5年生の10月は、ここでつまずきます。「平均」は式ではなく、0の日を数えるかどうかで答えが変わるところ。「単位量あたりの大きさ」は、どっちをどっちでわるかが決まらないところ。どちらも次の「速さ」の前提になります。平均 単位量あたりの大きさ
連絡帳に「丸つけをお願いします」と書かれている。毎晩それにつき合って、まちがいを直させて、最後はけんかになる。こんなことをするために、仕事から急いで帰ってきたわけではないのに。
丸つけでいちばんやってはいけないのは、赤ペンで全部直してしまうことです。直されたノートを、子どもは読み返しません。そして見るべきなのは、合っているかどうかではありません。
丸つけで本当に見るのは「どこで手が止まったか」です。合っている問題を見ても、次にやることは分かりません。
手が止まった場所は、ノートに残っています。
❶ 消しゴムのあとが濃いところ 何度も書き直した=迷った場所です。
❷ 字が急に乱れているところ 考えながら書くと字は崩れます。
❸ 空欄のまま飛ばしているところ 手をつけられなかった=いちばん重いつまずきです。
❹ やたら時間がかかった問題 合っていても、次はまちがえます。
この4つのどれかがあったら、そこだけ翌日もう一度やらせてください。丸がついているかどうかより、こちらのほうが情報量があります。
| 小1・小2その場でいっしょに | 宿題は10〜20分。となりに座って、終わったらすぐ丸をつけます。この時期の丸つけは、勉強を見るためではなく「できた」を毎日はっきりさせるためです。まちがいは1問だけ直させて、あとは翌日に回してかまいません。 |
|---|---|
| 小3・小4終わってから、まとめて | 子どもが自分で終わらせて、あとから親が見ます。ここで親が横についたまま直すのをやめるのが、いちばん大事な切りかえです。見るのは正誤ではなく、どこで手が止まったか。消しゴムのあとが濃いところが、その日のつまずきです。 |
| 小5・小6自分で丸をつけさせる | 答えを渡して、自分で丸つけまでやらせます。親はまちがえた問題の数だけを見ます。中身は見ません。3問以上まちがえた単元があれば、そこだけ声をかける。この形にしておくと、中学に上がったときに自分で回せます。 |
学年で急に変えるのではなく、少しずつ渡していきます。横についているなら、いる場所を遠くしていくのが確実です。となりから、同じ部屋の別のいすへ、次の学期は台所へ。急にいなくなるより続きます。
学校から丸つけを求められている場合は、まず学校の指示にしたがってください。学年で切りかえる前に、担任の先生に「そろそろ本人にやらせてよいか」を聞くと、家と学校の見方がそろいます。
読むとしんどくなるかもしれません。全部やっているのがふつうです。ここを直せという話ではなく、この4つのうち1つだけ手放せると、夜が短くなるという話です。このすぐあとに、うまくいかなかった日の話を書いています。
▲ 赤ペンで全部直してしまう
直されたノートは、子どもが読み返しません。まちがいの上に正解が書いてあると、「まちがえた」という記憶だけが残って、なぜまちがえたかは残りません。×だけつけて、直すのは本人。
▲ その場で解き方を教える
聞かれる前に教えると、次から考える前に聞くようになります。「ここ、もう一回読んでみて」で止めるのが、いちばん短い声かけです。
▲ 「なんでこんなのが分からないの」
この一言で、その日の宿題は終わりです。このあと子どもは、分からないところを隠すようになります。隠されると、親は手を出せなくなります。
▲ 全部やり直させる
1回の宿題で直すのは2問までにしてください。全部直させると時間が倍になり、明日から宿題そのものを嫌がります。
上の4つを読んで、全部やっているじゃないかと思われたかもしれません。
やっています。私も、たいていの家も。あれは「やらない家がある」という話ではなく、やってしまう瞬間が毎日来るという話です。
関心のない親は、怒りません。宿題が終わっていなくても、明日その子が困っても、なんとも思わない人は声を荒げません。怒鳴ってしまった夜があるということは、あなたがその子の明日を見ているということです。ほめられた話ではありませんが、責められる話でもありません。
21時。お風呂も明日の準備も終わっていない。自分の仕事も残っている。そこへ、まだ半分も終わっていないドリル。
あのとき本当にきつかったのは、宿題が終わらないことではなく、「今日もまた、寝るのが遅くなる」という明日の重さだったはずです。子どもはその重さを知りません。だから、こちらの声だけが大きくなります。
これが分かると、次に同じ場面が来たとき、少しだけ間が取れます。「いま怒っているのは、宿題にじゃないな」と気づくだけで、声の出方が変わります。
あらためて謝らなくてかまいません。謝られると、子どもは「そんなにひどいことを言われたんだ」と気づいてしまいます。
やることは1つだけです。30分後に、まったく関係のない話をしてください。「明日の給食、なんだっけ」でいい。子どもが安心するのは謝罪ではなく、いつもどおりに戻ることです。もう終わったんだ、と分かればそれで足ります。
それでも気になるなら、寝る前に一言。「さっきは、こっちが急いでたね」。謝罪ではなく、事情の説明にしておくのがちょうどいいです。
達成できません。達成できない目標を立てると、守れなかった日ごとに自分を責める材料が増えるだけです。
目標にするなら、こちらにしてください。怒ってしまった日の、そのあとを短くする。10分で切り上げられた日は、うまくいった日です。
それから、いま毎晩つらいのなら、宿題をどこまで見るかを担任に相談してかまいません。「家でここまでやると険悪になるので、どこで切ってよいか」と聞くだけです。先生は毎年その相談を受けています。学校に言いにくければ、スクールカウンセラーでも構いません。相談したことは、子どもの評価には関係しません。
そう思いながら、今日もとなりに座っている方へ。
ほとんどの家が、同じところで止まっています。東京大学とベネッセが2万組の親子を10年以上追いかけている調査で、4割の保護者が「うちの子に勉強する習慣がついていない」と答えています。しかも、家で勉強する時間はこの11年で2割減りました。去年より今年のほうが、どの家も苦しくなっています。
だから、うまくいっていないのは、あなたの声のかけ方が下手だからではありません。
「できる子の親は、口を出さないらしい」という話を聞いたことがあると思います。
私も、そうなのだろうと思っています。ただ、それを本当に確かめた調査を探しましたが、見つけられませんでした。だから、ここでは書きません。確かめていないことを書いて、あなたを不安にさせたくないからです。
それに、あの話がつらいのは、放っておける家の話だからです。放っておいたら本当に何もしない子がいます。共働きで、夜しか時間が取れない家があります。「手を出さないほうがいい」と言われて、いちばん困るのはその家です。
だから、そばにいるかどうかの話はやめましょう。ずっととなりに座っていていい。かわりに、赤ペンを置いてください。×だけつけて、直すのは本人にやらせる。それだけで、子どもの手は動きます。
今日1日、それだけ試してもらえれば十分です。
数字の出典 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査」(2014年開始、親子21,485組)。https://berd.benesse.jp/(2026年9月9日 確認)。最新の結果は同研究所の公式でご確認ください。