あまりのあるわり算がわからない子への教え方|つまずきの正体は九九です
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本当の原因は九九です。しかも「全部の段」ではなく、たいてい特定の1〜2つの段だけがあいまいになっています。23÷4で止まる子は、4の段が上から順に出てこないことがほとんどです。
まず、わる数の段を上から言わせてください。ここが詰まるなら、わり算の練習を増やしても進みません。
まず、決まりを1つだけ固定する
あまりのあるわり算には、決まりが1つだけあります。
23÷4=5あまり3。あまりの3は、わる数の4より小さい。ここは絶対です。
もし答えが「4あまり7」になっていたら、それはまちがいだと自分で気づけるということです。7は4より大きいからです。この場合、正しくは5あまり3で、商を1小さく見積もっていたことになります。
この決まりを、計算のやり方より先に入れてください。答えが合っているかどうかを、大人に聞かずに自分で判断できるようになります。3年生でここが身につくと、4年生の2けたでわる筆算がずいぶん楽になります。
つまずきの場所を、3問で特定する
「あまりのあるわり算ができない」の中身は、3つに分かれます。紙に3問だけ書いて、どこで止まるかを見てください。
| 見る場所 | 聞き方(23÷4で) | ここで止まるなら |
|---|---|---|
| ① わる数の段の九九 | 「4の段を、上から言ってみて」 | ここが原因です。わり算をやめて九九に戻る |
| ② 商の見積もり | 「23をこえない、4の段でいちばん大きいのは?」 | こえる・こえないの判断。数直線で確認 |
| ③ あまりの計算 | 「23から20を引くと?」 | 引き算。2年生の範囲に戻る |
いちばん多いのは①です。次が②。③はまれです。それなのに、家庭では「わり算のプリントを増やす」対応になりがちで、これが原因で長期戦になります。
「4の段を、上から言って」→ 4、8、12、16、20、24…
「7の段を、上から言って」→ 7、14、21、28、35…
「6の段を、上から言って」→ 6、12、18、24、30…
つっかえずに、最後まで言えるか。 6・7・8の段でつっかえる子が多数です。ここが原因の場合、わり算を止めて、その段だけを3日やり直すほうが早く進みます。全部の段をやり直す必要はありません。
教え方の手順
23÷4なら、「4の段」だけです。
4、8、12、16、20、24。
そして聞きます。「23をこえないのは、どこまで?」→ 20
20は4×5だから、答えは5。 この「こえない、いちばん近いところ」を探す動きが、わり算の中心です。4年生の2けたでわる筆算も、けた数が増えるだけで、やっていることはまったく同じです。
23 − 20 = 3。
だから、23÷4 = 5あまり3。
そして必ず最後に一言。「あまりの3は、4より小さい?」→ 小さい。だからOK。 この確認を毎回入れてください。10回もやれば、言わなくても本人が確かめるようになります。
わる数 × 商 + あまり = わられる数
4 × 5 + 3 = 23 → もとの数に戻った。合っている。
親が丸つけをするのをやめて、これを本人にやらせてください。 たしかめ算は、教科書にも出てきます。「答え合わせは親の仕事」から「自分で確かめる」に変わる、最初の単元です。ここを親がやってしまうと、その機会を1回つぶすことになります。
文章題で、あまりをどうするか
計算はできるのに文章題で×になる。3年生の秋に、いちばん多い相談です。
これは計算の問題ではありません。あまりをどうするかが、問題によって変わることに気づいていないだけです。
| 問題 | 式 | 答え | あまりの扱い |
|---|---|---|---|
| 23人が4人ずつ長いすに座る。長いすは何きゃく要る? | 23÷4=5あまり3 | 6きゃく | あまった3人にも席が要る → 1増やす |
| 23個のあめを4個ずつ袋に入れる。袋はいくつできる? | 23÷4=5あまり3 | 5ふくろ | 3個では袋にならない → 切りすてる |
| 23mのリボンを4mずつ切る。何本とれて、何m残る? | 23÷4=5あまり3 | 5本と3m | あまりも答えに書く |
同じ「23÷4=5あまり3」から、答えが6・5・5と3mに分かれます。式は合っているのに答えが×になるのは、ここです。
家庭での練習はひとつだけ。「あまった3は、どうなるの?」と声に出して言わせることです。3人が立ったままでいいのか、3個のあめは袋に入らないのか。場面を言葉にできれば、答えは自然に決まります。式のあとに一言つけ加えるだけなので、30秒で終わります。
やってしまいがちなこと3つ
九九が原因の場合、わり算を何枚やっても進みません。しかも毎回時間がかかるので、本人の「算数がきらい」だけが積み上がります。
あいまいなのは、たいてい1〜2つの段です。全部やり直すと量が多すぎて、かえって続きません。どの段で止まるかを先に見つけてください。
この単元は、たしかめ算という自己確認の道具が手に入る場所です。本人にやらせてください。
4年生の筆算につなげる
3年生のあまりのあるわり算は、4年生の「わり算の筆算」の土台です。しかも、4年生の10月ごろにやってくる2けたでわる筆算は、小学校の算数でとくに手が止まりやすい単元として知られています。
そこでやることは、実は3年生と同じです。「わられる数をこえない、いちばん近いところを探す」。ちがうのは、わる数が2けたになるので九九がそのままでは使えないことだけです。
逆にいえば、3年生のうちに「こえない、いちばん近いところを探す」という動きが手になじんでいれば、4年生の壁はぐっと低くなります。9月のここは、1年半先まで効く場所です。
教科書会社によって、あまりのあるわり算を扱う時期は1学期の終わりから2学期のはじめまで幅があります。お手元の教科書の目次で確認してください。
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解説を読んだあとは、同じ型の問題を少しずつ。1枚10分で終わる量にしてあります。
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小学3年生は、算数の内容が一段階上がる学年です。ほかにも気になることがあれば、学年ごとにまとめてあります。
よくある質問
Q. あまりは、わる数より大きくなってもいいのですか?
なりません。あまりは、わる数より必ず小さくなります。23÷4で「4あまり7」という答えになっていたら、7は4より大きいのでまちがいです。この場合、商を1小さく見積もっているので、正しくは5あまり3になります。この決まりを先に固定しておくと、答えが合っているかを自分で判断できるようになります。
Q. あまりのあるわり算ができません。何から始めればよいですか?
まず、わる数の段の九九を上から言わせてください。23÷4なら「4、8、12、16、20、24」です。ここでつっかえるなら、原因はわり算ではなく九九です。とくに6・7・8の段があいまいな子が多くいます。その場合、わり算の練習を止めて、止まった段だけを数日やり直すほうが早く進みます。
Q. たしかめ算とは何ですか?
わる数×商+あまり=わられる数、という計算です。23÷4=5あまり3であれば、4×5+3=23となり、もとの数に戻れば答えは合っています。教科書にも出てきます。親が丸つけをするのをやめて、これを本人にやらせてください。自分で確かめる習慣がつく、最初の単元です。
Q. 計算はできるのに、文章題になると×になります。
あまりの扱いが問題によって変わることに気づいていない場合が多いです。「23人が4人ずつ長いすに座る」なら、あまった3人にも席が要るので6きゃく。「23個のあめを4個ずつ袋に入れる」なら、3個では袋にならないので5ふくろです。式が同じでも答えが変わります。式のあとに「あまった3は、どうなるの?」と声に出して言わせる練習が有効です。
Q. いつ習う単元ですか?
小学3年生で、教科書によって1学期の終わりから2学期のはじめにかけて扱われます。この単元は4年生のわり算の筆算、とくに10月ごろの2けたでわる筆算につながります。3年生のうちに「わられる数をこえない、いちばん近いところを探す」動きが手になじんでいると、4年生が楽になります。
Q. 九九は言えるのに、わり算になると止まります。
九九を上から順に言うことと、答えから逆に引き出すことは別の力です。「4×6は?」には答えられても、「24は4の何倍?」で止まる子がいます。この場合は、九九の表を横に置いたまま20問ほど解かせてください。表を見ながらでも、こえない位置を探す動きは身につきます。表は、慣れたら自然に見なくなります。
今日からのチェックリスト
- ☑ 「あまりはわる数より小さい」を先に固定した
- ☑ わる数の段の九九を上から言わせた
- ☑ つっかえた段だけを取り出した(全部やり直さなかった)
- ☑ たしかめ算を本人にやらせた(親が丸をつけなかった)
- ☑ 文章題で「あまった分はどうなる?」と言わせた
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参考:文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編』。学年と単元の対応は同解説の記述に拠っています。