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「ケガをさせたくない。でも練習を減らすと下手になる気がする」。この2つは、じつは矛盾していません。休む日を決めた子のほうが、けがで長く休まずにすみ、結果として練習の総量が減らないからです。それを、子どもがいちばん知っている選手の話から入ります。
びっくり大事実! メッシ選手は、小学生のころクラスでいちばん小さかったそうです。10〜11歳のときに「体をのばすホルモンが少ない」と医師に言われ、毎日注射を打つ治療を何年も続けました。本人がインタビューで「治療はとても高くて、家族には大変だった」と話しています(2026年1月・beIN SPORTS)。それでもボールをける練習はやめず、13歳でスペインのバルセロナに行き、クラブが治療の費用を出してくれました。
大人になってからも、話は続きます。2013年から2014年ごろ、メッシ選手は試合の途中で気持ち悪くなって吐いてしまうことが何度もあり、筋肉のけがも続いていました。2014年、イタリアの栄養士ジュリアーノ・ポーザーさんのところへ行って、毎日の食べ物を見直しました。メッシ選手は「気持ち悪くなることは、それからなくなった」と話しています。次のシーズン(2014-15)は58点をとって、チームは3つのタイトルをとりました。
つまり、なぜ? 速さの練習でもボールの練習でもなく、「食べる・休む・治す」を変えたから。強い選手ほど、体のお手入れを練習と同じくらい大事にしているのです。
出どころ:ESPN 2015年6月12日(ポーザー氏本人が食事の見直しを確認)、Ballon d'Or 公式サイト 2026年4月20日(本人の発言の引用)、Sports Illustrated 2026年9月、beIN SPORTS 2026年1月7日(成長ホルモン治療についての本人の発言)、Yahoo Sports 2026年7月15日(少年時代の主治医の証言)。食事の細かい中身(5つの食べ物、砂糖を減らす、など)は栄養士側の発言の再報道で、本人が公表したものではありません。けがの減少を食事だけの結果と決めつけることはしません。
メッシ選手の話で家庭が持ち帰れるのは、「食事を変えれば速くなる」ではありません。体のお手入れは、練習と同じ重さで予定に入れるものだという順番です。成長期の子どもについて、公的な機関と学会が書いているのは次の4つです。
1 休む日を週に1〜2日、決めておく。米国小児科学会(AAP)の2024年の臨床報告は、競技とその競技の練習から週に少なくとも1〜2日離れること、1つの競技から年に2〜3か月離れることを勧めています。複数の競技をやっている子は、掛け持ちで休む日が消えないようにすること、とも書いています。
2 回復(食べる・水を飲む)を練習の一部にする。AAPの2020年の報告は、練習・試合・回復・成長のために十分な水分とカロリーが要り、練習量が多いのに回復も栄養も足りない子は、オーバートレーニング・けが・病気の危険がある、と書いています。夜の練習のあとにご飯を抜いて寝る、が一番の落とし穴です。
3 柔軟性と体幹。同じ2020年の報告は、体幹(腹・腰・おしり)の練習が競技の土台になること、準備運動は動きながら温め、終わりに軽く伸ばすことを求めています。跳ぶ運動とバランスの運動を組み合わせた予防プログラムが、ひざの靭帯のけがや足首のねんざの減少に効いたという研究もまとめています。
4 睡眠。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、小学生に9〜12時間の睡眠を勧めています。夜の練習で寝るのが遅くなる週は、朝の起きる時刻から逆算して、練習のあとの過ごし方を決めます(次のページ「睡眠と身長・回復」)。
出典:AAP「Overuse Injuries, Overtraining, and Burnout in Young Athletes」Pediatrics 2024;153(2) publications.aap.org/AAP「Resistance Training for Children and Adolescents」Pediatrics 2020;145(6)/厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 mhlw.go.jp(PDF)子どもは「痛い」を「疲れた」「やりたくない」と言うことがあります。親が見るのは、言葉より次の並びです。受診の目安は、日本臨床スポーツ医学会の提言と日本整形外科学会の一般向け情報の表現に合わせています。診断はしません。
| 見えること | 体で起きている可能性 | 家でどうするか |
|---|---|---|
| 練習のあとだけ痛い。次の朝は平気 | 使いすぎの入口。筋肉や腱の疲れ | その日は動きを減らす。翌日も同じなら、練習の量を家族で1段階落とす |
| ひざの下の骨が出っぱって、押すと痛い(10〜12歳ごろ) | 成長期に多いひざの痛み(オスグッド病)として日本整形外科学会が一般向けに案内している症状 | 走る・跳ぶを減らして、医療機関で確かめる。詳しくは成長痛・オスグッドの話 |
| 投げる子の ひじの内側の痛み、動かしにくさ | 野球ひじ。日本臨床スポーツ医学会の提言は、発生のピークを11〜12歳としている | 投げるのをやめて、専門の医療機関へ。提言は「痛みと動きの制限に注意」を指導者に求めている |
| かばう走り方、片足で着地しない、階段をいやがる | 痛みを言葉にしていないサイン | 「痛い?」ではなく「どこがいや?」と聞く。動画に撮って、前と比べる |
| 腫れ、熱をもつ、夜も痛い、2週間続く | 使いすぎの範囲を超えている可能性 | 練習を止めて、医療機関へ。再開は医師と決める |
出典:日本臨床スポーツ医学会「青少年の野球障害に対する提言」(野球ひじの発生ピークは11、12歳。小学生は全力投球1日50球以内・週200球以内、週1日以上の休養日) rinspo.jp(PDF)/日本整形外科学会「症状・病気をしらべる オスグッド病」 joa.or.jp
今週の予定に、休む日と回復を書き入れる表です。練習の日を入れると、AAPの「週1〜2日は競技から離れる」と照らして、休む日が足りているかが出ます。
練習・試合がある曜日にチェック:
2つ以上の競技を掛け持ちしている家庭は、両方の曜日をチェックしてください。AAPは、掛け持ちで休む日が消えないことを求めています。
反動をつけない。痛みが出る手前で止める。お風呂上がりが一番やりやすい時間です。
このページは医学的な助言をするものではありません。診断や治療については医療機関にご相談ください。事実は文中に示した公的機関・学会・競技団体の資料と、複数の主要報道で確かめられた範囲だけを書いています。制作 スクールコンパス編集部