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ADHD(注意欠如・多動症)とは? 子どもの特徴を年齢別に、家と学校でできること
💬 忘れ物、じっとしていられない、何度言っても同じこと。毎日くり返されると、親のほうが先にくたびれてしまいますよね。「しつけが悪いのでは」と自分を責める必要はありません。
今夜できること1つ 今夜は、叱る場面を探す代わりに、子どもが「できた場面」を1つ見つけて、その場で「〇〇できたね」と具体的に言ってください。ほめられた行動はふえる、というのが米国の親向けの行動の手立ての中心です。
🧭 わが家の場合は? 3つの問いで、いちばん困っている形(忘れ物・多動・衝動・集中)に合う手立てが分かります →ADHD(注意欠如・多動症)とは、不注意(忘れ物が多い・集中が続かない)や、多動性・衝動性(じっとしていられない・順番を待てない)が、年齢に比べて強く、12歳になる前から、家と学校など2つ以上の場面で続き、生活に困りごとが出ている状態です。生まれつきの脳の働き方の特徴で、しつけや愛情不足が原因ではありません。
ADHDは、うちの子だけ? 年齢別の特徴(幼児・小学校低学年・高学年・中学生)
うちの子だけ、ではありません。ADHDと診断される子は学童期で3〜7%ほどとされ、日本の小中学校の通常の学級でも、不注意や多動性・衝動性の問題が著しいと先生が見ている子は4.0%います(診断ではなく先生の見立て)。
年齢によって目立つ形が変わります。下の表は「この様子があればADHD」というものではなく、気づくきっかけになりやすい様子の目安です。
| 年齢 | 気づくきっかけになりやすい様子 | 家でできること | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 幼児(3〜5歳) | じっとしていられない、危ないことをくり返す、順番を待てない(ほかの子より強い) | ほめる場面を1つに決めて、できたらすぐほめる | 保健センター、小児科 |
| 小学校低学年 | 授業中に席を立つ、忘れ物・なくし物が多い、話を最後まで聞けない | 明日の準備をチェック表に。指示は1つずつ短く | 担任・特別支援教育コーディネーター、小児科(発達外来) |
| 小学校高学年 | 多動は落ち着いてくる一方、提出物・宿題・片付けなど不注意の困りごとが目立つ | 宿題を小さく区切る。やることを紙に書いて見えるところへ | 上に加えて、児童精神科、通級による指導 |
| 中学生(参考) | 提出物・時間の管理・人間関係のつまずき。自信をなくしやすい | 自分に合う工夫を本人と一緒に決める | 学校、児童精神科、発達障害者支援センター |
この表のもとにした研究・資料(ひらく)
出典:米国精神医学会 DSM-5(12歳になる前から、2つ以上の場面で、6か月以上)、岡田俊 2017(学童期3〜7%)、文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」(2022年、不注意又は多動性-衝動性 4.0%)。年齢ごとの様子は一般的な目安です。診断ができるのは医師だけです。
わが家の場合の見立て(ステップ2)と、ほめて増やす「できた!記録」、学校への「合理的配慮のお願いメモ」は、このすぐ下にあります。
落ち着きがない・忘れ物が多いと、毎日の声かけが続いて疲れますよね。
わが家はどれ? 相談室の答え
相談室に届く相談のうち、この悩みで多い場面です。答えは子育て相談室と同じものです。いちばん近い場面を開いてください:落ち着きがない・忘れ物が多い(ADHDかも)
落ち着きがない・忘れ物が多い(ADHDかも)
Q. 忘れ物の連絡が、また連絡帳に書かれている。家でも、話している途中に別のことを始めてしまう。
💬 落ち着きや忘れ物のことは、毎日のことなので、親も疲れます。
「どの場面で、どのくらい」をメモすると、相談が進みます
なぜ? 落ち着きや忘れ物は、家と学校で見え方がちがうことがあります。
今夜の1つ 1週間、気になった場面を日付と一緒に1行ずつ記録する
📌 明日のための1行カード:もし「何回言ったら分かるの」と言いそうになったら、「(紙に書いて)これを玄関に置いてね」と言う
2週間後 2週間の記録で、困る場面が「いつ・どこで」に分けて見えてきたら、相談の材料がそろっています。
そのまま言える言いかえ
- 「何回言ったら分かるの」→「(紙に書いて)これを玄関に置いてね」 目で見える形のほうが、忘れにくくなります。
- 「また忘れたの?」→「明日の持ち物、一緒に玄関に置こう」 責めるより、仕組みで助けるほうが続きます。
- 「じっとしてなさい」→「あと5分、座っていられたらおしまいね」 終わりが見えると、がんばりやすくなります。
今夜の手順
- 1週間、気になった場面を日付と一緒に1行ずつ記録する 理由:相談先で最初に聞かれるのが、この情報だからです。
- そのメモを持って、担任の先生に学校での様子を聞く 理由:家と学校の両方の様子がそろうと、次の相談先が決めやすくなります。
- 家では、指示を1つずつ・紙に書いて渡す 理由:1つずつのほうが、覚えて動きやすいからです。
今夜はしなくていいこと 子どもの前で、病名や診断の話をすること 理由:判断は医師がすることです。家でできるのは、困る場面の記録を集めることです。
お子さんに聞いてみる 「学校で、やりにくいなと思うことは?」
- 「じっとすわっていること」と答えたら:すわっていることがつらいなら、その場面(どの授業か・どのくらいの時間か)を記録して、先生に伝えてください。
- 「先生の話を聞いて覚えること」と答えたら:聞いて覚えるのがつらいなら、家では指示を1つずつ・紙に書いて渡す形にして、効いたかを記録してください。
- 「友だちとのこと」と答えたら:友だちとのことなら、困った場面を記録し、先生に学校での様子を聞いてください。
- 「とくにない」と答えたら:本人が困っていないと答えても、親が気になる場面は記録を続けてください。家と学校で見え方がちがうことがあります。
学年で変わること 低学年は、落ち着きや忘れ物は、まだ育っている途中のことが多い時期です。仕組みで助けます。 高学年になっても困りごとが続き、勉強や友だち関係にも出ているときは、記録を持って先生と相談します。
なぜそうなるか・もとにした研究(ひらく)
落ち着きや忘れ物は、家と学校で見え方がちがうことがあります。相談先でまず聞かれるのは、「いつ・どこで・どのくらい」です。感想ではなく、場面の記録があると、相談がぐっと進みます。家では、指示を1つずつ・紙に書いて渡すだけでも動きやすくなります。
根拠:米国疾病対策センター「指示の出し方」
研究でわかっていること 米国小児科学会の診療の指針は、落ち着きや注意の困りごとを判断するときに、家庭だけでなく学校など2つ以上の場面での様子を、保護者と先生の両方から集めることを求めています。
専門家の目安(Wolraich, M. L., Hagan, J. F., Allan, C., et al.(米国小児科学会), 2019)
考えてみてほしい問い この子が落ち着いて取り組めるのは、どんなときですか?
ステップ2 わが家の場合は?(3問で答えが変わる「落ち着きがない・忘れ物が多い」チェック)
上の答えは、多くの家庭に当てはまる答えです。家庭によって、きっかけも強さもちがいます。3つの問いに答えると、わが家の場合の見立てと今夜の1つが変わり、やってみたあとの様子で次の一手を返します。
- 気になる様子は、どこで見られますか?(家だけ/学校だけ(先生から言われる)/家でも学校でも)
- いちばん困っているのは、どれですか?(忘れ物・なくし物・準備ができない/じっと座っていられない・そわそわする/順番を待てない・思いついたらすぐ動く/集中が続かない・話を聞いていないように見える)
- お子さん自身は、どんな様子ですか?(あまり気にしていない/叱られることが多く、自信をなくしている/友だちとのトラブルがふえている)
この悩みに関わるページ
ほめて増やす「できた!記録」(2週間)
💬 叱らなきゃいけない場面ばかり目に入って、ほめるところが見つからない日もありますよね。それは親が悪いのではなく、困りごとのほうが目立つからです。
米国の疾病対策センター(CDC)や小児科学会がすすめる親の行動の手立ての中心は、ふやしたい行動を1つに決めて、できたらすぐ・具体的にほめることです。叱る回数を減らし、ほめる回数をふやすと、親子の言い合いが減り、その行動が少しずつふえていきます。
1. ふやしたい行動を1つだけ選ぶ
学校に「合理的配慮」をお願いするメモを作る(診断がなくても相談できます)
米国では、学校で困りごとがある子に、家族と学校が一緒に「この子が学ぶために、学校でどんな工夫をするか」を書いた計画を作ります。日本でも同じように、学校に合理的配慮(その子が学びやすくなる工夫)をお願いできます。2024年4月からは、公立だけでなく私立の学校でも、合理的配慮を行うことが義務になりました。
大事なのは、病名ではなく「どの場面で困っていて、何があれば学べるか」を具体的に伝えることです。家でうまくいっている工夫は、そのまま学校へのヒントになります。
もとにした考え方(ひらく)
米国の学校の配慮計画(障害のある子の学びを保障する法律にもとづく計画)の考え方と、日本の障害者差別解消法(2024年4月の改正で、私立を含む事業者にも合理的配慮の提供が義務化)。配慮の例は、米国の保護者向け情報(行動面の手立て・学校の配慮)をもとに編集部が日本の学校に置きかえたものです。
1. 学校で困っていそうな場面(いくつでも)
担任の先生か、学校の特別支援教育コーディネーターに渡して、話す時間をとってもらいます。書いた内容はこの端末の中だけに残ります。
ADHDの3つの形(不注意・多動性・衝動性)
💬 チェックリストを読むと「全部当てはまる」と不安になりますよね。どの子にも少しずつある様子で、大事なのは、年齢に比べて強く、毎日の生活で困っているかどうかです。
- 不注意:忘れ物・なくし物が多い、話を聞いていないように見える、最後までやり終えにくい、気が散りやすい。
- 多動性:じっと座っていられない、手足をそわそわ動かす、しゃべりすぎる。
- 衝動性:順番を待てない、質問が終わる前に答えてしまう、思いついたらすぐ動く。
どれが目立つかで、「不注意が中心」「多動性・衝動性が中心」「両方」の3つのタイプに分けられます。女の子は不注意が中心のことが多く、気づかれにくいと言われています。
診断のめやす(医師が見るところ)
💬 「どこからがADHDなの?」という線引きが分からないと、ずっと気になりますよね。医師が見ているところを知っておくと、相談のときに伝えることがはっきりします。
米国精神医学会の診断の基準(DSM-5)では、不注意や多動性・衝動性が、12歳になる前から、家と学校など2つ以上の場面で、6か月以上続き、生活に支障が出ているときに診断を考えます。家だけ・学校だけで目立つときは、ほかの理由(環境・疲れ・不安など)も一緒に見ます。
診断までの流れと、相談先
💬 「病院に行ったら薬をすすめられるのでは」と迷う気持ちもありますよね。相談は、薬を決めるためではなく、困りごとを減らす手立てを一緒に考えるためのものです。
- 家と学校での様子を1〜2週間メモする(どの場面で・どのくらい)。
- 担任の先生・学校の特別支援教育コーディネーター・スクールカウンセラーに、学校での様子を聞く。
- 小児科(発達を診る外来)・児童精神科で相談する。予約が先のことが多いので早めに。
- 診断のあとは、家での手立て・学校での配慮・必要なら薬を、家族と医師で一緒に決める。
まず家と学校の工夫、薬はその次に考える
💬 「薬は飲ませたくない」と思うのも、「飲ませたほうが楽になるなら」と思うのも、どちらも子どもを思う気持ちです。
米国小児科学会の診療指針(2019年)は、4〜5歳はまず親が行動の手立てを学ぶこと、6〜11歳は薬と、親や学校での行動の手立てを組み合わせることをすすめています。どの年齢でも、薬だけに頼らず、家と学校の工夫が土台です。
日本で子どものADHDに使える薬は4つあります。メチルフェニデートとリスデキサンフェタミン(精神刺激薬。処方には医師・薬局・本人の登録が必要)、アトモキセチンとグアンファシン(非精神刺激薬。効果が出るまで数週間かかる)です。食欲が落ちる・寝つきが悪くなるなどの副作用が出ることもあるので、飲むかどうか、どれを使うか、いつまで使うかは、医師と相談しながら家族で決め、途中で見直すこともできます。
学校での支え(合理的配慮・通級)
💬 学校で叱られてばかりいないか、心配になりますよね。
席を前にする、指示を黒板に書く、体を動かしてよい役割をもらう、テストの時間を区切る、などの工夫を、学校に「合理的配慮」としてお願いできます(2024年4月から私立を含めて義務)。困りごとが大きいときは、週に何時間か別の教室で学ぶ「通級による指導」もあります。このページの「合理的配慮のお願いメモ」で、そのまま先生に伝えられます。
叱られ続けないために
💬 何度言っても同じことが起きると、つい強く叱ってしまう日もありますよね。それは親として真剣だからです。
ADHDの子は、わざとではないことで叱られることが重なり、「どうせ自分はだめ」と自信をなくしやすいことが分かっています。叱る回数を減らし、できた場面をその場で具体的にほめる回数をふやすのが、米国の親向けの行動の手立ての中心です。このページの「できた!記録」で、ほめる場面を1つに決めて毎日記録できます。
ASD・学習障害との重なり
💬 ADHDだけでは説明しきれない様子があって、迷っている方もいるかもしれません。
ADHDは、自閉スペクトラム症(ASD)や学習障害(LD)と一緒に見られることが少なくありません。友だちとのやりとりのむずかしさや、読み書きの特別な苦手が目立つときは、自閉スペクトラム症のページや学習障害のページもあわせてご覧ください。
よくある質問
ADHDはしつけや愛情不足のせいですか?
いいえ。ADHDは生まれつきの脳の働き方の特徴で、しつけや愛情不足が原因ではありません。ただ、関わり方を工夫すると、困りごとは減らせます。
大人になったら治りますか?
成長とともに多動は目立たなくなることが多い一方、不注意などの困りごとが大人まで続く人もいます。自分に合う工夫を身につけるほど、生活は楽になります。
薬はずっと飲み続けるのですか?依存しませんか?
飲むかどうか・いつまで飲むかは、医師と相談しながら家族で決め、途中で見直せます。精神刺激薬は、決められた量を医師の管理のもとで使う薬で、そのために処方の登録の仕組みがあります。
ゲームのやりすぎでADHDになりますか?
ゲームがADHDの原因になるわけではありません。ただ、ADHDの子はゲームに集中しやすく、やめにくいことがあるので、終わりの区切りを先に決めるなどの工夫が役立ちます。
勉強ができる子でもADHDのことはありますか?
あります。勉強ができても、忘れ物・提出物・片付け・友だちとのトラブルなどで困っていることがあります。成績だけで判断せず、困りごとで考えてください。
女の子は気づかれにくいのですか?
女の子は不注意が中心で、目立つ多動が少ないことが多く、「ぼんやりしている」と見られて気づかれにくいと言われています。
このページで使っている資料
- 米国精神医学会 DSM-5(ADHDの診断の基準:12歳になる前から、2つ以上の場面で、6か月以上)
- 米国小児科学会 ADHDの診療指針(2019年。4〜5歳は親の行動の手立てを第一に、6〜11歳は薬と行動の手立ての組み合わせ)
- 米国疾病対策センター(CDC)の保護者向け情報(親の行動の手立て・ほめて増やす)
- 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」(2022年。不注意又は多動性-衝動性の問題を著しく示す 4.0%)
- 岡田俊 2017(精神医学。学童期の有病率3〜7%)
- 日本の小児科・児童精神科の資料(子どものADHDに保険が使える4つの薬、処方の登録の仕組み)
診断ができるのは医師だけです。このページは、診断ではなく、家で困りごとを減らすための情報と道具をまとめたものです。