ホーム › 習い事 › 子どもの体を育てる › ゴールデンエイジとは
先に答えです。ゴールデンエイジ(9〜12歳ごろ)は、新しい動きを覚えやすい時期です。ここまでは本当です。けれど「この時期を逃すと、もう伸びない」という言い方には、はっきりした根拠が足りません。逃しても取り返せます。
だから親が焦って、1つの競技にしぼったり、練習を詰めこんだりする必要はありません。研究が示しているのは、むしろ逆の道です。いろいろな動きを、楽しく、続けること。このページでは、その理由と、学年ごとに何をすると得なのかをまとめました。
| 呼び方 | 年齢の目安 | よく言われる特徴 |
|---|---|---|
| プレゴールデンエイジ | 5〜8歳ごろ | 走る・跳ぶ・投げる・転がるなど、いろいろな動きの土台ができていく時期 |
| ゴールデンエイジ | 9〜12歳ごろ | 見た動きをまねして、すぐにできるようになりやすい時期 |
| ポストゴールデンエイジ | 13〜15歳ごろ | 体が大きくなり、力や持久力がつきやすくなる時期 |
この区切りは、学術的に決まった定義ではありません。サッカーの指導の本や団体の資料などで広まった言い方で、出どころによって1〜2歳ずれます。「〇歳になった日から変わる」ものではなく、ゆるやかな目安として受け取ってください。
ほかのサイトや教室の案内が「逃すな」と書く理由は、主に3つです。どれも一部は正しく、一部は言いすぎです。
よく使われるのが、スキャモンの発育曲線です。神経の育ち方の線が、12歳ごろまでに大人に近づく図です。けれどこの図は、1930年に発表された、体の部分ごとの大きさ・重さの伸び方を比べたものです。運動の覚えやすさを測ったものではありません。脳の重さが大人に近づくことと、そのあと新しい動きを覚えられなくなることは、別の話です。中学生や大人になってから始めて上手になるスポーツは、いくらでもあります。
選手の育て方の考え方(長期育成モデル)の中で、「この年ごろにこれをやらないと伸びない」という時期の窓が語られてきました。けれど、そのモデルの根拠を検討した研究は、この時期の窓には、はっきりした科学的な根拠が足りないと整理しています。
「今しかない」「今が大事」は、習い事やスポーツ教室に入ってもらうとき、とても強く働く言葉です。ゴールデンエイジを前面に出しているのが、教室や用具の案内に多いのはそのためです。教室そのものが悪いわけではありませんが、親が焦って決める理由にはしないでください。
研究は米国と欧州の選手が中心で、体操やフィギュアスケートのように若い年齢で活躍する競技は事情がちがうことがあります。それでも、多くの子どもに当てはまる傾向ははっきりしています。焦って1つにしぼるより、いろいろな動きを楽しく続けた子のほうが、あとで伸びやすい。くわしい決め方は習い事は1つに絞るか、いろいろやるかにあります。
「逃したら終わり」ではありませんが、「この時期にやると覚えやすいこと」はあります。それを、焦らずに入れる形にしました。
| 学年 | やると得なこと | 家でできる形 |
|---|---|---|
| 1・2年生 | 走る・跳ぶ・投げる・転がる・回る・ぶら下がる・バランスをとる、のような、いろいろな動きを遊びで経験する | 公園の遊具、鬼ごっこ、なわとび、ボール投げ。1つの競技の練習より、遊びの種類を増やす |
| 3・4年生 | ルールのある運動やスポーツを、2〜3種類やってみる | 季節で変える(夏は水泳、冬は走る)、友だちとボール遊び。合う・合わないは本人の顔で判断する |
| 5・6年生 | 好きな競技が見えてきたら中心にしてよい。ただし、ほかの運動も残す | 週の練習時間が年齢の数(10歳なら10時間)を超えないことを目安に。痛みが続くときは休む |
週の練習時間の目安と、習い事の掛け持ちの上限は週何回・掛け持ちの上限で、家庭の数字を入れて確かめられます。
受験の年に60分を毎日とるのは、現実にはむずかしい家庭が多いはずです。そこで、最低限の目安を3つにしました。
勉強の合間に体を動かすのは、時間のむだではありません。体を動かした直後は集中しやすくなるという研究が多くあります。6年生の1年間で運動量が減っても、中学で部活を始めれば体力は取り戻せます。心配すべきは、運動の量が減ることより、運動の習慣そのものが切れてしまうことです。受験と運動の両立の決め方は中学受験と高校受験、スポーツを頑張る子はどっち?にもあります。
中学の部活は、休日の練習を地域のクラブが受け持つ形へ変わっていく途中です。いまの学年が中学に入る年と重ねた早見表は部活の地域移行とは(いつから・費用・入らない選択)へ。
背の高さや体つき、筋肉の性質には、親から受けつぐ部分があります。けれど、ボールを投げる・とぶ・走るといった動きの上手さは、練習と経験で大きく変わります。「うちは親が運動が苦手だから」とあきらめる前に、まず動きの種類を増やしてください。小学生のうちに差が出やすいのは、それまでに経験した動きの種類の多さです。
遺伝で決まる部分と練習で変わる部分の研究、苦手な子が家でできる10分は運動神経は遺伝する?研究でわかった割合にまとめました。足の速さを伸ばしたいなら小学生の足が速くなる方法、体力テストの見方は体力テストへ。
親が言ってよいこと、言わないほうがよいこと
言ってよいのは「いろいろやってみよう」「楽しかった?」。言わないほうがよいのは「今やらないと手遅れになる」「この年齢が勝負」です。子どもが運動をやめてしまう大きな理由は、楽しくなくなることです。焦りの言葉は、いちばん大事な「続ける気持ち」をけずります。
子ども向け:びっくり大事実! 世界のトップ選手の多くは、子どものころ、今の競技とはちがうスポーツもやっていました。サッカーの選手が体操を、テニスの選手がサッカーを、のように。いろいろな動きを知っている体は、新しい動きを覚えるのも早いのです。
今週、いつもとちがう遊びを1つやってみよう。なわとびの二重とび、ボールを利き手と反対の手で投げる、片足で10秒立つ。どれも「新しい動き」です。
このページは医学的な助言をするものではありません。診断や治療については医療機関にご相談ください。事実は文中に示した公的機関・学会・競技団体の資料と、複数の主要報道で確かめられた範囲だけを書いています。制作 スクールコンパス編集部
一般に9〜12歳ごろを指し、新しい動きを覚えやすい時期という意味で使われる言葉です。学術的に決まった定義はなく、団体や本によって年齢の区切りが1〜2歳ずれます。
よく使われる区切りは、プレゴールデンエイジが5〜8歳ごろ、ゴールデンエイジが9〜12歳ごろ、ポストゴールデンエイジが13〜15歳ごろです。
「この時期を逃すと伸びない」という考えには、はっきりした根拠が足りないと整理されています(Fordほか、2011年)。覚えやすい時期であるのは確かですが、取り返せない時期ではありません。
研究の多くは逆を示しています。世界のトップ選手ほど、子どものころに複数の競技をやり、専門の競技を始めたのが遅かったという分析があります(Güllichほか、2022年)。米国小児科学会は、1つにしぼるのは15〜16歳以降をすすめています(2016年)。
WHOは5〜17歳に1日平均60分の運動をすすめていますが、同時に「少しでも動くほうが、まったく動かないよりよい」としています。毎日合計15〜20分は体を動かし、週1回は息が上がる運動を残すのが、受験の年の現実的な目安です。