スクールコンパスことば大辞典 > 使いどき

その慣用句、その場面で合っていますか

「やばい」「ふつう」しか返ってこないなら。ふつうの辞典は正しい言葉から引きますが、こちらは子どもがいま使っている言葉から引きます。同じ「やばい」でも、よかったときとこまったときで変える言葉がちがいます。子どもの言葉から引く言いかえ辞典 →

意味は、検索すればすぐ出ます。「気が置けない」と入れれば、答えが画面のいちばん上に出ます。

出てこないのは、その場面で使っていいのかどうかです。先生に「ご苦労さま」と言っていいのか。「役不足ですね」はほめ言葉なのか。作文の「うれしかったです」を、どの言い方に変えればいいのか。意味を知っていても、ここでまちがえます。

本来の意味と、別の意味で使われることがあることば

どちらの意味でも通じてしまうため、まちがいに気づきにくいことばです。学校のテストでは、左の「本来の意味」で答えてください。

ことば本来の意味別の意味で使われることがある
情けは人のためならずことわざ人に親切にしておくと、めぐりめぐって自分によいことが返ってくる情けをかけるのは、その人のためにならない
役不足慣用句その人の力にくらべて、役目のほうが軽すぎるその人の力が、役目に足りない
気が置けない慣用句遠慮がいらない。気をつかわなくてよい油断できない。気をゆるせない
他山の石ことわざよその人のよくないところを見て、自分をよくする材料にするよその人のよいところを手本にする
姑息四字熟語のもとその場しのぎ。一時のがれひきょう。ずるい
潮時慣用句ちょうどよい時期終わりにする時期
檄を飛ばす慣用句自分の考えを、広く知らせて呼びかける元気のない人をはげます
手をこまねく慣用句何もしないで見ている準備して待ちかまえる
世間ずれ慣用句世の中の経験を積んで、ずる賢くなっている世の中の感覚とずれている
なし崩し慣用句少しずつ片づけていくうやむやにする
御の字慣用句とてもありがたい。大満足まあ、これでいい
割愛する慣用句惜しいと思うものを、思いきって手放すいらないものを省く
号泣ことば声を大きく出して泣くはげしく泣く
憮然ことばがっかりして、ぼんやりしている腹を立てている
枯れ木も山のにぎわいことわざつまらないものでも、ないよりはまし人が集まってにぎやかになる

ことばの意味は、時代とともに変わっていきます。ここに「別の意味」と書いたものが、将来は辞典にのることもあります。いま調べるなら、国語辞典と、文化庁「国語に関する世論調査」(https://www.bunka.go.jp/)が確かです。この表は、どちらが正しいかを当サイトが決めたものではありません。

目上の人には使わないほうがよい言い方

まちがいではありませんが、相手によっては失礼に聞こえる言い方です。先生、おじいちゃんおばあちゃん、お店の人、面接のときに気をつけます。

言い方なぜ気をつけるかこう言いかえる
ご苦労さま目上の人には使いません。ねぎらう相手が下の立場のときに使う言い方です。お疲れさまです
了解しました目上の人には、かたい言い方のほうが安心です。承知しました/かしこまりました
なるほど目上の人に使うと、評価しているように聞こえることがあります。おっしゃるとおりです/勉強になります
参考になりました目上の人には、少し上から聞こえることがあります。勉強になりました
よろしかったでしょうか終わったことを聞く言い方なので、いまのことには合いません。よろしいでしょうか
とんでもございません「とんでもない」でひとつの言葉なので、切って敬語にはしません。とんでもないことです/恐れ入ります

中学受験の面接や、学校の職場体験のあいさつで、そのまま使えます。覚えるより、言いかえの形だけ口に出しておくと、とっさに出ます。

敬語の受け取られ方は、地域や相手によってちがいます。ここに書いたのは「気をつけたほうがよい」という目安で、使ってはいけないという決まりではありません。

作文で使うなら、場面から選ぶ

「慣用句を使って作文を書きましょう」という宿題が出たとき、慣用句の一覧を見ても手が止まります。ことばから選ぼうとするからです。

先に場面を決めてください。書きたいのがうれしい話なのか、くやしい話なのか。それが決まれば、使えることばは数個にしぼれます。

場面使えることばと、書き方のこつ
うれしいとき胸がおどる/心がはずむ/顔がほころぶ/飛び上がる

「うれしかったです」だけで終わらせない。体のどこが動いたかを書く。

がんばったとき歯を食いしばる/手に汗をにぎる/身を粉にする/目の色を変える

「がんばりました」の代わりに、そのとき何をしていたかを書く。

こまったとき頭をかかえる/途方に暮れる/二の足をふむ/お手上げ

「こまりました」だけでは、どれくらい困ったかが伝わらない。

くやしいときほぞをかむ/煮え湯を飲まされる/唇をかむ/目に涙をためる

運動会や試合の作文で、いちばん使う場面。

人と仲よくなったとき馬が合う/気が置けない/打ち解ける/肩を並べる

「なかよくなりました」を1つ上の言い方にする。

おどろいたとき目を丸くする/息をのむ/耳を疑う/あっけにとられる

「びっくりしました」は3年生までの言い方。

いちばん大事なこと。慣用句を入れるために話を変えないでください。ほんとうにあったことを書いて、そこに合う言い方を1つだけ選ぶ。2つ以上入れると、とたんに嘘っぽくなります。

1語ずつ、くわしく見る

それぞれのことばのページに、意味・使う場面・例文2つ・たしかめ問題・その語で自分が1問つくる手順・作文の書き出し3つがあります。

🧩 ことばの力は、1つのページでは育ちません

語彙・作文・読解・音読・文章題は、別々の悩みに見えて、じつは同じところでつまずいています。言いたいことがあるのに、言える言葉を持っていない。だから作文が「楽しかったです」で終わり、文章題の場面が読み取れず、音読が声だけになります。

いま困っているところから入ってください。どれも、家で親ができることだけを書いています。