子どもについ怒ってしまう怒る場面を分けると、次に備えられる
いちばん近い様子を選ぶ(1分)
感想ではなく、見て答えられる様子を2つ選ぶと、見立て・なぜそうなるか・今夜やること1つ・お子さんに聞く3択・使える道具・相談できるところが出ます。14日後に同じ質問で前と比べられます(記録はこの端末の中だけ。トップの聞く欄と同じ記録です)。
🇯🇵 日本の家庭では(公的な調査・制度から)
- 2020年4月から、しつけのための体罰は法律で禁止されています。国の手引きは、親を罰したり追い込んだりするためのものではなく、体罰によらない子育てを社会全体で応援するためのものだとしています。
出典:厚生労働省「体罰等によらない子育てのために」(2020年)
様子ごとの「なぜ」と、今夜やること
「宿題・勉強のとき」:教える役と見守る役を、同時にやらないようにします
🏠 「なんでここが分からないの!」。宿題を見ているうちに声が大きくなり、子どもは泣き、親は自己嫌悪。
なぜ?と今夜の手順を見る
宿題のたびにぶつかるのは、本当に疲れますよね。
なぜ? 親が宿題の中身に入るほど、ぶつかる場面が増えます。米国の研究のまとめでは、頼まれていない手助けや、口出しと受け取られる関わりは、宿題をかえってうまくいかなくしていました。親が決めるのは「いつ・どこで」だけにして、中身は呼ばれたときだけ見る。それだけで、ぶつかる回数が減ります。
根拠:Patallほか(2008)宿題への親の関わりの研究のまとめ、米国疾病対策センター「指示の出し方」
今夜の手順
- 決めるのは「時刻と場所」だけにする 理由:親の関わり方の中で、成績といちばん結びついていたのが、この決まりづくりでした。
- 「分からなかったら印をつけて呼んでね」と合図を決め、呼ばれるまで見ない 理由:頼まれていない手助けが、ぶつかる原因になるからです。
- 手が動いたら「自分で始めたね」と、したことをそのまま言う 理由:何がよかったかを具体的に言うと、その行動がくり返されやすくなります。
- 「終わったら、おやつにしよう」と、終わったあとを先に見せる 理由:「〜したら〜できる」の言い方は、言い合いにならずに次の行動を示せます。
言いかえ
- 「なんでこんなのも分からないの」→「どこまで分かった?」 理由:止まった場所が分かると、次にやることが決まります。
- 「早くやりなさい」→「算数と漢字、どっちから始める?」 理由:2つから選ぶと、子どもが自分で決めた感覚を持てます。
- 「もう知らない、勝手にしなさい」→「分からなかったら、印をつけて呼んでね」 理由:見放すより、呼べる合図があると子どもは安心します。
- 「宿題やったの?」→「宿題、何時から始める?」 理由:やったかどうかを聞くと、責められているように聞こえやすくなります。始める時刻を子どもに決めてもらうと、自分で決めたことになり、動きやすくなります。
学年で変わるところ 低学年:低学年の宿題は、親がそばにいると安心する時期です。見張るのではなく、近くで別のことをしながら待ちます。 高学年:高学年の宿題は、親が見るほどぶつかりやすくなる時期です。時刻と場所だけを決めて、任せます。
考えてみてほしい問い 宿題の時間に、親がいちばんイライラするのは、どんな瞬間ですか?(その瞬間が分かると、前もって離れる・合図を決めるなど備えられます。)
今夜はしなくていいこと 宿題の横に、ずっと座って見張ること 理由:見られていると、子どもはまちがえるのを怖がり、親も口を出したくなるからです。
研究でわかっていること 大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすく、ふるまいも良くなりにくいと分かっています。言いすぎた日に一言で戻ることには、ちゃんと意味があります。
🔎 長く追いかけた調査:中学生がいる976家庭を、1年間追いかけた調査(アメリカ)(Wang, M.-T., & Kenny, S., 2014)
研究でわかっていること 宿題は、親が中身を教えこむより、「始める時刻と場所」を決めるほうが成果につながりやすい。
🔎 たくさんの研究のまとめ:親の宿題への関わり方を調べた研究のまとめ(アメリカ)(Patall, E. A., Cooper, H., & Robinson, J. C., 2008)
効いているかの見分け方(2週間後) 2週間後、宿題の時間に大声が出なかった日が増えていれば、効いています。
学校から頼まれていることがあるとき 学校から丸つけや音読カードのサインを頼まれている場合は、終わったあとにまとめてやる仕事として分けます。やっている最中には入りません。
お子さんに聞いてみる 「宿題のとき、どうしてほしい?」
- 「そばにいてほしい」と答えたら:そばにいてほしいなら、口を出さずに、同じ机で自分の用事をするだけで十分です。
- 「ほうっておいてほしい」と答えたら:ほうっておいてほしいなら、終わったら見せる、という約束だけにしてみてください。
- 「分からないとき教えてほしい」と答えたら:分からないとき教えてほしいなら、「分からなかったら呼んでね」と先に伝え、呼ばれるまで待ちます。
「朝の支度や寝る前など、時間に追われるとき」:時間に追われる場面は、親子とも余裕がありません
🏠 朝7時45分、まだパジャマ。「早くして!」を5回言って、家を出る前から1日分疲れている。
なぜ?と今夜の手順を見る
時間に追われる朝や夜は、だれでも余裕がなくなります。
なぜ? 朝や寝る前は、親も子も、疲れや眠さで余裕がない時間です。怒りやすい場面が決まっているなら、その場面の前に手を打てます。前の夜に1つ準備しておく、朝の順番を紙に書いて貼る。口で言う回数が減ると、怒る回数も減ります。
根拠:米国マウントサイナイ病院 親子センター、厚生労働省「体罰等によらない子育てのために」、米国疾病対策センター「指示の出し方」
今夜の手順
- 前の夜に、朝の準備を1つ済ませる(服を出しておくなど) 理由:朝に決めることが1つ減るだけで、声をかける回数が減ります。
- 朝の順番を紙に書いて貼り、子どもに印をつけてもらう 理由:何度も口で言うより、目で見える形のほうが親が言わずに済みます。
- 指示は1回に1つにする 理由:1つずつのほうが子どもが覚えて従いやすく、ほめる機会も増えます。
言いかえ
- 「早くしなさい!」→「あと5分で出るよ。くつ下をはこう」 理由:「早く」では何をすればいいか分かりません。次の1つだけを言うと動けます。
- 「何回言ったら分かるの」→「(近くで名前を呼んでから)〇〇、ランドセルを玄関に置いてね」 理由:名前を呼んで注意を向けてから、落ち着いた声で言うと届きやすくなります。
- 「いつまで準備してるの」→「あと3つ。くつ下、ぼうし、ランドセル」 理由:残りが見えると、子どもは動きやすくなります。
学年で変わるところ 低学年:低学年は、朝の準備を一人でやりきるのがむずかしい時期です。前の晩に1つ済ませます。 高学年:高学年は、自分の朝の時間を自分で決める練習をする時期です。起きる時刻を本人に決めさせます。
考えてみてほしい問い 朝がいちばんスムーズにいった日は、前の晩に何をしていましたか?(うまくいった朝の前の晩に、くり返せることがあります。)
今夜はしなくていいこと 明日の朝の分の注意を、今夜まとめてすること 理由:夜に言われても朝には残りにくく、寝る前の空気だけが重くなるからです。
研究でわかっていること 大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすく、ふるまいも良くなりにくいと分かっています。言いすぎた日に一言で戻ることには、ちゃんと意味があります。
🔎 長く追いかけた調査:中学生がいる976家庭を、1年間追いかけた調査(アメリカ)(Wang, M.-T., & Kenny, S., 2014)
効いているかの見分け方(2週間後) 2週間後、朝の「早くして」の回数が減っていれば、効いています。
お子さんに聞いてみる 「朝、いちばんいやなのは?」
- 「おきること」と答えたら:おきることなら、寝る時刻を15分早めるところから始めます。
- 「したく」と答えたら:したくなら、順番を紙に書いて、子どもが自分で印をつける形にします。
- 「急かされること」と答えたら:急かされることなら、「あと何分」を時計で見せる形に変えて、声かけを減らします。
「言うことを聞かないとき」:言うことを聞かないのにも、理由があります
🏠 同じことを3回言っても動かない。4回目で大声を出すと、やっと動く。それが毎日。
なぜ?と今夜の手順を見る
何度言っても聞かないと、声が大きくなってしまうのは自然なことです。
なぜ? 言うことを聞かない理由には、気を引きたい、子どもなりの考えがある、言われたことが分かっていない、体調、があります。大声は、伝えたい中身より怒りのほうが残り、子どもも大声で返すようになります。言うのは1回、短く具体的に。動かないときは2択にする。できたら、その場で言葉にする。
根拠:厚生労働省「体罰等によらない子育てのために」、米国マウントサイナイ病院 親子センター、米国疾病対策センター「指示の出し方」
今夜の手順
- 言うのは1回、短く具体的に(「〇〇を△△に入れてね」) 理由:「ちゃんとして」では、何をすればいいかが伝わりません。
- 動かないときは「AとBどっちからやる?」と選ばせる 理由:自分で選ぶと、言われてやる感じが減ります。
- ぐずる・文句を言う程度は、相手にしない 理由:小さな困った行動に注意を向けないと、その行動は減りやすくなります。
- できたら、その場で「入れてくれたね」と言う 理由:ほめられた行動は、くり返されやすくなります。
言いかえ
- 「ちゃんとして!」→「おもちゃを箱に入れてね」 理由:してほしいことを、そのまま言います。
- 「走らないで!」→「歩こうね」 理由:「〜しないで」より「〜しよう」のほうが、してほしい行動が伝わります。
- 「何回言ったら分かるの」→「(そばに行って、目を見てから)おもちゃを箱に入れてね」 理由:近くで目を合わせて言うと、言葉が届きやすくなります。
- 「静かにしなさい!」→「ここでは、ささやき声で話そうね」 理由:「しないこと」より「すること」を言うほうが、子どもは何をすればいいか分かります。声の大きさは、やって見せると伝わりやすくなります。
- 「言うことを聞きなさい!」→「1回だけ言うね。手を洗ったら、おやつにしよう」 理由:何度もくり返すほど、指示は聞き流されやすくなります。短く1回だけ言い、できたらすぐに「洗えたね」と伝えます。
学年で変わるところ 低学年:低学年は、指示が長いと最初の1つしか覚えていない時期です。1回に1つにします。 高学年:高学年は、理由が分かると動ける時期です。してほしいことに、理由を1つ添えます。
考えてみてほしい問い 子どもが1回で動いてくれたときは、どんな言い方をしていましたか?(うまくいった言い方が、わが家の言い方になります。)
今夜はしなくていいこと 同じ注意を何度もくり返すこと 理由:くり返すほど、言葉が聞き流されやすくなるからです。
研究でわかっていること 大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすく、ふるまいも良くなりにくいと分かっています。言いすぎた日に一言で戻ることには、ちゃんと意味があります。
🔎 長く追いかけた調査:中学生がいる976家庭を、1年間追いかけた調査(アメリカ)(Wang, M.-T., & Kenny, S., 2014)
研究でわかっていること 子どもが決めた遊びに親がつきあう時間をつくり、できたことを具体的に言うと、困った行動がへる。
🔎 たくさんの研究のまとめ:3〜12歳の親子向けプログラム24件をまとめた研究(Thomas, R., & Zimmer-Gembeck, M. J., 2007)
研究でわかっていること 🇯🇵 日本の家庭で確かめた研究親の関わり方を学ぶと、日本の家庭でも、子どもの困ったふるまいと親のストレスが減り、子育ての自信が高まった。
🔎 くらべる組を置いた調査:川崎市の保健センターに来た母親91人と、くらべる組24人の調査(日本)(Fujiwara, T., Kato, N., & Sanders, M. R., 2011)
効いているかの見分け方(2週間後) 2週間後、1回で動いた日が増えていれば、効いています。
お子さんに聞いてみる 「言われて、いちばんいやなのは?」
- 「何度も言われること」と答えたら:何度も言われるのがいやなら、言うのは1回だけにして、あとは紙やタイマーに任せます。
- 「大きな声」と答えたら:大きな声がいやなら、近くに行って、小さめの声で1回だけ伝えてみてください。
- 「理由を言ってもらえないこと」と答えたら:理由がほしいなら、「〇〇だから」を1つだけ添えます。
「きょうだいげんかのとき」:けんかの仲裁は、判定しないほうがおさまりやすくなります
🏠 「お兄ちゃんがたたいた!」「先にやったのはそっち!」。毎日のように呼ばれて、裁く役になっている。
なぜ?と今夜の手順を見る
きょうだいげんかの仲裁は、毎日だと親のほうが先にくたびれます。
なぜ? きょうだいげんかは、親の注目をとり合うことから起きやすいとされています。親が審判になると、けんかのたびに呼ばれるようになります。手が出たときだけ間に入り、それ以外は入らない。1人ずつ、短くても2人だけの時間をつくる。比べる言葉を使わない。この3つで、とり合う理由が減っていきます。
根拠:米国小児科学会「Sibling Rivalry」
今夜の手順
- 手が出たときだけ、すぐ間に入る。それ以外は、なるべく入らない 理由:親が審判になると、けんかのたびに呼ばれるようになるからです。
- 1人ずつ、週に何回か10分だけ2人の時間をつくる 理由:親の注目をとり合う必要が減ると、けんかも減りやすくなります。
- 「お兄ちゃんはできたのに」など、比べる言葉を使わない 理由:比べられた子は、自分のほうが大事にされていないと感じやすいからです。
言いかえ
- 「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」→「あなたはどうしたかったの?」 理由:年上だからと我慢させると、上の子に不満がたまります。
- 「どっちが悪いの?」→「2人で解決できたら教えてね」 理由:自分たちで解決できたときにほめると、その力が育ちます。
- 「お兄ちゃんなのに」→「2人とも、それぞれの言い分を聞かせて」 理由:くらべずに、1人ずつ話を聞きます。
学年で変わるところ 低学年:低学年のきょうだいげんかは、親が間に入りすぎないほうが、2人で解決する力がつく時期です。 高学年:高学年は、上の子が「いつも我慢させられている」と感じやすい時期です。1人ずつの時間をつくります。
考えてみてほしい問い それぞれの子と1対1で過ごした時間は、最近いつでしたか?(1人ずつの時間が、きょうだいの取り合いを減らすことがあります。)
今夜はしなくていいこと どちらが先に手を出したかを、裁くこと 理由:裁くと、どちらかが「親は味方じゃない」と感じやすいからです。
研究でわかっていること 大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすく、ふるまいも良くなりにくいと分かっています。言いすぎた日に一言で戻ることには、ちゃんと意味があります。
🔎 長く追いかけた調査:中学生がいる976家庭を、1年間追いかけた調査(アメリカ)(Wang, M.-T., & Kenny, S., 2014)
効いているかの見分け方(2週間後) 2週間後、親が呼ばれる回数が減っていれば、効いています。
お子さんに聞いてみる 「けんかのとき、どうしてほしい?」
- 「話を聞いてほしい」と答えたら:話を聞いてほしいなら、それぞれ別々に、1人ずつ聞く時間をつくります。
- 「止めてほしい」と答えたら:止めてほしいなら、手が出そうなときは間に入る、と約束しておきます。
- 「ほうっておいてほしい」と答えたら:ほうっておいてほしいなら、危なくないかぎり、少し離れて見守ってみてください。
怒ったあと、どうなるで、変わること
自分を責めてしまう 責めるより、落ち着いてから謝れば戻れます。「大きな声を出してごめんね。〇〇してほしかったんだ。あなたのことは大事だよ」と、理由と気持ちを伝えます。怒ったあとに落ち着いて謝り、つながりを戻すことが大事だとされています(米国マウントサイナイ病院の親子センター)。
子どもに謝れている 謝れているなら、大事な戻り方ができています。次は、怒りやすい場面を1つ書き出しておくと、前もって備えられます(米国マウントサイナイ病院の親子センター)。
そのままになる そのままになっているなら、今夜寝る前に「さっきは大きな声を出してごめんね」と一言だけ。怒ったあとに謝ることは、子どもに気持ちの戻し方を見せることにもなります(米国マウントサイナイ病院の親子センター)。
相談するときは、いつ・どこで・どんな様子だったかの記録がいちばん役に立ちます。上の見立てのあとに、日付つきで1行ずつ記録して、先生や医師に見せる形でコピーできます(この端末の中だけ)。
🗓️ つい怒ってしまうの2週間の道のり(1日目・3日目・7日目・14日目)
怒らない親になるのではなく、怒る回数と強さを少しずつ減らす2週間です。いま何日目で、次に何をするかは、この端末が覚えていて、その日になったら聞きます。
会話は、研究で効果が確かめられた関わり方を、家庭の場面に置きかえた例です(スクールコンパス編集部)。根拠と編集の決まり
いちばん怒ってしまうのは、どの場面ですか?
1日目:怒ってしまう場面を、1つだけ選ぶ
いつものやりとり
親何回言ったら分かるの! 早く宿題しなさい!
子いまやろうと思ってたのに!
やってみると
親(深呼吸を1つして、小さめの声で)あと5分で宿題の時間だよ。どうする?
子…じゃあ、このページを見たらやる
🇯🇵 日本では2020年4月から、しつけのための体罰は法律で禁止されています。国の手引きは、親を追い込むためではなく、体罰によらない子育てを社会全体で応援するためのものだとしています。
出典:厚生労働省「体罰等によらない子育てのために」(2020年)
やること:いちばん怒ってしまう場面(宿題・朝の支度・寝る前など)を1つ選び、その場面の前に「深呼吸を1つして、声を半分にする」と決める
なぜ?・しなくていいこと・使えるもの
なぜ? 大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすいことが分かっています。全部の場面を一度に変えるより、1つにしぼるほうが続きます。
しなくていいこと 怒ってしまった自分を、夜中まで責め続けること
根拠 🔎 研究:大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすく、ふるまいも良くなりにくいと分かっています。言いすぎた日に一言で戻ることには、ちゃんと意味があります。(Wang, M.-T., & Kenny, S.、2014)
言いかえ 「何回言ったら分かるの!」→「あと5分で〇〇だよ。どうする?」
使えるもの:子どもについ怒ってしまうときの、様子ごとの手順/怒ってしまうときの言いかえ/勉強しない…とイライラする夜に(夜に読む1通)/いまの気持ちを、まず書いて置いていく
3日目:怒る前の「間」を決めておく
いつものやりとり
子やだ! いまやらない!
親いいかげんにしなさい!
やってみると
子やだ! いまやらない!
親いま10秒休むね(水を1口飲む)
親よし。じゃあ、一緒にやろう
子…うん
やること:怒りそうになったら「水を1口飲む」「その場を10秒はなれる」など、自分の合図を1つ決める。子どもにも「いま10秒休むね」と先に伝えておく
なぜ?・しなくていいこと・使えるもの
なぜ? 間をとると、言う前に言葉を選び直せます。合図を先に伝えておくと、子どもも親がはなれたことを怖がらずにすみます。
しなくていいこと 言うことを聞かない理由を、その場で問いただすこと
根拠 この段は、研究にもとづく前後の段をつなぐための、編集部の工夫です(この手順そのものを確かめた研究ではありません)。
言いかえ 「いいかげんにしなさい」→「いま10秒休むね。そのあと一緒にやろう」
使えるもの:癇癪と切り替えができないとき(3ステップ)/宿題のことを、子どもと話して一緒に決める台本/きょうだいげんかで怒ってしまうとき
7日目:怒ってしまったあとの、やり直しの一言
いつものやりとり
寝る前。さっきのことは何も言わないまま、電気を消す
子どもは、怒られたことを気にしたまま眠る
やってみると
親さっきは大きな声を出してごめんね。〇〇してほしかったんだ
子…うん。あしたはがんばる
やること:怒ってしまった日は、寝る前に「さっきは大きな声を出してごめんね。〇〇してほしかったんだ」と1回だけ伝える
なぜ?・しなくていいこと・使えるもの
なぜ? 責めずに区切りをつけると、親も子も、次の日を同じ気持ちのまま始めずにすみます。浮かんだ「私はだめな親だ」という考えは、書き出してほかの見方を探すと軽くなりやすいことが分かっています。
しなくていいこと 謝ったあとに、もう一度お説教を足すこと
根拠 🔎 研究:浮かんだ考えを書き出して、ほかの見方を探す。この方法は、ストレスや怒りなど多くの悩みで効果が確かめられている。(Hofmann, S. G., Asnaani, A., Vonk, I. J. J., Sawyer, A. T., & Fang, A.、2012)
言いかえ 「あなたのせいで怒ったんだよ」→「大きな声を出してごめんね。〇〇してほしかったんだ」
使えるもの:「私の育て方が悪い」と思ってしまう夜に(考えの見直し)/夫婦で考えがちがうとき(ふたりで10問)/親のほうが疲れているとき
14日目:2週間をふり返って、次を決める
いつものやりとり
親(心の中で)また怒っちゃった。だめな親だ
やってみると
親(心の中で)前より1回少なかった。声も、前より小さかった
やること:2週間の印を見て、怒る回数か強さが減ったかを見る
なぜ?・しなくていいこと・使えるもの
なぜ? 怒る回数は、0にするものではありません。前より少し減っていれば、続けてきた関わり方が合っています。
しなくていいこと 0回にならなかったことを、失敗だと思うこと
根拠 この段は、研究にもとづく前後の段をつなぐための、編集部の工夫です(この手順そのものを確かめた研究ではありません)。
言いかえ 「また怒っちゃった、だめな親だ」→「前より1回少なかった」
3日目・7日目・14日目に、トップと子育て相談室で「その後どう?」と聞き、答えに合わせて次の段を出します。LINEとつないでいれば、日曜の夜の1通からも答えられます。記録はこの端末の中だけです。
流れが合っているかの見分け方と、もとにした研究
怒る回数か、怒ったときの声の大きさのどちらかが減っていれば、流れが合っています。2週間たっても減らない、手が出そうになる日があるときは、市区町村の子育ての相談窓口や親子のための相談LINEに話すときです。
研究でわかっていること 大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすく、ふるまいも良くなりにくいと分かっています。言いすぎた日に一言で戻ることには、ちゃんと意味があります。
🔎 長く追いかけた調査:Wang, M.-T., & Kenny, S.(2014)
研究でわかっていること 浮かんだ考えを書き出して、ほかの見方を探す。この方法は、ストレスや怒りなど多くの悩みで効果が確かめられている。
🔎 たくさんの研究のまとめ:Hofmann, S. G., Asnaani, A., Vonk, I. J. J., Sawyer, A. T., & Fang, A.(2012)
研究でわかっていること 親が疲れているときほど、子どもとのやりとりもむずかしくなりやすい。親が休むことは、子どもを支えることの一部です。
🔎 たくさんの研究のまとめ:Barroso, N. E., Mendez, L., Graziano, P. A., & Bagner, D. M.(2018)
研究でわかっていること 🇯🇵 日本の家庭で確かめた研究親の関わり方を学ぶと、日本の家庭でも、子どもの困ったふるまいと親のストレスが減り、子育ての自信が高まった。
🔎 くらべる組を置いた調査:Fujiwara, T., Kato, N., & Sanders, M. R.(2011)
相談できるところ
パートナーや身近な人に「今日こんなことがあった」と話す。お住まいの市区町村の子育ての相談窓口(こども家庭センターなど)。文字で相談したいときは、親子のための相談LINE(こども家庭庁)。手をあげてしまいそうなときは、児童相談所相談専用ダイヤル 0120-189-783(こども家庭庁)。ひとりで抱えなくて大丈夫です。
どこに連絡するか迷ったら:5つ選ぶだけの子育ての相談先ナビ(学校の外の窓口・電話で最初に言うことまで)
ほかのことも話したいときは、子育て相談室へ。ただ聞いてほしい日は受け止めるだけ、試すと決めた一手は3日後に「その後どう?」と続きを聞きます。
- 子どもと話して、一緒に決める(話し合いの3ステップの台本:宿題・ゲーム・朝の支度・きょうだいげんか)
- 「私の育て方が悪い」と思ってしまう夜に(考えの見直し・3つの欄)
- この悩みの声かけの言いかえ(言いかえ集)
ほかの悩みから探す
- 小学生の行き渋り・学校に行きたくない(朝泣く・母子分離・理由がわからない)
- 「学校に行きたくない」と言われた夜に、明日の朝のための一手
- 小学生の癇癪・パニック・すぐ怒る・話さない
- 子育てに疲れた・イライラが止まらない・愚痴を言える人がいない
- 子どもの体や発達が気になる
出典:厚生労働省「体罰等によらない子育てのために」(令和2年2月)、文部科学省「家庭教育支援推進のための調査研究(保護者アンケート)」報告書(令和6年9月)、米国の研究のまとめ:Patall, Cooper & Robinson (2008) Parent involvement in homework: A research synthesis. Review of Educational Research;米国疾病対策センター(CDC)「Tips for Giving Directions」;米国マウントサイナイ病院 親子センター「A Parent's Guide to Staying Calm」;米国ヴァンダービルト大学ケネディセンター「Positive Parenting」。スクールコンパスは医学的な判断はしません。
このページについて
書いた人:スクールコンパス編集部。最終確認日:2026年10月9日。
分かること:よくある様子ごとの「なぜそうなりやすいか」、今夜できること1つ、今夜はしなくていいこと、そのまま言える言葉、2週間後の見分け方、相談できる窓口。
分からないこと:お子さんの医学的な判断や診断。気になる様子が続くとき、生活への影響が大きいときは、担任の先生・スクールカウンセラー・かかりつけの小児科・市区町村の相談窓口に、記録を持って相談してください。
根拠にした資料
研究の選び方と言いかえ方、訂正の記録は子育て相談の根拠と編集の決まりにまとめています(書き手:スクールコンパス編集部)。
ひらいて読む(研究と公的資料)
研究でわかっていること(海外の論文と、日本の家庭で確かめた研究から)
論文は英語ですが、ここでは「ひとことで言うと何が分かったか」と「どんな研究か」を先に書き、くわしい中身と出典は下にまとめています。
- 大きな声やきつい言葉は、伝えたい中身より怒りのほうが子どもに残りやすく、ふるまいも良くなりにくいと分かっています。言いすぎた日に一言で戻ることには、ちゃんと意味があります。
🔎 長く追いかけた調査:中学生がいる976家庭を、1年間追いかけた調査(アメリカ)もう少しくわしく・出典
13歳の時点で親が怒鳴る・ののしるなどの厳しい言葉でしつけていた家庭では、その後の1年で子どもの問題行動と気分の落ち込みが増えていました。親がふだん温かくても、この影響は打ち消されませんでした。
気をつけること:米国の13〜14歳の子どもがいる976家庭の追跡調査です。小学生を直接調べたものではありません。
出典(英語):Wang, M.-T., & Kenny, S.(2014)Longitudinal Links Between Fathers' and Mothers' Harsh Verbal Discipline and Adolescents' Conduct Problems and Depressive Symptoms. Child Development, 85(3), 908-923 - 宿題は、親が中身を教えこむより、「始める時刻と場所」を決めるほうが成果につながりやすい。
🔎 たくさんの研究のまとめ:親の宿題への関わり方を調べた研究のまとめ(アメリカ)もう少しくわしく・出典
宿題への親の関わり方の研究をまとめたところ、関わり方を学んだ親の小学生の子どもは、宿題をやり終える率が上がり、宿題でのつまずきが減っていました。関わり方の中では、時刻や場所などの決まりをつくることが、成績といちばん強く結びついていました。
気をつけること:どの関わり方が合うかは学年で変わり、中学生では親の関わりが成績とマイナスに結びつく結果もありました。
出典(英語):Patall, E. A., Cooper, H., & Robinson, J. C.(2008)Parent involvement in homework: A research synthesis. Review of Educational Research, 78(4), 1039-1101 - 子どもが決めた遊びに親がつきあう時間をつくり、できたことを具体的に言うと、困った行動がへる。
🔎 たくさんの研究のまとめ:3〜12歳の親子向けプログラム24件をまとめた研究もう少しくわしく・出典
3〜12歳の子どもと親を対象にした24の研究をまとめたところ、親子相互交流療法(子どもが決めた遊びに親がついていく時間、具体的にほめる、短く1つずつ指示する)などの親向けプログラムで、子どもの行動の困りごとと親の困りごとがどちらも減っていました。
気をつけること:専門家が指導するプログラムの研究です。家で1つの手順だけを取り入れたときの効果を測ったものではありません。
出典(英語):Thomas, R., & Zimmer-Gembeck, M. J.(2007)Behavioral Outcomes of Parent-Child Interaction Therapy and Triple P-Positive Parenting Program: A Review and Meta-Analysis. Journal of Abnormal Child Psychology, 35(3) - 🇯🇵 日本の家庭で確かめた研究親の関わり方を学ぶと、日本の家庭でも、子どもの困ったふるまいと親のストレスが減り、子育ての自信が高まった。
🔎 くらべる組を置いた調査:川崎市の保健センターに来た母親91人と、くらべる組24人の調査(日本)もう少しくわしく・出典
川崎市の保健センターに来た母親が、グループで親の関わり方を学ぶプログラム(トリプルP)を受けました。受けた組だけで、子どもの困ったふるまい、つい強く叱るなどの関わり方、親のうつ・不安・ストレス、子育ての大変さの感じ方が減り、子育ての自信が高まりました。
気をつけること:くじで組を分けた試験ではなく、くらべる組も24人と少ない研究です。研究者の中に、このプログラムを考えた本人(サンダース博士)が入っています。このプログラムの研究全体については、考案者がかかわる研究が多い点が、ほかの研究者から指摘されています。米国などの研究で分かった「きつい言葉を減らす」「親が自分の疲れに目を向ける」といった関わり方が、日本の家庭でも働きうることを示す1本として読んでください。
出典(英語):Fujiwara, T., Kato, N., & Sanders, M. R.(2011)Effectiveness of Group Positive Parenting Program (Triple P) in Changing Child Behavior, Parenting Style, and Parental Adjustment: An Intervention Study in Japan. Journal of Child and Family Studies, 20(6), 804-813
保護者アンケートで「子供に手を加えてしまいそうになるときがある」と答えた人は15.1%でした(文部科学省、2024年)。
答えは、米国の心理学・小児科・公衆衛生の研究と公的資料、日本の公的資料をもとにしています。海外の資料は、やり方(どう関わると効くか)だけを使い、日本の学校のしくみに合わないところは書き分けています。
よくある質問
Q. イライラして怒ってしまう。自分の育て方が悪かったの?
A. 怒ったあと、寝顔を見て「また言いすぎた」と眠れなくなる夜、ありますよね。イライラが強いのは、育て方のせいとは限りません。親が疲れている時間帯(朝の支度・夕方の宿題)に、同じ場面がくり返されると、だれでも強く言いやすくなります。今夜できるのは、子どもが起きているうちに一言だけ。「さっきは言いすぎた。ごめんね。」それ以上の説明はいりません。2週間、怒ったあとにこの一言を言えた日を数えて、子どもが自分から寄ってくる日が増えていれば、戻れています。
Q. 教える役と見守る役を、同時にやらないようにします(どうすればいい?)
A. 決めるのは「時刻と場所」だけにする
Q. 時間に追われる場面は、親子とも余裕がありません(どうすればいい?)
A. 前の夜に、朝の準備を1つ済ませる(服を出しておくなど)
Q. 言うことを聞かないのにも、理由があります(どうすればいい?)
A. 言うのは1回、短く具体的に(「〇〇を△△に入れてね」)
Q. けんかの仲裁は、判定しないほうがおさまりやすくなります(どうすればいい?)
A. 手が出たときだけ、すぐ間に入る。それ以外は、なるべく入らない
Q. 子どもに怒鳴ってしまったあと、どう謝ればいいですか?
A. 落ち着いてから、短く謝ります。「さっきは大きな声を出してごめんね。ほんとうは〇〇してほしかったんだ」。怒った理由の説明を長くすると、子どもにはまた叱られているように聞こえます。謝ることは負けではなく、気持ちが崩れたあとに関係を戻すやり方を、子どもに見せることにもなります。
Q. 子どもに言いすぎてしまいます。言う前に止めるには?
A. 言いすぎるのは、時間に追われる朝や、宿題・寝る前など、決まった場面で起きやすくなります。先に「言いそうな言葉」と「かわりに言う1文」を決めておくと、その場で口から出やすくなります。たとえば「早くしなさい!」は「あと5分で出るよ。くつ下をはこう」に。子育て相談室の「いま、言いすぎそうなとき」では、場面と言いそうな言葉を押すだけで、かわりの1文が出ます。間に合わなかった日は、寝る前に「大きな声を出してごめんね」と一言で戻れば十分です。
Q. 塾や宿題で、毎晩親子げんかになります。
A. 親が決めるのは「始める時刻と場所」だけにして、分からない問題は印をつけて呼んでもらい、呼ばれるまで見ないようにします。横で見ていると、子どもはまちがえるのを怖がり、親も口を出したくなるからです。毎晩終わらないなら、量そのものが多すぎるかもしれません。家でかかっている時間を、担任の先生や塾の先生に伝えてください。
Q. 毎日怒ってばかりで、子どもへの影響が心配です。
A. 心配になるのは、子どものことを考えているからです。きつい言葉で怒ることが長く続くと、子どもの気持ちや行動に影響しうるという米国の研究があります。ただ、1回怒ってしまったことで決まるわけではありません。大事なのは、そのあとに「さっきは大きな声を出してごめんね」と戻ることと、怒りやすい場面を1つ見つけて、その前にやることを1つ減らすことです。
Q. 子育てでイライラが止まらないのは、私がおかしいのでしょうか?
A. おかしくありません。イライラは、疲れているとき、眠りが足りないとき、時間に追われているときに強く出ます。まず、イライラしやすい時間(朝・宿題・寝る前など)を1つ書き出し、その前にやることを1つ減らします。気持ちを言葉にするだけでも、少し落ち着きやすくなります。続いてつらいときは、子育て相談室の「ただ聞いてほしい」や、市区町村の子育ての相談窓口へ。
Q. 怒らない子育ては、どうすればできますか?
A. 「怒らない」を目標にすると、怒ってしまった日に自分を責めやすくなります。目標は「怒る回数を減らす」と「怒ったあとに戻る」の2つにします。指示は1回に1つ、短く具体的に。動かないときは「AとBどっちからやる?」と選んでもらい、できたらその場で「入れてくれたね」と言います。ぶつかる場面が減りやすくなります。
Q. 子どもについ怒ってしまうのを、2週間でどう変えていけばいいですか?
A. 1日目は、いちばん怒ってしまう場面を1つだけ選び、その前に深呼吸を1つして声を半分にすると決めます。3日目は怒る前の「間」の合図を決め、7日目は怒ってしまった日に寝る前のやり直しの一言を伝えます。14日目に、怒る回数か強さが減ったかを見ます。このページの「つい怒ってしまうの2週間の道のり」を始めると、その日になったら次にやることを出します。
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つい怒ってしまうとき、よく調べられていること
怒りすぎた日の夜、どうすればいい?
寝る前に「さっきは大きな声を出してごめんね」と一言だけ。謝ることで、親子のつながりを戻せます。
イライラしやすいのは、自分の性格?
疲れている、眠りが足りない、時間に追われている、のどれかが重なると、だれでもイライラしやすくなります。性格より条件で起きていることが多いのです。
子育てに向いてないと思う
子育てに向いてないと思うときで、今夜やることを1つ決められます。
怒ってしまう場面を一緒に減らしたいときは、子育て相談室へ。