通分ができない子への教え方|つまずきは3つに分かれます
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① 最小公倍数が見つけられない(土台は4年生の公倍数、その下は九九)
② 分母は変えたのに、分子を変え忘れる(手順の問題)
③ 答えの約分を忘れる(手順の問題で、×になる原因の第1位)
どれなのかを先に見分けてください。②③はその日のうちに直ります。
そもそも、なぜ分母をそろえるのか
ここを飛ばすと、通分は「言われたからやる作業」になります。作業になると、忘れます。
2分の1+3分の1が、5分の2にならないのはなぜか。子どもに聞かれたら、ものさしの話をしてください。
2分の1は「2つに分けた1つ分」、3分の1は「3つに分けた1つ分」。もとの1を分ける細かさがちがうので、そのままでは足せません。cmとインチを足せないのと同じです。
だから、両方を6つに分けた形に置きかえます。2分の1は6分の3、3分の1は6分の2。同じ細かさになったので、3+2=5で6分の5。
通分とは、同じものさしで測れるようにする操作です。この一言があるかないかで、定着がかなり変わります。
原因① 最小公倍数が見つけられない
「6と8の最小公倍数は?」で止まる場合です。教科書にはいくつかの方法が出てきますが、家庭で教えるならひとつに絞ってください。いちばん確実なのはこれです。
大きいほうは8。8を増やしていきます。
8 → 6でわれる? われない
16 → 6でわれる? われない
24 → 6でわれる? われる ← ここ
最小公倍数は24。 小さいほうから増やすと回数が多くなります。大きいほうから、と決めておくと速くなります。
ただし、その前に確かめることが2つあります。
| 分母の関係 | やること | 例 |
|---|---|---|
| 片方が、もう片方の倍数 | 大きいほうにそろえるだけ | 3と6 → 6 |
| 2つに共通の約数がない | かけ算するだけ | 3と5 → 15 |
| それ以外 | 上の方法で探す | 6と8 → 24 |
実際の問題の多くは、上の2つで片づきます。「まず、片方でわり切れる?」と聞くのを最初の手順にしてください。3と6、4と8、5と10のような組は、探す必要がありません。
ここで止まる子は、じつは4年生の公倍数・公約数があいまいです。さらにその下は九九です。「8の段を上から言って」でつっかえるなら、通分の練習より先にそこに戻ってください。
原因② 分子を変え忘れる
6分の1を24分の1と書いてしまう。分母だけそろえて、分子はそのまま。いちばん多い書き間違いです。
直し方は、手順を口に出させることです。
① 「6を、何倍したら24?」 → 4倍
② 「じゃあ、上も4倍」 → 1×4=4
③ 答え:24分の4 ①と②を必ず声に出させてください。黙ってやると分子が飛びます。10回もやれば、言わなくても手が動くようになります。
それでも飛ぶ場合は、分母と分子の間に矢印と「×4」を書き込ませてください。書く場所を決めると、忘れなくなります。
原因③ 約分を忘れる(×になる原因の第1位)
計算はすべて合っているのに×。5年生の分数で、いちばん多いパターンです。
12分の8と書いて終わってしまう。正解は3分の2です。本人からすれば「合っているのに×」なので、納得しにくく、算数がきらいになる原因にもなります。
これは理解の問題ではなく、手順の問題です。だから手順で直します。
答えを書いた。手を止める。
「上と下、両方をわれる数はある?」
・2でわれる?
・3でわれる?
・5でわれる?
なければ終わり。あれば、わって書き直す。 2・3・5の3つだけ見れば、小学校の問題はほぼ足ります。この確認を10秒、毎回入れる。それだけで正答率が上がります。
家庭で丸つけをするとき、約分忘れは「おしい」ではなく、はっきり×にしてください。ここを甘くすると、テストで同じ形で失点し続けます。厳しくするのではなく、「最後の10秒を必ず入れる」という約束にする、という言い方がよいと思います。
帯分数がまざると、もう一段止まる
2と3分の1 − 1と2分の1 のような問題です。整数部分から1を借りる操作が入り、手数が一気に増えます。
ここでの原則はひとつ。通分と、くり下がりを、同時にやらせない。
- まず通分だけする(2と6分の2 − 1と6分の3)
- そのあと引けるか見る(6分の2から6分の3は引けない)
- 引けなければ1を借りる(2と6分の2 → 1と6分の8)
- 引く(1と6分の5)
4段階に分けて、1段階ずつ書かせてください。まとめて頭の中でやろうとすると、必ずどこかが飛びます。ノートが長くなることを、よしとしてください。
やってしまいがちなこと3つ
教科書には複数の方法が出てきますが、家庭ではひとつに絞ってください。選択肢があると、迷って手が止まります。
テストでは×です。手順に組み込んで、確実に直してください。
原因が九九や4年生の公倍数にある場合、そこを直さないと進みません。まず「8の段を上から」で確かめてください。
この単元が、あとで効いてくるところ
異分母分数の計算は、5年生の後半に来る割合、6年生の分数のかけ算・わり算、そして中学の文字式にそのままつながります。
とくに約分は、中学以降ほぼ毎回使う操作です。ここで「最後にもう1回見る」習慣がついた子は、中学の計算でも失点が少なくなります。
5年生の2学期は、割合という高学年最大の壁の直前です。分数がぐらついたまま割合に入ると、二重に苦しくなります。9〜10月に分数を固めておくことは、11月以降への投資です。
教科書会社によって、通分を扱う時期は前後します。お手元の教科書の目次で確認してください。
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解説を読んだあとは、同じ型の問題を少しずつ。1枚10分で終わる量にしてあります。
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5年生は、高学年の学習に切りかわる学年です。ほかにも気になることがあれば、学年ごとにまとめてあります。
よくある質問
Q. 通分とは何ですか?
分母のちがう分数を、分母をそろえた形に書きかえることです。2分の1と3分の1は、もとの1を分ける細かさがちがうのでそのままでは足せません。両方を6分の3と6分の2にすると、同じ細かさになるので足せます。同じものさしで測れるようにする操作だと考えると分かりやすくなります。
Q. 最小公倍数の見つけ方を教えてください。
大きいほうの分母を1倍、2倍、3倍と増やしていき、小さいほうの分母でわり切れる最初の数を選びます。6と8なら、8、16、24と増やして、24が6でわり切れるので24が最小公倍数です。その前に、片方がもう片方の倍数になっていないか(3と6など)、共通の約数がないか(3と5など)を先に確認すると、探さずに済む場合が多くあります。
Q. 分母は変えたのに、分子を変え忘れます。
手順を声に出させてください。「6を何倍したら24?」「4倍」「じゃあ上も4倍」と2段階で言わせます。黙ってやると分子が飛びます。それでも飛ぶ場合は、分母と分子のあいだに矢印と×4を書き込ませてください。書く場所を決めると忘れなくなります。
Q. 計算は合っているのに×になります。
答えの約分を忘れている可能性が高いです。12分の8のままにしていると、正解の3分の2に対して×になります。答えを書いたら手を止めて、上と下の両方をわれる数があるかを見る手順を入れてください。2・3・5の3つだけ確認すれば、小学校の問題はほぼ足ります。
Q. 帯分数のひき算でつまずきます。
通分とくり下がりを同時にやらせないでください。まず通分だけをする、次に引けるか見る、引けなければ整数から1を借りる、最後に引く、という4段階に分けて1段階ずつ書かせます。ノートが長くなってもかまいません。まとめて頭の中でやろうとすると、どこかが必ず飛びます。
Q. いつ習う単元ですか?
小学5年生で、多くの教科書では2学期に扱われます。4年生の公倍数・公約数が土台で、その下は九九です。8の段を上から言うところでつっかえる場合は、通分の練習より先にそちらに戻るほうが早く進みます。時期は教科書会社によって前後するため、教科書の目次で確認してください。
今日からのチェックリスト
- ☑ 分母をそろえる理由を、ものさしの話で伝えた
- ☑ 最小公倍数の求め方を、ひとつに絞った
- ☑ 「まず、片方でわり切れる?」を最初の手順にした
- ☑ 「何倍したら?」「じゃあ上も」を声に出させた
- ☑ 答えのあと、約分できるかを10秒見る手順を入れた
- ☑ 約分忘れを、はっきり×にした
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参考:文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編』。学年と単元の対応は同解説の記述に拠っています。