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愛着障害とは? 子どもの特徴と原因、「うちの子は大丈夫?」への答え
💬 「愛着障害」という言葉を見つけて、「私の関わりが足りなかったのでは」と胸が苦しくなっていませんか。まず安心してほしいのは、共働きや保育園、忙しくて相手ができない時期があったくらいで、愛着障害にはならないことです。
今夜できること1つ 今夜は、5分だけ、子どもが選んだ遊びに付き合い、指示も質問もせずに、子どもがしていることを「〇〇を作っているね」と言葉にしてください。それだけで、子どもは「見てもらえている」と感じます。
🧭 わが家でできること:「子どもが主役の10分」を7日間、印をつけながら続けられます →愛着障害とは、医学では、乳幼児期に世話をしてくれる大人との関係をほとんど持てない、とても限られた環境(重いネグレクトや、世話をする人が何度も入れかわるなど)で育ったときに見られる状態で、反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害の2つがあります。日常では、人を信じにくい・見捨てられる不安が強いなど、人との関わりの生きづらさを広く指して使われることもありますが、それは診断名ではありません。
「愛着障害」と「不安型・回避型」、どうちがう?
医学の愛着障害はまれなもので、ふつうの家庭の、ふつうの忙しさの中では起きません。「不安型」「回避型」は、病名ではなく、人との関わり方の傾向を表す言葉です。
下の表で、言葉のちがいと、それぞれの家でできることを確かめてください。
| 言葉 | どんなもの | 原因・背景 | 家でできること |
|---|---|---|---|
| 反応性アタッチメント障害 | つらいときも大人に助けを求めず、なぐさめにも反応しにくい(医学の診断名) | 乳幼児期のとても不十分な養育 | 安定して世話をする大人との関係を、専門家と一緒に育てる |
| 脱抑制型対人交流障害 | 初めて会う大人にもためらわずについて行く(医学の診断名) | 乳幼児期のとても不十分な養育 | 同上。安全の決まりを一緒に確かめる |
| 安定型 | 困ったら大人に頼り、安心したらまた遊びに出ていける | ふだんの安定した関わり | いまの関わりを続ける |
| 回避型・不安型(傾向) | 頼るのをがまんする/不安で離れにくい(病名ではない) | 気質や関わり方の組み合わせ | 「安心の輪」と「子どもが主役の10分」で、頼っていいと感じられる経験をふやす |
この表のもとにした研究・資料(ひらく)
出典:米国精神医学会 DSM-5(反応性アタッチメント障害・脱抑制型対人交流障害)、Ainsworth らの愛着の型の研究、Circle of Security(安心の輪)。診断ができるのは医師だけです。
「子どもが主役の10分」は、このすぐ下で7日間続けられます。
親子の安心を毎日育てる「子どもが主役の10分」(7日間)
💬 癇癪、反抗、話さない、「愛着障害かも」という心配。どの悩みでも、子どもの気持ちが分からないと、親のほうが自分を責めてしまいますよね。どの悩みにも共通する土台は、親子の安心できる関係です。これは小学生になってからでも、毎日の短い関わりで育ちます。特別なことは要りません。
米国の親子相互交流療法(PCIT)では、1日5〜10分、子どもが選んだ遊びに親が付き合い、指示・質問・注意をせずに、次の5つだけをする時間をつくります。癇癪や反抗が多い子でも、この時間を続けると、親子の関係と子どもの行動が落ち着いていくことが確かめられています。
もとにした研究(ひらく)
Eyberg らが作った親子相互交流療法(PCIT)の「子ども主導の遊び」の時間(PRIDE:ほめる・くり返す・まねする・実況する・楽しむ)、Bowlby・Ainsworth の愛着の研究。ここでは家で続けやすい形にしています。
- ほめる(具体的に) 「ていねいに色をぬったね」
- くり返す 子どもが「赤い車!」と言ったら「赤い車だね」
- まねする 子どもと同じものを作る・同じように遊ぶ
- 実況する 「いま、高いタワーを作っているね」
- 楽しむ 親も笑顔で、楽しんでいることを見せる
しないこと:「〜しなさい」(指示)、「これ何?」(質問)、「ちがうよ」(注意)。
7日間のチャレンジ(できた日を押す)
「愛着障害」という言葉には、2つの意味がある
💬 本やネットで「愛着障害」を読むと、自分の子育てが全部まちがっていたように感じてしまいますよね。まず、言葉の意味を分けて考えてください。
- 医学の診断名としての愛着障害:乳幼児期に、世話をしてくれる大人との関係をほとんど持てない、とても限られた環境(重いネグレクト、世話をする人が何度も入れかわるなど)で育ったときに見られる状態です。まれなものです。
- 日常で広く使われる「愛着障害」:人を信じにくい、見捨てられる不安が強い、距離のとり方が極端、などの生きづらさ全体を指して使われることがあります。これは診断名ではありません。
子どもの愛着障害の2つのタイプ
💬 読んでいて「うちの子と似ている」と感じる部分があっても、慌てなくて大丈夫です。どちらも、とても限られた環境で育った場合のものです。
- 反応性アタッチメント障害:つらいときにも大人に助けを求めず、なぐさめられてもほとんど反応しない。笑顔が少なく、気持ちの表し方が乏しい。
- 脱抑制型対人交流障害:初めて会った大人にもためらわずに近づき、ついて行ってしまう。親から離れても振り返らない。
どちらも、米国精神医学会の診断の基準(DSM-5)では、乳幼児期の「とても不十分な養育」があったことが前提になります。
「不安型」「回避型」とは?(病名ではありません)
💬 「うちの子、回避型かも」「私が不安型だから」と気になっている方もいるかもしれません。
「安定型・回避型・不安型(アンビバレント型)・無秩序型」は、心理学者エインズワースらの研究から生まれた、子どもの愛着の傾向の分け方で、病名ではありません。大人についても「愛着スタイル」として使われます。どの型も、その後の関わりで変わっていくことが分かっています。
ADHD・自閉スペクトラム症とのちがい
💬 落ち着きがない、人との距離が近すぎる。「これは愛着?それとも発達?」と迷いますよね。
落ち着きのなさや人との距離のとり方は、ADHDや自閉スペクトラム症とも似ていて、専門家の間でも見分けがむずかしいことがあります。医師は、乳幼児期からの育ちの経過や、場面・相手による様子のちがいを聞いて判断します。自分だけで決めず、気になるときは小児科・児童精神科に相談してください。
親が自分を責めないために
💬 「仕事で忙しかった」「保育園に早くから預けた」「あのとき怒りすぎた」と、自分を責めていませんか。
共働きや保育園、忙しくて相手ができない時期があった、強く怒ってしまった日があった、というくらいで愛着障害にはなりません。米国の大規模な追跡調査(NICHDの保育の研究)でも、保育園に預けること自体が親子の愛着を不安定にするわけではないと報告されています。そして、親子の安心できる関係は、何歳からでも、毎日の関わりで育てなおせます。
家でできること:「安心の輪」と「子どもが主役の10分」
💬 特別なことは要りません。毎日の短い関わりで十分です。
米国の親子プログラム「Circle of Security(安心の輪)」では、親を子どもの「安心の基地」と考えます。子どもが外に出ていくときは見守って応援し、困って戻ってきたときは受け止めて気持ちを整える手伝いをする。この行き来をくり返すことで、子どもは「困ったら頼れる」と感じるようになります。もう1つ、米国の親子相互交流療法(PCIT)の「子どもが主役の10分」も、このページで7日間続けられます。
相談先
💬 気になることがあっても、どこに相談すればいいか分からないと、ひとりで考えこんでしまいますよね。
子どもの様子が気になるときは、小児科・児童精神科・市区町村の保健センターに。子育てがつらく、関わり方が分からなくなっているときは、児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783、24時間・通話料無料)でも相談できます。
よくある質問
保育園に預けると、愛着障害になりますか?
なりません。米国の大規模な追跡調査でも、保育園に預けること自体が親子の愛着を不安定にするわけではないと報告されています。
親の私が「不安型」だと、子どもも愛着障害になりますか?
なりません。「不安型」は病名ではなく傾向の名前です。親が自分の傾向に気づき、子どもが困ったときに受け止めることを意識するだけで、子どもの安心は育ちます。
愛着障害は治りますか?
安定して世話をしてくれる大人との関係が続くと、子どもの様子は変わっていきます。親子の安心できる関係は、何歳からでも育てなおせます。
大人の愛着障害とは?
大人について使われる「愛着障害」は、多くの場合、診断名ではなく、人間関係の生きづらさを表す言葉です。つらさが続くときは、心療内科やカウンセリングで相談できます。
祖父母に育てられた期間があると、愛着に問題が出ますか?
祖父母など、ほかの大人が安定して世話をしていたなら、その人との間に愛着が育っています。大事なのは、決まった大人が安定して関わってくれたかどうかです。
このページで使っている資料
- 米国精神医学会 DSM-5(反応性アタッチメント障害・脱抑制型対人交流障害)
- Bowlby の愛着の理論、Ainsworth らの愛着の型(安定・回避・アンビバレント)の研究
- Circle of Security(安心の輪。米国の親子の愛着プログラム)
- 米国 NICHD(国立小児保健発達研究所)の保育と子どもの発達の追跡調査
- Eyberg らの親子相互交流療法(PCIT)
このページは、診断ではなく、親が自分を責めずに、毎日の関わりで安心を育てるための情報と道具をまとめたものです。