吃音症(きつおん)とは? 子どもの吃音の原因と、家でできること
💬 話すたびに言葉がつかえるわが子を見ていると、代わりに言ってあげたくなったり、「私の育て方のせい?」と思ったりしますよね。吃音は、親の育て方が原因ではありません。
今夜できること1つ 今夜は、子どもが話し始めたら、手を止めて目を見て、最後まで待ってください。「ゆっくり言って」「もう一回」は言わずに、話の中身に返事をします。
🧭 わが家の場合は? 話し方の様子を選ぶと、ことばの教室や言語聴覚士に渡せるメモができます →吃音(きつおん)とは、「ぼ、ぼ、ぼく」(くり返し)、「ぼーーく」(引きのばし)、「……っぼく」(ことばが出ない)のように、話すときに言葉がなめらかに出ない状態です。多くは2〜4歳ごろに始まり、その7〜8割は自然に軽くなります。男の子に多く、生まれつきの話し方の脳の働きの特徴などが関わっていると考えられています。
吃音は、うちの子だけ? 年齢ごとの様子と、相談の目安
うちの子だけ、ではありません。日本の3歳児の調査では6.5%に吃音が見られ、3歳までに一度でも吃音が出た子は8.9%(およそ10人に1人)でした。大人になっても続くのは1%弱です。
年齢が上がると、自然に治る割合は下がっていきます。1年以上続くときや、本人が話すことを避けるようになったときは、早めに相談してください。
| 年齢 | よくある様子 | 家でできること | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 2〜4歳 | 言葉が急に伸びる時期に始まりやすい。日によって強さが変わる | 最後まで聞く。言い直させない | 保健センター、小児科 |
| 5〜6歳 | 言葉が出ないときに、まばたきや手足の動きが出ることがある | 話の中身に返事をする。話すのが楽しい時間をつくる | 言語聴覚士(幼児の治療の有効率は約7割) |
| 小学校低学年 | 音読や発表、からかいで話すことを気にし始める | 学校での様子を聞き、先生と配慮を相談する | ことばの教室(通級)、言語聴覚士 |
| 小学校高学年 | 話す場面を避ける、言いかえでごまかす | 本人が「どうしてほしいか」を一緒に考える | ことばの教室、病院の言語聴覚士 |
この表のもとにした研究・資料(ひらく)
出典:国立障害者リハビリテーションセンター ほか 2024(日本の3歳児:有症率6.5%、累積発症率8.9%)、幼児吃音の臨床ガイドライン(自然に治る割合7〜8割、有効率約7割の治療法)、成人の有症率1%弱。
ことばの教室や言語聴覚士に渡せる「話し方の様子メモ」は、このすぐ下にあります。
話し方の様子メモ(ことばの教室・言語聴覚士・学校へ)
💬 相談に行くとき、「どう説明すればいいか分からない」と迷いますよね。家で見ている様子を、そのまま伝えられる形にします。
1. 見られる形(いくつでも)
2. 始まってから
3. 出やすい場面(いくつでも)
4. 本人の様子
吃音の3つの形
💬 話すたびに言葉がつかえるわが子を見ていると、「代わりに言ってあげたい」と思いますよね。その気持ちは自然なものです。
- くり返し:「ぼ、ぼ、ぼくね」
- 引きのばし:「ぼーーくね」
- ことばが出ない(ブロック):「……っぼくね」と、最初の音が出るまで時間がかかる
言葉を出そうとして、まばたきをしたり、手足を動かしたりすることもあります。歌うときや、みんなで声をそろえて読むときは、つかえにくいことが多いです。
原因は? 親のせい?
💬 「私の育て方のせい?」と自分を責めていませんか。
吃音は、親の育て方が原因ではありません。生まれつきの話し方の脳の働きの特徴や、言葉が急に伸びる時期の発話の運動の発達などが関わっていると考えられています。男の子に多いことも分かっています。
家での関わり方
💬 何か特別なことをしなければ、とあせらなくて大丈夫です。
- 話し終わるまで、ゆっくり待って最後まで聞く。
- 「ゆっくり言って」「もう一回」と言い直させない。先回りして言わない。
- 話し方ではなく、話の中身に返事をする(「そうなんだ、それでどうしたの?」)。
- 親がゆったり話し、家で話すのが楽しい時間をつくる。
- からかわれていないか、話すことを避けていないかを見る。
相談先と、治療の考え方
💬 「このまま様子を見ていていいの?」と迷いますよね。相談するかどうかの目安があります。
幼児期は、リッカム・プログラム(オーストラリアで開発された、親が家で取り組む方法)など、有効率が約7割の方法がいくつか確立されています。小学生では、ことばの教室(通級による指導)や、病院の言語聴覚士に相談できます。学齢期以降は自然に治る割合が下がるので、1年以上続くときや、本人が気にしているときは早めに相談してください。
子ども本人の気持ちに寄り添う
💬 子どもが「どうしてうまく言えないの」と泣いたとき、何と言えばいいか分からなくなりますよね。
小学生になると、子どもは自分の話し方に気づき、気にし始めることがあります。そんなときは、「言いにくいことがあるんだね。お母さん(お父さん)は、あなたの話を聞くのが好きだよ」と、話し方ではなく話してくれたことを受け止めてください。吃音について家で話題にしてもいい雰囲気があると、子どもは困ったときに相談しやすくなります。米国言語聴覚協会も、吃音を隠すべきものとして扱わず、親子で話せる関係をつくることをすすめています。
音読・発表・電話の具体的な工夫
💬 音読の宿題や発表の日が近づくと、子どもも親も緊張しますよね。
- 音読:家では親と声をそろえて読む(声をそろえるとつかえにくくなります)。学校にも、みんなで読む形をお願いできます。
- 発表:先に家で1回練習し、言いにくい言葉は言いやすい言葉に置きかえておく。順番を早めにしてもらうと、待つ間の緊張が減ります。
- 電話・初めての人:無理に練習させず、本人が「やってみたい」と言ったときに、短い言葉から。
学校での配慮
💬 音読や発表のある日の朝に元気がないと、心配になりますよね。
音読をみんなで声をそろえて読む形にする、発表の順番や時間に余裕をもたせる、からかいには先生が対応する、などを学校に相談できます。本人が「どうしてほしいか」を先に聞いて、先生と共有します。このページの「話し方の様子メモ」も使えます。
よくある質問
吃音は治りますか?
幼児期に始まった吃音の7〜8割は、自然に軽くなります。学齢期以降は自然に治る割合が下がるので、続くときは、ことばの教室や言語聴覚士に相談してください。
言い直させたほうがいいですか?
いいえ。言い直させたり「ゆっくり」と指示したりすると、話すことへの不安が強くなることがあります。話の中身に返事をしてください。
歌うときはつかえないのはなぜ?
歌や、みんなで声をそろえて読むときは、リズムに乗って話すため、つかえにくくなることが多いと知られています。
どこに相談すればいいですか?
小学生なら、学校のことばの教室(通級)、市区町村の教育相談、病院の耳鼻咽喉科・リハビリテーション科の言語聴覚士に相談できます。
からかわれたらどうすれば?
本人の話を聞いたうえで、担任の先生に伝えてください。吃音について、クラスに説明してもらうことで、からかいが減ることもあります。
このページで使っている資料
- 国立障害者リハビリテーションセンター ほか 2024(日本の3歳児の吃音:有症率6.5%、累積発症率8.9%)
- 幼児吃音の臨床ガイドライン(自然に治る割合7〜8割、有効率約7割の治療法)
- Yairi・Ambrose 2005(発症率約5%・有病率約1%)
- 米国言語聴覚協会(ASHA)の保護者向け情報
- 国立障害者リハビリテーションセンター顧問の解説(学齢期以降は自然に治る割合が下がる)
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