読解が苦手な子への教え方|本を読ませるだけでは伸びない理由
読書は自由に読む活動ですが、読解問題は問われたことに本文の根拠で答える作業です。まったく別の技術なので、本をよく読む子でも点が取れないことがあります。
やることは3つ。設問を先に読む・線を引きながら読む・答えの場所を指で示させる。この順番を型にしてください。
「本は好きなのに、国語ができない」
家では分厚い本を読んでいる。それなのに、テストの読解で点が取れない。この組み合わせは、実際によくあります。
理由は、やっていることが違うからです。
| 読書 | 読解問題 | |
|---|---|---|
| 目的 | 楽しむ、知る | 問われたことに答える |
| 読み方 | 自由。飛ばしてもよい | 根拠を探しながら読む |
| 答え | 自分の感じ方でよい | 本文に書かれていることで答える |
本をよく読む子が読解で落とすとき、原因はたいてい自分の考えで答えてしまうことです。「主人公はどう思ったか」に対して、自分ならこう思う、と書いてしまう。
読解問題では、答えは本文の中にあります。ここを最初に伝えるだけで、変わる子がいます。
設問は、3つの型しかありません
小学校の読解問題は、ほとんどが次の3つに分類できます。型が分かると、探し方が決まります。
型1:そのまま探す(抜き出し・記号選択)
「◯◯とありますが、それは何ですか」のように、本文にそのまま書いてあることを聞く問題です。
答えは必ず本文にあります。探し方は、設問に出てくる言葉を本文から見つけて、その前後を読むこと。設問の言葉は、本文のどこかに必ず登場します。
型2:言いかえを見つける(指示語・言いかえ)
「それ」「このこと」が何を指すか、という問題です。直前を見るのが基本で、多くはすぐ前の1〜2文にあります。
見つけた言葉を、「それ」の場所に入れて読んでみる。
文として自然につながれば正解。
おかしければ、まだ違う。 メモ:この「入れて読む」作業を必ずやらせてください。当てずっぽうで書いた答えでも、入れて読むと自分で気づけます。
型3:理由や気持ちを説明する(記述)
「なぜですか」「どんな気持ちですか」という問題です。いちばん差がつくところですが、これも本文に手がかりがあります。
- 理由を聞かれたら:「〜から」「〜ので」「〜ため」を本文で探す
- 気持ちを聞かれたら:直接の言葉(うれしい、悲しい)と、行動(走り出した、うつむいた)の両方を探す
気持ちの問題では、行動から気持ちを読むのがコツです。「うつむいた」と書いてあれば、悲しい・がっかりした気持ちが読み取れます。ここは慣れが必要なので、繰り返し扱ってください。
順番を変えるだけで変わる:設問を先に読む
多くの子は、本文を最初から読み、読み終わってから設問を見ます。この順番だと、何を探すか決まっていない状態で長い文章を読むことになり、読み終わったときには何も残りません。
順番を逆にしてください。
② 何を探すのかを頭に置く
③ 本文を読みながら、答えになりそうな箇所に線を引く
④ 設問に戻って答える
この順番にすると、読みながら探す状態になります。探し直しの時間がなくなるため、時間が足りない子にも効きます。
線を引く手順
「線を引きなさい」と言うだけでは、全部に線を引くか、まったく引かないかのどちらかになります。引く場所を決めてあげてください。
| 引くところ | 理由 |
|---|---|
| 設問に出てきた言葉 | 答えの近くにある可能性が高い |
| 「しかし」「でも」の後ろ | 筆者が言いたいことが来やすい |
| 「つまり」「このように」の後ろ | まとめが来る |
| 気持ちを表す言葉と、登場人物の行動 | 物語文の設問はここから作られる |
最初は1つだけで構いません。「設問に出てきた言葉に線を引く」。これだけを3回やって、できるようになってから次を足してください。一度に全部教えると、線を引くこと自体が目的になります。
記述問題を白紙にしないために
記述で手が止まるのは、書き出しが分からないからです。中身を考える前に、書き出しで詰まっています。
ここは、型を渡すのがいちばん早い解決です。設問の言葉をそのまま使って書き始める。
「なぜですか」→ 答えは 「〜から。」
「どんな気持ちですか」→ 答えは 「〜という気持ち。」
「どういうことですか」→ 答えは 「〜ということ。」
「何をしましたか」→ 答えは 「〜こと。」 メモ:文末を先に書いてしまう方法もあります。先に「〜から。」と書いておき、その前を埋める。書き出せないという壁が消えます。
中身が不十分でも構いません。白紙は0点ですが、書けば部分点の可能性が残ります。まず書き出せるようになることを目標にしてください。
書けるようになってきたら、次は本文の言葉を使うことを教えます。自分の言葉に言いかえすぎると、根拠から離れて減点されます。本文の表現をできるだけそのまま使うほうが、確実です。
表やグラフも読解です
読解というと文章だけを思い浮かべがちですが、それだけではありません。
文部科学省の学習指導要領解説算数編では、PISA調査の読解力の定義について、読むテキストの形式として物語、論説などの「連続テキスト」と、表、図、ダイヤグラムなどの「非連続テキスト」があり、両者を含めて読む対象とするとされていることが紹介されています。
出典(一次情報):小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編/文部科学省
つまり、表やグラフから必要な情報を取り出す力も読解の一部だということです。この力は国語だけでなく、算数のデータの活用や、社会の資料問題でも問われます。
文章の読解が苦手な子でも、表やグラフなら得意ということがあります。そこから入って自信をつけるのも、有効な方法です。
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📖 読解ドリル 小1(表・グラフの読み取り) → 📖 読解ドリル 小3 → 📖 読解ドリル 小5 → 📖 読解ドリル 小6 →学年別の関わり方
1・2年生:音読と「だれが・どうした」
この時期は、すらすら読めることが最優先です。つっかえながら読んでいる段階では、内容まで意識が回りません。音読の宿題は、意味のある練習です。
読み終わったら「だれが出てきた?」「なにをした?」と2つだけ聞いてください。あらすじを言わせる必要はありません。登場人物と出来事がつかめていれば十分です。
3・4年生:説明文への切りかえ
物語文は読めるのに説明文で落とす、という状態が出てくる時期です。説明文は面白さで読み進められないため、構造で読む必要があります。
「しかし」「つまり」といった接続語に印をつける練習を、この学年で入れてください。段落ごとに「何の話だった?」と一言でまとめさせるのも効果的です。
5・6年生:根拠を示させる
高学年では、答えが合っているかよりなぜそう答えたかが重要になります。「どこに書いてある?」と聞いて、本文を指で示させてください。
示せないまま正解している場合、それは勘です。次の問題では外れます。根拠を示す習慣が、中学以降の国語を支えます。
やってしまいがちなこと3つ
解き直しのやり方
読解でいちばん力がつくのは、間違えた問題の解き直しです。ただし、答えを写すのは解き直しではありません。
1. 正解を見る前に、もう一度本文を読んで探す
2. それでも分からなければ正解を見て、本文のどこが根拠かを探す
3. 「なぜこの答えになるのか」を一言で言わせる メモ:2が本体です。正解を知ってから根拠を探す作業が、次に自力で見つける力になります。ここを飛ばして丸写しにすると、時間を使った割に何も残りません。
1回のテストで、解き直すのは2問で十分です。全部やろうとすると終わりません。いちばん惜しかった問題から順に選んでください。
語彙が足りていない場合
手順を教えても解けないとき、そもそも言葉の意味が分かっていないことがあります。設問の言葉が分からなければ、何を探すかも決まりません。
次のような様子があれば、語彙のほうに原因があります。
- 「どういうことですか」の意味が分からない
- 本文中の言葉の意味を聞くと、答えられないものが多い
- 大人が言葉を言いかえてあげると、急に解ける
語彙は一朝一夕には増えませんが、その場で調べる習慣は今日から作れます。分からない言葉が出たら、解き終わってから3つだけ辞書で引く。全部を調べさせると読解が止まるので、後回しにするのがコツです。
・どういうことですか → 言いかえて説明して
・なぜですか → 理由を答えて
・どんな気持ちですか → 心の中を答えて
・様子を答えなさい → 見た目や場面を答えて
・筆者の考えは → 書き手が言いたいこと メモ:この一覧を紙に書いて、解くときに横に置いておくだけで、設問の意味で止まることが減ります。低学年ほど効果があります。
テストと宿題では、目的が違う
読解の練習には2種類あります。混ぜると効果が下がるので、分けて考えてください。
| 目的 | 大人の関わり方 | |
|---|---|---|
| 初めて解く問題 | 自力で最後まで辿る | 2分たっても手が止まっていたら、探す場所だけ示す |
| 解き直し | 根拠を確かめる | 一緒に本文を見て、どこが根拠かを話し合う |
初めて解くときに横から口を出すと、自分で探す経験が積めません。逆に、解き直しを一人でやらせると、答えを写すだけになります。関わる場面を分けるのがコツです。
音読が土台になります
学校の宿題として出る音読を、作業としてこなしている家庭は多いと思います。しかし音読は、読解の土台として直接効きます。
つっかえながら読んでいる間は、内容を考える余裕がありません。すらすら読めるようになって初めて、意味に意識が向きます。低学年で読解が苦手な場合、まず音読の流暢さを見てください。
聞くときのコツは、読み終わってから一言だけ感想を返すことです。「今日は前より速かったね」「〇〇のところ、上手だった」。間違いを直すより、続けられることを優先してください。
書く力とセットで伸びる
読解と作文は、別々のもののようで実はつながっています。読み取る力は、書く経験によっても育ちます。
自分で文章を書くと、書き手がどこに何を置くかが分かります。理由をどこに書くか、まとめをどう置くか。それが分かると、読むときにも見つけやすくなります。
読書感想文は、その意味で読解の練習にもなります。書き方は読書感想文の書き方にテンプレートをまとめています。夏休みの宿題としてだけでなく、読む力の練習としても使えます。
よくある質問
Q. 本をたくさん読ませれば読解力は上がりますか?
読書は語彙や背景知識を増やすうえで大きな価値がありますが、読解問題の点数に直結するとは限りません。読書は自由に読む活動であるのに対し、読解問題は問われたことに本文の根拠で答える別の作業だからです。本をよく読む子が読解問題で点を落とす場合、自分の考えで答えてしまっていることがあります。読書は続けたうえで、設問に答える手順を別に練習してください。
Q. 答えが本文に書いてあるのに見つけられません。
設問を読まずに本文から読み始めていることが多くあります。何を探すか決まっていない状態で長い文章を読むと、読み終わったときには何も残りません。設問を先に読み、探すものを決めてから本文に入る順番に変えてください。あわせて、答えになりそうな箇所に線を引きながら読む習慣をつけると、探し直す時間が大きく減ります。
Q. 記述問題を白紙で出してきます。
書き出しが分からずに止まっていることがほとんどです。設問の言葉をそのまま使って書き始めるよう教えてください。「なぜですか」と聞かれたら「〜だから。」、「どんな気持ちですか」と聞かれたら「〜という気持ち。」と、文末を先に決めてしまう方法が有効です。中身が不十分でも、書き出せるようになることが先です。白紙は0点ですが、書けば部分点の可能性が残ります。
Q. 表やグラフの問題も読解に入りますか?
入ります。文部科学省の学習指導要領解説算数編でも、PISA調査の読解力の定義について、読むテキストの形式として物語や論説などの連続テキストと、表や図やダイヤグラムなどの非連続テキストがあり、両者を含めて読む対象とするとされていることが紹介されています。文章だけでなく、表やグラフから必要な情報を取り出す力も読解の一部です。算数や社会の問題としても出題されるため、練習しておく価値があります。
今日からの5ステップ
- ☑ 「答えは本文の中にある」と伝えた
- ☑ 設問を先に読む順番に変えた
- ☑ 「設問の言葉に線を引く」を1つだけ教えた
- ☑ 記述の文末の型を渡した
- ☑ 「どこに書いてあった?」と指で示させた