学芸会・音楽会で親がやること──役決め、衣装、当日の決まり
・衣装 → 学校の指示が出てから。先に買わない
・練習 → 付き合うのはせりふを聞く役だけでいい
・当日 → 座席と撮影の決まりを先に読む
いちばん難しいのは、実は役が希望どおりにならなかったときです。ここだけ、先に考えておいてください。
学芸会・音楽会、いちばん気になるのは?
お子さんの様子にいちばん近いものを選んでください。今夜やることが1つに決まります。
役が小さい・希望の役になれなかった
見立て:いちばん悔しいのは子ども本人で、親の受け止め方で、本人の受け止め方も変わるところです。
今夜の1つ:「どの場面に出るの?」と聞いて、出る場面を1つだけ教えてもらう。
理由:役の大きさより「自分の場面」に目が向くと、練習が自分のことになるからです。
人前が苦手・本番で緊張する
見立て:練習の量ではなく、見られる場面に慣れていないところで止まっています。
今夜の1つ:家族の前で、自分の場面だけを1回やってもらう。拍手はして、直すことは言わない。
理由:直されながらの練習より、見られて終わる体験を小さく重ねるほうが、本番の緊張がやわらぐからです。
セリフや歌が覚えられない
見立て:全体を通して覚えようとして、どこから言えばいいかが分からなくなっています。
今夜の1つ:自分のセリフの前の人の言葉(きっかけ)とセットで、1つだけ言う。下の「セリフの練習」の道具が使えます。
理由:きっかけとセットで覚えると、本番でそれを聞いたときに思い出せるからです。
行きたくない・練習をいやがる
見立て:役・友だち・失敗の心配のどれかが、まだ言葉になっていないところです。
今夜の1つ:「いちばんいやなのはどこ?」と1つだけ聞いて、直そうとせずに聞く。
理由:理由が分からないまま励ますより、1つ言葉にできたほうが、本人も次に進みやすいからです。
選んだものはこの端末の中だけに記録し、7日後に「その後どう?」と前回の様子を並べて出します。
いつごろあるか
多くの学校で11月から12月に行われます。学芸会(劇)・音楽会(合唱・合奏)・展覧会(作品)を数年ごとに入れ替えて実施する学校が多く、「今年は音楽会、来年は展覧会」という形になります。名前も「学習発表会」「わくわく発表会」など学校によってちがいます。
| 時期 | あること | 親がやること |
|---|---|---|
| 9〜10月 | 演目・曲の決定、役決め | —(家で話を聞くだけ) |
| 10月 | 練習開始。衣装・持ち物の案内が配られる | 案内を読んでから用意する |
| 11月 | 通し練習。リハーサル | せりふを聞く。体調管理 |
| 11〜12月 | 本番 | 座席・撮影の決まりを確認して行く |
※ 時期・実施の有無・名称は学校によって大きく異なります。学校の年間行事予定でご確認ください。
いちばん難しいところ:役が希望どおりにならなかったとき
主役をやりたかった。せりふが1行しかなかった。楽器が希望とちがった。毎年、必ず起きます。
やりがちなのは、「先生に言ってあげようか」と提案することです。気持ちは分かりますが、これは本人が「自分では変えられない」と学ぶ結果になりやすいところです。
×「どうしてその役になったの?」(原因を探す方向に行きます)
×「本当は何がやりたかったの?」(未練を強めます)
○「その役って、どこで出てくるの?」
○「その役がいないと、話はどうなるの?」 2つ目が効きます。どんな役でも、いなければ成り立ちません。それを本人が言葉にできると、そこから練習が始まります。親が「大事な役だよ」と言うより、本人が気づくほうが強いです。
合奏の楽器も同じです。大太鼓が1回しか鳴らないとしても、その1回がないと曲が終わりません。
「学芸会・運動会に行きたくない」と言うとき(行事で疲れる子)
本番の2週間前。夕食のあと、ぽつりと「出たくない」。練習の日の朝だけ、おなかが痛いと言う。休ませたほうがいいのか、出させたほうがいいのか、決められない。
答えは、いちばん近い様子で変わります。下の3つから、近いものを読んでください。
① 人前がこわい・失敗するのがこわい
なぜ:行事を休むと、その日は本人も親もほっとします。ただ、「休んだから助かった」と体が覚えると、次の行事はもっとこわくなります。だから、なくすのではなく、小さくして出る道を一緒に探します。
今夜やること:下の「小さな段」を、子どもと一緒に見て、どこからなら行けそうかを本人に選んでもらいます。選ぶのは本人です。どの段を学校でできるかは、連絡帳で先生に相談します。
② 音の大きさや、人の多さがつらい
なぜ:これは気持ちの弱さではなく、体の感じ方のことがあります。がまんで慣らそうとすると、行事そのものがいやになります。先に、いられる場所を整えます。席の位置、出番のないときに静かな場所で待てるか、耳をおおうものを使えるか(学校の決まりによります)を先生に聞きます。
③ 役や友だち、練習のことがいや
なぜ:「行きたくない」の中身は、行事そのものではなく、その中の人や役のことかもしれません。中身が分かると、することが変わります。
👣 小さな段(行けたら押す。この端末の中だけに残ります)
下から順に、本人が「行けそう」と言った段から始めます。1つ行けたら、同じ段をもう1回。こわさが小さくなってから、次の段へ。
- 本番の場所(体育館など)を、だれもいない時間に先生と見る
- 練習を、自分の場所から見ているだけ
- 練習に、最初の5分だけ入る
- 自分の出番だけ出る
- はじめから終わりまで出る
先生への相談(連絡帳)
3年2組の◯◯です。
学芸会の練習が近づいて、◯◯が「出たくない」と不安がっています。
家では少しずつ出られるように話しています。最初は練習を見るところからなど、出方を小さくしていただくことはできますか。
ご相談できる時間があれば教えてください。(保護者 ◯◯) メモ:「出させない」ではなく「出方を小さくする」相談にすると、先生も段を一緒に考えやすくなります。
2週間後、合っていたかの見分け方
家で練習の話をするようになった。前の晩に眠れている。段が1つ上がった。それなら、この関わり方で合っています。朝の体の訴えが増え、学校そのものに行けない日が出てきたら、行事の問題ではなくなっています。「学校に行きたくない」と言った朝 と 小学生の行き渋り・学校に行きたくないとき を見てください。
参考 こわい場面を小さな段に分けて、下から少しずつ慣れていく方法は、米国で子どもの不安に使われている認知行動療法の「段階的な練習(エクスポージャー)」です(Child Mind Institute「Anxiety Service」、メイヨー・クリニック Anxiety Coach の保護者向け資料)。受け止めとできると思う言葉を1つの文で言う方法は、イェール大学の親向けプログラムSPACE(米国立衛生研究所、2019年)。どれも診断の代わりではありません。
💭 行事のことで親のほうがつらくなったときは、子育ての相談・愚痴を書ける場所(スクールコンパスのトップ)に、そのまま書いてください。名前もメールもいりません。
衣装:買う前に、案内を読む
学校から指示が出てから用意するのが原則です。多くの場合、手持ちで済む指定になっています。
| よくある指定 | 手持ちで済むか |
|---|---|
| 黒っぽい服・上下黒 | 済むことが多い。なければ安価に買えます |
| 白いシャツ・ブラウス | 済むことが多い |
| 体操服の上に◯◯ | 体操服はあるので、上だけ |
| 役ごとの小物(かぶりもの等) | 学校で作ることが多い。家庭で作る場合は指示が出ます |
凝った衣装を用意する必要はありません。目立ちすぎると、かえって本人が気にします。案内に書かれた範囲で十分です。
作る必要がある場合は、早めに聞くのがいちばんの対策です。10月に案内が出たら、その週末に手をつける。前日に慌てて作ると、当日の朝までかかります。
家での練習:付き合いすぎない
せりふを覚える時期になると、「聞いて」と言ってきます。ここでの関わり方は1つだけで十分です。
「もっと大きい声で」「そこは違うんじゃない?」と言い始めると、家で練習しなくなります。親の役は観客ではなく、相手役です。
音楽会でリコーダーや鍵盤の練習がある場合は、時間を決めるのがおすすめです。夕食前に10分。長くやらせると嫌いになります。
🎭 セリフの練習(自分のところだけ隠して言う)
家での練習は「親が台本を持って相手役をする」と長続きしません。自分のセリフだけを書き写すと、1行ずつ隠して言う練習ができます。前の人のセリフ(きっかけ)は、端末に読み上げてもらえるので、親が横にいなくても練習できます。「もう少し」を押したセリフは、最後にもう一度出ます。
🎭 本番までの1週間(1日3分)と当日のチェック
本番の日を入れると、前の7日にやることを1日3分ずつ並べます。最後の日は練習しません。冷蔵庫に貼る1枚として印刷できます。
当日:決まりを先に読む
学校によって、次のような決まりがあります。案内が配られたら必ず読んでください。
- 座席 入れ替え制のことがあります。学年の出番ごとに入れ替わる形
- 撮影・録画 可否、撮影できる場所、三脚の使用。禁止の学校もあります
- SNSへの投稿 ほかのお子さんが写るため、禁止されていることが多い
- 下のきょうだいの同伴 可否と、泣いたときの退出のしかた
- 上履き・スリッパ 持参が基本です
撮影に集中しすぎると、本番を見ないまま終わります。1曲だけは、カメラを下ろして見ると決めておくのをおすすめします。
終わったあと、かける言葉
「上手だったね」より、見ていたことが伝わる言葉のほうが残ります。
「みんなが動いてるとき、ちゃんと止まってたね」
「最後のおじぎ、そろってたね」 具体的であれば、何でもかまいません。「見ていた」ということが伝わるのが本体です。うまくいかなかった子ほど、そこを見ています。
失敗した場合も、責めないでください。次の年があります。
よくある質問
Q. 学芸会や運動会に「行きたくない」と言います。休ませたほうがいいですか?
人前がこわい・音や人の多さがつらい・役や友だちのことがいや、のどれに近いかで変わります。人前がこわいときは、休むと次の行事がもっとこわくなるので、出方を小さくして少しずつ段を上げます。音や人の多さがつらいときは、先に先生といられる場所を整えます(様子ごとの言葉と、小さな段)。
Q. 学芸会・音楽会はいつごろありますか?
多くの学校で11月から12月に行われます。学芸会(劇)・音楽会(合唱や合奏)・展覧会(作品)を数年ごとに入れ替えて実施する学校が多く、名称も学習発表会などさまざまです。時期と実施の有無は学校の年間行事予定でご確認ください。
Q. 希望した役になれなかったとき、どう声をかければよいですか?
「その役って、どこで出てくるの?」「その役がいないと、話はどうなるの?」と聞くのがおすすめです。どんな役でも、いなければ成り立ちません。それを本人が言葉にできると、そこから練習が始まります。親が「大事な役だよ」と言うより、本人が気づくほうが強く残ります。先生に働きかけることは、本人が「自分では変えられない」と学ぶ結果になりやすいので慎重に。
Q. 衣装はどこまで用意すればよいですか?
学校から指示が出てから用意してください。多くの場合、黒っぽい服や白いシャツなど手持ちで済む指定になっています。凝った衣装は必要なく、目立ちすぎるとかえって本人が気にします。家庭で作るものがある場合は、案内が出た週末に手をつけると当日あわてません。
Q. 家での練習には、どう付き合えばよいですか?
台本を持って、相手役のせりふだけを読んでください。演技の指導は学校でしているので、家では止まったところをそっと言うだけで十分です。「もっと大きい声で」と言い始めると、家で練習しなくなります。楽器の練習は、夕食前に10分と時間を決めるのがおすすめです。
Q. 当日、撮影はできますか?
学校によって決まりが異なります。撮影・録画の可否、撮影できる場所、三脚の使用、SNSへの投稿の可否などが案内に書かれているので、必ず読んでください。ほかのお子さんが写るため、SNSへの投稿は禁止されていることが多くあります。
Q. 終わったあと、どんな言葉をかけるとよいですか?
「上手だったね」より、見ていたことが伝わる具体的な言葉のほうが残ります。「◯◯のところ、声がよく聞こえたよ」「みんなが動いてるとき、ちゃんと止まってたね」など、何でもかまいません。うまくいかなかった子ほど、見ていてくれたかどうかを気にしています。
次にやること
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※ 実施時期・名称・撮影や座席の決まりは学校によって大きく異なります。必ず学校から配布された案内でご確認ください。