しい手順です。消さずに、線を引いて横に書き直させるほうが、直した過程が残って本人も納得します。
1問に手数が多い単元です。1日5問で十分です。枚数ではなく、直し方が身についたかどうかで見てください。
5年生につながること
2けたでわる筆算は、5年生の小数のわり算にそのまま使われます。7.36÷2.3は、小数点を動かして73.6÷23にしてから、この筆算をします。つまりここが通っていないと、5年生でもう一度同じ場所で止まります。
そして5年生には、割合という高学年最大の壁が控えています。割合の計算は、わり算そのものです。4年生の10〜11月は、そこに向かう土台をつくる時期だと考えてください。時間をかける価値があります。
教科書会社によって、この単元を扱う時期は前後します。お手元の教科書の目次で確認してください。
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4年生の秋は、算数でいちばん差がつきやすい時期です。ほかにも気になることがあれば、学年ごとにまとめてあります。
よくある質問
Q. 商が立てられません。どう教えればよいですか?
商は一発で当てるものではなく、見当をつけて立て、合わなければ直すものだと先に伝えてください。見当のつけ方は、わる数を切りのよい数に置きかえることです。736÷23なら23を20とみて、73は20の何倍くらいかを考えます。20×3=60、20×4=80なので、商は3くらいと見当がつきます。
Q. 立てた商が大きすぎたか小さすぎたか、どう分かりますか?
合図は2つです。かけ算の答えがわられる数をこえたら、商が大きすぎるので1減らします。あまりがわる数以上になったら、商が小さすぎるので1増やします。この2つを紙に書いて机に貼っておくと、大人を呼ばずに自分で進められるようになります。
Q. 考え方は分かっているのに、答えが合いません。
わり算ではなく、部品のかけ算と引き算が原因のことがあります。わり算の筆算は、2けた×1けたのかけ算と3けたの引き算を何度も繰り返す作業です。23×4と736−690を紙に書かせて、時間がかかる、または間違えるようなら、3年生の筆算に数日戻るほうが早く進みます。
Q. 数字を書く位置がずれてしまいます。
方眼ノートに変えてください。1マスに1文字と決めるだけで直る子がいます。横罫のノートしかない場合は、ノートを90度回して罫線をたてに使うと位がそろいます。「ていねいに書きなさい」と言うより、ずれない紙を渡すほうが早く解決します。
Q. 商に0が立つところで、いつも間違えます。
「下ろしたら、必ず商を1つ書く」という約束にしてください。0でも書きます。下ろした回数と商のけた数が同じになるので、書き終わったら数を数えて確かめられます。0を書き飛ばすと答えが10分の1になるため、ここは手順で防ぐのが確実です。
Q. いつ習う単元ですか?
小学4年生の2学期、多くの教科書では10月から11月にかけて扱われます。3年生のあまりのあるわり算が土台で、5年生の小数のわり算にそのまま使われます。時期は教科書会社によって前後するため、教科書の目次で確認してください。
今日からのチェックリスト
- ☑ 「商は直すもの」と先に伝えた
- ☑ わる数を切りのよい数に置きかえる方法を教えた
- ☑ 大きすぎ・小さすぎの合図2つを紙に書いて貼った
- ☑ 23×4と736−690の部品チェックをした
- ☑ 方眼ノートに変えた
- ☑ 1日5問に減らした
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参考:文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編』。学年と単元の対応は同解説の記述に拠っています。