音読の宿題は何のため?|学年別のポイントと「聞いてるよ」で終わらせない返し方
そして、学年によって見るところが変わります。
低学年は読み方の正確さ、中学年は内容の理解、高学年は表現。
聞くときのコツは1つだけ。直すのは1回につき1か所。全部直そうとすると、音読の時間が嫌な時間になります。
毎日の3分を、作業にしないために
夕食の支度をしながら「はい、聞いてるよ」と返し、カードにサインをする。音読の宿題が、こうした流れ作業になっているご家庭は多いと思います。
忙しい日にそうなるのは自然なことですし、それを責める話ではありません。ただ、何を見ればいいかが分かっていれば、同じ3分の価値が変わります。ここでは、学年ごとに見るポイントと、返し方を整理します。
学習指導要領での位置づけ
音読は、国語の〔知識及び技能〕の中に位置づけられています。文部科学省が公開している系統表では、学年ごとに次のように示されています。
| 学年 | 求められること | つまり |
|---|---|---|
| 第1学年及び第2学年 | 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること | 正しく、区切って読めるか |
| 第3学年及び第4学年 | 文章全体の構成や内容の大体を意識しながら音読すること | 内容を分かって読んでいるか |
| 第5学年及び第6学年 | 文章を音読したり朗読したりすること | 伝わるように読めるか |
出典(一次情報):教科の目標,各学年の目標及び内容の系統表(小・中学校国語科)/文部科学省
ここから分かるのは、音読は学年が上がるほど、読み方の練習から内容の理解、表現へと重点が移っていくということです。低学年に「気持ちを込めて」と求めても早すぎますし、高学年に「はっきり読めたね」だけでは足りません。
なお、高学年では音読と朗読が区別されています。朗読は、読み手が理解したことや感じたことを、聞き手に伝えるように読むものです。「上手に読む」が求められはじめるのは、この段階からです。
学年別・聞くときに見るところ
1・2年生:つっかえる箇所と、区切り
この学年で見るのは、たった2点で足ります。
- つっかえる箇所はどこか。同じところで毎回止まるなら、そこに読めない語があります。
- 読点(、)で区切れているか。一息で全部読もうとしていないか。
この時期は、意味より音として正しく取り出せるかが課題です。「語のまとまり」というのは、単語のかたまりで区切れているか、ということ。「おおきな かぶが ありました」を、文字を1つずつ拾って読んでいる段階では、内容まで意識が回りません。
その語だけを取り出して、3回だけ一緒に読む。
「『あたたかい』。はい、いっしょに」
文全体を読み直させるより、詰まる語だけを先に通しておくほうが早いです。 メモ:詰まる語が多い場合は、その教材が難しすぎる可能性があります。担任の先生に様子を伝えてみてください。
3・4年生:意味のまとまりと、速さ
すらすら読めるようになると、次は内容を分かって読んでいるかが課題になります。見分け方は簡単で、読み終わったあとに一言聞くことです。
「これ、どんな話だった?」。答えられれば、内容を追いながら読めています。すらすら読めるのに答えられない場合、音だけが流れていて意味が入っていません。
もう1つ見たいのが速さです。速すぎる読みは、この学年でよく出ます。早く終わらせたい気持ちからですが、速く読むと内容が入りません。「少しゆっくり、もう一回」と1回だけ言えば十分です。
5・6年生:伝わるように読めるか
高学年では、朗読の要素が入ります。誰かに伝えるつもりで読めているかが課題です。
とはいえ、この学年は音読を恥ずかしがる時期でもあります。無理に感情を込めさせる必要はありません。間の取り方を1か所だけ工夫させるくらいで十分です。
説明文なら、段落の変わり目で一呼吸置く。物語なら、会話文の前で少し止まる。それだけで、聞こえ方が変わります。
返し方の型(1回1か所)
音読が嫌われる最大の原因は、間違いを指摘される時間になっていることです。読むたびに3つも4つも直されると、読みたくなくなります。
1. できたことを先に。「今日、つっかえなかったね」
2. 直すのは1か所だけ。「『あたたかい』のところ、もう一回だけ」
3. やり直したら、そこで終わり。「うん、いま完璧」 メモ:2で複数を挙げないでください。気になったところが3つあっても、今日は1つ。残りは明日に回します。毎日聞くのですから、急ぐ必要はありません。
1のできたことは、無理にほめる必要はありません。事実を言うだけで構いません。「昨日より速かった」「最後まで止まらなかった」。事実を言われるほうが、子どもには届きます。
音読カードとの付き合い方
評価の基準は学校や担任の先生によって異なるため、配られた説明を確認してください。一般的には、上手さの判定ではなく、家庭で聞いたことの記録として使われています。
厳しくつける必要はありませんが、毎回同じ印だけを並べるのは少しもったいない使い方です。その日にできたことを一言添えると、本人にも先生にも役立ちます。
「今日はつっかえずに読めました」
「会話のところを工夫していました」
「昨日より速く読めました」
評価ではなく観察の記録として書くと、書きやすくなります。
音読が読解と作文につながる理由
音読は、それ自体が目的ではありません。他の力の土台になっています。
読解につながる
つっかえながら読んでいる間は、内容を考える余裕がありません。すらすら読めるようになって初めて、意味に意識が向きます。読解が苦手な低学年の場合、まず音読の流暢さを見るのが順番です。
詳しくは読解が苦手な子への教え方にまとめています。
作文につながる
音読でよい文章に何度も触れると、文のリズムが体に入ります。自分で書いた文を音読して確かめる習慣がつくと、おかしなところに自分で気づけるようになります。
作文の推敲について、学習指導要領の系統表でも、第1学年及び第2学年で文章を読み返す習慣を付けることが示されています。読み返すときに声に出すと、目で追うだけより間違いが見つかります。
漢字にもつながる
読めない漢字は書けません。音読は、その学年の漢字を毎日読む機会でもあります。読みが先に立つ設計になっているので、音読は漢字の練習の一部でもあります。
同じ教材を何日も読む理由
音読の宿題は、同じ文章を1週間以上続けることがよくあります。「もう覚えているのに」と感じる場面ですが、これには意味があります。
1回目は読むこと自体で精一杯です。2回目、3回目と重ねるうちに読むことに余裕が生まれ、ようやく内容や表現に意識が向きます。暗唱できるほど読み込んだ段階で初めて見えてくるものがあります。
ですので、飽きてきた頃こそ声のかけどころです。
・「この人、どんな気持ちで言ったと思う?」
・「いちばん好きなところ、どこ?」
・「作者はなんでこの言葉を使ったんだろう」
・「今日は、ここだけゆっくり読んでみて」 メモ:読み方を変える指示を1つ出すと、同じ文章でも新鮮になります。「今日は登場人物になったつもりで」など、遊びの要素を入れると続きます。
兄弟がいる家庭での工夫
複数の子の音読を毎日聞くのは、現実的に大変です。次のような形にしているご家庭があります。
- 同時に聞く。1人が読んでいる間、もう1人は自分の宿題をする。順番を決めておきます。
- 上の子が下の子に聞かせる。上の子にとっては聞く練習になり、下の子にとっては気楽です。
- 曜日で分ける。毎日全員をきちんと聞くのが無理なら、日によって重点を変えます。
- 下の子に読み聞かせる形にする。聞き手がいると、読み方が変わります。
最後の形は、上の子が音読を恥ずかしがる時期にも有効です。「宿題だから読む」から「誰かに読んであげる」に変わると、目的が生まれます。
やってしまいがちなこと3つ
嫌がる子への手立て
嫌がる理由は、たいてい次のどれかです。原因によって手立てが変わります。
| 理由 | サイン | 手立て |
|---|---|---|
| 指摘されるのが嫌 | 読み終わると急いで逃げる | 指摘を1回1か所に減らす。できたことから言う |
| 読むのが難しい | 詰まる箇所が多い、声が小さい | 詰まる語を先に通す。先生に様子を相談する |
| 恥ずかしい | 高学年に多い。棒読みになる | 下の子に読み聞かせる形にする。壁に向かって読ませる |
| 飽きている | 同じ教材を何日も読んでいる | 交互読み、役割読みなど形を変える |
・交互読み:大人と一文ずつ交代で読む
・役割読み:地の文は大人、会話は子ども
・読み聞かせ:下のきょうだいに読んであげる形にする
・録音:スマートフォンで録って、自分で聞かせる メモ:最後の録音は高学年に効きます。自分の読みを客観的に聞くと、直すところに自分で気づけます。人に指摘されるより抵抗がありません。
忙しい日の乗り切り方
毎日きちんと聞くのが理想ですが、できない日は必ずあります。やめてしまうより、減らして続けるほうが結果は上です。
- 回数を減らす。3回のところを1回に。1回でも聞けば、その日はできたことになります。
- 場所を変える。台所で作業しながらでも、体を子どものほうに向けるだけで伝わり方が変わります。
- 役割を分ける。その日にいる大人が聞く。きょうだいに聞いてもらう日があってもよいです。
低学年のうちは、音読を聞く時間そのものが、親子の時間でもあります。内容の指導より、聞いてもらえたという経験のほうが残ることもあります。完璧を求めず、続けることを優先してください。
よくある質問
Q. 音読の宿題には、どんな意味があるのですか?
音読は学習指導要領の〔知識及び技能〕に位置づけられており、学年ごとに求められることが示されています。第1学年及び第2学年は「語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること」、第3学年及び第4学年は「文章全体の構成や内容の大体を意識しながら音読すること」、第5学年及び第6学年は「文章を音読したり朗読したりすること」とされています。低学年は読み方の正確さ、中学年は内容の理解、高学年は表現へと重点が移っていく設計です。
Q. 聞くとき、どこを見ればよいですか?
低学年なら2点だけで足ります。つっかえる箇所がどこか、そして読点や句点で区切れているかです。全部を直そうとすると子どもの意欲が下がるため、気づいたことは覚えておいて、読み終わってから1か所だけ伝えてください。中学年以上では、意味のまとまりで区切れているか、内容に合った速さで読めているかを見ると、読解の状態も見えてきます。
Q. 音読を嫌がります。無理にやらせるべきですか?
嫌がる理由の多くは、読むこと自体ではなく、間違いを指摘される時間になっているからです。まず、指摘を1回1か所に減らし、できたことを先に言葉にしてみてください。それでも進まない場合は、大人と交互に一文ずつ読む、役割を分けて読む、といった形に変えると負担が下がります。回数を減らしてでも続けるほうが、やめてしまうより効果があります。
Q. 音読カードの評価は、どうつければよいですか?
評価の基準は学校や担任の先生によって異なるため、配られた説明をご確認ください。一般的には、上手さの判定ではなく、家庭で聞いたことの記録として使われています。厳しくつける必要はありませんが、毎回同じ印だけを並べるより、その日にできたことを一言添えるほうが、本人にも先生にも役立ちます。
今日からの5ステップ
- ☑ 1分だけ手を止めて、子どものほうを見た
- ☑ 読んでいる途中では止めなかった
- ☑ できたことを先に一言伝えた
- ☑ 直すところは1か所だけにした
- ☑ カードに一言、観察を書いた