🇫🇷 フランスの暴動・デモはなぜ起きた? ── 2026年10月のできごとと、フランス革命からのデモの歴史

🧭 このページでわかること

2026年10月17日、フランス全土で大きなデモがあり、一部の都市では建物に火がつけられたり、店の品物がうばわれたりする暴動になりました。ニュースの映像を見て、子どもに「何が起きているの?」と聞かれた方も多いと思います。このページでは、何が起きたのか、デモと暴動のちがい、フランスでデモが多い理由(歴史)を順に説明し、最後に子どもに話すときの言葉をまとめました。

約55万人
10月17日のデモの参加者(フランス内務省の推計)
2,000人超
逮捕された人(内務大臣。AFPは約2,400人と報道)
1,500以上
こわされたり、品物をうばわれたりした店(小売業の団体の推計)
2027年4月
次のフランス大統領選挙

📰 何が起きたの?(2026年10月17日)

きっかけは、高校生のデモでした。2026年、フランスの高校生たちが、校舎が古くなっていることや先生が足りないことなど、公立学校の環境が悪くなっていることに抗議してデモを始めました。政府が国の借金をへらすためにお金の使い方を切りつめる中で、学校にも影響が出ていると考えたからです。9月には労働組合も加わり、列車の車掌や先生などがストライキをするようになりました。

10月17日、全国でいっせいにデモ。物価が上がって生活が苦しいことへの不満も重なり、主に学生の団体と労働組合が呼びかけたデモが全国で行われました。参加者は、フランスの内務省の推計で約55万人、労働組合(フランス労働総同盟)の推計では80万人をこえ、数え方によって大きな開きがあります。2018年に始まった「黄色いベスト運動」の団体も加わりました。

一部が暴動に。多くの人は平和にデモをしましたが、パリやリヨン、マルセイユなど各地で、一部の人が街の設備に火をつけたり、公共の建物をこわしたり、店の品物をうばったりしました。フランス中部のリモージュでは、市役所の建物が火をつけられ、屋根や塔がくずれ落ちるほど焼けました。パリだけでも約11万人がデモに参加しています。警察官や消防士のけが人は600人をこえ(内務大臣)、パリでは心臓の病気で亡くなった人が1人いたと警察が発表しました(くわしいことは調べている最中です)。

📌 焼けたリモージュの市役所は、1883年7月14日に完成した建物です。7月14日は、1789年にパリの市民がバスティーユ牢獄をおそった日で、フランス革命を記念する祝日(革命記念日)です。その記念日に開かれてから140年以上、町の人に使われてきた建物でした。デモに加わろうとしていた人からも、こわされ方におどろく声が伝えられています(AP通信)。意見を伝えること(デモ)と、こわすこと(暴動)は、分けて考える必要があります。下の歴史の年表の1789年とつながっています。

大統領の発言。マクロン大統領は、暴力を正当化する理由はないとして、こわした人はつぐないをしなければならないと述べました。同時に、正当な要求をかかげてデモをする人と、こわしたりうばったりする人は区別する、とも話しています。2027年に大統領選挙をひかえていて、政党どうしが責任を言い合う場面も伝えられています。

出典:AFP(2026年10月19日)、Forbes JAPAN(10月19日、ロイター・ル・モンド・AFPの報道を引用)、ブルームバーグ(10月17日)、NHK(10月19日)、AP通信(10月18日)、ユーロニュース(10月18日、市役所の完成の年月日)。参加者と逮捕者の数は、発表した人や時点によって異なるため、発表元を書きそえています。

⚖️ デモと暴動は、何がちがうの?

デモは、多くの人が集まって道を歩いたり集会を開いたりして、「こうしてほしい」という意見を社会に見せることです。フランスでも日本でも、法律で認められた権利です。日本では、憲法21条で「集会・結社・表現の自由」が守られています。

暴動は、建物や車をこわしたり、火をつけたり、店の品物をうばったりすることです。だれかを傷つけたり、関係のない人の物をうばったりするので、どの国でも法律で禁じられています。

今回のニュースも、「デモ=悪いこと」ではありません。意見を伝える権利(デモ)と、それを利用して起きた法律違反(暴動)は別のものとして見ることが大切です。マクロン大統領が「区別する」と言ったのも、この点です。

📜 フランスでデモが多いのはなぜ?(歴史の年表)

フランスには、市民が街に出て声をあげ、国のしくみを変えてきた歴史があります。そのため「意見は街に出て示す」という考えが根づいている、といわれます。

どの時代も、「生活が苦しい」「自分たちの声が政治にとどかない」と感じた人たちが、街に出て声をあげてきました。

📝 中学入試ではこう出る

海外のニュースは、そのまま出るより、日本や歴史の学習とつなげて出ることが多い話題です。

🧠 たしかめ問題(4問)

① 1789年に始まり、人権宣言が出された、フランスの大きなできごとは何?

フランス革命。7月14日は今もフランスの祝日(革命記念日)です。

② 日本で、デモのように意見を表す自由を定めているのは、憲法の何条?

21条(集会・結社・表現の自由)。

③ 2018年に、燃料の税金の引き上げへの反対から始まったフランスの運動は?

黄色いベスト運動。

④ 焼けたリモージュの市役所が完成した「7月14日」は、フランスでは何を記念する日?

フランス革命の始まり(1789年7月14日のバスティーユ牢獄の襲撃)を記念する日。今も祝日で「革命記念日」とよばれます。年号と日付をセットで覚えると、記述問題でも使えます。

👪 子どもに聞かれたら(家で話すときの言葉)

火や人ごみの映像は、子どもにとってこわく感じることがあります。くわしく説明するより、まず安心できる言葉から始めると落ち着きます。

「遠いフランスでのできごとだよ。デモに出た人の多くは、意見を伝えたくて静かに歩いていたんだ。こわしたり、うばったりしたのは、その中の一部の人なんだよ。」
「もし学校のことで『こうしてほしい』と思ったら、どうやって伝えるのがいいと思う?」(意見の伝え方を、子ども自身に考えてもらう問いかけです)

映像を見て不安が続くようなら、ニュースを見る時間を少しへらし、いつもどおりの生活をすることが助けになります。

❓ よくある質問

Q. フランスのデモ・暴動は、なぜ起きたのですか?

2026年10月17日のデモは、物価が上がって生活が苦しいことと、公立学校の校舎の古さや先生の不足に抗議するものでした。高校生が始めたデモに、学生の団体や労働組合が加わって全国に広がり、一部の都市で放火や店の略奪などの暴動になりました。

Q. デモと暴動は、何がちがうのですか?

デモは、多くの人が集まって歩いたり集会を開いたりして、意見を社会に示すことで、フランスでも日本でも認められた権利です。暴動は、建物をこわしたり、火をつけたり、店の品物をうばったりすることで、法律で禁じられています。今回も、多くの人は平和にデモをしていて、その一部で暴動が起きました。

Q. フランスはなぜデモが多いのですか?

1789年のフランス革命で、市民が声をあげて国のしくみを変えた歴史があり、「意見は街に出て示す」という考えが根づいているといわれます。1968年の五月危機、2018年の黄色いベスト運動、2023年の年金改革への反対デモなど、生活や政治に関わる大きなデモがくり返し起きています。

Q. 黄色いベスト運動とは何ですか?

2018年11月に始まった、燃料にかかる税金の引き上げへの反対から広がった抗議の運動です。車に備えておく黄色い安全ベストを着て参加したので、この名前がつきました。物価や生活の苦しさへの不満が背景にあり、2026年10月のデモにも、この運動の団体が参加したと伝えられています。

Q. フランスへの旅行の予定があるときは、どうすればいいですか?

外務省の「海外安全ホームページ」で、フランスの最新の安全情報を確かめてください。デモの多い日や場所には近づかないことが基本です。

📚 関連リンク

🧭 関連する入口