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自己肯定感とは?──子どもの自己肯定感を高める方法と、低いときのサイン

「どうせ自分なんて」と聞くと、胸がぎゅっとしますよね。

わが家はどれ? 相談室の答え

相談室に届く相談のうち、この悩みで多い場面です。答えは子育て相談室と同じものです。いちばん近い場面を開いてください:元気がない・自信がなさそう/ほめ方・叱り方が分からない

元気がない・自信がなさそう

Q. 好きだったゲームもしない。ごはんも半分残す。「どうしたの?」と聞いても「べつに」。

💬 元気がない姿を見るのは、何より心配になります。

元気がないのが続くときは、ひとりで考えこまないで

なぜ? 元気がない理由は、学校・友だち・体調・家の変化など、いろいろあり得ます。

今夜の1つ 問いつめずに、同じ部屋で過ごす時間を少し増やす

📌 明日のための1行カード:もし「なんで元気ないの?」と言いそうになったら、「今日は一緒にのんびりしよう」と言う

2週間後 2週間で、食べる・眠る・起きる時刻の記録が少しでも戻っていれば、様子を見てよい目安です。続いているなら、担任の先生か小児科に相談します。

そのまま言える言いかえ

  • 「なんで元気ないの?」→「今日は一緒にのんびりしよう」 理由を聞くより、そばにいることを先に伝えます。
  • 「元気出しなよ」→「元気が出ない日もあるよね」 気持ちを変えさせようとするより、そのままでいいと伝えるほうが安心します。
  • 「何かあったなら言いなさい」→「おやつ、一緒に食べよう」 一緒に過ごす時間が、話すきっかけになります。

今夜の手順

  1. 問いつめずに、同じ部屋で過ごす時間を少し増やす 理由:話すきっかけは、そばにいる時間の中で生まれるからです。
  2. 食べる・眠る・朝起きる時刻を1週間記録する 理由:変化が続いているかどうかが、相談するときの手がかりになります。
  3. 2週間ほど続くときは、担任の先生やかかりつけの小児科に伝える 理由:家だけで見ていると、学校での様子が分からないからです。

今夜はしなくていいこと 「何かあったの?」と理由を聞き出そうとすること 理由:理由を求められると、言葉にできない子はかえって黙ってしまうことがあるからです。

お子さんに聞いてみる 「いま、いちばんつかれてるのは?」

  • 「学校のこと」と答えたら:学校のことなら、担任の先生に学校での様子を聞いてみてください。
  • 「友だちのこと」と答えたら:友だちのことなら、話してくれた分だけ、いつ・だれと・何があったかを日付つきで記録しておくと、先生に相談しやすくなります。
  • 「家のこと」と答えたら:家のことと答えたら、責めずに「教えてくれてありがとう」と伝え、何が変わるといいかを1つだけ聞いてください。
  • 「わからない」と答えたら:分からないのは自然なことです。答えを急がず、同じ部屋で過ごす時間を増やしながら様子を記録してください。続くときは相談先へ。

学年で変わること 低学年は、元気のなさがおなかの痛さや眠さとして出やすい時期です。体の様子も一緒に見ます。 高学年は、友だち関係の変化が元気のなさに出やすい時期です。2週間ほど続くときは、担任の先生に様子を聞きます。

なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)

元気がない理由は、学校・友だち・体調・家の変化など、いろいろあり得ます。問いつめると、子どもはかえって口を閉じます。同じ部屋で過ごす時間を増やして、小さな変化に気づいて声をかけることが、話してもらえるきっかけになります。2週間ほど続くときは、家だけで見ずに相談します。

根拠:米国の心理学者ゴットマンの「感情のコーチング」

研究でわかっていること 不安の強い7〜14歳の子ども124人で、親だけがプログラムを受け、子どもの不安を受け止めながら「合わせすぎる」関わりを減らしたところ、子ども本人が受ける心理療法(認知行動療法)と同じくらい改善しました。
2つのやり方をくらべた試験(Lebowitz, E. R., Marin, C., Martino, A., Shimshoni, Y., & Silverman, W. K., 2020)

考えてみてほしい問い 元気がないのは、何日くらい続いていますか?いつごろから始まりましたか?

💬 わが家の場合を相談室で続ける(名前・メール不要)→

ほめ方・叱り方が分からない

Q. SNSで見るほかの家は、みんなうまくいっているように見える。ほめ方も叱り方も、これでいいのか分からない。

💬 これでいいのかな、って思う夜、ありますよね…。

自信がなくなるのは、子育てに正解が1つではないからです

なぜ? 子育てには、どの家にも当てはまる正解がありません。

今夜の1つ 今夜、子どもがしたことを1つだけ、そのまま言葉にする(「お皿を運んでくれたね」)

📌 明日のための1行カード:もし「すごいね、えらいね」と言いそうになったら、「自分で最後までやったね」と言う

2週間後 2週間後、カレンダーの印が数個でもついていれば、わが家のやり方が育っているしるしです。

そのまま言える言いかえ

  • 「すごいね、えらいね」→「自分で最後までやったね」 何がよかったかが伝わると、子どもはまたやろうと思えます。
  • 「何回言ったら分かるの」→「くつは、ここにそろえてね」 してほしいことを1つ言うほうが、伝わります。
  • 「私の育て方が悪いのかな」→「今日はこれができた。それでいい」 できたことに目を向けると、明日も続けられます。

今夜の手順

  1. 今夜、子どもがしたことを1つだけ、そのまま言葉にする(「お皿を運んでくれたね」) 理由:したことをそのまま言うのは、ほめる中でも効きやすく、だれでもできる形だからです。
  2. 叱るときは、短く、1つだけ、してほしいことを言う(「くつはここにそろえてね」) 理由:長い説教より、してほしいことが1つ伝わるほうが、子どもは動きやすいからです。
  3. うまくいった日に、カレンダーに印を1つつける 理由:うまくいかなかった日ばかり覚えていると、自信が減っていくからです。

今夜はしなくていいこと ほかの家とくらべて、育て方を調べ続けること 理由:調べるほど「これでいいのか」が増えて、自信がなくなっていきやすいからです。

学年で変わること 低学年は、言われたことをそのまま覚えて、またやろうとする時期です。したことをそのまま言うのが効きやすい時期です。 高学年は、大げさにほめられると照れたり疑ったりします。短く、事実だけを言います。

なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)

子育てには、どの家にも当てはまる正解がありません。調べるほど「これでいいのか」が増えて、自信がなくなっていきます。ほめ方・叱り方で研究から分かっているのは、むずかしい技術ではなく、「したことをそのまま言う」「してほしいことを短く1つ言う」のような小さな形です。完ぺきでなくても、うまくいく日が少しずつ増えれば十分です。

根拠:米国の親子相互交流療法(PCIT)、米国の心理学者ドゥエックらの研究

研究でわかっていること 3〜12歳の子どもと親を対象にした24の研究をまとめたところ、親子相互交流療法(子どもが決めた遊びに親がついていく時間、具体的にほめる、短く1つずつ指示する)などの親向けプログラムで、子どもの行動の困りごとと親の困りごとがどちらも減っていました。
たくさんの研究のまとめ(Thomas, R., & Zimmer-Gembeck, M. J., 2007)

研究でわかっていること 5年生を対象にした6つの実験で、「頭がいいね」とほめられた子は、失敗のあとに粘りが下がり成績も落ちました。やり方やがんばりをほめられた子は、失敗のあとも粘りました。
実験(Mueller, C. M., & Dweck, C. S., 1998)

考えてみてほしい問い この1か月で、子どもとうまくいったと思える場面を1つだけ思い出せますか?

💬 わが家の場合を相談室で続ける(名前・メール不要)→

まずは押すだけ(1分) くわしい説明は、その下にあります。

いま、いちばん近いのは?

「どうせぼくなんか」「わたし、何をやってもだめだから」。わが子の口からこんな言葉が出ると、胸がぎゅっとなります。ほめたほうがいいのか、厳しくしたほうがいいのか、どう声をかければいいのか。自己肯定感は、保護者の関心がいちばん高いテーマの1つです。このページでは、米国などの研究で分かっていることを、家でそのまま使える言葉にしてまとめました。

自己肯定感とは(読み方:じここうていかん)

できることがあってもなくても、「自分はこれでいい」「自分には価値がある」と思える感覚のことです。研究では「自尊感情(self-esteem)」と呼ばれるものとほぼ重なります。大事なのは、「テストで100点だから自分には価値がある」という条件つきの気持ちではなく、「できない日があっても、自分は大丈夫」と思える土台の気持ちのほうです。

日本の子どもは、自分に満足していると答える割合が低い

内閣府が13〜29歳に聞いた調査で、「自分自身に満足している」と答えたのは日本では45.1%で、調べた7か国の中でいちばん低い結果でした(米国は86.9%、英国は80.0%、韓国は73.5%など、ほかの国はおおむね7〜9割)。日本の子どもは、謙遜を大事にする文化の中で育つので、数字がそのまま「自信がない」という意味になるとはかぎりません。それでも、「自分なんか」と感じたまま大きくなる子が少なくないことは、親として知っておきたい数字です。

出典:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(平成30年度)

よくある3つの思いこみ(研究で分かっていること)

① たくさんほめれば、自己肯定感は上がる?

上がるとはかぎりません。オランダ・米国の研究チームが、自己評価の低い子に「信じられないほど上手!」のような大げさなほめ方をすると、その子たちはかえって難しい課題を避けるようになりました(Brummelman ら、2014年)。また、「頭がいいね」と才能をほめられた子は、失敗したあとに粘らなくなり、「よく工夫したね」と過程をほめられた子は、難しい問題に挑み続けました(Mueller & Dweck、1998年)。ほめる量より、何をほめるかです。

② 「あなたは特別」と言い続けると、自信がつく?

7〜11歳の子と親を1年半追った研究で、親が「うちの子はほかの子より特別」と思って伝えていると、子どもに育ったのは自己肯定感ではなく自己愛(自分は人より上だという思い)でした。自己肯定感を育てていたのは、親が温かく接していること(一緒に過ごす、愛情を伝える)のほうでした(Brummelman ら、2015年)。「人より上」ではなく、「そのままで大事」を伝えます。

③ 自己肯定感が高ければ、成績も上がる?

自己肯定感が成績を押し上げるという関係は、研究ではあまり強く確かめられていません(Baumeister ら、2003年)。自己肯定感は「成績を上げる道具」ではなく、失敗しても立ち直り、人とつながり、新しいことに手を出せる土台です。だからこそ、成績と結びつけて「できたら認める」にしないことが大切です。

おまけ:「できたら大好き」は、なぜ逆効果?

親の愛情や承認が「言うことを聞いたとき」「できたとき」だけ増える関わり方(条件つきの承認)を受けて育った子は、うまくいったときは得意になり、失敗すると自分を強く責める、ゆれやすい自己評価になりやすいことが分かっています(Assor・Roth・Deci、2004年)。

自己肯定感が低いときのサイン

どれも、ときどきあるのはふつうです。自尊感情は、子どもの時期から思春期にかけて下がりやすく、大人になるとまた上がっていくことが、多くの人を長く追った研究で分かっています(Orth & Robins、2014年)。思春期の「自分なんか」は、成長の途中によくある姿でもあります。

自己肯定感が低くなる、よくある原因

眠れない・食べられない・学校に行けない日が続く、「消えたい」「死にたい」と口にするときは、ひとりで抱えずに、すぐに専門の窓口に相談してください。子育ての相談先ナビ →

愛着(アタッチメント)とは・愛着形成とは──自己肯定感の土台

愛着(アタッチメント)は、子どもが不安なときに、特定の大人にくっついて安心を取り戻そうとする結びつきのことで、英国の精神科医ジョン・ボウルビィが示した考え方です。安心できる大人がいると、子どもはそこを「安心の基地」にして外の世界へ出かけ、困ったら戻ってくることができます。この「行ってこられる・戻ってこられる」経験のくり返しが、「自分は大事にされる存在だ」という自己肯定感の土台になります。

「3歳までに決まる」は本当?

愛着の土台が育ちはじめるのは乳幼児期ですが、その後に決まって変わらないものではありません。「3歳までは母親が育てないと将来に影響する」という考え(いわゆる三歳児神話)について、国の厚生白書(1998年)は「少なくとも合理的な根拠は認められない」としています。父親・祖父母・保育者など、安心をくれる大人は1人に限られませんし、小学生になってからの関わりでも、安心の基地は育ちます。

海外で使われている「安心の輪」で、いまの子どもを見る(押すと、親の役割が出ます)

考え方:米国の「安心の輪(Circle of Security)」プログラム(Hoffman・Cooper・Powell ら)。子どもが外へ出かけているときと戻ってきたときで、親の役割を分けて考えます。愛着の理論:Bowlby(1969)。三歳児神話:厚生省『厚生白書』(1998年)。

子どもの自己肯定感を高める、親の5つの関わり方

1. 結果と切り離して「大好き」を伝える。テストの点を見る前、習い事で負けた日にこそ、「あなたがいてくれてうれしい」を言葉にします。温かさが自己肯定感の土台です(Brummelman ら、2015年)。
2. 才能ではなく、工夫と過程を具体的にほめる。「天才!」より「3回目でやり方を変えたね」。何をしたからうまくいったのかが分かる言葉は、次の挑戦につながります(Mueller & Dweck、1998年)。
3. 毎日1つ、子どもが自分で決める場面を作る。宿題を先にやるか後にやるか、明日の服、週末の行き先。「自分で決めて、やれた」経験が、自分を信じる気持ちを育てます(自己決定理論:Deci & Ryan)。
4. ほかの子ではなく、前の本人と比べる。「先月はできなかったのに、今日はできたね」。比べる相手を変えるだけで、同じ出来事がほめる材料になります。できたことを目に見える形で残すと、子ども自身も気づけます(ハナちゃんミッション)。
5. 失敗した日は、教える前に気持ちを言葉にする。「くやしかったね」と気持ちに名前をつけてもらうと、子どもは落ち着くのが早くなり、次に向かえます(Tuning in to Kids)。言いすぎてしまった日は、その日のうちに修復します(Good Inside)。

泣く・投げる・ごねる場面を選ぶと、教える前にかける一言が出ます。

海外で広く使われている3つの方法を、わが家の2週間に(つよみ育て)

「いいところを見つけてほめましょう」で終わらせず、海外の家庭や学校で実際に使われている手順を、そのまま家でできる形にしました。親は下の画面で、子どもは子どもの画面(ハナちゃんのつよみシール)で進めます。

方法どこで使われているかわが家でやること
強みに目を向ける子育てオーストラリアの心理学者 Lea Waters の「Strength Switch」。学校や家庭向けのプログラムとして広がっている親がわが子のつよみを3つ選び、毎日の場面で見つけて言葉にする。しかりたくなった場面でも、つよみで声をかける
「まだ」の力(成長マインドセット)スタンフォード大学の Carol Dweck の研究。米国では全国の高校で短い授業として試され、成績の低い生徒の成績が上がった(Yeager ら、2019年)「できない」を「まだできない」に言いかえる。子どもは画面のボタンで練習する
きょうのよかった3つポジティブ心理学の Martin Seligman の方法。学校の心の教育でも使われている寝る前に、今日よかったことを3つ書く

つよみを選ぶと、見つける場面と、そのまま言える言葉、2週間の手順が出ます。

スリー・グッド・シングス(Three Good Things)とは・やり方

寝る前に、その日あった「よかったこと」を3つと、それがなぜ起きたかを1行ずつ書く方法です。ポジティブ心理学を始めた米国の心理学者 Martin Seligman らの実験で、1週間続けた人は、半年後まで幸福感が高く、落ちこみが少ないままでした(Seligman ら、2005年)。

わが家でのやり方(子ども版のコツ)
  1. 夕ごはんか寝る前に、親が先に1つ言う。「今日、帰り道の夕焼けがきれいだった」。親の見本があると、子どもは何を言えばいいか分かります。
  2. 小さいことでいい。「給食のカレーがおいしかった」で十分です。大きな成功を探すと、続きません。
  3. 「なぜよかった?」を1つだけ聞く。「友だちが誘ってくれたから」「自分で早く準備したから」。自分の行動が出てきたら、それがつよみです(上の表)。
  4. まず1週間。書けない日は2つでも1つでもかまいません。子どもは子どもの画面に書けます。

グロースマインドセット(しなやかマインドセット)とは

「能力は、努力ややり方、人の助けで伸びていく」と考える心の持ち方です。反対は「能力は生まれつき決まっている」と考えるフィックスト(硬直)マインドセットです。スタンフォード大学の心理学者 Carol Dweck が示した考え方で、日本では「しなやかマインドセット」とも訳されています。

研究で分かっていること・分かっていないこと

米国の約1万2千人の高校1年生に、合わせて1時間ほどのオンラインの授業をした全国の実験では、成績が下位の生徒の成績が少し上がりました(Yeager ら、2019年)。一方で、多くの研究をまとめた分析では、平均した効果は小さいとされています(Sisk ら、2018年)。つまり「授業を1回受ければ変わる」ものではなく、毎日まわりの大人がどう言うかで育つものです。

見落とされやすいのは親の側です。親が「失敗はよくないこと」と受け止めていると、子どもは「能力は決まっている」と考えやすくなることが分かっています(Haimovitz & Dweck、2016年)。テストで失敗した日に、「何が分かった?次はどうする?」と聞けるかどうかが、いちばんの分かれ目です。

今夜の1つ:夕ごはんで、親が今週の小さな失敗を1つ話し、「そこから何が分かったか」まで言う。失敗を話していい家だと、子どもに伝わります。

「わたしはすごい」「ぼくは天才」と言い聞かせる言葉(アファメーション)は、海外でも人気がありますが、自信の低い人にはかえって気分を下げることがあると分かっているので(Wood ら、2009年)、このページでは使っていません。かわりに、本当にあった行動から、つよみを見つけて返します。

その一言、こう言いかえる(押すと出ます)

毎日つい出てしまう言葉を、自己肯定感を削らない言葉に言いかえます。近いものを押してください。

自己効力感とは?子どもの「やればできる」を育てる4つの経験

自己効力感(じここうりょくかん)は、「これなら、やればできる」という見通しのことで、カナダ出身の心理学者アルバート・バンデューラが示した考え方です(1977年)。「自分はこれでいい」と思える自己肯定感が土台だとすると、自己効力感は次の一歩をふみ出す力です。バンデューラは、自己効力感は次の4つの経験から育つとまとめました。

育つもとどういうことか家でやること
1. 自分でできた経験いちばん強いもと。小さくても「自分でやりきった」少しがんばればできる大きさに分ける(10問ではなく3問)
2. 人がやるのを見る自分に近い人ができるのを見ると、「自分も」と思えるきょうだいや友だち、親が練習してできるようになる姿を見せる
3. 言葉で励まされる信頼する人に「できるよ」と言われる根拠をつけて言う(「先週もここまでできたから、きっとできる」)
4. 体と気持ちの状態どきどきを「こわい」と受け取るか、「準備できてる」と受け取るか「どきどきは、本気のしるしだよ」と言いかえる。寝不足の日は量を減らす
今夜の1つ:明日の宿題を、子どもと一緒に「3つの小さな山」に分ける。1つ終わるごとに、本人に印をつけてもらう。

子どものレジリエンス(立ち直る力)とは

レジリエンスは、もともと「はね返す力・回復する力」という意味の英語で、心理学ではつらいことや失敗があっても、そこから立ち直り、うまく適応していく力を指します(米国心理学会の定義)。子どもで言えば、テストで失敗した、友だちとけんかした、試合に負けた、のあとに、また前を向けるかどうかです。

立ち直る力は、特別な才能ではない

逆境の中で育った子どもを長く追ってきた米国の心理学者アン・マステンは、立ち直る力は一部の強い子だけのものではなく、ふつうの毎日の中で育つ「ありふれた魔法」だとまとめました(Masten、2001年)。立ち直れた子に共通していたのは、信頼できる大人との関係、自分で考えて動ける力、自分にはできることがあるという感覚です。どれも、このページの「つよみ育て」「まだ」「よかった3つ」で育てているものです。

海外の学校のやり方:考え方のくせを、一緒に見直す

米国ペンシルベニア大学の「ペン・レジリエンス・プログラム」は、学校で子どもに立ち直る力を教える方法として広く使われてきました。中心にあるのは、出来事 → そのときの考え → 気持ちの順に分けて、考えのところを見直す練習です。

出来事浮かんだ考え気持ちほかの考え方はある?
算数のテストが45点だった「ぼくはバカだ」落ちこむ、やる気がなくなる「今回は分数の所が分からなかった」「分数を1つ分かれば次は上がる」
友だちが遊びに誘ってくれなかった「きらわれた」悲しい、学校に行きたくない「たまたま気づかなかったのかも」「明日、自分から誘ってみる」

親は答えを教えるのではなく、「ほかの考え方はあるかな?」と聞いて、子どもが自分で見つけるのを待ちます。多くの研究をまとめた分析では、こうした練習には落ちこみを減らす効果があり、その大きさは控えめでした(Brunwasser ら、2009年)。1回で変わるものではなく、家でくり返すことが大事です。

今夜の1つ:子どもが失敗を話してくれたら、すぐに励まさず「そのとき、どう思った?」と聞く。考えが出てきたら、「ほかの考え方はあるかな?」を1回だけ。

親自身の自己肯定感も、子どもに伝わる

「自己肯定感 低い」と調べているのは、子どものことだけでなく、自分のことで悩んでいる大人も多いはずです。親が自分を責める言葉が多いと、子どもへの言葉も厳しくなりがちです。大人の自己肯定感を上げる方法として、研究で効果が確かめられている2つを紹介します。

セルフ・コンパッション(自分への思いやり)

失敗した自分に、親しい友だちにかけるのと同じ言葉をかけます。「また怒っちゃった、最低」ではなく、「疲れていたね。明日やり直せばいい」。米国の心理学者クリスティン・ネフが示した考え方で、自分を責めすぎず、失敗から立ち直りやすくなります(Neff、2003年)。

スリー・グッド・シングス(今日よかったこと3つ)

寝る前に、今日よかったことを3つと、それがなぜ起きたかを書きます(Seligman ら、2005年)。親が自分のために書くだけでも効果があり、夕ごはんのときに家族で1つずつ言い合うと、子どもの練習にもなります。やり方とコツ →

自己肯定感の言いかえ・似た言葉

言葉意味
自己肯定感(じここうていかん)できてもできなくても、自分はこれでいいと思える感覚
自尊感情・自尊心自分には価値があると感じる気持ち。研究で使われる言葉(self-esteem)で、自己肯定感とほぼ同じ意味
自己受容自分のよいところもよくないところも、そのまま受け入れること
自己効力感「これならやればできる」という見通し(心理学者バンデューラ)。課題ごとの自信
自己重要感自分は人の役に立っている、大切にされていると感じる気持ち

わが家の場合を、相談してみる

「うちの子の口ぐせが気になる」「ほめ方が分からない」。子育て相談室にそのまま書いてください。すぐ下に返事が出ます。名前や住所は聞きません。

💬 子育て相談室で相談する

よくある質問

Q. 自己肯定感とは何ですか?

できることがあってもなくても、「自分はこれでいい」「自分には価値がある」と思える感覚のことです。研究では「自尊感情(self-esteem)」と呼ばれるものとほぼ重なります。読み方は「じここうていかん」です。

Q. 自己肯定感が低い子の特徴は?

「どうせ」「自分なんか」が口ぐせになる、失敗しそうなことを最初から避ける、ほめられても「そんなことない」と打ち消す、ほかの子と比べて落ちこむ、などが目立ちます。一時的な落ちこみはふつうのことで、思春期には下がりやすいことも研究で分かっています。

Q. 子どもの自己肯定感を高めるにはどうすればいいですか?

結果と切り離して「大好き」を伝える、才能ではなく工夫や過程を具体的にほめる、毎日1つ子どもが自分で決める場面を作る、ほかの子ではなく前の本人と比べる、失敗した日は気持ちを言葉にしてから話す、の5つです。どれも米国などの研究で効果が確かめられている関わり方です。

Q. たくさんほめれば自己肯定感は上がりますか?

上がるとはかぎりません。自己評価の低い子に「信じられないほど上手!」のような大げさなほめ方をすると、かえって難しいことを避けるようになったという研究があります(Brummelman ら、2014年)。才能より、工夫や頑張りを具体的にほめるほうが、失敗のあとも粘れるようになります(Mueller & Dweck、1998年)。

Q. 自己肯定感と自尊心・自己効力感のちがいは?

自己肯定感と自尊心(自尊感情)は「自分には価値がある」という感覚で、ほぼ同じ意味で使われます。自己効力感は「これならやればできる」という、ある課題についての見通しのことで、心理学者バンデューラが示した考え方です。言いかえるなら、自己肯定感は「自分を認める気持ち」、自己効力感は「できる見通し」です。

Q. 大人(親)の自己肯定感を上げる方法は?

失敗した自分に、友だちにかけるのと同じやさしい言葉をかける「セルフ・コンパッション」(Neff、2003年)と、寝る前に「今日よかったこと3つ」を書く方法(Seligman ら、2005年)が、研究で効果が確かめられています。親が自分を責める言葉が減ると、子どもへの言葉もやわらかくなります。

Q. 子どもの強み(つよみ)は、どうやって見つければいいですか?

性格を決めつけるのではなく、毎日の行動から見つけます。順番をゆずった(やさしさ)、まちがえてもやめなかった(ねばり強さ)、自分から調べた(学ぶのが好き)のように、何をしたかと、それが何のつよみかを組みにして伝えます。オーストラリアの心理学者 Lea Waters の「強みに目を向ける子育て」の考え方で、親が強みを見つけて伝える家庭ほど、子どもの生活満足度が高いと報告されています。

Q. スリーグッドシングス(3 good things)とは?やり方は?

寝る前に、その日あったよかったことを3つと、それがなぜ起きたかを1行ずつ書く方法です。米国の心理学者 Martin Seligman らの実験で、1週間続けた人は半年後まで幸福感が高く、落ちこみが少ないままでした(2005年)。子どもとやるときは、親が先に1つ言う、小さいことでいい、「なぜよかった?」を1つだけ聞く、まず1週間、がコツです。

Q. グロースマインドセット(しなやかマインドセット)とは?

「能力は、努力ややり方、人の助けで伸びていく」と考える心の持ち方で、スタンフォード大学の Carol Dweck が示しました。反対は、能力は生まれつき決まっていると考えるフィックスト(硬直)マインドセットです。米国の全国の実験では成績下位の生徒の成績が少し上がりましたが(Yeager ら、2019年)、平均の効果は小さく(Sisk ら、2018年)、毎日の大人の言葉で育つものです。

Q. 子どもの褒め方のコツは?

「天才」「頭がいい」と才能をほめるより、「3回目でやり方を変えたね」のように、何をしたかを具体的にほめます。才能をほめられた子は失敗のあとに粘らなくなり、過程をほめられた子は難しい問題に挑み続けました(Mueller & Dweck、1998年)。自信の低い子への大げさなほめ方は逆効果になることもあります(Brummelman ら、2014年)。

Q. 愛着形成とは?3歳までに決まるのですか?

愛着(アタッチメント)は、子どもが不安なときに特定の大人にくっついて安心を取り戻そうとする結びつきのことで、英国の精神科医ボウルビィが示しました。安心できる大人を「安心の基地」にして外へ出かけ、困ったら戻る経験のくり返しで育ちます。育ちはじめるのは乳幼児期ですが、3歳で決まるわけではなく、国の厚生白書(1998年)も三歳児神話には合理的な根拠は認められないとしています。小学生になってからの関わりでも育ちます。

Q. 自己効力感とは?自己肯定感とのちがいは?

自己効力感は「これなら、やればできる」という見通しのことで、心理学者バンデューラが示しました。自己肯定感が「自分はこれでいい」という土台だとすると、自己効力感は次の一歩をふみ出す力です。自分でできた経験、人がやるのを見ること、根拠のある励まし、体と気持ちの状態の4つから育ちます。家では、宿題を少しがんばればできる大きさに分けることが、いちばん効く方法です。

Q. 子どものレジリエンス(立ち直る力)とは?

つらいことや失敗があっても、そこから立ち直り、うまく適応していく力のことです(米国心理学会の定義)。米国の心理学者アン・マステンは、立ち直る力は特別な才能ではなく、信頼できる大人との関係、自分で考えて動ける力、自分にはできることがあるという感覚という、ふつうの毎日の中で育つものだとまとめています(2001年)。

Q. 子どものレジリエンスを高めるには?

信頼できる大人との関係を土台に、失敗の話を責めずに聞く、「出来事・考え・気持ち」を分けて「ほかの考え方はある?」と一緒に見直す(米国ペンシルベニア大学のプログラムの方法)、「できない」を「まだできない」に言いかえる、寝る前に今日よかったことを3つ書く、が家でできる方法です。

Q. 自己肯定感は何歳までに決まりますか?

決まってしまう年齢はありません。自尊感情は子どもの時期から思春期にかけて下がりやすく、大人になってからまた上がっていくことが、多くの人を長く追った研究で分かっています(Orth & Robins、2014年)。いまからの関わりで変わります。

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