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動画サイトは、なぜ「次はこれ」がわかるの?

1本だけ、と言って始めたはずだった。

気がつくと、40分たっている。

しかも、次に出てくるのが、なぜか見たいものばかり。

あの「次はこれ」を、いったい誰が決めているんだろう。

この読み物は、お子さんと並んで読む作りです。見過ぎを注意するためのページではありません。しくみが分かると、注意の言葉が要らなくなる場面がある、というだけの話です。

まず1分
だれかが選んでいるのではない。記録から決まっている

動画どうがサイトは、あなたがなにたかを記録きろくしています。
たもの、とちゅうでやめたもの、最後さいごまでたもの、もう一度いちどたもの。ぜんぶべつ合図あいずになります。
そして、あなたとかたをしているひとたちが、つぎたものをしてきます。
だから、ればるほど「よくたる」ようになります。てているのではなく、あつまった記録きろくえているだけです。

しくみ(3分)
「似た人」を手がかりにする

いちばん基本的な考え方は、とてもかんたんです。同じようなものを見ている人どうしを、まとめて考えます。

みた どうがの きろく じぶん どうが A どうが B どうが C にた 人 1 どうが A どうが B どうが Z にた 人 2 どうが B どうが C どうが Z にた 人が みていて、じぶんが まだ みて いない もの どうが Z ← これが 「つぎは これ」 みる ほど きろくが ふえ、にた 人が はっきり して、よく あたる ように なる。

図 おすすめの基本的な考え方。似た見方をしている人が見ていて、自分がまだ見ていないものを前に出す。実際にはもっと多くの手がかりが使われるが、骨組みはこの形。

実際には、これに加えていろいろな手がかりが使われます。何時に見ているか、どんな端末で見ているか、どこで止めたか。「最後まで見た」は強い合図で、「すぐやめた」も同じくらい強い合図です。好きだと言わなくても、態度で伝わってしまうわけです。

止まれない理由も、しくみの側にある

次の1本が自動で始まる。次に見たいものが、いちばん押しやすい位置に出る。これは偶然そうなっているのではなく、続けて見てもらうために作られた形です。

ここが、この読み物でいちばん伝えたいところです。40分たってしまったのは、意志が弱いからではありません。そうなるように作られたものの中に入っていただけです。だから、対策も気持ちの側ではなく、始める前の手順の側に置くほうがうまくいきます。

おとなの一歩先
泡の中にいる、と呼ばれている状態

ここから先は、大人が読んで面白いところです。先にひとりで読んでおいても構いません。

この「よく当たる」には、裏側があります。総務省の令和6年版情報通信白書は、フィルターバブルを、アルゴリズムが個人の検索履歴やクリック履歴を分析し学習することで、その利用者にとって望むと望まざるとにかかわらず見たい情報が優先的に表示され、利用者の観点に合わない情報からは隔離され、自身の考え方や価値観の泡の中に孤立する状況を指す、と説明しています。

あわせてエコーチェンバーという言葉も出てきます。同じ意見の人々が集まり、同じような意見を聞き合うことで、自分の意見が間違いないものと信じ込み、多様な視点に触れることができなくなってしまう現象、とされています。

大事なのは、これが「悪い会社がやっていること」として書かれていない点です。よく当たるおすすめを作れば、自動的にこの性質がついてくる、という構造の話として整理されています。おすすめが正確になることと、視野がせまくなることは、同じしくみの表と裏なのです。

もうひとつ。無料で使えるサービスには、どこかで費用をまかなう方法があります。多くの場合、それは広告の表示や、集めた情報をもとにした事業です。つまり、こちら側が差し出しているのはお金ではなく、見ている時間と、その記録ということになります。おすすめの精度が高いことは、記録がよく集まっていることの裏返しでもあります。

この話を子どもにするとき、「気をつけなさい」で終わらせないほうが伝わります。しくみを知っている人と知らない人の差は、こわがるかどうかではなく、自分で列を選び直せるかどうかだからです。

出典(公式) 総務省「令和6年版 情報通信白書」生成AIが抱える課題(フィルターバブル・エコーチェンバーの説明を含む)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd141100.html

家でできる3つの操作

やること効きめ
自動再生を切る次の1本が勝手に始まらなくなります。「もう1本見る」を、そのつど自分で選ぶ形に戻ります。設定の場所はサービスごとに違うので、お使いの画面でお確かめください。
見る前に本数を口に出す「3本まで」と先に決めてから始めます。始めたあとに決めるのは、しくみの側が強いので分が悪くなります。時間ではなく本数のほうが、子どもには数えやすいことが多いです。
ときどき、検索から入るおすすめの列からではなく、自分で言葉を入れて探す回を作ります。泡の外側に自分で出る練習になります。親子でやると、出てくるものの違いが面白い実験になります。

3つとも、うまくいかない日があります。それは失敗ではなく、しくみのほうが強い日だった、というだけのことです。

読んで終わりにしない1枚おうち実験カード(A4・印刷用・無料)。よそう・けっか・きづいたことを書いて残せます。自由研究のまとめにも使えます わかったかどうか、デジタルはかせ検定でためせますおすすめのしくみの問題は2級に入っています。全30問・無料・登録不要

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