子どもがかわいいと思えない日があります

夕方、子どもが話しかけてくるたびに、心の中で「もう話しかけないで」と思ってしまう。寝顔を見ても、前のように胸があたたかくならない。
そう思ったことを、ここに書かなくても大丈夫です。読んでいるだけで十分です。

先にひとつだけ。子どもに手が出てしまいそう、自分を傷つけてしまいそうなときは、この先を読むより先に、下の相談先に電話か文字で話してください。夜でもつながる窓口があります。相談先へ

「かわいいと思えない」は、心が疲れきったときのサインのひとつです

子育ての疲れが長く続くと、体がだるいだけでなく、子どもとのあいだに気持ちの距離ができることが分かっています。ベルギーの心理学者ロスカムとミコライチャクらは、これを「親のバーンアウト(燃えつき)」と呼び、へとへとに疲れる・子どもと気持ちが離れる・親でいることに喜びを感じられなくなる、が重なって起きると整理しました。

つまり、かわいいと思えないのは、愛情がなくなったからではなく、気持ちを動かす力そのものが残っていない状態かもしれません。燃えつきは、休み方や支えを変えることで軽くなりうるもので、親向けの支援を受けたグループで燃えつきの度合いが下がったという試験もあります(ブリアンダら、2020年)。

ここで書いているのは診断ではありません。眠れない・食べられない・何も楽しくない日が2週間ほど続くときは、かかりつけの医師か相談先に話してください。

今夜やること(1つでいい)

  1. 子どものことで「これだけはやる」を1つ決めて、ほかは休む。夕食はお弁当でも、お風呂は明日でもかまいません。全部いつも通りにしようとすると、疲れがもっと深くなるからです。
  2. 30分だけ、子どもと離れる時間をつくる。家族にお願いする、子どもが寝たあとに自分のためだけに使う。離れると、気持ちが少し戻ってくることがあります。
  3. 思ったことを、言葉にしてどこかに置く。ノートでも、子育て相談室の「ただ聞いてほしい」でもかまいません。名前もメールもいりません。気持ちを言葉にすると、高ぶった気持ちがおさまりやすいという研究があります(リーバーマンら、2007年)。

子どもに「かわいくない」と伝える必要はありません。子どもには「今日はママ(パパ)、少し疲れてるから休むね」と短く伝えれば十分です。

2週間後に見ること

2週間のあいだに、子どもと笑った瞬間が1回でもあれば、気持ちは戻りはじめています。反対に、何も変わらない、もっとつらくなっている、子どもに強く当たってしまう日が増えているときは、ひとりで続けずに、下の相談先に話すときです。それは弱さではなく、いちばん大事な一歩です。

話せるところ

どこに相談すればいいか迷うときは、子育ての相談先ナビで、5つ選ぶと合う窓口と、電話で最初に言うことが出ます。

つぎに読む

子育てに疲れた・愚痴を置いていける場所 → 子育てに向いてないと思うとき → つい怒ってしまうとき → 子育て相談室(無料)→

根拠にした資料

Mikolajczak, M., Gross, J. J., & Roskam, I. (2019). Parental burnout: What is it, and why does it matter? Clinical Psychological Science, 7(6), 1319-1329./Roskam, I., Raes, M.-E., & Mikolajczak, M. (2017). Exhausted parents: Development and preliminary validation of the Parental Burnout Inventory. Frontiers in Psychology, 8, 163./Brianda, M. E., Roskam, I., Gross, J. J., et al. (2020). Treating parental burnout: Impact of two treatment modalities on burnout symptoms, emotions, hair cortisol, and parental neglect and violence. Psychotherapy and Psychosomatics, 89(5), 330-332./Lieberman, M. D., et al. (2007). Putting feelings into words. Psychological Science, 18(5), 421-428./こども家庭庁「児童相談所相談専用ダイヤル」「親子のための相談LINE」

よくある質問

子どもをかわいいと思えないのは、親として失格ですか?

失格ではありません。子育ての疲れが長く続くと、子どもとのあいだに気持ちの距離ができることが分かっています(親のバーンアウトと呼ばれます)。愛情がなくなったのではなく、気持ちを動かす力が残っていない状態かもしれません。まず休むことを先にしてください。

どうすれば気持ちが戻りますか?

今夜は子どものことで「これだけはやる」を1つ決めてほかは休む、30分だけ子どもと離れる時間をつくる、思ったことを言葉にしてどこかに置く、のどれか1つからです。親向けの支援を受けると燃えつきの度合いが下がったという試験もあり、休み方を変えることが入り口になります。

どこに相談すればいいですか?

児童相談所相談専用ダイヤル 0120-189-783(こども家庭庁)、文字で相談できる親子のための相談LINE(こども家庭庁)、お住まいの市区町村の子育ての相談窓口があります。子どもに手が出てしまいそうなときは、すぐに話してください。