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日本は、AIのことをどう決めているの?

AIのニュースは、毎日のように流れてくる。

すごい、あぶない、変わる。言葉はたくさん聞こえる。

でも「日本は、これをどう決めたのか」だけが、どこにも書いていない。

決めている人は、どこにいるんだろう。

この読み物は、お子さんと並んで読む作りです。制度を覚える必要はありません。決め方には型がある、と分かれば足ります。どの国が正しいかは、このページでは決めません。

まず1分
日本には、AIの法律がもうある

名前なまえは「人工じんこう知能ちのう関連かんれん技術ぎじゅつ研究けんきゅう開発かいはつ及び活用かつよう推進すいしんかんする法律ほうりつ」。ながいので、ふつうはAIほうばれます。
2025ねん5がつにできて、9がつから全部ぜんぶがはたらいています。
おどろくのは中身なかみです。「これをしてはいけない、したらばつ」というかたち法律ほうりつではありません。
くにとしての方針ほうしんと、めるひとたちのあつまりをさき用意よういする、というかたち法律ほうりつです。

決める人たちの集まりは、人工知能戦略本部といいます。内閣に置かれ、本部長は内閣総理大臣です。この本部のもとで、人工知能基本計画が2025年12月23日に閣議決定されました。あわせて、研究開発と活用の適正性を確保するための指針も2025年12月19日に決められています。

つまり、日本は「先に禁止の線を引く」のではなく、「先に方針と体制をつくる」という順で始めた、ということです。この順番そのものが、日本の型です。

出典(公式) 内閣府「AI戦略」(AI法・人工知能基本計画・適正性指針・人工知能戦略本部)
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/index.html

しくみ(3分)
世界には、決め方の型が3つある

ここまで読むと、次の疑問が出てきます。他の国は、どう決めているのか。並べてみると、大きく3つの型に分かれます。

AIの きめ方には、型が ある 日本 ほうしんと 体制を 先に つくる AI法(2025年) 基本計画(2025年12月) ばっそくは 置いていない ヨーロッパ(EU) つかい道の リスクの 高さで 分ける 4だんかいに 分けて 高い ところに 重い きまり 大半は いちばん 低い ところ シンガポール まちごと じっけん場に する 戦略を 数年おきに 書き直す たしかめる 道具も 用意 大事な こと どれが 正しいか、では ない。国の 大きさも、産業の 形も、 これまでの きまりの つくり方も ちがうから、型が ちがう。 くらべる ときは 「どこが ちがうか」まで。「どちらが 上か」には しない。

図 AIの決め方の3つの型。日本は方針と体制から、EUはリスクの高さの線引きから、シンガポールは実際に動く場所づくりから入っている。

おとなの一歩先
「決めていない」ように見えるのは、順番のせい

ここから先は、大人が読んで面白いところです。先にひとりで読んでおいても構いません。

日本のAI法は、罰則を置いていません。企業に関わる中身も、努力するという水準です。そのため、報道だけを追っていると「日本は何も決めていない」ように見えることがあります。

ただ、これは決めていないのではなく、決める順番が違うだけです。日本は、電気でも自動車でも個人情報でも、まず基本となる法律で方針と体制を決め、そのあとに分野ごとの細かい決まりを積む、という作り方をしてきました。AI法はその流儀に沿っています。方針の紙が先で、線引きは後から積む型です。

EUのAI Act(規則2024/1689)は逆で、使い道のリスクの高さで4段階に分け、高いところに重い決まりを置くところから始めました。欧州委員会の説明では、EUで現在使われているAIの大半は、決まりの対象にならない最小のリスクに当たるとされています。全部を縛る法律ではない、ということです。なお、高いリスクの区分に関する適用の時期は、2026年に入ってから見直しの手続きが取られています。

シンガポールについては別のよみもので扱っていますが、あの国は戦略を数年おきに書き直し、確かめるための道具を国の側で用意する型でした。

3つを並べると、見えてくること

問い日本EUシンガポール
先に決めたもの方針と体制リスクの線引き実際に動く場所
強制力罰則を置かない区分ごとに義務分野ごとの枠組み
書き直し基本計画として規則の運用の中で数年おきに戦略ごと

この3列は、じつは家庭のルールづくりとよく似ています。方針から入るのか、だめなことの線から入るのか、まずやらせてみて直すのか。どれが正しいということはなく、家によって合う型が違います。デジタルのルールが家でうまくいかないときは、中身よりも型が合っていないことがあります。

学校での扱いは、別に決まっている

国の法律とは別に、学校での使い方は文部科学省のガイドラインが示しています。『初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)』では、情報モラル教育の一環として、生成AIが誤りを含む場合があることを理解させる活動が必要だとされています。実際の運用は学校・自治体で異なりますので、お子さんの学校でご確認ください。

このページは、政策の良し悪しを論じるものではありません。特定の政党や政治家の評価もしません。扱っているのは、公表されている枠組みと、その順番だけです。制度は変わります。最新の内容は公式でご確認ください。
出典(公式) 内閣府「AI戦略」https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/index.html
出典(公式) European Commission「Regulatory framework on AI」https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/regulatory-framework-ai
出典(公式) 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_02412.html

読んだあとに、できること

国の型の話は、そのままでは家庭で使えません。使える形に落とすと、次の1つになります。

  1. わが家のデジタルのルールが、3つの型のどれで作られているかを見てみる。方針から入っているか、だめなことの線から入っているか、まずやらせてみて直しているか。
  2. うまくいっていないなら、中身ではなく型を変えてみる。禁止を増やすより、目的の1行を先に決めるほうが続くことがあります。
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