2026年5月15日〜21日の1週間は、「AI巨額投資の集中」と「多極化外交の同時進行」という2つの大きなテーマで読み解ける、極めて密度の濃い1週間となった。
象徴はエヌビディアの時価総額5.5兆ドル達成である。5月15日、生成AI用半導体GPUの世界的独占企業エヌビディアは、マイクロソフトやアップルを超える規模に到達した。同じ週、グーグルとブラックストーンが約8000億円出資のAIクラウド共同会社を米国で設立、韓国サムスン電子の時価総額が1兆ドル突破(メモリ半導体のAI需要が背景)と、AI関連巨額投資が世界の経済地図を塗り替える光景が連続した。NVIDIAが日本に「ソブリンAI(主権AI)」を提唱し、文化・安全保障の観点からの自国AI構築の必要性を訴えた点も重要である。マスク氏のOpenAI訴訟が時効で決着し、OpenAIのIPO(株式公開)準備が加速する流れも、この巨額投資ラッシュの一部だ。
外交面では、5月15日の米中首脳会談でホルムズ海峡解除合意、5月20日の中ロ首脳会談で協力体制強化宣言、同日のトランプ大統領によるイラン軍事攻撃延期表明、そして日韓首脳の原油相互融通合意──。世界は「米国陣営 vs 中ロ陣営」「中間国(インド・グローバルサウス)」の三極構造に再編されつつあり、各極が相互に駆け引きを行う多極化外交の局面に入っている。日本は日米同盟を基軸としつつ、同志国(like-minded countries)戦略・日韓協力・グローバルサウス取り込みを進める。エネルギー安全保障では中東依存リスクが顕在化し、ホルムズ海峡・原油融通・イラン軍事攻撃延期というキーワードが連動した動きを示した。
国内政治では、5月15日に衆院災害対策特別委員会で防災庁設置法案が全員一致可決、同日に地震調査委員会が東日本大震災後の「ゆっくりすべり」加速を発表、5月19日に国民民主党が内密出産法案を参院提出と、災害対応・科学・福祉の各分野で「制度の頑健化(resilience)」に向けた動きが進む。「縦割り行政の弊害」を越える横断的省庁連携と、「出自を知る権利」など子どもの権利擁護という、それぞれ別領域だが共通して「変化する社会への制度的対応」というテーマで結びつく。
経済では、日本のGDP1〜3月期が個人消費+0.3%・自動車輸出+1.7%で緩やか成長維持。WHOテドロス事務局長によるエボラ出血熱ブンディブギョ型流行への深い憂慮は、コロナ後の世界がパンデミック警戒態勢を維持する必要性を示した。
──中学入試の社会で問われる時事問題は、もはや単独の事実暗記では太刀打ちできない。「AI覇権競争・多極化外交・経済安全保障・エネルギー安全保障・災害対応・子どもの権利・パンデミック」という7つの軸が複雑に交差する場所に、現代の課題がある。今号で取り上げた14ニュースは、いずれもその交差点に位置する。記述式問題には全問に「考え方の4ステップ」を追加したので、構造的思考を実地練習してほしい。