さくらんぼ計算とは?教え方3ステップ|つまずきは、たし算の手前にあります
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そして、ここでつまずいている子の多くは、たし算でつまずいていません。本当の原因は、その手前にある10の合成分解——「10は8といくつ?」に即答できるかどうかです。
まずここを確かめてください。あやしければ、たし算の練習をいったん止めて10の分解に戻る。遠回りに見えて、これがいちばん早い道です。
さくらんぼ計算とは何か(30秒で説明します)
8+5を例にします。
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2 3
後ろの5を、2と3に分けます。分けた形が果物のさくらんぼに似ているので、この呼び名がついています。
- 8は、あと2で10になる
- だから5を2と3に分ける
- 8+2で10。残った3を足して13
やっているのはこれだけです。目的は「10をつくること」であって、さくらんぼの絵を描くことではありません。ここを取りちがえると、親も子も、絵を描く作業に時間を取られます。
なぜ学校はわざわざ分けさせるのか
「13になるんだから、そのまま覚えればいいのでは」と感じる方は多いと思います。実際、大人はもう覚えています。それでも学校がこの手順を通すのには理由があります。
日本の数の書き方は、10ずつのまとまりでできています。23は「10が2つと3」、147は「100が1つ、10が4つ、7」。この10のまとまりで数を見る目は、2年生の筆算、3年生のかけ算、4年生の大きな数まで、そのまま使われ続けます。
くり上がりのたし算は、その目をつくる最初の場面です。ここで「10をつくる」という動きを体に入れておくと、あとの学年で「なぜ1くり上がるのか」が分かる子になります。答えを丸暗記して通り抜けた子は、2年生の筆算で必ずもう一度止まります。
※「さくらんぼ計算」は教科書や現場での呼び名で、文部科学省の学習指導要領に出てくる用語ではありません。指導要領解説の算数編では、この計算の仕方は「10のまとまりに着目して考える」ものとして扱われています。呼び名は教科書会社によって違うことがあります。
つまずきの場所を、3問で特定する
「できない」とひとことで言っても、止まっている場所は3か所のどれかです。紙に3問だけ書いて、どこで手が止まるかを見てください。
| 見る場所 | 聞き方 | ここで止まるなら |
|---|---|---|
| ① 10の合成 | 「10は8と、いくつ?」 | ここが原因です。たし算をやめて、10の分解に戻る |
| ② 5をどう分けるか | 「5を2と、いくつに分ける?」 | 数の分解そのもの。5までの分解を先に |
| ③ 10+3 | 「10と3で、いくつ?」 | 10いくつの数の言い方。数直線で確認 |
いちばん多いのは①です。②③で止まる子は少数です。それなのに、家庭では「たし算のプリントを増やす」対応になりがちで、これが長期戦の原因になります。
「10は、8と いくつ?」→ 2
「10は、7と いくつ?」→ 3
「10は、6と いくつ?」→ 4
「10は、9と いくつ?」→ 1
指を折らずに、1秒で出てくるか。ここが判定の線です。 数えて出している場合、答えは合っていてもくり上がりでは間に合いません。数日、10の分解だけに戻してください。
教え方3ステップ
プリントは使いません。お風呂でも、車の中でもできます。
「10は6と?」「4」「10は3と?」「7」——テンポよく、10問だけ。
まちがえたら教えて、すぐ次へ。丸つけも記録もいりません。
ここに3日かけるのは遠回りではありません。ここが固まっていない状態でくり上がりを練習すると、毎日30分かかって、しかも入りません。
8+5で、子どもがつまずくのは「どっちの数を分けるの?」です。ここは毎回同じ順番にしてください。
① 前の数(8)を見る
② 「10まで、あといくつ?」→ 2
③ 後ろの数(5)を、2と残りに分ける
④ 10と、残り
言い方を毎回変えないことが、いちばん効きます。 教科書によっては前の数を分ける方法(被加数分解)を扱うこともあります。学校のノートを一度だけ見て、そちらに合わせてください。家と学校で順番が違うのが、いちばん混乱します。
枚数は増やしません。5問です。
できた日に丸をつけるだけのカレンダーがあると続きます。
2週間目あたりから、さくらんぼを書かずに答えが出る問題が混ざってきます。それが目標です。書かずに出せるようになったら、書かせなくてかまいません。 全部書かせ続けると、計算が遅い子のまま固定されます。書くのは、頭の中の動きを外に出すための一時的な道具です。
やってしまいがちなこと3つ
書くこと自体が目的ではありません。書かずに出せる問題は、書かせなくてよいのです。ただし学校の宿題で書き方を指定されている場合は、そちらに従ってください。
この段階で速さを求めると、数えたし算に戻ります。数えれば速く答えが出るからです。型が固まるまで、速さは求めないでください。
本人にも分かりません。分かっていれば止まっていません。代わりに「どこまでできた?」と聞くと、止まっている場所が①②③のどれかが見えます。
指を使う子、数えて答えを出す子
指は禁止しなくてかまいません。目に見える道具として、10という数を体で扱えるのは利点です。
ただし、8+5を「9、10、11、12、13」と数えて出している場合は、少し話が別です。答えは合いますが、10のまとまりを一度も通っていないので、2年生の筆算で必ず止まります。答えが合っているぶん、家庭でも学校でも見つかりにくいのが厄介なところです。
見分け方は簡単で、答えを出すまでの目の動きと口元です。小さく口が動いている、指が細かく動いている場合は数えています。この場合、おはじきやブロックなど10のまとまりが目に見える教具に置きかえてください。禁止するのではなく、より扱いやすい道具を渡す、という順番です。
1年生の9月から冬にかけての進み方
くり上がりのたし算は、多くの教科書で2学期に入ってすぐの単元です。そのあと、くり下がりのある引き算が続きます。つまり9月から12月は、1年生の算数でいちばん密度が高い時期です。
| 時期 | 単元 | 家庭で見るところ |
|---|---|---|
| 9〜10月 | くり上がりのあるたし算 | 10の合成が即答できるか |
| 10〜11月 | くり下がりのある引き算 | 10の分解が即答できるか(同じ土台) |
| 11〜12月 | 大きい数・時計・かたち | 10のまとまりで数を言えるか |
土台は全部同じ「10」です。9月にここを固めておくと、冬まで楽になります。逆に、ここを飛ばすと3つ続けてつまずきます。9月に手をかける価値があるのは、そのためです。
教科書会社によって順番や時期は前後します。お手元の教科書の目次を一度見ておくと、いま何をやっているかが分かります。
それでも進まないと感じるとき
2〜3週間、毎日5問を続けても手応えがない場合、原因が数の理解の外にあることがあります。数字の形が見分けにくい、板書を写すのに時間がかかる、集中が続かない、といった場合です。
その場合は、家庭で練習量を増やす方向に進まないでください。量を増やすほど、本人の「できない」という気持ちだけが積み上がります。9月から10月にかけては、多くの学校で個人面談があります。「家では10の分解までは言えるが、たし算になると止まる」と、具体的な場所を伝えると、担任の先生が学校での様子と突き合わせられます。
🖨️ そのまま刷って練習する
解説を読んだあとは、同じ型の問題を少しずつ。1枚10分で終わる量にしてあります。
会員登録も費用も要りません。1日1枚から使えます。
ここは小学1年生の2学期に、多くのご家庭で手が止まる場所です。ほかにも気になることがあれば、学年ごとにまとめてあります。
よくある質問
Q. さくらんぼ計算とは何ですか?
くり上がりのあるたし算で、10のまとまりをつくって計算する手順のことです。8+5であれば、後ろの5を2と3に分け、8+2で10をつくり、残った3を足して13とします。分けた形がさくらんぼに似ているのでこう呼ばれます。教科書や現場での呼び名で、文部科学省の学習指導要領に出てくる用語ではありません。
Q. どちらの数を分けるのですか?
多くの教科書では、後ろの数(たす数)を分けます。8+5なら5を2と3に分けます。前の数を分ける方法を扱う教科書もあります。家庭で教えるときは、まず学校のノートか教科書を確認して、そちらに合わせてください。家と学校で順番が違うことが、いちばん混乱の原因になります。
Q. さくらんぼを書かないとダメですか?
書くこと自体が目的ではありません。頭の中の動きを外に出すための一時的な道具なので、書かずに答えが出せるようになったら、書かせなくてかまいません。ただし学校の宿題で書き方を指定されている場合は、そちらに従ってください。指定があるかどうかは、宿題プリントの書式で分かります。
Q. 答えは合っているのに、時間がかかります。
8+5を「9、10、11、12、13」と1つずつ数えて出している可能性があります。答えは合いますが、10のまとまりを通っていないため、2年生の筆算で追いつかなくなります。急がせるのではなく、おはじきなど10のまとまりが見える教具に置きかえてください。この段階でタイムを計るのは逆効果です。
Q. たし算のプリントを毎日やっていますが、入りません。
量の問題ではないことが多いです。「10は8といくつ?」に指を折らずに1秒で答えられるかを確かめてください。ここが即答できない場合、原因はたし算ではなく10の合成分解にあります。たし算の練習をいったん止めて、10の分解だけを数日やり直すほうが、結果的に早く進みます。
Q. いつ習う単元ですか?
小学1年生の2学期、多くの教科書では9月から10月にかけて扱われます。そのあとにくり下がりのある引き算が続き、どちらも土台は同じ10の合成分解です。時期は教科書会社によって前後するため、教科書の目次で確認してください。
今日からのチェックリスト
- ☑ 「10は8といくつ?」を30秒でチェックした
- ☑ 学校のノートで、どちらの数を分けるか確認した
- ☑ 分ける順番を、毎回同じ言い方に固定した
- ☑ 1日5問に減らした(増やさなかった)
- ☑ タイムを計るのをやめた
- ☑ 書かずに出せる問題は、書かせないことにした
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参考:文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編』。学年と単元の対応は同解説の記述に拠っています。