学習障害(LD)とは? 子どもの特徴と気づき方、家と学校でできること
💬 何度練習しても字が覚えられない、音読がたどたどしい。毎日の宿題のたびにぶつかって、「なまけているの?」と思ってしまう日もありますよね。学習障害は、努力不足ではありません。
今夜できること1つ 今夜の宿題は、量を半分にして、残りは「口で言えたらOK」にしてください。書けないことと、分かっていないことは別です。
🧭 わが家の場合は? つまずきを選ぶと、家でできる工夫と、先生への伝え方の文ができます →学習障害(LD)とは、知的な発達に遅れはないのに、読む・書く・計算するなど特定のことだけが極端にむずかしい状態です。文部科学省は「聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する」のどれかが極端にむずかしい状態とし、医学では限局性学習症と呼びます。読み書きの困難はディスレクシアとも呼ばれます。
学習障害は、うちの子だけ? 学年別のつまずき方
うちの子だけ、ではありません。日本の小中学校の通常の学級で、学習面に著しい困難があると先生が見ている子は6.5%います(診断ではなく先生の見立て)。1クラスに2人ほどの計算です。
学年が上がるほど、勉強の中身がむずかしくなり、つまずきが見えやすくなります。
| 学年 | つまずきが見えやすいところ | 家でできること | 学校にお願いできること |
|---|---|---|---|
| 小学1・2年生 | ひらがな・カタカナを覚えにくい、音読がたどたどしい、くり上がり・くり下がり | 親が先に読んで追い読み、おはじきで数を見せる | 音読の量の調整、ふりがな |
| 小学3・4年生 | 漢字・文章題・板書の書き写し、九九 | 漢字は量を減らして見ないで思い出す練習、九九表を使ってよい | 板書を写真に、テストの読み上げ |
| 小学5・6年生 | 長い文章の読み取り、作文、分数・割合 | タブレットの読み上げ、作文は口で話してから書く | タブレットの使用、テスト時間の延長、通級 |
この表のもとにした研究・資料(ひらく)
出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」(2022年、学習面で著しい困難を示す 6.5%)、文部科学省の学習障害の定義、米国精神医学会 DSM-5(限局性学習症)、米国 National Reading Panel 2000。
つまずきを選んで、家での工夫と先生への伝え方を作れる「つまずきメモ」は、このすぐ下にあります。
つまずきメモ:家でできる工夫と、先生への伝え方
💬 「どこでつまずいているのか」が見えると、親も子も少し楽になります。できないことを責めるためではなく、合う学び方を見つけるためのメモです。
米国では、読み書きや計算に困難がある子に、学び方の工夫(読み上げ・道具・時間)を学校と家で一緒に決めます。日本でも、つまずきを具体的に伝えると、学校に「合理的配慮」をお願いできます。
いちばん近いつまずき(いくつでも)
学習障害の主な3つ(読む・書く・計算)
💬 「努力が足りないのでは」と言われたり、自分でもそう思ったりして、つらくなっていませんか。学習障害は努力不足ではありません。
- 読みの困難(ディスレクシア):文字を音にするのに時間がかかる、行を飛ばす、似た字(「わ」と「ね」など)をまちがえる、音読がたどたどしい。
- 書きの困難:字の形が整わない、マスからはみ出す、漢字を覚えにくい、書き写すのに時間がかかる。
- 算数の困難:数の大小やくり上がりが分かりにくい、九九が覚えられない、文章題の意味がつかめない。
文部科学省は「聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する」のどれかが極端にむずかしい状態を学習障害としています。医学では「限局性学習症」と呼びます。
家でできること
💬 毎日の宿題のたびにぶつかってしまうと、親子とも疲れますよね。やり方を変えると、同じ勉強でも楽になります。
- 読む:親が先に読んで子どもが追って読む、定規を当てて1行ずつ読む、タブレットの読み上げを使う。
- 書く:マスの大きいノート、なぞり書き、量を減らす。書けなくても、口で言えたら理解しているとみなす。
- 計算:おはじきやお金で数を目に見える形に、九九の表を見ながら解いてよい。
米国の読みの指導の研究のまとめでは、文字と音の決まり(日本語なら「かな」と音の対応)を、くり返し目と耳で確かめる練習が、読みの力を伸ばすことが分かっています。
学校での支え(合理的配慮・通級)
💬 先生にどう伝えればいいか、「特別扱いを頼むみたいで気が引ける」と迷いますよね。合理的配慮は特別扱いではなく、学ぶための当たり前の工夫です。
タブレットでの読み上げ、板書を写真に撮る、テストの問題文を読み上げてもらう、ふりがなをつける、テスト時間をのばす、などを「合理的配慮」としてお願いできます(2024年4月から私立を含めて義務)。困りごとが大きいときは、週に何時間か別の教室で学ぶ「通級による指導」もあります。このページの「つまずきメモ」で、先生に伝える文ができます。
診断と相談先
💬 「検査を受けさせるのはかわいそう」と迷う方もいます。検査は、できないところを探すためではなく、合う学び方を見つけるためのものです。
まず担任の先生・特別支援教育コーディネーターに、学校での様子を聞きます。小児科(発達を診る外来)・児童精神科、市区町村の教育相談センターで、読み書きの検査を受けられることがあります。
ディスレクシア(読み書き障害)とは
💬 「ディスレクシア」という言葉を聞いて、くわしく知りたくなった方もいるかもしれません。
ディスレクシアは、学習障害の中でも、文字を読むこと・書くことに困難がある状態を指します。知的な遅れや目の見え方の問題はないのに、文字を音にする(読む)・音を文字にする(書く)ことに、ほかの子よりずっと時間とエネルギーがかかります。話して説明するのは得意なのに、文字になると急にできなくなる、というのがよくある姿です。日本語では、ひらがなは読めても、漢字やカタカナ、長い文章になると困難がはっきりすることがあります。
タブレットの読み上げ・音声入力の使い方
💬 「道具に頼ると、ますますできなくなるのでは」と心配になりますよね。道具は、学ぶ力を奪うものではなく、学ぶ入口を広げるものです。
- 読み上げ:教科書や本の文章を、タブレットで読み上げて耳で聞く。内容が分かると、授業についていけるようになります。デジタル教科書には読み上げの機能があります。
- 音声入力:作文や日記は、まず話して文字にしてから直す。書く負担が減ると、考える力を使えるようになります。
- 写真:板書や連絡帳は写真に撮って、家で見返す。
米国では、読み書きに困難のある子に、こうした道具を授業やテストで使うことが、学ぶための配慮として広く認められています。日本でも、学校に相談して使えるようになってきています。
英語の学習はどうする?
💬 小学校で英語が始まって、「日本語でも大変なのに」と不安になる方も多いです。
日本語の読み書きに困難のある子は、英語の読み書きでもつまずくことがあります。まずは音で言える単語をふやし、文字は少しずつ、文字と音の決まり(フォニックス)と一緒に学ぶ形が合いやすいです。くわしくは小学生の英語のページもご覧ください。
自信をなくさないために
💬 「どうせできない」と子どもが言い始めると、胸が痛みますよね。
学習障害の子は、がんばってもできない経験が重なり、自信をなくしやすいことが分かっています。できない部分を道具で補い、得意な部分を認めると、学ぶ意欲は戻ってきます。自己肯定感のページの「大事×できるマップ」も使えます。
よくある質問
学習障害は努力不足ですか?
いいえ。知的な遅れはないのに、読む・書く・計算するなど特定のことだけが極端にむずかしい、生まれつきの脳の働き方の特徴です。
学習障害は治りますか?
特性そのものがなくなるわけではありませんが、合う学び方と道具(読み上げ・タブレットなど)を使うと、学ぶことは十分にできます。
知能が低いということですか?
いいえ。学習障害は、知的な発達に遅れがないことが前提です。
漢字だけができないのも学習障害ですか?
漢字だけが極端にむずかしい場合、書きの困難のことがあります。量を減らしても覚えられない、何度書いても形が整わないときは、学校に相談してください。
英語の読み書きもむずかしくなりますか?
日本語の読み書きに困難がある子は、英語の読み書きでも困ることがあります。音で言える単語をふやしてから、文字と音の決まりを少しずつ学ぶ形が合いやすいです。
このページで使っている資料
- 文部科学省「学習障害児に対する指導について」(学習障害の定義:聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する)
- 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」(2022年。学習面で著しい困難を示す 6.5%)
- 米国精神医学会 DSM-5(限局性学習症)
- 米国 National Reading Panel 2000(読みの指導の研究のまとめ)
- 障害者差別解消法(2024年4月の改正)
診断ができるのは医師だけです。このページは、診断ではなく、家で困りごとを減らすための情報と道具をまとめたものです。