🗞️ 小学生しんぶん 5・6年生版|8月14日号

2026年8月14日号(8月7日〜8月13日のニュース)/毎週金曜発行・無料/中学受験の時事問題対応

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🔊 30秒まとめ(音読してみよう)

今週の要点。①8月11日20時、台風15号が茨城県いばらきけん南部に上陸気象庁きしょうちょう統計開始(1951年)以来、茨城県への上陸は初。②通常は太平洋たいへいよう高気圧のふちを回って北上し偏西風へんせいふうで東へ流されるが、今回は日本の東方海上から西進して関東を横断した。③8月12日に台風17号「ナンカー」が発生。2026年は1〜8月の全月で台風が発生し、統計開始以来3例目。④8月11日4時23分、H3ロケット9号機みちびき7号機を軌道投入。2025年12月の8号機失敗からの再起で、6機体制となった。⑤同日、ソニーとTSMCが合志市こうしし合弁ごうべん会社を設立する確定契約。約7470億円を拠出し2029年にイメージセンサーを量産(経済安全保障)。⑥ヨーロッパ本土で27年ぶりの皆既かいき日食、13日はペルセウス座流星群が極大きょくだい。両者は「新月」という一つの事実で結ばれる。⑦甲子園こうしえん公式戦初のビデオ検証確証が得られず判定は維持された。今週の共通原理は「確かめられないことを、どう扱うか」

🧭 ニュースを深く読む「4ステップ思考」 ── 記述問題の土台

中学受験の記述問題は、ニュースを「覚える」のではなく「考える」力を問います。次の4段階で読むクセをつけよう。

1 事実をつかむ 何が起きた? 数字・名前を正確に 2 原因を考える なぜ起きた? 背景は? 3 つながりを広げる 他と何が関係? 影響は? 4 自分の考え どう思う? これからどうすべき? 読む → 考える → 書く の流れ
記述の土台「4ステップ思考」 図:スクールコンパス編集部

この号では、各ニュースに 「📝 記述のヒント」 を付けています。①②で正確に押さえ、③④で自分の頭で考える――この往復が、合格答案を書く力になります。今週は「見えないものを、見えるようにする」という原理で6つのニュースを束ねられます(→ 論点マップ)。

✏️ 今週おさえたい漢字・語(5・6年生/入試頻出)
ヘン/かたよ(る)(中学)
偏西風へんせいふう偏在へんざい
例:偏西風へんせいふうに流されて東進する
イ(中学)
緯度いど経緯けいい
例:中緯度いど帯を吹く偏西風へんせいふう
ケン(中学)
けん暴風ぼうふうけん
例:暴風ぼうふうけんに入るおそれ
ソウ(6年)
断層だんそう基幹きかん管路かんろ地層ちそう
例:断層だんそうに沿って埋設されていた
カン/みき(5年)
基幹きかん管路かんろ根幹こんかん
例:基幹きかん管路かんろの被害が要因
キョ/コ(6年)
拠出きょしゅつ根拠こんきょ拠点きょてん
例:両社で約7470億円を拠出きょしゅつする
ベン(5年)
合弁ごうべん会社・弁明べんめい
例:合弁ごうべん会社の設立契約を結ぶ
ショウ/さわ(る)(6年)
保障ほしょう障害しょうがい
例:経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうの観点から
チョウ/いただ(く)(6年)
準天頂じゅんてんちょう衛星・山頂さんちょう
例:準天頂じゅんてんちょう衛星「みちびき」
キ(中学)
軌道きどう軌跡きせき・常
例:所定の軌道きどうへ投入した
カイ/みな(中学)
皆既かいき日食・皆無かいむ
例:皆既帯かいきたいが大西洋を横切る
キ/すで(に)(中学)
皆既かいき既存きそん既知きち
例:すでに海上へ抜けていた
ケン(5年)
検証けんしょう検討けんとう
例:公式戦初のビデオ検証けんしょう
ショウ(5年)
確証かくしょう立証りっしょう
例:確証かくしょうが得られず判定を維持
ダ(中学)
妥当だとう妥協だきょう
例:判定の妥当だとう性を映像で確かめる
セン(中学)
変遷へんせん左遷させん
例:織田家中の勢力の変遷へんせん
📚 今週の時事キーワード ── 入試で問われる言葉
1 偏西風へんせいふう太平洋たいへいよう高気圧
偏西風は中緯度いど帯の上空を西から東へ吹く強い風。日本の天気が西から東へ移り変わるのも、東行きの航空便のほうが所要時間が短いのも、この風の影響である。太平洋高気圧は夏に日本の南東へ張り出す温暖な高気圧で、台風はそのふちを回るように北上し、日本付近で偏西風に流されて東へ進路を変える。これが「台風は西から東へ」の内実である。今回の台風15号は日本の東方海上で発生し西進したため、最初に到達した陸地が茨城県となった。記述では「台風は自ら進むのではなく、周囲の気圧配置と風に規定されて動く」という構造で書くと評価が高い。台風の進路が年によって大きく異なるのは、高気圧の張り出し方が年ごとに違うためである。
2 統計とうけい開始以来と平年値へいねんち
「統計開始以来初」という表現に接したとき、まず確認すべきは「いつから数えているのか」である。気象庁の台風統計は1951年から。したがって茨城県への上陸が初というのは75年分の記録の中で初という意味であり、それ以前の事象は記録がないため判断できない。平年値は直近30年の平均値で、10年ごとに更新される(現行は1991〜2020年)。「平年より多い・少ない」はこの値との比較である。数字は比較対象と観測期間をセットにして初めて情報になる——資料読み取り問題の核心はここにあり、「過去最高」「観測史上初」といった表現を無批判に受け取らない姿勢が問われる。2026年は1〜8月の全月で台風が発生し、これは統計開始以来3例目(1965年・2015年・2026年)である。
3 基幹きかん管路かんろ活断層かつだんそう
基幹管路は、浄水場から配水池を経て地域全体へ水を送る主要な水道管を指す。ここが損傷すると、その先の広範囲が一度に断水する一方、1本の復旧で数千世帯が同時に回復するという性質も持つ。熊本県では断層に沿って埋設されていた基幹管路の被害が復旧長期化の要因の一つとみられている。活断層は最近の地質時代に繰り返し活動し、今後も動く可能性がある断層で、日本には約2000が確認されている。地表からは判別できないものも多く、すべてを回避して管路を敷設することは現実的でない。そのため近年の耐震化は「避ける」から「壊れても早期に復旧できる形にする」へ——可撓かとう性の高い継ぎ手の採用や、区間を細かく区切って被害を局所化する設計へ移行している。
4 経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうとサプライチェーン
経済安全保障とは、国民生活や産業の基盤に不可欠な物資・技術・情報について、他国への過度な依存によって供給が断たれる事態を防ぐ考え方。2022年に経済安全保障推進法が成立し、半導体・医薬品・重要鉱物などが特定重要物資に指定されている。サプライチェーンは原材料の調達から製造・流通・販売に至る一連の連鎖で、どこか一箇所が途絶すれば全体が止まる。半導体はスマートフォン・自動車・医療機器・防衛装備のすべてに不可欠でありながら、最先端の製造は特定の国と地域に集中している。8月11日、ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCは熊本県合志市を拠点とする合弁会社の設立契約を締結し、両社で約7470億円を拠出、2029年にイメージセンサーを量産する予定である。記述では食料自給率やエネルギー自給率と同じ構造の問題として位置づけると説得力が増す。
5 準天頂じゅんてんちょう衛星と測位そくい
衛星測位は、複数の衛星が発する時刻信号が受信機に届くまでの時間差から距離を算出し、位置を一点に定める技術である(電波の速さは光と同じ秒速約30万キロメートル)。3基以上の距離が判明すれば位置は確定する。準天頂衛星は日本のほぼ真上を長時間通過する軌道に配置された衛星で、ビルや山地の多い日本でも仰角が高く電波が届きやすい。GPSはアメリカが整備・運用するシステムであり、日本は現在これと「みちびき」を併用している。8月11日のH3ロケット9号機によるみちびき7号機の投入で6機体制となり、7機体制が実現すれば他国のシステムに依存せず自国の衛星のみで測位を提供できる。位置情報は物流・農業機械の自動走行・船舶・航空・災害対応の基盤であり、これも経済安全保障の一部である。
6 皆既かいき日食・新月しんげつ黄道こうどう
日食は太陽・月・地球がこの順に一直線に並ぶときに起こり、月の影が落ちた地域(皆既帯)でのみ観測できる。並びの条件から日食は必ず新月に起こる(月食は満月)。ただし月の公転面は地球の公転面(黄道面)から約5度傾いているため、毎回の新月で日食が起こるわけではない。太陽の直径は月の約400倍だが、距離も約400倍あるため見かけの大きさがほぼ一致し、この偶然が皆既日食を成立させている。皆既の数分間だけ、通常は太陽本体の輝きに隠れて観測できないコロナが姿を現す。現地時間8月12日の皆既日食は、ヨーロッパ大陸本土では1999年8月11日以来27年ぶりであった。8月13日はペルセウス座流星群の極大でもあり、同じ「新月」という事実が、日食の成立条件と流星観測の好条件の両方を説明する
7 検証けんしょう立証りっしょう責任せきにん
日本高等学校野球連盟は2026年4月の理事会でビデオ検証の導入を決定し、この大会が公式戦初の適用となった。8月7日に初めて行使され、結果は「映像でも確証が得られなかったため、元の判定を維持」であった。ここで重要なのは、判定を変更するには「明らかに誤りである」と示せることが必要であり、示せない場合は現状を維持するという設計である。これは司法におけるうたがわしきは被告人ひこくにんの利益に」——立証責任を負う側が証明できなければ有罪としない原則と同型である。科学における仮説検証も同じ構造を持つ。「わからない」という結論を出せることが、検証という制度の成熟を示す。記述では「あいまいな証拠で変更すると、かえって誤りが増える」という因果まで書き切りたい。
8 非核ひかく三原則と被爆ひばく体験たいけん継承けいしょう
8月9日、長崎市の平和公園で被爆81周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が行われ、98か国とEUが参列した。台風の接近が懸念されたが、長崎市は気象予報を確認したうえで予定どおりの開催を決定している。非核三原則は核兵器を「持たず、つくらず、持ちこませず」という日本の方針で、1967年に当時の首相が国会で表明し、1971年に国会決議が行われた。法律ではなく国の方針である点が問われやすい。関連して、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約には日本は参加していない(アメリカの核抑止に依存する安全保障政策との整合が論点)。被爆者の平均年齢は86歳を超え、体験を直接語れる人は年々減少している。記録と伝達の方法そのものが課題になっているという論点で、記述に展開できる。

📰 今週のニュース

8月11日(火)20時

🌀 台風15号が茨城県いばらきけん南部に上陸じょうりく ── 統計とうけい開始以来初の意味

台風15号が上陸した茨城県にある湖、霞ヶ浦
📷 茨城県いばらきけんかすみうら。琵琶湖に次ぐ日本第2の面積をもつ湖です(写真:Google マップ)

🗾 茨城県いばらきけん南部(関東かんとう地方の北東部、太平洋に面する)

2026年8月11日20時、台風15号「チャンホン」が茨城県南部に上陸しました。気象庁きしょうちょうによると、茨城県に台風が上陸するのは1951年の統計開始以来初めてです。

まず定義を確認します。「上陸」とは、台風の中心が海上から陸地へ移ることを指します。近傍を通過しただけでは上陸とは呼びません。なお、小さな島や半島を横切って再び海上へ出る場合は「通過」と呼び分けられます。定義が明確でなければ統計が取れないためです。

日本には毎年多数の台風が接近します。それにもかかわらず茨城県への上陸例が一度もなかったのは、台風の一般的な進路がこの県を避ける形をしていたからです。次の記事でその構造を扱います。

台風はこの後、関東地方を横断して東海・北陸方面へ進み、12日夜までに熱帯低気圧ねったいていきあつに変わると見込まれました。熱帯低気圧と台風の境界は、最大風速がおよそ17.2m/s(風力8)に達するか否かで区分されます。

📝 記述のヒント(頻出)

「統計開始以来初」という表現を見たら、必ず観測期間を確認する習慣をつけてください。気象庁の台風統計は1951年からで、これは75年分の記録の中で初という意味にとどまります。それ以前に同様の事例があった可能性は否定できません。資料読み取り問題では、「観測期間の外側については何も言えない」という限界を意識できているかが、答案の質を分けます。

出典:気象庁の発表

8月10日〜12日

🧭 なぜ東から西へ進んだのか ── 偏西風へんせいふう太平洋たいへいよう高気圧

台風は自ら進むのではなく、周囲の風に規定されて動く 通常の経路(西 → 東) 太平洋高気圧 夏に日本の南東へ張り出す 低緯度の海上で発生 高気圧の縁を回って北上 中緯度の偏西風が東へ流す → 茨城県に到達する時点では、すでに海上へ抜けている例が多かった。 今回の台風15号(東 → 西) 高気圧の張り出し方が異なった 縁を吹く風が東寄りに 茨城県に上陸 日本の東方海上で発生し、西進 → 最初に到達した陸地が茨城県となった。進路が変われば「初めて」が生まれる。 同じ台風でも、気圧配置が違えば進路はまったく別のものになる。
台風の進路を決める構造 図:スクールコンパス編集部

台風が「西から東へ」進むという通念には、明確な物理的根拠があります。台風は自らの推進力で移動しているのではなく、周囲の大規模な気流に流されて動いています

夏の日本の南東には太平洋高気圧が張り出しています。高気圧の周囲では時計回りに風が吹き出すため、台風はそのふちに沿って回るように北上します。そして日本付近まで達すると、中緯度いど帯の上空を西から東へ吹く偏西風に流され、進路を東寄りに変えます。これが「西から東へ」の内実です。

今回はこの配置が通常と異なりました。台風15号は日本のはるか東方海上で発生し、そこから西へ向かって進みました。日本の東側から接近したため、最初に到達した陸地が茨城県になった、という順序です。

ここから引き出せる一般則があります。進路は台風の性質ではなく、その時の気圧配置によって決まる。したがって「台風は必ず西から来る」という理解は、正確には「例年の気圧配置では西から来ることが多い」に置き換えられます。

🤔 偏西風はなぜ吹くのか

赤道付近と極付近の受熱量の差と、地球の自転が原因です。 赤道は太陽光を垂直近くに受けて暖まり、極は斜めに受けるため冷えます。この温度差が大気の循環を生み、地球の自転による転向力てんこうりょく(コリオリの力)が働くことで、中緯度帯では西風が卓越します。天気が西から東へ移り変わるのも、東行きの航空便のほうが所要時間が短いのも、すべて同じ原因です。

📝 記述のヒント(頻出)

偏西風・太平洋高気圧・梅雨前線ばいうぜんせん季節風きせつふうは日本の気候を説明する4点セットです。とくに「台風の進路は太平洋高気圧の張り出し方に規定される」という因果は、記述で書けると差がつきます。年によって進路が大きく異なる理由も、この一文で説明できます。

出典:気象庁の発表、スクールコンパス編集部による解説

構造を読む

⚠️ 「異例の進路」はなぜ危険を増すのか ── 経験の不在という脆弱性ぜいじゃくせい

同じ強さの台風でも、被害の大きさは変わる 想定内の進路 ・浸水しやすい場所が把握されている ・倒れやすい木や構造物が既知 ・堤防や排水設備が想定方向に対応 ・住民が過去の経験から動ける ・自治体の対応手順が確立 → 蓄積が防御として機能する 異例の進路 ・どこが弱いか判明していない ・風向きが設備の前提と異なる ・海岸線の向きに対する条件が変わる ・住民に参照できる経験がない ・予報の不確実性も大きくなる → 蓄積が使えず、想定外が生じる 「めずらしい」は「危険が小さい」を意味しません。むしろ逆です。
経験の蓄積と災害リスクの関係 図:スクールコンパス編集部

「異例の進路」という報道に接すると、単なる珍事のように受け取ってしまいがちです。しかし防災の観点では、異例であること自体がリスク要因になります

理由は経験の蓄積が使えなくなるからです。台風が頻繁に通る地域では、どこが浸水しやすく、どの木が倒れやすく、どの道路が冠水するかが、住民にも自治体にも共有されています。この蓄積は、地図には書かれていない防災資源です。

設備も同様です。堤防・防風林・建物の向きは、その土地で卓越する風向きを前提に設計されています。前提と異なる方向から風が吹けば、同じ強さでも被害の出方が変わります。海岸線の向きと波の来る方向の関係も同じです。

さらに予報の不確実性も大きくなります。数値予報は過去の類似事例が多いほど精度が上がりますが、前例の乏しい進路では参照できる事例が限られます。

🧠 一般化して考える

この構造は災害に限りません。「経験の蓄積が防御になっている領域では、前提が変わった瞬間に防御が消える」——感染症、金融危機、産業構造の転換にも同型の議論があります。想定外への備えとして重要なのは、個別の想定を増やすことよりも「想定が外れたときにどう動くか」を決めておくことだとされます。思考力型入試では、こうした構造の転用が高く評価されます。

出典:スクールコンパス編集部による解説

8月11日(火)

🌳 関東かんとうの被害と鉄道の運休判断 ── 基準を先に決める設計

「止める」判断は、その場では下していない 🌳 街路樹の倒木・折損 東京・表参道付近でも発生 葉が風を受ける面積を増やす 🏗️ 工事現場の足場が倒壊 東京・足立区の現場 高所ほど風速は大きくなる 🚃 鉄道の運転見合わせ 東京メトロ半蔵門線は11日夜に再開 風速の基準を事前に定めて運用 🚗 道路とお盆の移動 帰省の移動時期と重なった 予定変更が相次いだ 基準が先にあるから、迷わず速く止められる。これも事前決定の効果です。
台風15号による関東の影響 図:スクールコンパス編集部

台風が関東を横断した夜、各地で強風による被害が生じました。東京では街路樹が折損し、工事現場の足場が倒壊した箇所もありました。鉄道は一部で運転を見合わせ、11日夜に順次再開しています。

ここで着目したいのは、鉄道各社が「風速がこの値を超えたら運転を見合わせる」という基準をあらかじめ定めている点です。その場の判断で止めているのではありません。近年は計画運休として、台風接近前に運休を予告する運用も定着しました。

運休は多くの人に不利益をもたらします。それでも実施するのは、運行を継続した場合に生じうる事故の損失が、はるかに大きいからです。加えて、予告することで乗客が立ち往生する事態を避けられるという効果もあります。

🤔 なぜ高所ほど風は強いのか

地表面の摩擦が風速を減じているためです。 地表付近では建物・樹木・地形の凹凸が風のエネルギーを奪います。この影響を受ける層を大気境界層たいききょうかいそうと呼びます。上空へ行くほど摩擦の影響が小さくなるため、同じ台風でも高層階や足場の上部では地上より強い風が吹きます。ビルの間で風が加速するビル風も、都市部特有の要因として押さえておきましょう。

📝 記述のヒント

「事前に基準を定めておくことの利点」は、今週の紙面に繰り返し現れる論点です。①判断が速くなる ②担当者による判断のばらつきが減る ③判断した個人が責められにくくなる ④利用者が予測して行動できる——この4点を挙げられると、答案の厚みが違ってきます。応急仮設住宅の事前決定、ビデオ検証の3類型、大会日程の予備日も、すべて同じ構造です。

出典:気象庁、各鉄道事業者の発表、報道

8月12日(水)9時

🌀 台風17号「ナンカー」発生 ── 命名制度と国際協調

🗾 台風17号が発生した小笠原おがさわら諸島しょとう付近(行政区分は東京都、本土から約1000km)

8月12日9時、小笠原近海で台風17号「ナンカー」が発生しました。8月に入って4個目です(5日に15号、9日に16号「ペイロー」)。

台風の名称は、台風委員会たいふういいんかいに加盟するアジア太平洋地域の14の国と地域が10個ずつ提案した、計140個のリストから発生順に付与されます。使い切ると再び1番目に戻るため、年間発生数が約25個であれば、およそ5〜6年で一巡する計算です。「ナンカー」はマレーシアが提案した名称で、甘い果物を意味します。

日本が提案した10個はすべて星座名(テンビン、ヤギ、ウサギ、カジキなど)です。中立的で、自然物であり、天空にあって親しまれているという基準で選定されました。特定の国や人物に結びつかない名称を選ぶ配慮です。

なお、甚大な被害をもたらした台風の名称は、以後使用されないよう引退いんたい(リタイア)させる制度があります。同じ名前が繰り返し使われることによる混乱と、被災者への配慮が理由です。

🤔 番号があるのに、なぜ名称が必要なのか

国際的な情報伝達で誤認を防ぐためです。 日本は「台風○号」と発生順の番号で呼びますが、この番号は日本の気象庁が独自に付けているもので、他国とは一致しません。同時に3個が存在する状況で、国をまたいで航空・海運の安全情報をやりとりする際、番号だけでは取り違えが起こります。名称は世界共通の識別子として機能します。「共通の名前をつけることが、協力の前提条件になる」——これは今週の論点マップにつながる論理です。

出典:気象庁の発表、台風委員会

2026年の記録

📊 1〜8月の全月で発生 ── 統計とうけいをどう読むか

2026年 1月から8月まで、すべての月で発生 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 1951年の統計開始以来、同様の年は 1965年 2015年 2026年 この3例のみ(75年でおよそ3回) なお8月は平年で年間最多の月(平年値5.7個)。年間の平年値は約25個。
1〜8月に毎月台風が発生した年 図:スクールコンパス編集部

2026年は1月から8月まで、すべての月で台風が発生している年です。真冬の1月・2月に発生することは通常まれです。気象庁の統計(1951年〜)で同様の年は1965年、2015年、2026年の3例のみです。

台風の発生には海面水温がおおむね26〜27度以上という条件が関わります。暖かい海面から供給される水蒸気が凝結する際に放出される潜熱せんねつが、台風のエネルギー源となるためです。冬でも赤道付近には十分暖かい海域があるため、発生自体はありえます。

ここで注意すべきは、「3例目」という数字だけでは温暖化の証拠にならないという点です。1965年にも起きているからです。個々の事象と長期傾向は区別して扱う必要があります。気候変動の議論では、単年の記録ではなく数十年単位の傾向が根拠になります

📝 記述のヒント(資料読み取りの核心)

数字に接したとき、確認すべきは次の3点です。①いつから数えているか(観測期間)②何と比べているか(比較対象)③その差は偶然の範囲を超えるか。「3回目」は少なく感じますが、75年で3回なら確かにまれです。「今年は台風が17個発生」も、年間の平年値が約25個と知って初めて意味を持ちます。数字は比較対象とセットにして初めて情報になる——これが資料読み取り問題の核心です。

出典:気象庁の台風統計

8月9日(日)

🏝️ 台風13号のつめあと ── 報道が減ったあとの時間

沖縄県宮古島市の前浜ビーチ
📷 宮古島みやこじま前浜まえはまビーチ。この砂が隣接する漁港へ流入しました(写真:Google マップ)

🗾 沖縄県おきなわけん宮古島市みやこじまし(沖縄本島の南西約300km、先島諸島)

先週沖縄に接近した台風13号「ドルフィン」は、通過後にも影響を残しました。宮古島では、隣接する海浜から飛来・流入した砂が前浜まえはま漁港を埋没まいぼつさせました

台風13号の最大瞬間風速は60m/sに達しました。時速に換算すると216km——新幹線の巡航速度に相当する風が、長時間吹き続けたことになります。沖縄では国頭村の小学校で屋根が損壊し、けが人も9人にのぼりました。

漁港の浚渫しゅんせつ(土砂の除去)には時間と費用がかかります。その間、漁船は出港できません。災害の影響は、被害が発生した瞬間ではなく、生業が止まっている期間の長さで測られるべきという見方があります。

🧠 なぜ「通過後」の報道は少ないのか

報道の資源配分が「これから起きること」に傾くためです。 接近中の情報は避難行動に直結するため大きく扱われますが、通過後の復旧は数週間から数か月に及ぶ地味な作業であり、日々の変化に乏しく、ニュースとしての新規性が下がります。結果として「報道量」と「困難の総量」は一致しません。先週の熊本の記事も同じ構造でした。報道が減った時期にこそ支援の必要度が高い——この非対称性は、記述問題の題材としてしばしば出題されます。

出典:気象庁、沖縄県の発表、報道

8月8日〜16日

🏮 お盆の帰省きせいと台風 ── 移動の集中とリスクの重なり

人の移動が集中する時期に、災害が重なった 8/8土 8/9日 8/10月 8/11火 8/12水 8/13木 8/15土 8/16日 下り最多 混雑 平常 平常 混雑 混雑 上り 上り最多 ← 帰省(下り)が集中 Uターン(上り)が集中 → 🌀 台風15号 移動需要の集中と災害が重なると、影響を受ける人数が跳ね上がります。 「予定を1日ずらせるか」が、そのまま被害の大きさを左右します。
お盆の混雑と台風15号の時期 図:スクールコンパス編集部

お盆は盂蘭盆会うらぼんえに由来する行事で、先祖の霊を迎え供養する期間とされます。多くの企業が同時期に休業するため、帰省需要が特定の数日間に集中します。

今年は下りの混雑が8月8日から始まり、上りは15日から16日がピークと見込まれました。そこへ11日から12日にかけて台風15号が重なりました。

災害リスクは「危険の大きさ」と「さらされる人の数」の積で考えるのが基本です。同じ強さの台風でも、移動需要が集中する時期に当たれば影響を受ける人数が跳ね上がります。出発を前倒し・後ろ倒しした判断は、リスクの回避として正しい行動です。

📝 記述のヒント

「集中」と「分散」は交通・電力・水道・医療・教育のすべてに共通する論点です。集中は効率を高める一方、ピーク時の負荷に合わせて設備を用意する必要が生じるため、平常時は過剰な容量を抱えることになります。休暇の分散取得、電力のピークシフト、時差通学はいずれも「ピークを下げれば必要な設備を減らせる」という同じ論理です。

出典:NEXCO各社・JR各社の混雑予測

8月11日(火・祝)

⛰️ 山の日と国土の3分の2 ── 森林・水源・治水ちすい

森林の「緑のダム」機能 森林がある場合 🌲🌲🌲 落ち葉と土壌が雨水を一時的に保持 → 川へ流れ出る量がなだらかになる 洪水を緩和し、渇水期にも水を供給 森林が失われた場合 🪨🪨🪨 雨水がそのまま地表を流れる → 短時間に大量の水が川へ集まる 洪水が起きやすく、土砂も流出 日本は国土のおよそ3分の2(約66〜68%)が森林 森林 約3分の2 農地・宅地など 先進国ではフィンランドに次ぐ高い森林率。平地が少なく山地が多い地形が背景。
森林の水源涵養機能 図:スクールコンパス編集部

8月11日は「山の日」「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」と祝日法に定められています。2016年に施行された、日本で最も新しい国民の祝日です。

日本は国土の約3分の2が森林です。森林は木材の供給源であるだけでなく、水源すいげん涵養かんよう機能を担っています。落ち葉と土壌が雨水を一時的に保持し、時間をかけて河川へ流すため、洪水のピークを下げ、同時に渇水期にも水を供給できる。この働きから「緑のダム」と呼ばれます。

今年の山の日は台風の当日となりました。山地では平地より雨量が多くなりやすく、渓流は短時間で増水します。レジャーを中止した判断は妥当でした。

🤔 山の日はなぜ8月11日なのか

明確な由来はありません。 8月に祝日がなかったこと、お盆の時期と接続して連続休暇を取りやすいことが主な理由です。「11」が林立する木に見えるという説明もありますが、これは後付けの解釈です。祝日には「意味が先にあるもの」と「休日の配置が先にあり、意味を後から与えるもの」の両方が存在する——制度の成立過程を問う設問では、この区別が論点になります。

📝 記述のヒント(頻出)

日本の森林率は約66〜68%。国土が狭いにもかかわらず森林率が高い理由は「平地が少なく山地が多い」という地形にあります。あわせて林業の担い手不足と人工林の手入れ不足が水源涵養機能の低下を招いているという論点も押さえておきましょう。間伐かんばつが行われないと林床に光が届かず下草が育たないため、土壌の保水力が落ちます。

出典:内閣府「国民の祝日について」、林野庁

8月11日(火)

🏠 熊本くまもと地震から2週間、仮設かせつ住宅が着工

🗾 熊本県くまもとけん宇城市うきし周辺(熊本市の南、有明海ありあけかいに面する)

7月28日に発生した熊本地震から8月11日で2週間となり、被害の大きかった地域で応急仮設住宅の建設が始まりました。熊本県は早い地域で9月上旬の入居開始をめざしています。

この速度は、平常時の準備によって成立しています。多くの自治体は災害が起きていない時期に、住宅業界の団体と協定を締結し、建設候補地を選定し、住宅の仕様を定めています。発災後に「どこに建てるか」「どの規格にするか」「どの事業者に発注するか」を一から協議すれば、着工までに数週間を要します。

ここに一般化できる構造があります。災害後の作業は「決めること」と「動くこと」に分けられ、「決めること」は平時に前倒しできる。だから発災後は「動くこと」だけに集中でき、速度が生まれます。

なお応急仮設住宅の入居期間は原則2年とされますが、復興の進捗により延長される例も少なくありません。「仮設」という語に反して、そこで新しい学校に通い、人間関係を築く子どももいます。

📝 記述のヒント(頻出)

復旧と復興の区別は必須です。復旧=被災前の状態へ戻すこと。復興=被災前より良い形で地域を再建すること。今週の熊本の報道は大半が「復旧」段階にあたります。また「みなし仮設」(民間賃貸住宅を自治体が借り上げて提供する方式)も頻出語です。建設型より速く供給でき、地域コミュニティの分散という課題も伴う——利点と課題を対で書けると上位答案になります。

出典:熊本県の発表

8月12日(水)

🚰 断水だんすいの長期化 ── 断層だんそうに沿った基幹きかん管路かんろという構造

なぜ電気は早く、水道は遅いのか ── 工程数の差 地中の構造 基幹管路(浄水場から地域全体へ送る主要管) ここから配水管が各戸へ分岐する 活断層(地表からは判別しにくい) 損傷 ⚡ 電力の復旧(2工程) ① 断線箇所を目視で特定 ② 接続・送電を再開 ・別系統からの迂回送電も可能 → 数日〜1週間程度で復旧しうる 🚰 上水道の復旧(4工程) ① 破損箇所を探索(目視不可) ② 掘削 ③ 管の交換 ④ 水質検査(飲用のため省略不可) → 数週間を要することがある
ライフライン復旧の工程数の差 図:スクールコンパス編集部

熊本県では上水道の断水が続く地域があります。県によると、断層に沿って埋設されていた基幹管路の被害が復旧長期化の要因の一つとみられています。

基幹管路は浄水場から配水池を経て地域全体へ水を送る主要管です。ここが損傷すると下流の広範囲が一度に断水します。ただし裏を返せば、1本の復旧で数千世帯が同時に回復するという性質も持ちます。

電力との差は工程数に由来します。電線は地上にあり断線箇所を目視で特定でき、別系統からの迂回送電も可能です。これに対し水道管は地下にあるため、破損箇所の探索・掘削・交換・水質検査という4工程を要します。しかも上水道は飲用であり、安全確認を省略できません

ここは繰り返し強調しておきます。復旧速度の差は、担当者の努力の差ではなく工程数の差です。

🤔 なぜ断層を避けて敷設しなかったのか

回避が現実的でないためです。 活断層は地表から判別できないものが多く、日本には約2000が確認されています。すべてを避けて管路網を構成することは事実上不可能です。そのため近年の耐震化は「避ける」から「損傷しても早期に復旧できる形にする」へ方針が移りました。可撓かとう性の高い継手つぎて(地盤のずれに追従して抜けない構造)の採用、区間を細かく区切って被害を局所化する設計などが進められています。完全な予防が不可能な領域では、被害の局限と復旧の速度に投資する——リスク管理の一般則です。

📝 記述のヒント(頻出)

ライフライン(電気・ガス・水道・通信)の復旧順序は定番の出題です。原則は「地上にあるものは早く、地下にあるものは遅い」。ガスは地下管である上に爆発の危険があるため各戸での安全確認が必須で、最も時間を要する場合があります。理由まで書き切ることが求められます。

出典:熊本県、各自治体の発表

8月11日(火)

📷 ソニーとTSMCが合志市こうしし合弁ごうべん会社 ── 約7470億円

熊本県合志市のまちなみ
📷 新会社の拠点となる熊本県くまもとけん合志市こうしし(写真:Google マップ)

🗾 熊本県くまもとけん合志市こうしし(熊本市の北隣。半導体関連企業が集積する地域)

8月11日、ソニーセミコンダクタソリューションズと台湾のTSMCが、熊本県合志市を拠点とする合弁会社の設立に関する確定契約を締結したと発表しました。新会社の社名は Advanced Vision Semiconductor Manufacturing です。

拠出額は両社あわせて約7470億円(ソニー側が約4650億円、TSMCが約2820億円)。ソニー側が過半を出資し、2029年にスマートフォン向けイメージセンサーの量産を開始する計画です。

役割分担は明確です。ソニーはイメージセンサーの設計で世界最大手(世界シェアの半分以上を占めるとされます)、TSMCは半導体の受託製造で世界最大手。設計と製造という異なる強みを持ちよる構造です。

熊本県は現在、地震からの復旧の途上にあります。そこへ2029年に始動する雇用のニュースが届いた形です。

🤔 なぜ垂直統合ではなく分業なのか

設計と製造で必要な資本と技術が根本的に異なるためです。 半導体産業では、設計に特化するファブレス企業と、製造を受託するファウンドリ企業への分業が進みました。最先端の製造ラインには数千億円から1兆円規模の投資が必要で、これを設計企業が単独で負担するのは合理的でありません。それぞれが得意分野に集中し、規模の経済を効かせる——TSMCはこのファウンドリという業態を確立して世界最大手となりました。分業は効率を高める一方、供給が特定企業・特定地域に集中するという脆弱性も生みます。次の記事につながる論点です。

出典:ソニーセミコンダクタソリューションズ、TSMCの発表

技術のしくみ

🔬 イメージセンサーの原理と、熊本くまもとが選ばれた条件

光を数値に変換する ── 撮像の原理 🏞️ 被写体 光を反射する 🔍 レンズ 光を集め像を結ぶ イメージセンサー 1マス=1画素(フォトダイオード) 📱 画像データ 各画素が受けた光の強さを電気信号に変え、数値として記録する。 画素数が多いほど解像度は上がるが、1画素あたりの受光面積は小さくなる。 受光面積が小さいと暗所での雑音が増え、画質が低下する。 センサー面積が限られるスマートフォンでは、この両立が技術競争の核心となる。 (裏面照射型・積層型などの構造技術が、この制約を緩和してきた)
イメージセンサーの原理 図:スクールコンパス編集部

イメージセンサーは光を電気信号に変換する半導体素子です。表面には画素がそ(フォトダイオード)が格子状に並び、各画素が受けた光の強さを数値として記録します。その数値の集合が画像になります。

ここに技術的な制約せいやくがあります。画素数を増やせば解像度は上がりますが、センサー全体の面積が一定なら1画素あたりの受光面積は小さくなります。受光面積が小さいと、暗所で雑音ノイズの影響が相対的に大きくなり画質が低下します。スマートフォンのように筐体が薄くセンサー面積が限られる機器では、この両立が競争の核心です。

では、なぜ熊本県なのでしょうか。理由は複数あります。

第一にです。半導体製造では工程ごとに超純水ちょうじゅんすいによる洗浄が必要で、大規模工場では1日に数万トンを使用します。熊本は阿蘇あその火山噴出物からなる地層が雨水を濾過ろかし、豊富な地下水に恵まれています。第二に既存の集積です。TSMCの工場が既に稼働しており、技術者・設備業者・物流網が整っています。第三に用地と電力の確保しやすさです。

🤔 なぜ半導体製造にそれほどの水が必要なのか

洗浄工程が繰り返されるためです。 半導体の回路線幅はナノメートル(10億分の1メートル)単位に達します。ちりが1粒付着しただけで回路が断線・短絡し不良品となるため、成膜・露光・エッチングの各工程後に超純水で洗浄します。超純水とはイオン・有機物・微粒子・溶存気体を極限まで除去した水で、そのままでは飲用に適しません(ミネラルを含まないため)。製造業の立地は、原料や労働力だけでなく「水」という条件にも規定される——地理の記述で使える視点です。

出典:各社の発表、スクールコンパス編集部による解説

論点

🌏 経済けいざい安全あんぜん保障ほしょう ── 「自前で持つ」とはどういうことか

同じ形をした4つの問題 💾 半導体 最先端製造が 特定地域に集中 🌾 食料 カロリーベース 自給率は約38% エネルギー 化石燃料の 大半を輸入 🛰️ 測位衛星 GPSは米国が 整備・運用 共通する問い ── 「他者に依存しているものが、断たれたらどうするか」 完全な自給は非効率で、多くの場合そもそも不可能。国際分業には明確な利益がある。 論点は「自給か依存か」ではなく、どこまでを自前で確保しておくかという程度の問題。 効率と安全性のあいだで、どこに線を引くか。
経済安全保障をめぐる構造 図:スクールコンパス編集部

国が半導体工場の建設を支援する背景には、経済安全保障という考え方があります。国民生活や産業の基盤に不可欠な物資・技術について、他国への過度な依存によって供給が断たれる事態を防ぐという発想です。

2022年には経済安全保障推進法が成立し、半導体・医薬品・重要鉱物などが特定重要物資に指定されました。半導体はスマートフォン、自動車、医療機器、防衛装備のすべてに不可欠でありながら、最先端の製造は特定の国と地域に集中しています。

ここで注意したいのは、「輸入は悪、自給は善」という単純な図式では捉えられないことです。国際分業には効率という明確な利益があります。すべてを自前で作れば費用は上昇し、品質も劣後しかねません。

したがって論点は「自給か依存か」ではなく、「どこまでを自前で確保しておくか」という程度の問題になります。効率と安全性のあいだで、どこに線を引くか。この問いは食料自給率にも、エネルギー政策にも、測位衛星の整備にも、同じ形で現れます。

📝 記述のヒント(高得点の型)

この種の設問では、「一方的な主張」ではなく「トレードオフの提示」が評価されます。答案の型は次のとおりです。①国際分業には効率という利益がある ②しかし供給途絶時の損失が極めて大きい分野が存在する ③そこで、影響の大きさに応じて自国生産の比率を確保しておく必要がある「両方の利点を認めたうえで、どこで線を引くかを論じる」——これが思考力型入試で求められる書き方です。

出典:内閣府、経済産業省、スクールコンパス編集部による解説

8月11日(火)4時23分31秒

🚀 H3ロケット9号機が打ち上げ成功 ── 失敗の究明きゅうめいを経て

鹿児島県南種子町にある種子島宇宙センター
📷 種子島たねがしま宇宙うちゅうセンター(鹿児島県かごしまけん南種子町みなみたねちょう/写真:Google マップ)

🗾 種子島たねがしま宇宙うちゅうセンター(鹿児島県。日本最大の射場)

8月11日4時23分31秒、JAXAは種子島宇宙センターからH3ロケット9号機を打ち上げました。約29分後、準天頂衛星「みちびき7号機」を所定の軌道へ投入し、打ち上げは成功しました。

この打ち上げには経緯があります。2025年12月のH3ロケット8号機は打ち上げに失敗し、みちびき5号機を喪失しました。JAXAは原因を調査し、対策を講じたうえで再挑戦しました。

9号機の打ち上げは当初2026年2月1日に予定されていました。8号機の失敗を受けて延期され、6月の成功を経て8月7日に再設定、さらに天候の影響で11日へずれ込みました。半年以上を要した1日です。

H3はH-IIAエイチツーエーの後継として開発された日本の主力大型ロケットで、打ち上げ費用の低減と打ち上げ頻度の向上を目標に、自動車用部品の技術転用などによる低コスト化が図られています。

🤔 なぜ深夜・早朝の打ち上げが多いのか

投入したい軌道面と、射場の位置関係が時刻で決まるためです。 地球は自転しており、射場は1日で1周します。目標の軌道面に効率よく投入するには、射場がその軌道面を通過する瞬間に打ち上げる必要があります。この時間帯を打ち上げまど(ローンチウィンドウ)と呼びます。窓を逃せば次の機会まで待つほかありません。人間の都合ではなく、軌道力学の制約が日程を決めているという関係です。

📝 記述のヒント(地理と関連)

日本の主要射場は種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所(ともに鹿児島県)です。射場が南に位置するほど地球の自転速度(赤道で秒速約465m)を打ち上げ初速として利用でき、必要な燃料が減ります。加えて東側と南側が海に面していれば、失敗時の落下物が人口密集地に及びにくい「自転の利用」と「安全」という2条件で射場の立地を説明できるようにしておきましょう。

出典:JAXA、内閣府の発表

8月11日(火)

🛰️ みちびき7号機と衛星測位そくいの原理

位置を「測る」とは、時間を測ること 🛰️ 🛰️ 🛰️ 衛星A 衛星B(準天頂=ほぼ真上) 衛星C 0.0712秒 0.0681秒 0.0743秒 📱 受信機 電波の速度は光と同じ(秒速約30万km)。到達の遅れ×速度=距離。 3基以上の距離が定まれば、位置は空間上の一点に決まる。
衛星測位の原理 図:スクールコンパス編集部

みちびきは、日本が整備する準天頂じゅんてんちょう衛星システムです。原理は時間の測定にあります。

各衛星は「現在時刻」を含む信号を発信し続けています。受信機がそれを受け取った時点では、電波の伝搬に要した時間だけ遅れが生じています。電波の速度は光と同じ秒速約30万kmですから、遅れ×速度で衛星までの距離が求まります。3基以上の距離が定まれば、位置は空間上の一点に確定します。

この方式が成立するには、衛星側と受信機側の時刻が極めて高精度で一致していなければなりません。1マイクロ秒(100万分の1秒)の誤差が約300mの位置誤差に相当するためです。衛星には原子時計げんしどけいが搭載され、受信機側の時計の誤差は4基目の衛星の信号を使って補正されます。

今回の成功でみちびきは6機体制となりました。7号機には高精度測位システムが搭載され、衛星間で距離を測り合うことで誤差要因を打ち消します。将来的に全機に搭載されれば、一般的な受信機でも測位誤差が5〜10m程度から1m程度へ向上すると見込まれています。

📝 記述のヒント

準天頂軌道は、日本のほぼ真上を長時間通過するよう設計された軌道です。ビルや山地の多い日本では、衛星の仰角ぎょうかく(見上げる角度)が高いほど電波が遮られにくい——これが準天頂を採る理由です。都市部の谷間や山間部で測位が乱れる現象は、建物に反射した電波が遅れて届く(マルチパス)ことでも生じます。GPSはアメリカが整備・運用するシステムである点も必ず押さえてください。

出典:内閣府宇宙開発戦略推進事務局、JAXA

政策

🗾 7機体制がめざすもの ── 他国のシステムへの依存いぞんを解く

みちびきの整備計画 現在 6機 🛰️🛰️🛰️ 🛰️🛰️🛰️ 米国のGPSと併用 目標 7機(2031年度めど) 🛰️🛰️🛰️🛰️ 🛰️🛰️🛰️ 自国衛星のみで測位を提供可能 将来 11機 🛰️ 故障時の冗長性確保 提供領域の拡大 位置情報は、物流・農業機械の自動走行・船舶・航空・災害対応・金融取引の時刻同期まで支える。 「借りているもの」は、貸し手の判断で使えなくなる可能性が原理的に残る。 半導体・食料・エネルギーとまったく同じ構造の問題。
みちびきの整備計画 図:スクールコンパス編集部

現在の日本の測位は、アメリカのGPSとみちびきを併用して成り立っています。7機体制が実現すれば、他国のシステムに依存せず、自国の衛星のみで測位サービスを提供できるようになります。国は2031年度をめどとし、将来的には11機体制への拡張も計画しています。

なぜそこまで整備するのか。位置情報が社会基盤そのものになっているからです。宅配の配送計画、農業機械の自動走行、船舶・航空の運航、災害時の救助活動——加えて金融取引や通信網の時刻同期にも衛星の原子時計が使われています。

「借りているもの」は、原理的に貸し手の判断で使えなくなる可能性が残ります。だから自国分も保有する、という論理です。

なお世界には、EUのガリレオ、ロシアのGLONASS、中国の北斗といった測位システムがあります。主要な国と地域が自前の測位網を整備しつつあるという国際的な流れの中に、みちびきも位置づけられます。

📝 記述のヒント(構造の転用)

この論点は食料自給率・エネルギー自給率と完全に同型です。答案では次の型が有効です。①国際分業には効率という利益がある ②しかし供給が断たれた場合の影響が甚大な分野がある ③したがって影響の大きさに応じて自国での確保比率を判断する必要がある異なる分野の事実を同じ構造で説明できること——これが思考力型入試の評価軸です。

出典:内閣府宇宙開発戦略推進事務局

現地8月12日(日本時間13日未明)

🌑 ヨーロッパ本土で27年ぶりの皆既かいき日食

月の本影が地表を掃いた帯(皆既帯) 北極付近から入る グリーンランド(2008年以来) アイスランド(1954年以来) 大西洋を横断 スペイン北部(1959年以来) 皆既の継続時間は最長でも約1分50秒。日本では観測できず。
皆既帯の経路 図:スクールコンパス編集部

現地時間8月12日、グリーンランド、アイスランド、スペイン北部などで皆既日食が観測されました。ヨーロッパ大陸本土で観測できる皆既日食は、1999年8月11日以来27年ぶりです。スペインでは1959年以来、アイスランドでは1954年以来でした。

「皆既」は「すっかり尽きる」の意で、太陽が完全に隠される状態を指します。部分的に隠れる場合は部分日食、月が遠く見かけの大きさが不足して縁が環状に残る場合は金環きんかん日食と区別されます。

皆既の継続時間は、最長の地点でも約1分50秒でした。この2分足らずのために、世界各地から観測者と研究者が集まりました。NASAは高高度研究用ジェット機にカメラを搭載し、雲の上から太陽のコロナを観測しています。

🤔 なぜ日食のときに観測するのか

通常は太陽本体の輝きに隠れて観測できない現象が、そのときだけ見えるためです。 太陽の外層大気であるコロナは、太陽本体よりはるかに希薄きはくで暗いため、平常時は圧倒的な光量に埋もれています。皆既の数分間だけ本体が遮られ、コロナが姿を現します。コロナの温度は100万度を超え、表面温度(約6000度)よりはるかに高いという未解明の問題(コロナ加熱問題)があり、現在も研究対象です。「邪魔なものが取り除かれたときにだけ観測できる対象がある」——科学における観測条件の重要性を示す好例です。

出典:国立天文台、NASA、報道

天文のしくみ

🌞 日食の成立条件 ── 400倍という偶然ぐうぜん

太陽 ─ 月 ─ 地球 が一直線に並ぶとき 太陽 月(新月) 地球 太陽光 月の本影 本影が落ちた地域=皆既帯 太陽の直径は月の約400倍。しかし距離も約400倍。 そのため地球から見た「見かけの大きさ」がほぼ一致する(視直径 約0.5度)。 この偶然がなければ、皆既日食という現象は存在しない。 月は年に約3.8cmずつ遠ざかっており、遠い将来には皆既日食が起こらなくなる。
日食の成立条件 図:スクールコンパス編集部

日食は太陽・月・地球がこの順に一直線に並ぶときに起こります。月が太陽光を遮り、月の本影ほんえいが落ちた地域(皆既帯)でのみ皆既日食が観測されます。本影の周囲の半影はんえいにあたる地域では部分日食となります。

ここには天文学的な偶然が関わっています。太陽の直径は月の約400倍ですが、地球からの距離も約400倍あります。そのため地球から見た見かけの大きさ(視直径しちょっけい)がほぼ一致し、いずれも約0.5度になります。

この一致がなければ皆既日食は成立しません。月の視直径が小さければ太陽を覆いきれず、大きすぎればコロナまで隠れてしまいます。なお月は年に約3.8cmずつ地球から遠ざかっているため、遠い将来には皆既日食が起こらなくなるとされています。

🤔 なぜ毎回の新月に日食が起きないのか

月の公転面が地球の公転面から傾いているためです。 月の軌道面は地球の公転面(黄道面)に対して約5度傾いています。したがって多くの新月では、月は太陽の上または下を通過してしまいます。両者の軌道面が交わる点(交点こうてん)付近で新月を迎えたときにのみ日食が起こり、その頻度は年に2〜5回です。月食は満月のときに、同じ理由で条件が整ったときだけ起こります。

⚠️ 観測時の注意

肉眼での太陽の直視は絶対に避けてください。 サングラス、黒い下じき、すすを付けたガラスはいずれも不可です。可視光を減らしても赤外線・紫外線が透過し、網膜に不可逆的な損傷を与えるおそれがあります。日食観測用の遮光しゃこう板を用いるか、ピンホールを通して地面に投影する方法を使ってください。

出典:国立天文台

8月12日夜〜13日未明

🌠 ペルセウス座流星群が極大きょくだい ── 母天体と地球の軌道きどう

流星が一点から放射状に出現して「見える」理由 放射点 (ペルセウス座付近・北東の空) 今年の条件と観測 極大:8月13日11時ごろ 見ごろ:12日夜〜13日未明 13日が新月=月明かりなし 暗所で1時間あたり35個程度 活動は8月24日ごろまで 母天体はスイフト・タットル彗星。彗星が軌道上に残した塵の帯(ダストトレイル)を 地球が毎年ほぼ同じ時期に横切るため、流星群は毎年同じ時期に出現する。 平行に飛び込む塵が、遠近法によって一点から広がるように見える。
流星群の出現機構 図:スクールコンパス編集部

8月13日11時ごろ、ペルセウス座流星群が極大を迎えました。極大とは、流星の出現数が最多となる時期を指します。しぶんぎ座(1月)、ふたご座(12月)と並ぶ三大流星群の一つです。

極大が昼間であったため、見ごろは12日夜から13日未明でした。国立天文台によると、最も多く出現したのは13日の夜明け前(東京では3時ごろ)で、空の暗い場所では1時間あたり35個程度が期待されました。

流星群の正体は、彗星すいせいが軌道上に残した塵の帯(ダストトレイル)です。ペルセウス座流星群の母天体はスイフト・タットル彗星。地球は毎年ほぼ同じ時期にこの帯を横切るため、流星群は毎年同じ時期に出現します

放射点から放射状に出現するように見えるのは遠近法えんきんほうの効果です。塵はほぼ平行に地球へ飛び込んでいますが、平行な線は遠方で一点に収束して見えます。線路が地平線で1点に集まって見えるのと同じ原理です。

📝 記述のヒント

流星群の名称は放射点のある星座に由来します(母天体の名前ではありません)。またZHR(天頂出現数)という指標は「放射点が天頂にあり、空が理想的に暗い条件での1時間あたりの出現数」を表し、実際の観測数はこれより少なくなります。理想条件の数値と実測値を区別することは、資料読み取りの基本姿勢です。

出典:国立天文台

8月13日(木)

🔗 「新月しんげつ」が2つの現象を束ねている

別々に見えた2つのニュース、原因は1つ 8月13日は「新月」 月が太陽とほぼ同じ方向に位置する 🌑 皆既日食が成立した 月が太陽と地球の間に入るのは 新月のときに限られる。 → 日食は必ず新月に起こる 🌠 流星観測が好条件だった 新月は夜間に月が出ないため 夜空が暗いまま保たれる。 → 暗い流星まで検出できる
新月が束ねる2つの現象 図:スクールコンパス編集部

今年の流星群が「好条件」とされた理由は、8月13日が新月にあたったことです。新月は月が太陽とほぼ同じ方向に位置し、地球からはほとんど見えない状態を指します。月は自ら発光せず太陽光を反射しているため、太陽と同じ方向にあるときは照射しょうしゃ面が地球を向きません。

月が出なければ夜空は暗いまま保たれ、光度の低い流星まで検出できます。「何もないこと」が観測条件として最良になるという関係です。

そして——ここが今週最も面白い点です。ヨーロッパで皆既日食が起きたのも、同じ理由でした。月が太陽と地球の間に入るのは新月のときに限られるため、日食は必ず新月に起こります

まったく別のニュースに見えた2つが、「8月13日が新月だった」という単一の事実で説明できる。これは偶然の一致ではなく、同じ天体配置が異なる2つの帰結をもたらしたという構造です。

🧠 思考力型入試で問われる力

近年の入試では、「一見無関係な複数の事実を、同一の原理で説明せよ」という設問が増えています。今回の日食と流星群はその典型例です。答案では①共通する原因を特定する ②その原因が各現象にどう作用したかを分けて記述するという順序が有効です。「両方とも新月だから」で止めず、新月が日食では位置関係の条件として、流星では明るさの条件として作用した、と分けて書けるかどうかが分岐点になります。

出典:国立天文台

8月12日ごろの明け方

🪐 明け方の6惑星 ── 黄道こうどうという一本の線

惑星が空の同じ線上に並ぶ理由 ── 黄道 黄道(太陽・月・惑星が動く帯) 水星 木星 火星 天王星 土星 海王星 東の地平線 肉眼で捉えやすいのは火星と土星 天王星は双眼鏡、海王星は望遠鏡が必要
明け方の惑星の配置 図:スクールコンパス編集部

8月12日ごろの夜明け前、水星・木星・火星・天王星・土星・海王星の6惑星が東の空に順に姿を現しました。こうした配置は「惑星パレード」と呼ばれます。

ただし肉眼で確認しやすいのは火星と土星で、天王星には双眼鏡、海王星には望遠鏡が必要です。また「一列に並ぶ」といっても直線にはならず、緩やかな弧を描いて配置されます。

🤔 なぜ惑星は空の同じ線上に並ぶのか

太陽系の惑星が、ほぼ同一の平面上を公転しているためです。 地球もこの平面上にあるため、他の惑星を平面を真横から見る形で観測することになります。その結果、天球上では1本の線の近くに集まって見えます。この線を黄道と呼び、太陽と月もこの線の付近を動きます。黄道十二星座とは、この黄道上に並ぶ星座のことです。
なお、惑星がほぼ同一平面上を回る理由は、太陽系が回転する円盤状のガスと塵から形成されたためと考えられています。現在の配置が、太陽系の生い立ちを示す証拠になっているという点が興味深いところです。

📝 記述のヒント

太陽系の惑星は太陽に近い順に水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8個です。地球型惑星(水星〜火星)は岩石が主体で小さく密度が高い木星型惑星(木星〜海王星)はガスや氷が主体で大きく密度が低いという対比が頻出です。この違いは太陽からの距離によって、形成時に集まる物質が異なったことに由来します。

出典:国立天文台、報道

8月7日〜12日

甲子園こうしえんの2部制ぶせい ── 気候変化が制度を変えた

夏の全国高校野球選手権大会がひらかれる阪神甲子園球場
📷 兵庫県ひょうごけん西宮市にしのみやし阪神はんしん甲子園こうしえん球場(写真:Google マップ)
最高気温帯を意図的に空ける設計 朝の部 午後の部 空ける 8:00 11:00 13:30 19:30 ☀️ 1日で最も気温が上がる時間帯 ・第108回大会では8月7日から12日までの8日間実施 ・朝の部の終了後、観客は全員退場し、午後の部の観客と入れ替える ・朝の部が11時に終了しない場合は原則「継続試合」とし、後日に再開する ・午後の部が19時30分を超えて終了した場合、原則として次の試合を行わない
2部制の時間設計 図:スクールコンパス編集部

今年の夏の甲子園では、8月7日から12日までの8日間、朝の部と午後の部に分けて試合が行われました。阪神甲子園球場によれば、暑さ対策としての措置です。

朝の部は8時、午後の部は13時30分に開始し、1日で最も気温が上がる時間帯を意図的に空けています。朝の部の終了後は観客が全員退場し、午後の部の観客と入れ替えます。

細部の規定も整えられています。朝の部が11時に終了しない場合は原則として「継続試合」とし、後日に中断時点から再開します。午後の部が19時30分を超えて終了した場合は、原則として次の試合を行いません。

大会は8月5日に開幕し、8月15日から3回戦、決勝は8月22日の予定です。

🤔 なぜ従来はこの配慮がなかったのか

気温の実態そのものが変化したためです。 猛暑日(35度以上)の年間日数は長期的に増加傾向にあり、2026年からは酷暑日(40度以上)という区分が気象庁により正式に使用され始めました。「新しい語が必要になった」こと自体が、気候変化の指標です。
制度は現実の変化に遅れて追随します。「昔はこうだった」が通用しなくなったとき、慣行を改められるかが問われる——球数制限、休養日の設定、タイブレーク制度の導入も同じ流れにあります。

📝 記述のヒント

気温の区分は夏日25度以上/真夏日30度以上/猛暑日35度以上/酷暑日40度以上。加えてヒートアイランド現象(アスファルトの蓄熱ちくねつ、緑地の減少、人工排熱による都市部の高温化)と地球温暖化は原因が異なる別の現象であり、都市の気温上昇は両者の重なりとして説明するのが正確です。

出典:阪神甲子園球場、日本高等学校野球連盟の発表

8月7日(金)

📹 公式戦初のビデオ検証けんしょう ── 「確証かくしょうが得られない」という結論

映像を確認したあと、結論は3つに分かれる 1 映像で明確に確認できた → 判定を維持 審判の判断が正しかったことが、映像により裏づけられた場合。 2 映像でも確証が得られない → 判定を維持 今回はこれ。「変更するに足る根拠がない」ため、現状を維持する。 3 映像で誤りが確認できた → 判定を変更 アウトがセーフに、あるいはその逆に改められる場合。 変更を主張する側が根拠を示す。示せなければ現状を維持する。
ビデオ検証の3類型 図:スクールコンパス編集部

8月7日の立命館りつめいかん宇治うじ有明ありあけの試合で、高校野球の公式戦として初めてビデオ検証が実施されました。日本高等学校野球連盟が2026年4月の理事会で導入を決定した制度です。

ビデオ検証は監督が判定の再確認を要求できる制度で、権利行使は9回までに1度。控えの審判を含む3人が中継映像をもとに確認します。

この試合では走者のアウト・セーフが対象となりました。確認の結果、映像でも確証が得られなかったため、元の判定が維持されました。判定は覆っておらず、いずれのチームも有利・不利を受けていません。

制度設計の核心は「変更するには、明らかに誤りであると示せることが必要」という点にあります。示せない場合は現状を維持する。あいまいな根拠で変更すれば、かえって誤りを増やすおそれがあるためです。

🧠 同じ構造をもつ制度

この設計は司法における「うたがわしきは被告人ひこくにんの利益に」と同型です。刑事裁判では検察官が立証責任を負い、合理的な疑いを超える証明ができなければ有罪としません。「無罪」は「潔白が証明された」ことを意味せず、「有罪と立証できなかった」ことを意味します。
科学における仮説かせつ検証も同じです。データが不十分なら「差があるとは言えない」と結論し、「差がない」と断定はしません3つの領域が、証拠の扱い方について同じ形の規範を共有している——今週の論点マップの中心です。

🤔 なぜこの制度が必要になったのか

判定への批判がSNSで個人に集中する事例が増えたためです。 高校生の大会において、判定した審判の氏名や容貌が拡散され、激しい非難にさらされる例が生じていました。「人間の判断には限界がある」ことを制度として認め、確認の手続きを用意しておけば、個人が責めを負う構図から離れられます制度は、判定の精度を上げるためだけでなく、人を守るためにも設計される——重要な視点です。

出典:日本高等学校野球連盟の発表、報道

8月12日(水)

🌧️ 順延じゅんえんと予備日 ── リスク管理としての余白

台風のニュースと甲子園のニュースは連続している 8月11日〜12日 🌀 台風15号が関東を横断 8月12日 甲子園 🌧️ 第4試合が天候不良で中止 順延 📅 日程を後ろへずらして実施 大会日程にはあらかじめ休養日が組み込まれており、順延を吸収できる。 「うまくいかない場合」を想定して余白を確保しておく設計。
順延を吸収する日程設計 図:スクールコンパス編集部

8月12日、甲子園の第4試合が天候不良のため中止となりました。台風15号の通過後に残った降雨の影響です。

中止となった試合は消滅せず、日程を後ろへずらして実施されます。これを順延といいます。甲子園の大会日程にはあらかじめ休養日が組み込まれており、ある程度の順延を吸収できるよう設計されています。

台風のニュースと甲子園のニュースは、一見別々の出来事です。しかし同じ気象条件のもとで連続して生じている。ニュースは分野ごとに切り分けて報じられますが、現実は切り分けられていません。

📝 記述のヒント(今週の通奏低音)

予備日・休養日の設定はリスク管理の一形態です。「うまくいかない場合を想定し、あらかじめ余白を確保しておく」——今週の紙面には、この構造が繰り返し現れました。①応急仮設住宅の候補地と仕様の事前決定 ②鉄道の運休基準の事前設定 ③ビデオ検証の3類型の事前規定 ④大会日程の予備日 ⑤みちびきの11機体制(故障時の冗長性)。分野は防災・交通・スポーツ・宇宙と異なりますが、いずれも「事前に決めておくことで、事後の対応を速く確実にする」という同一の設計思想です。記述でこの一般化ができると、答案の質が明確に変わります。

出典:阪神甲子園球場、日本高等学校野球連盟の発表

8月9日(日)

🕊️ 長崎ながさき原爆げんばくの日、被爆ひばく81年 ── 98か国とEUが参列

長崎市の平和公園にある平和祈念像
📷 長崎市ながさきし平和へいわ公園。式典はここで行われました(写真:Google マップ)

🗾 長崎県ながさきけん長崎市ながさきし平和へいわ公園

8月9日、長崎市の平和公園で被爆81周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が行われ、11時2分にもくとうがささげられました。今年は98か国とEUが参列しています。

この式典は台風の接近により開催が危ぶまれていました。長崎市は気象予報を確認したうえで、予定どおり平和公園での開催を決定しています。テントなど会場設備への風の影響がないと判断したためです。

3日前の8月6日は広島原爆の日、6日後の8月15日は終戦の日にあたります。

📝 記述のヒント(公民の頻出論点)

非核三原則は核兵器を「持たず、つくらず、持ちこませず」とする日本の方針で、1967年に当時の首相が国会で表明し、1971年に国会決議が行われました。法律ではなく国の方針である点が問われます。
関連して、2017年に国連で採択され2021年に発効した核兵器禁止条約に日本は参加していません。アメリカの核抑止かくよくしに依存する安全保障政策との整合が政府の説明する理由であり、被爆国としての立場との緊張が論点になります。賛否のいずれかに立つのではなく、両者の論拠を整理して示すのが記述の作法です。

出典:長崎市、外務省の発表

論点

📖 被爆ひばく体験たいけん継承けいしょう ── 語れる人が減っていくということ

「直接聞く」ことができる時間には限りがある 被爆者の平均年齢は86歳を超えた(2026年3月末時点) 1945年に10歳だった人が、2026年には91歳になる。時間は一方向にしか進まない。 これまで(直接の語り) ・本人が経験を語る ・質問にその場で答えられる ・表情や間が伝わる → 説得力が高い これから(記録と再構成) ・映像や音声の記録を残す ・「伝承者」が代わって語る ・遺構や遺品を保存する → 伝え方そのものが課題に
被爆体験の継承をめぐる構造 図:スクールコンパス編集部

被爆から81年が経過し、被爆者の平均年齢は86歳を超えました(2026年3月末時点)。直接体験を語れる人は年々減少しています

これは避けようのない事実です。そのため近年は、体験の記録と伝達の方法そのものが課題として議論されています。映像・音声による証言の収録、被爆者から話を受け継いで語る「伝承者」の育成、遺構や遺品の保存などが進められています。

ただし、記録には限界もあります。本人が語る場合は質問にその場で答えられますが、記録は問いに応じません。伝承者が語る場合も、体験そのものではなく「聞いた話」を伝えることになります。

この構造は、歴史全般に共通します。すべての歴史は、直接体験できない出来事を、残された記録から再構成したものです。今週の歴史コーナーで扱う戦国時代も同じ条件のもとにあります。

🧠 今週の論点マップとつながる

「確かめられないことを、どう扱うか」——これが今週の共通論点です。ビデオ検証は「確証が得られないなら変更しない」と答えました。歴史学は「複数の独立した史料が一致するかを確認する」という方法で答えます。一つの記録だけでは断定せず、異なる立場から書かれた記録を突き合わせる。証言の収録が重要なのは、記録が多いほどこの照合しょうごうが可能になるからでもあります。

出典:厚生労働省、広島市・長崎市の資料

8月15日(土)

📅 8月15日、終戦の日 ── 9日間に何が起きたか

1945年8月、9日間のできごと 6 8月6日 広島 9 8月9日 長崎 15 8月15日 終戦の日 わずか9日間のうちに、これだけの出来事が続いた。
1945年8月の9日間 図:スクールコンパス編集部

8月15日は「終戦の日」と呼ばれます。1945年のこの日、玉音ぎょくおん放送によりポツダム宣言の受諾が国民に伝えられました。今年で81年です。毎年この日には全国戦没者追悼式が行われます。

8月6日の広島、9日の長崎、そして15日。わずか9日間のうちにこれだけの出来事が続きました

ちょうどお盆と重なるため、親族が集まる場で直接話を聞ける機会がある時期でもあります。

📝 記述のヒント(用語の精度)

「終戦の日」の定義は一つではありません。 日本では玉音放送の8月15日を指しますが、降伏文書への調印は9月2日であり、国際的にはこの日をもって第二次世界大戦の終結とする国もあります。
また「終戦」という語自体が、主体をぼかす表現であるという指摘があります。「敗戦」と書けば主語と結果が明示されますが、「終戦」は自然に終わったかのように読める、という論点です。用語の選択が、出来事の理解の枠組みを形づくる——国語・社会の両方で問われる視点です。

🔍 やってみよう

お盆に家族が集まったら、「うちでいちばん年上の人は、どこで生まれて、そのころ何をしていたのか」を聞いてみてください。教科書に載っていない、自分の家系だけの一次記録です。可能であれば日付・場所・話し手の名前を記録しておきましょう。それが史料になります。

出典:スクールコンパス編集部による解説

9月19日開幕

🔥 アジア競技大会まで36日 ── 3都市採火さいかの意味

愛知県名古屋市の名古屋城
📷 聖火が誕生する愛知県あいちけん名古屋市なごやし名古屋城なごやじょう(写真:Google マップ)
3つの火が、名古屋で1つになる 🔥 東京・国立競技場前 8月18日(火) 🔥 広島・平和記念公園 8月20日(木) 🔥 名古屋城 8月22日(土) 名古屋城で3つの火を集約し アジア競技大会の聖火が誕生する
聖火の採火計画 図:スクールコンパス編集部

第20回アジア競技大会が9月19日、愛知県・名古屋市で開幕します。この新聞の発行日から数えて36日後です。日本での夏季アジア大会の開催は1994年の広島大会以来となります。

大会スローガンは「IMAGINE ONE ASIA ここで、ひとつに。」

聖火は3都市で採火されます。8月18日に東京の国立競技場前、20日に広島の平和記念公園、22日に名古屋城。3つの火は名古屋で集約され、そこでアジア競技大会の聖火が誕生します。

🤔 なぜ広島で採火するのか

1994年アジア大会の開催地であることに加え、平和を発信し続けてきた都市であるためです。 8月20日という日付も、原爆の日から2週間という時期にあたります。スポーツの祭典に平和への希求を重ねるという意図が読み取れます。
アジア競技大会は、参加国・地域の数でオリンピックに次ぐ規模とされる総合競技大会です。政治的な緊張関係にある国どうしが同じ場で競技することの意味も、しばしば論じられます。

🌏 やってみよう

アジアには何か国が存在するでしょうか。🔥 アジア大会2026特集で参加国・地域を確認してみてください。地図上で位置を確認しながら国名を覚えると、地理と時事が同時に定着します。

出典:愛知・名古屋アジア/アジアパラ競技大会組織委員会、名古屋市

学習計画

📅 夏休みの逆算ぎゃくさん ── 残り日数から設計する

8月14日から8月31日まで ── 残り17日 お盆(〜16日ごろ) 17日〜31日 実質15日間 先に着手すべきもの ・観察や記録が必要な自由研究 ・複数日にわたる実験 ・外出や取材が要るもの → 日数そのものが必要 あとでも間に合うもの ・ドリルやワーク ・読書感想文(本を読み終えていれば) ・まとめや清書 → 集中すれば短縮できる
残り日数からの逆算 図:スクールコンパス編集部

8月31日までの残りは17日。お盆を除けば実質15日程度です。

ここで押さえたい原則があります。課題は「時間がかかるもの」と「日数がかかるもの」に分かれます。ドリルは集中すれば短縮できますが、10日間の観察記録は、10日という日数そのものが必要で、どれだけ集中しても圧縮できません。

したがって日数を要する課題から先に着手するのが正しい順序です。観察・実験・外出を伴う調査は今日から始めてください。

ペルセウス座流星群は8月24日ごろまで活動が続きます。月の満ち欠けの観察も、13日の新月から始めれば8月27日ごろの満月まで、ちょうど2週間の記録が取れます。今週の天文ニュースは、日程の面でも今から間に合う題材です。

📝 受験生へ

6年生にとって8月後半は、夏期講習で扱った内容の定着を確認する時期にあたります。新しい教材に手を広げるより、間違えた問題を解き直すほうが効果が高いとされます。
時事問題については、ニュースを覚えるのではなく「なぜ」を説明できる状態にすることを目標にしてください。今週号の記述問題7問は、そのまま演習に使えます。

出典:スクールコンパス編集部

自由研究・探究

🔬 今週のニュースから組む探究テーマ

探究の4段階 ── 「調べた」で終わらせない 1 問いを立てる 「なぜ」「どの程度」 の形にすると 検証可能になる 2 データを取る 日時・場所・条件を 必ず併記する (再現性のため) 3 考察する 予想と結果の差を 説明しようとする ここが最も重要 4 新たな 問いへ 「予想と違った」は失敗ではなく、最も価値ある結果です。
探究の進め方 図:スクールコンパス編集部

今週のニュースから、そのまま探究テーマになる題材を3つ提案します。いずれも今日から始めて8月末に間に合います。

① 🌀 2026年の台風の進路を1枚の地図に重ねる

日本地図に、今年発生した台風の進路を色別に描き込みます。15号だけが逆向きであることが視覚的に判明します。そのうえで「なぜこの台風だけ進路が異なったのか」を、偏西風と太平洋高気圧の配置で説明できれば、中学生レベルの考察です。気象庁の台風経路図が一次資料として使えます。予想(西から東)と実際(東から西)の差を説明するという構造が、そのまま探究の形になっています。

② 🌗 新月から満月までの2週間、月を記録する

8月13日が新月でした。毎日同じ時刻に、月の形・方位・高度をスケッチします。8月27日ごろの満月まで、ちょうど2週間の連続記録が取れます。「なぜ形が変わるのか」を、太陽・月・地球の位置関係の図で説明できれば完成です。さらに「同じ時刻に見える方位が日々東へずれる」ことに気づけば、月の公転を自分の観測から導いたことになります。やり方を見る →

③ 🌠 流星の出現数と条件の関係を測る

ペルセウス座流星群は8月24日ごろまで続きます。15分ごとに出現数を記録し、日時・観測場所・天候・月齢・周囲の明るさを併記します。「極大日からの日数」と「出現数」をグラフにすれば、減少の傾きが見えます。「見えなかった時間帯」も必ず記録に残してください。ゼロというデータには意味があります。夜間の観測は必ず保護者と行ってください。やり方を見る →

🔬 5・6年生向けの自由研究テーマを見る →
💡 評価される研究の条件

①問いが検証可能な形になっている(「宇宙について」ではなく「同じ時刻に見える月の方位は何日で何度動くか」)②自分で取ったデータがある(調べた情報より観測値のほうが価値が高い)③予想と結果の差を説明しようとしている——この3点です。とくに③が決定的で、「予想と違った」で終わらず「なぜ違ったのか」まで書くと、研究の水準が一段上がります。

仕事図鑑

💼 今週のニュースを支えた仕事 ── しごと図鑑

いずれも「確かめる」ことを職能とする仕事 🌡️ 気象予報士 前例の乏しい進路を 繰り返し計算し直した 🚀 ロケット技術者 失敗の原因を特定し 8か月かけて備えた 審判員 その場で判断し 映像で確かめ直す 🔧 半導体技術者 熊本でこれから 増えていく職種
今週のニュースを支えた仕事 図:スクールコンパス編集部

今週のニュースの背後には、必ず働いている人がいます。しかも今週の4職種には共通点があります。いずれも「確かめること」そのものを職能としている点です。

🌡️ 気象きしょう予報士よほうし

観測データと数値予報モデルをもとに、気象現象を予測し伝える職種。国家資格が必要です。今週は前例の乏しい進路であったため、モデルの出力を繰り返し検討する必要がありました。不確実性を数値として扱う訓練が求められます。

🚀 ロケット技術者ぎじゅつしゃ

設計・製造・打ち上げ運用に携わる職種。前回の失敗については、限られたデータから原因を絞り込む作業が中心でした。機械工学だけでなく、論理的に原因を追う力が要求されます。

審判員しんぱんいん

規則を正確に把握し、瞬時に判断する職種。今年からは映像で確認し直す役割も加わりました。自らの判断を検証にさらすという点で、職務の性格が変わりつつあります。

🔧 半導体はんどうたい技術者ぎじゅつしゃ

製造プロセスの設計・管理・品質保証を担う職種。不良の原因を統計的に特定する工程管理が中心業務のひとつです。熊本県で今後の雇用が見込まれます。

💼 しごと図鑑を見る →
お盆特集

🌟 夏の体験 ── 一次情報にふれる価値

一次情報と二次情報 一次情報 自分で見た・測った・聞いた記録 現地・実物・当事者から直接得たもの → 世界に1つしかない 二次情報 本やインターネットで読んだ内容 誰かが整理してくれたもの → 誰でも同じものを得られる 二次情報で全体像をつかみ、一次情報で自分の視点をつくる。
情報の種類と価値 図:スクールコンパス編集部

夏休みも残り半分です。遠出をする必要はありません。近隣の科学館、博物館、河川敷、市街地の公園でも十分です。

重視したいのは一次情報にふれることです。本やインターネットで読んだ内容は二次情報であり、誰でも同じものを得られます。これに対し、自分が実際に見て・測って・聞いた記録は一次情報であり、世界に一つしか存在しません。

今週は宇宙と天文のニュースが多くありました。プラネタリウムや科学館を訪れると、紙面で読んだ内容が立体的に接続します。「知っている」から「わかる」への転換は、実物にふれたときに起こることが多いものです。

☀️ 夏休み特集 🌟 体験ガイド 🚀 宇宙が好き 🏯 歴史体験ガイド 📅 夏休みプランナー
気をつけよう

🥵 台風後の暑さと水の事故 ── 湿度しつどと体温調節ちょうせつ

雨のあとが、実は危険 ── 2つの理由 ① 湿度の上昇 ── 体温が下がりにくくなる 地表が濡れる → 水が蒸発 → 湿度上昇 → 汗が蒸発しにくい → 汗は「蒸発するとき」に気化熱を奪う。蒸発しなければ体温は下がらない。 ② 河川の増水 ── 雨がやんだあとに水位が上がる 上流に降った雨が時間をかけて下流へ到達する → 自分のいる場所が晴れていても、水位は上昇しうる。 「もう大丈夫」と判断した直後が、最も事故の多い時間帯です。
台風通過後のリスク 図:スクールコンパス編集部

台風の通過中は気温が下がることがありますが、通過後には再び暑さが戻ることが多くあります。しかも降雨後は注意が必要です。

理由は湿度です。地表から水が蒸発して湿度が上昇すると、汗が蒸発しにくくなります。汗は蒸発する際に気化熱きかねつを奪うことで体温を下げます。蒸発しなければ、汗をかいても体温は下がりません。同じ気温でも湿度が高いほど危険度が上がるのはこのためです。

もう一つは河川の増水です。上流に降った雨が下流へ到達するには時間がかかります。自分のいる場所で雨がやんだあとから水位が上がることは珍しくありません。「もう大丈夫」と判断した直後が、最も事故の多い時間帯です。

📝 記述のヒント(理科と関連)

暑さ指数(WBGT)は、気温・湿度・輻射熱ふくしゃねつを組み合わせた指標です。屋外では湿度が7割、輻射熱が2割、気温が1割の重みで算出されます。気温より湿度の寄与が圧倒的に大きい——この配分自体が、熱中症の機序(汗の蒸発が体温調節の主経路であること)を反映しています。指標の設計から現象の本質を読み取るという視点は、理科の記述で高く評価されます。

📖 もっと調べる

🛟 こども防災ガイドを保護者の方と読み、「自宅の避難先はどこか」「連絡が取れないときの集合場所はどこか」を決めておいてください。今週の紙面に繰り返し現れた「事前に決めておくから、速く確実に動ける」という原則は、家庭にもそのまま当てはまります。

出典:環境省熱中症予防情報サイト、気象庁

🔬 科学・技術コーナー

今週のニュースの背後にある原理を、入試で問われる水準まで踏み込んで解説します。

① ロケットが宇宙で進める理由 ── 運動量保存と推力すいりょく

風船とロケットは、同じ物理法則で動いている 風船の場合 空気を後方へ噴出 → 風船は前方へ進む ロケットの場合 燃焼ガスを後方へ噴射 推力 物体に力を加えると、加えた側も同じ大きさで逆向きの力を受ける(作用・反作用の法則)。 周囲に何かを押す必要はない。噴射した質量の分だけ、本体が加速する。
ロケット推進の原理 図:スクールコンパス編集部

ふくらませた風船の口を放すと、風船は空気が噴出する向きと反対方向へ飛びます。ロケットもこれと同じ原理で進みます。

ここで誤解が生じやすい点を整理します。「ロケットは空気を押して進んでいる」という説明は誤りです。 もしそうであれば、空気のない宇宙空間では推進できないことになります。

正しくは、ロケットが自らの一部(推進剤)を高速で後方へ噴射し、その反作用として前方への力を得ているという説明になります。物体に力を加えれば、加えた側も同じ大きさで逆向きの力を受ける——作用・反作用の法則です。周囲に押す対象がなくても成立します。

むしろ大気は障害しょうがいでもあります。打ち上げ初期には空気抵抗と戦い、機体表面は摩擦まさつ断熱圧縮だんねつあっしゅくにより高温になります。ロケットが上昇しながら次第に姿勢を傾けていくのは、大気の薄い高度へ早く抜けつつ、水平方向の速度を稼ぐためです。衛星が軌道にとどまるには、高さではなく水平方向の速度(秒速約7.9km)が必要だからです。

H3ロケットの全長は約60m。10階建てのビルに相当する構造物を、数分で大気圏外へ運びます。打ち上げ時の質量の大半は推進剤であり、燃焼とともに軽くなるため加速度は上昇していきます。

🚀 宇宙分野の体験ガイドを見る →

② 流星が発光する機構 ── 燃えているのはちりではない

流星が光るまでの3段階 ① 宇宙空間の塵 大きさは砂粒程度(数mm以下) スイフト・タットル彗星が 軌道上に残した物質 突入速度 秒速約60km ② 大気への突入 高度およそ100kmの層 前方の空気が急激に圧縮される ③ 空気が発光する 断熱圧縮で空気が高温になり 原子・分子が励起されて発光 塵はほぼ燃え尽きる 発光しているのは塵そのものより、高温になった周囲の空気です。
流星の発光機構 図:スクールコンパス編集部

流星の正体は、宇宙空間を漂う数ミリ以下の塵です。これが秒速およそ60kmという速度で地球の大気に突入します。1秒で60km——東京から静岡付近まで進む速度です。

ここでも、よく用いられる説明を精密化しておきます。「空気とこすれて燃えている」という説明は正確ではありません。 主たる機構は断熱圧縮です。塵が高速で進むと、前方の空気が逃げる間もなく急激に圧縮され、高温になります。自転車の空気入れが熱くなるのと同じ原理です。

そして発光しているのは、塵そのものより高温になった周囲の空気です。高温により空気の原子・分子が励起れいきされ、元の状態に戻る際に光を放ちます。塵は高度およそ100kmで蒸発し、地表に到達することはほとんどありません。

この機構は宇宙船の大気圏再突入とまったく同じです。再突入時の高温は摩擦ではなく断熱圧縮によるものであり、だからこそ耐熱たいねつシールドは機体前面に、空気の層を押し離す形状で設計されます。砂粒1個が1秒ほど発光して消える現象と、宇宙船の帰還技術が同じ物理で説明できる——ここに科学の面白さがあります。

🌠 流星観測を探究テーマにする →

スクールコンパスのマスコット ハナちゃん(オオルリ)
🌸 ハナちゃんの社説
「わからない」と言えることの強さ

やあ、みんな。スクールコンパスのマスコット、ハナちゃんだよ。ぼくはオオルリという青い鳥なんだ。

今週、ぼくがいちばん長く考えたのは、甲子園で初めて使われたビデオ検証の結果だった。

アウトかセーフかを、3人がかりで映像で確かめた。そして出た結論が、「映像でも確証が得られなかったので、元の判定のまま」

これは、想像以上に難しい結論だと思う。だってさ、大がかりに確かめておいて「わかりませんでした」と言うのは、格好がつかないじゃないか。せっかく試合を止めて、全員が待っていて、注目が集まっている。何か結論を出したくなるのが人情だ。

でも、あの3人はそうしなかった。そして、そうしないことがルールとして先に決められていた。「変更するには、明らかに誤りだと示せることが必要。示せないなら、変えない」

ここでぼくが強調したいのは、これは「決められなかった」のとはまったく違うということだ。何も判断していないのではない。「確かめきれなかった」という事実を確定させたうえで、だから変えない、と判断している。とても能動的な結論なんだ。

そう思って今週の紙面を見返すと、同じ形をした話がいくつも出てくる。

気象予報士は、台風が前例のない方向へ進むとわかってから、計算を何度もやり直して伝えた。長崎市は、台風が近づくなか気象予報を確認したうえで、式典は予定どおり平和公園で行うと決めた。JAXAは、去年12月の失敗の原因を突きとめてから、8か月かけて次の打ち上げに臨んだ。

みんな、確かめてから決めている。そして確かめきれない部分については、そう言っている

この態度は、裁判にも科学にもある。裁判では、証拠が足りなければ有罪にしない。科学では、データが足りなければ「差があるとは言えない」と書く。「差がない」とは言わない。言えることと言えないことの境目を、はっきりさせておく。それが誠実さの中身なんだと思う。

もう一つ、今週おもしろかったこと。まったく別に見えた2つのニュースが、実は1つの事実でつながっていた。ヨーロッパの皆既日食と、日本で見えた流れ星。どちらも「8月13日が新月だった」ことが理由だった。片方では位置関係の条件として、もう片方では明るさの条件として、同じ事実が別々に効いていたんだ。

ニュースは分野ごとに切り分けて届く。でも世界は切り分けられていない。つながりを見つけた瞬間が、いちばん気持ちいい。ぼくはそう思うよ。── ハナちゃん/スクールコンパス編集部

💭 考えてみよう

「わからない」と言うことが難しくなるのは、どんなときでしょうか。 注目されているとき。すでに時間とお金をかけたとき。周りが結論を期待しているとき。——つまり「わからない」と言うコストが高い場面ほど、正直でいることが難しくなる。だからこそ、それをルールとして先に決めておくことに意味があります。ビデオ検証も、裁判の原則も、そういう仕掛けです。

✒️
✒️ 編集長から
今週の紙面を、こう設計しました

今週号でいちばん時間をかけて検討したのは、甲子園の扱いでした。

先週号では、熊本県代表の高校に送られた拍手を号の中心に据えました。今週も同じ学校を追う案がありましたが、採用しませんでした。理由は2つあります。

1つ目。49校が出場するなかで、1校だけを被災地と結びつけた物語にし続けると、対戦相手が構造的に「引き立て役」の位置に置かれます。敗れた学校にも、そこへ至る3年間があります。子ども向けの媒体で、その非対称を作ってよいとは考えませんでした。

2つ目。勝敗に依存した記事は継続性を持ちません。敗退すればそこで終わります。週刊媒体の記事構造として弱い、と判断しました。

そこで今週は、大会の制度そのものを扱いました。暑さ対策の2部制、公式戦初のビデオ検証、天候による順延。いずれも勝敗に左右されず、来年以降も参照できる知識になります。

結果として、この判断は今週号の設計を助けました。ビデオ検証の「確証が得られない場合は変更しない」という原則が、そのまま号全体の芯になったからです。

高学年版の論点マップは「確かめられないことを、どう扱うか」としました。ビデオ検証、司法の立証責任、科学の仮説検証、統計の観測期間、被爆体験の継承、そして歴史学の史料批判。分野の異なる6つの事実が、証拠の扱い方という一点で同じ構造を持っています

思考力型入試で評価されるのは、知識の量ではなく「異なる分野の事実を、同じ原理で説明できること」です。今週はその訓練に、例年になく適した週でした。日食と流星群が「新月」で結ばれる構造も、同じ狙いで独立した記事にしています。

熊本については、先週と同じ方針を維持しました。扱ったのは応急仮設住宅の着工、断水が長期化する構造的要因、そして合志市の合弁会社設立です。被害の数字や描写は一切扱っていません。避難所でこの紙面を開く読者がいる前提で、一行ずつ確認しました。

あわせて「復旧速度の差は、努力の差ではなく工程数の差である」という一点を、今週も繰り返し明記しています。復旧の遅れている地域の方が、自らや誰かを責めずに済むようにするためです。── スクールコンパス編集部 編集長

📖 4コマまんが「ハナちゃんと、断定したがる心」
1
🐦📺🤔
ハナちゃん:
「いまの、絶対セーフだった!
ぼく、ちゃんと見てたもん」
2
📹👀❓
ビデオ検証の結果:
「映像でも確証が
得られませんでした。
判定はそのままとします」
3
🐦😐💭
ハナちゃん:
「えー、はっきりしてよ…
…あれ? ぼくは何を根拠に
『絶対』って言ったんだ?」
4
🐦💡📝
ハナちゃん:
「3人が映像で見て
わからなかったことを、
ぼくは一瞬で断定してた」
🐦 ハナちゃん(オオルリ)はスクールコンパスのマスコットです。 ゲームでも遊べる →

🧩 今週の論点マップ ── 1つの原理で6つのニュースを束ねる

思考力型入試で高く評価されるのは、分野の異なる事実を同じ構造で説明できることです。今週は「確かめられないことを、どう扱うか」という原理で、6つのニュースを束ねられます。

確かめられないことを、どう扱うか 立証の責任・証拠の限界・断定の保留 スポーツ(ビデオ検証) 確証が得られない → 判定を変更しない 司法(立証責任) 合理的な疑いが残る → 有罪としない 科学(仮説検証) データが不足 →「差があるとは言えない」 統計(観測期間) 1951年より前は記録なし →「統計開始以来」と限定 継承(被爆体験) 直接聞ける時間が減る → 記録を多く残し照合する 歴史(史料批判) 勝者の記録が多く残る → 複数の史料を突き合わせる
今週の論点マップ 図:スクールコンパス編集部

🧠 この原理をどう答案に使うか

6つに共通するのは「証拠が不十分なとき、断定せず、現状を維持するか限定して述べる」という態度です。そして重要なのは、これが個人の慎み深さではなく、制度として組み込まれている点です。ビデオ検証の3類型、刑事裁判の立証責任、統計の観測期間の明示——いずれもあらかじめルール化されています

なぜルール化するのか。「わからない」と言うコストが高い場面ほど、人は断定に流れるからです。注目が集まっているとき、すでに労力を投じたとき、周囲が結論を期待しているとき。そういう場面で正直でいられるように、事前に規範を定めておく——これが制度設計の本質です。

記述では次の型が有効です。①事実を正確に述べる ②なぜ断定を避けたのかを説明する ③その判断がどんな損失を防いでいるかを述べる。「わからないと言った」で止めず、「あいまいな根拠で変更すれば、かえって誤りが増える」という帰結まで書き切ることで、答案の水準が変わります。

❓ ニュースクイズ!
Q1
台風15号が上陸した県と、その記録上の意味は?
① 千葉県/観測史上最大の勢力
茨城県いばらきけん/統計開始以来初の上陸
③ 静岡県/2年連続の上陸
こたえ: 茨城県。8月11日20時に南部へ上陸しました。気象庁の台風統計は1951年開始で、75年分の記録の中で初めてという意味です。🌀
Q2
台風が通常「西から東へ」進むことを説明する2要素の組み合わせは?
① 地球の重力と月の引力
太平洋たいへいよう高気圧と偏西風へんせいふう
③ 海流と季節風
こたえ: 高気圧の縁を回って北上し、中緯度帯の偏西風に流されて東へ転じます。台風は自ら進むのではなく、周囲の気流に規定されて動く——これが要点です。🧭
Q3
「異例の進路」が危険を増すとされる主な理由は?
① 風速が通常の2倍になるため
② その地域に、どこが弱いかという経験の蓄積がないため
③ 気象庁が予報を出せなくなるため
こたえ: 浸水しやすい場所や倒れやすい構造物の知見が蓄積されておらず、堤防や建物も想定風向を前提に設計されています。経験の蓄積が防御になっている領域では、前提が変わると防御が消えるのです。⚠️
Q4
ロケットが空気のない宇宙空間でも推進できる理由は?
① 空気を押して進んでいるため
② 推進剤を後方へ噴射し、その反作用で前方への力を得ているため
③ 地球の引力に引かれているため
こたえ: 作用・反作用の法則です。周囲に押す対象は必要ありません。自らの一部を捨てることで、残った本体が加速します。🚀
Q5
衛星測位そくいが位置を求める際、直接測定しているのは何か?
① 電波が届くまでの時間
② 衛星の見かけの明るさ
③ 地磁気の強さ
こたえ: 時間です。電波の速度(秒速約30万km)に遅れ時間を掛けて距離を求め、3基以上の距離から位置を確定します。「位置を測る」とは、実際には「時間を測る」ことです。🛰️
Q6
みちびきが「準天頂」軌道を採る理由は?
① 打ち上げ費用が安いため
② 日本のほぼ真上を通り、ビルや山に電波がさえぎられにくいため
③ 他国の衛星と衝突しないため
こたえ: 衛星の仰角ぎょうかくが高いほど電波が遮られにくくなります。都市部や山間部が多い日本の地形条件に対応した設計です。🗾
Q7
半導体工場が水の豊富な地域に立地する理由は?
① 工場の冷却に河川水を用いるため
② 各工程で超純水ちょうじゅんすいによる洗浄が必要で、大量の水を消費するため
③ 水力発電の電力を利用するため
こたえ: 回路線幅はナノメートル単位に達し、塵が1粒付着すれば不良となります。工程ごとに超純水で洗浄し、大規模工場では1日に数万トンを使用します。熊本は阿蘇の地層が濾過した地下水に恵まれています。🔬
Q8
皆既日食が成立する条件として、太陽と月の関係で正しいのは?
① 直径がほぼ等しい
② 直径比も距離比もともに約400倍で、見かけの大きさがほぼ一致する
③ 月のほうが実際に大きい
こたえ: 太陽の直径は月の約400倍、距離も約400倍。そのため視直径がともに約0.5度となります。この偶然がなければ皆既日食は存在しません。🌑
Q9
皆既日食と流星群の好条件を同時に説明する事実は?
① 8月13日が満月だった
② 8月13日が新月しんげつだった
③ 台風が大気の塵を除去した
こたえ: 新月です。日食では「月が太陽と地球の間に入る」という位置条件として、流星群では「夜空に月明かりがない」という明るさ条件として、同じ事実が別々に作用しています。🔗
Q10
流星が発光する主な機構は?
① 塵が空気との摩擦で燃焼する
② 前方の空気が断熱だんねつ圧縮で高温になり、その空気が発光する
③ 太陽光を反射している
こたえ: 秒速約60kmで突入するため前方の空気が急激に圧縮され高温になります。発光しているのは塵より周囲の空気。宇宙船の大気圏再突入と同じ機構です。🌠
Q11
ビデオ検証で「確証が得られない」場合の扱いは?
① 元の判定を維持する
② 必ず判定をくつがえ
③ 試合を最初からやり直す
こたえ: 維持します。変更を主張する側が根拠を示すという設計で、司法の「疑わしきは被告人の利益に」と同型です。あいまいな根拠で変更すればかえって誤りが増えるためです。📹
Q12
「統計開始以来3例目」という記述を読むとき、最初に確認すべきことは?
① 誰が発表したか
② いつから数えているか(観測期間)
③ 何位に相当するか
こたえ: 観測期間です。気象庁の台風統計は1951年から。観測期間の外側については何も言えない——資料読み取り問題における最重要の姿勢です。📊
Q13
非核三原則の内容として正しいのは?
① 作らず、売らず、買わず
② 持たず、つくらず、持ちこませず
③ 使わず、備えず、語らず
こたえ: 1967年に国会で表明され、1971年に国会決議が行われました。法律ではなく国の方針である点が頻出です。🕊️
Q14
アジア競技大会の聖火が「誕生する」場所は?
① 東京・国立競技場
② 広島・平和記念公園
名古屋城なごやじょう
こたえ: 8月18日に東京、20日に広島で採火した火を、22日に名古屋城で集約します。3つが1つになった時点で聖火が誕生します。🔥
Q15
降雨後に熱中症の危険が高まる理由は?
① 気温そのものが上昇するため
湿度しつどが上がり、汗が蒸発しにくくなって体温が下がらないため
③ 気圧が低下して体調が崩れるため
こたえ: 汗は蒸発する際に気化熱を奪うことで体温を下げます。湿度が高いと蒸発が妨げられ、汗をかいても体温が下がりません。暑さ指数(WBGT)で湿度の重みが最も大きいのはこのためです。🥵
📝 今週の時事チェック ── タップで自動採点

今週の記事から、入試で問われやすい角度で6問(防災・制度/人権/財政/気象/宇宙)。答えと解説はすべてこの号の本文にあります。全問答えるとスコアが出ます。終わったら、下の「記述チャレンジ」「中学受験 予想問題」で記述まで仕上げよう。

🔎 資料(グラフ・比較表・規約)の読み取りを常設で鍛えるなら → 国語よみとりドリル【小6】小5版はこちら)。今週の時事は 中学受験 時事問題まとめ、防災の基礎は こども防災ガイド へ。
📖 記述チャレンジ ── 「4ステップ思考」で書いてみよう
2026年8月11日20時、台風15号が茨城県南部に上陸した。気象庁によると、茨城県に台風が上陸するのは1951年の統計開始以来初めてである。台風は通常、日本の南東に張り出す太平洋高気圧の縁を回るように北上し、日本付近まで達すると中緯度帯の上空を西から東へ吹く偏西風に流されて進路を東寄りに変える。そのため日本の東側に位置する茨城県には、台風が到達する時点で既に海上へ抜けている例が多かった。ところが今回の台風15号は、日本のはるか東方の海上で発生し、そこから西へ向かって進んだ。日本の東側から接近したため、最初に到達した陸地が茨城県となったのである。ここから分かるのは、台風の進路が台風そのものの性質ではなく、その時の気圧配置によって決まるということである。台風は自らの推進力で移動しているのではなく、周囲の大規模な気流に流されて動いている。なお、こうした前例の乏しい進路は、単に珍しいというだけでなく防災上の危険を伴う。台風が頻繁に通過する地域では、どこが浸水しやすく、どの構造物が倒れやすいかという知見が住民にも自治体にも蓄積されている。しかし前例のない方向から接近する場合、この蓄積を参照できない。堤防や防風林、建物の向きも、その土地で卓越する風向を前提に設計されている。前提と異なる方向から風が吹けば、同じ強さの台風でも被害の現れ方が変わるのである。
問1 台風が通常「西から東へ」進むしくみを、「太平洋高気圧」「偏西風」の二語を必ず用いて100字程度で説明しなさい。
解答例:台風は日本の南東に張り出した太平洋高気圧の縁を回るように北上し、日本付近まで達すると、上空を西から東へ吹く偏西風に流されて進路を東寄りに変える。この二つの働きにより、通常は西から東へ進むことになる。(97字)
※「高気圧の縁を回る」と「偏西風で東へ転じる」の二段階を書き分けられているかが得点要素。片方だけでは不十分。
問2 これまで茨城県への台風上陸が記録されていなかった理由を、60字程度で説明しなさい。
解答例:台風は通常西から東へ進むため、日本の東側にある茨城県に到達する時点では、既に海上へ抜けている例が多かったから。(55字)
問3 「統計開始以来初めて」という表現を読む際に注意すべき点を、「観測期間」の語を用いて60字程度で述べなさい。
解答例:気象庁の台風統計は1951年からであり、観測期間の外側については記録がないため、それ以前の事例の有無は判断できないという点。(60字)
「観測期間の外側については何も言えない」という限界に触れているかが核心。「初めて=史上初」と受け取らない姿勢を示す。
問4 前例の乏しい進路の台風が、同じ強さであっても被害を大きくしうる理由を、本文の語を用いて120字程度で説明しなさい。
解答例:台風が頻繁に通過する地域では、浸水しやすい場所や倒れやすい構造物についての知見が住民や自治体に蓄積されている。しかし前例のない方向から接近する場合、この蓄積を参照できない。加えて堤防や建物もその土地で卓越する風向を前提に設計されているため、前提が変われば被害の現れ方も変わるから。(124字)
問5 (発展)本文は「経験の蓄積が防御として働いている領域では、前提が変わるとその防御が失われる」という構造を示している。気象・防災以外の分野から同じ構造をもつ例を1つ挙げ、その理由とともに140字程度で述べなさい。
解答例:感染症への対応が挙げられる。過去に流行した病気については、症状の見分け方や治療法、感染を防ぐ方法が医療現場に蓄積されている。しかし未知の病原体が現れた場合、この蓄積を参照できない。検査法も治療薬も、既知の病気を前提に用意されているため、前提が変われば有効に機能しないからである。(137字)
※金融危機、産業構造の転換、外来生物への在来種の対応なども可。「蓄積があること自体が防御になっている」「前提が変わると防御が消える」という二段構造を明示できているかが採点の中心。分野が離れているほど評価は高い。
記述のコツ ── 「4ステップ」で組み立てる
書き方:①事実(いつ・どこで・何が)→②原因・理由(なぜそうなったか)→③つながり(他の分野との共通点)→④自分の考え。字数が40〜80字なら①②に絞る100字を超える設問では③④まで入れると評価が上がります。指定語がある場合は必ずすべて使い、書き終えたら下線を引いて確認しましょう。
今週とくに意識してほしいのが「通常は〜/しかし今回は〜」という対比の型です。原則と例外を書き分けると、理解の深さが採点者に伝わります。あわせて接続語——「〜のに対し」「そのため」「したがって」——を使い、因果は「伝わるはず」ではなく「明示する」ことを徹底してください。
🌟 さらに深めよう

① 今週のニュースで「4ステップ」を1つ書く

「茨城県への上陸が統計開始以来初だった理由」「異例の進路が危険を増す理由」「断水の解消が長期化する構造的要因」「ビデオ検証で判定を変更しなかった理由」から1つ選び、「①事実→②原因→③つながり→④自分の考え」を100字で書いてみましょう。③では必ず別分野のニュースと結びつけるのが条件です。

② 一つの原理で複数のニュースを束ねる

今週の共通原理「確かめられないことを、どう扱うか」を軸に、異なる分野のニュースを3つ挙げて説明しましょう。例:ビデオ検証で確証が得られず判定を維持(スポーツ)/「統計開始以来」と観測期間を限定して述べる(統計)/複数の史料を突き合わせて歴史を再構成する(歴史学)。分野をまたいで同じ構造を見つけるのが、思考力型入試で求められる力です。
なお今週は第2の原理「事前に決めておくから、速く確実に動ける」も成立します(仮設住宅の候補地と仕様の事前決定/鉄道の運休基準/ビデオ検証の3類型/大会日程の予備日/みちびきの冗長性)。2つの原理でそれぞれ3例ずつ整理できれば、どんな出題にも対応できます。

③ 数字を「定義」と「範囲」で吟味する

台風の「上陸」は中心が海上から陸地へ移ること「接近」は中心が気象官署等から300km以内に入ることと定義されています。定義を確かめずに「今年は多い」と言えるでしょうか。
同様に「統計開始以来3例目」は1951年以降の75年分という範囲の中での話です。「約7470億円」もソニー側約4650億円とTSMC約2820億円の合計であり、内訳を知って初めて出資比率が読めます。①何の数か ②いつからいつまでか ③どう定義されているか——この3点を確認する習慣をつけましょう。

④ 対比で理解する ── 制度が結果の性質を決める

ビデオ検証は「明らかな誤りを示せなければ変更しない」という設計です。もし逆に「少しでも疑わしければ変更する」という設計だったら、何が起きるでしょうか。判定の変更が頻発し、映像の解釈をめぐる争いが増え、試合が長くなります。同じ「検証」でも、しきい値の置き方で結果の性質がまったく変わるのです。
この視点で、刑事裁判が「疑わしきは被告人の利益に」を採る理由を200字で説明してみましょう。誤って有罪にする損失と、誤って無罪にする損失のどちらを重く見るかという価値判断が、しきい値の位置を決めています。

⑤ 賛否の両論を書く練習

半導体の国内生産体制を国が支援することについて、賛成側の論拠(供給途絶時の影響が甚大/雇用と技術の国内定着/経済安全保障上の必要性)と慎重側の論拠(多額の公費投入/国際分業による効率の犠牲/特定企業への支援の公平性)を、それぞれ80字ずつ書いてみましょう。両論を挙げたうえで自分の立場を示す——これが思考力型入試の上位答案の型です。

🔢 数字で見る今週 ── 定義と範囲に注意して読む

時事問題では数字がそのまま問われます。「何の数か」「どの時点・どの範囲か」「定義は何か」を必ずセットで覚えましょう。

数字 意味 注意点
8月11日20時台風15号が茨城県南部に上陸した日時茨城県への上陸は1951年の統計開始以来初。「上陸」は中心が海上から陸地へ移ること
1951年気象庁の台風統計の開始年「統計開始以来初」はこの年からの75年分に限った話。それ以前は判断できない
3例目1〜8月の全月で台風が発生した年の数1965年・2015年・2026年。個々の記録は長期傾向の証拠にはならない
約7470億円ソニーとTSMCが合弁会社に拠出する総額内訳はソニー側約4650億円・TSMC約2820億円。内訳を知って初めて出資比率が読める
2029年合弁会社がイメージセンサーの量産を始める予定年現時点では計画。熊本県合志市が拠点
4時23分31秒H3ロケット9号機の打ち上げ時刻(8月11日)秒単位で決まるのは打ち上げ窓(軌道面と射場の位置関係)による
約29分後打ち上げからみちびき7号機を軌道投入するまでの時間2025年12月の8号機は失敗しみちびき5号機を喪失。原因究明を経ての再挑戦
6機/7機/11機みちびきの現在・目標・将来の機数7機で自国衛星のみでの測位提供が可能に。目標時期は2031年度めど
5〜10m → 1m程度みちびき7号機の高精度測位システムで見込まれる誤差の改善全機搭載後の見込み。現時点の実測値ではない
27年ぶりヨーロッパ大陸本土で観測できた皆既日食の間隔前回は1999年8月11日。スペインは1959年以来、アイスランドは1954年以来
約1分50秒今回の皆既日食の最長継続時間最長の地点での値。皆既帯の外では部分日食
約400倍太陽と月の直径比、および距離比両者が一致するため視直径がほぼ等しくなる。皆既日食が成立する条件
1時間35個程度ペルセウス座流星群の極大時の出現数(国立天文台)空の暗い場所での値。市街地では大きく下回る。理想条件の数値と実測値は区別する
8日間甲子園で2部制を実施した日数(8月7日〜12日)朝の部8時/午後の部13時30分。最高気温帯を空ける設計
98か国とEU長崎平和祈念式典への参列(被爆81年)広島は8月6日。被爆者の平均年齢は86歳超(2026年3月末)
36日8月14日からアジア競技大会開幕(9月19日)まで(31−14)+19=36。聖火は8月18日東京・20日広島・22日名古屋城で採火
💡 数字を読むときの3原則 ①定義を確かめる(「上陸」は中心が陸地へ移ること、「接近」は中心が300km以内)②範囲を確かめる(統計開始はいつからか、計画値か実測値か)③理想条件の数値と実測値を区別する(流星の1時間35個は暗所での値)。この3つを守るだけで、資料問題の正答率は大きく変わります。
✍️ 中学受験 入試予想問題 ── 記述7問+一問一答15問

実際の入試で問われやすい形式にしています。まず自分で解いてから解答例を確認しましょう。記述は「①事実→②原因→③つながり→④自分の考え」を意識してください。指定語がある問題は、必ずすべて使います。

問1 【理科・気象/地理】2026年8月11日、台風15号が茨城県南部に上陸した。気象庁の統計開始(1951年)以来、茨城県への上陸は初めてである。これまで記録がなかった理由と、今回上陸に至った理由を、「太平洋高気圧」「偏西風」の二語を必ず用いて140字程度で説明しなさい。
解答例:台風は通常、日本の南東に張り出す太平洋高気圧の縁を回るように北上し、日本付近で偏西風に流されて東へ進路を変える。そのため日本の東側にある茨城県には、到達する時点で既に海上へ抜けている例が多かった。しかし今回の台風15号は日本の東方海上で発生して西へ進んだため、最初に到達した陸地が茨城県となった。(145字)
「通常は〜/今回は〜」の対比構造で書けているかが最大の得点要素。「台風は自ら進むのではなく周囲の気流に規定されて動く」という一般化まで書ければ上位答案。
問2 【社会・防災】「異例の進路をとる台風は、同じ強さであっても被害が大きくなりやすい」と指摘されることがある。その理由を、「経験」「前提」の二語を必ず用いて120字程度で説明しなさい。
解答例:台風が頻繁に通過する地域では、浸水しやすい場所や倒れやすい構造物についての経験が蓄積されており、住民も自治体もそれを参照して行動できる。しかし前例のない進路ではこの蓄積が使えない。加えて堤防や建物はその土地の卓越風向を前提に設計されているため、前提が変われば被害の現れ方も変わるからである。(129字)
問3 【資料読み取り】ある資料に「2026年は1月から8月まで全ての月で台風が発生した。1951年の統計開始以来3例目である」と記されていた。この記述から読み取れること読み取れないことを、それぞれ具体的に述べなさい(合わせて140字程度)。
解答例:読み取れるのは、1951年以降の75年間においてこの現象が3回しか起きておらず、まれな事象であるということである。一方、統計開始以前についての記録はないため、それ以前に同様の年があったかどうかは読み取れない。また3例目という事実だけでは、近年増加傾向にあるのかどうかも判断できない。(138字)
「観測期間の外側は判断できない」「単年の事象は長期傾向の証拠にならない」の二点を書けているかが採点の中心。資料読み取り問題の最頻出パターン。
問4 【公民・経済】国が半導体の国内生産体制の整備を支援する背景には、経済安全保障という考え方がある。ただしこの政策には賛否がある。賛成・慎重それぞれの論拠を示したうえで、あなたの考えを160字程度で述べなさい。
解答例:賛成の立場では、半導体は生活と産業の基盤に不可欠でありながら最先端の製造が特定地域に集中しており、供給が断たれた際の影響が甚大であることが論拠となる。慎重の立場では、多額の公費投入や、国際分業による効率を犠牲にする点が論拠となる。私は、影響の大きさに応じて必要最小限の国内生産を確保する形が妥当だと考える。自給か依存かではなく、どこに線を引くかの問題だからである。(172字)
「一方の主張」ではなく「トレードオフの提示」が評価される設問。結論は賛成・慎重いずれでもよいが、両論の論拠を具体的に示したうえで判断の基準を述べることが必須。
問5 【社会・制度/論理】2026年の夏の甲子園で初めて実施されたビデオ検証では、映像でも確証が得られなかったため元の判定が維持された。この制度が「確証が得られない場合は変更しない」という設計を採る理由を、「根拠」の語を用いて120字程度で説明しなさい。また、同じ考え方をとる制度を他の分野から1つ挙げなさい。
解答例:判定を変更するには、それが明らかに誤りであるという根拠を示す必要がある。根拠が不十分なまま変更を認めれば、解釈の分かれる場面でも判定が動くことになり、かえって誤りが増えるおそれがあるからである。同じ考え方をとる制度として、刑事裁判における「疑わしきは被告人の利益に」という原則が挙げられる。(134字)
※科学における「データが不十分なら差があるとは言えないと結論する」姿勢も可。「変更を主張する側が根拠を示す」という立証責任の所在に触れられていれば高評価。
問6 【理科・天文】2026年8月13日は新月であった。この日、ヨーロッパでは皆既日食が観測され、日本ではペルセウス座流星群が好条件で観測された。一見無関係な二つの現象が同じ日に重なった理由を、それぞれへの作用を分けて140字程度で説明しなさい。
解答例:いずれも新月であることが理由である。日食については、月が太陽と地球の間に入る位置関係は新月のときにのみ成立するため、日食は必ず新月に起こる。流星群については、新月は夜間に月が出ないため夜空が暗いまま保たれ、光度の低い流星まで観測できる。同じ事実が、位置の条件と明るさの条件として別々に作用したのである。(150字)
「両方とも新月だから」で止めず、各現象への作用を分けて記述できているかが分岐点。思考力型入試で頻出の「共通原因を特定し、作用を分解する」型。
問7 【社会・歴史/史料】戦国時代の武将である柴田勝家は、物語の中で「主人公の前に立ちはだかる存在」として描かれることが多い。しかし歴史上の人物の評価を考える際には注意が必要だとされる。その理由を、「史料」「立場」の二語を必ず用いて140字程度で説明しなさい。
解答例:歴史は残された史料をもとに再構成されるが、史料は必ず誰かの立場から書かれている。戦いに敗れた側の記録は残りにくく、勝った側の視点による記述が多く伝わる。そのため一方の史料だけを根拠にすると、評価が偏るおそれがある。複数の独立した史料を突き合わせ、記述が一致するかを確認する必要がある。(141字)
「勝者の記録が残りやすい」という非対称性と、「複数の史料を照合する」という方法の両方に触れられていれば高評価。今週の論点マップ(確かめられないことをどう扱うか)と直結する設問。

⚡ 一問一答15問 ── 用語の定着チェック

  1. 台風15号が上陸した県は? → 茨城県(1951年の統計開始以来初)
  2. 中緯度帯の上空を西から東へ吹く強い風を何というか。 → 偏西風
  3. 夏に日本の南東へ張り出し、台風の進路を規定する高気圧は? → 太平洋高気圧
  4. 台風の「上陸」の定義は? → 台風の中心が海上から陸地へ移ること
  5. 台風の名称を提案しているのは何か国・地域で、いくつのリストがあるか。 → 14の国と地域が10個ずつ、計140個
  6. 浄水場から地域全体へ水を送る主要な水道管を何というか。 → 基幹管路
  7. 最近の地質時代に繰り返し活動し、今後も動く可能性がある断層を何というか。 → 活断層
  8. 生活や産業の基盤に不可欠な物資について、他国への過度な依存を避ける考え方を何というか。 → 経済安全保障
  9. 原材料の調達から製造・流通・販売に至る一連の連鎖を何というか。 → サプライチェーン
  10. 日本のほぼ真上を長時間通過する軌道に配置された衛星を何というか。 → 準天頂衛星(みちびき)
  11. 衛星測位で、位置を求めるために直接測定しているものは何か。 → 電波が届くまでの時間
  12. 皆既日食のときにだけ観測できる、太陽の外層大気を何というか。 → コロナ
  13. ペルセウス座流星群の母天体である彗星の名は? → スイフト・タットル彗星
  14. 核兵器を「持たず、つくらず、持ちこませず」とする日本の方針を何というか。 → 非核三原則(法律ではなく国の方針)
  15. 2026年のアジア競技大会の開催地と開幕日は? → 愛知・名古屋/9月19日(日本開催は1994年広島大会以来)

💡 一問一答は「答えられる」で止めず「説明できる」まで持っていきましょう。たとえば⑭であれば、「非核三原則」と答えるだけでなく「1967年に国会で表明され1971年に国会決議が行われた、法律ではない国の方針」まで言えると、記述で使える知識になります。

🏯 歴史たんけん
⚔️
柴田しばた勝家かついえ ── 「これで、お別れにございます」
大河ドラマ「豊臣兄弟!」第31回 8月16日(日)20時 NHK総合

📺 今週の大河ドラマ
NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」は、8月16日(日)に第31回「これで、お別れにございます」が放送されます。清須きよす会議のあと、いちが勝家にとつぎ、信孝のぶたか三法師さんぼうし岐阜ぎふへ移し、信長の葬儀そうぎが行われるという回です。次回第32回はしずたけの決闘」。今週は、そこへ向かう柴田勝家という人物を、地理と史料の両面から読み解きます。

① どんな人物だったのか

柴田勝家は織田信長に仕えた重臣で、家臣団の中でも筆頭格に位置づけられる存在でした。鬼柴田おにしばたの異名で知られ、戦場での働きによって評価を高めた武将です。
信長から越前えちぜん(現在の福井県北部)を任され、きたしょう(現在の福井市)を築いて拠点としました。大河ドラマでは山口馬木也さんが演じています。

清須会議のあと、何が起きたのか 1 1582年6月 清須会議 秀吉が推した三法師が織田家の家督を継ぐ。勝家は信孝を推したが通らなかった。 2 1582年 勝家と市が結婚/信長の葬儀 信長の妹・市が勝家に嫁ぐ。秀吉は信長の葬儀を主導し、立場を固めていく。 3 1583年4月 賤ヶ岳の戦い(現在の滋賀県) 秀吉が勝利。雪解けを待って動いた勝家に対し、秀吉は準備を整えて臨んだ。 勝家は北ノ庄城へ退き、城とともに最期を迎える。市も運命をともにした。
清須会議から賤ヶ岳へ 図:スクールコンパス編集部
② 地理が戦の時期を決めた ── 越前の豪雪

勝家の敗因を語るとき、必ず挙げられるのが越前の雪です。
北ノ庄城のある越前は、日本有数の豪雪地帯にあたります。理由は明快です。冬の北西の季節風きせつふう日本海の上で大量の水蒸気を含み山地にぶつかって上昇する際に雪を降らせる——この一連の機構によって、日本海側には世界的にも例の少ない多雪環境が生まれます。
雪に閉ざされれば、大軍を動かすことができません。勝家は雪が解けるまで動けなかったのに対し、秀吉はその間に準備を整えられました。戦の勝敗を、地形と気候が先に規定していたのです。

③ 賤ヶ岳の七本槍 ── 「有名になった側」だけが残る

賤ヶ岳の戦いで功績を挙げた秀吉方の若い武将たちは、のちに「賤ヶ岳の七本槍しちほんやりと呼ばれました。加藤清正かとうきよまさ福島正則ふくしままさのりらが含まれます。
ここで一つ気づいてほしいことがあります。この呼び名は勝った側の物語です。敗れた勝家方にも、同じように戦った若い武将たちがいたはずですが、その名を私たちはほとんど知りません。記録は、勝った側に多く残ります。

いちと三姉妹 ── 歴史はここで接続せつぞくする

勝家に嫁いだは信長の妹で、前夫は浅井長政あざいながまさ。北ノ庄城の落城に際し、市は勝家と運命をともにしました。
しかし三人の娘たちは城を出され、その後まったく異なる道を歩みます。長女・茶々ちゃちゃ淀殿よどどの)は秀吉の側室となり秀頼ひでよりを生み三女・ごうは徳川秀忠に嫁いで三代将軍・家光いえみつの母となります。
父を滅ぼした相手のもとへ嫁ぎ、その子が次の時代を担う。戦国から江戸への転換が、一つの家族の中で起きていることになります。

⑤ 【今週の論点マップと接続】史料批判 ── 勝者の記録しか残らない

物語の中で、柴田勝家はしばしば「主人公の前に立ちはだかる古い体質の武将」として描かれます。しかし、これは秀吉を主人公に据えた場合の見え方にすぎません。
勝家の側から見れば筋は逆になります。織田家の家臣が、織田家の跡取りを支えようとした。信長の三男・信孝を推したのも、その論理からすれば自然な判断でした。

歴史は残された史料から再構成したものです。そして史料には必ず書き手の立場があります。敗れた側の記録は残りにくく、勝った側の視点による記述が多く伝わる。この非対称ひたいしょうは、意図的な改竄かいざんがなくても構造的に生じます。
だから歴史学は、一つの史料だけで断定せず、立場の異なる複数の史料を突き合わせて一致を確認するという方法をとります。これを史料批判といいます。
「確かめられないことを、どう扱うか」——今週のビデオ検証や統計の読み方と、まったく同じ問いがここにもあります。

📝 入試ではこう問われる

①1582年 本能寺の変 → 山崎の戦い → 清須会議②1583年 賤ヶ岳の戦い③1585年 秀吉が関白に④1590年 全国統一——この順序は頻出です。
記述では「なぜ雪が戦の時期を決めたのか」を、季節風・日本海・山地という3語で説明できるようにしておきましょう。歴史の設問が、実は地理の知識を問うているという出題は非常に多いパターンです。
あわせて越前=福井県賤ヶ岳=滋賀県清須=愛知県という現在の県名との対応も確認しておいてください。

🏯 福井県のページ(北ノ庄=福井市) ⛰️ 滋賀県のページ(賤ヶ岳) 🗾 愛知県のページ(清須) 🏯 歴史体験ガイド
🏯 「しずたけと天下統一への道」まるわかりQ&A(中学受験のツボ)
Q. 柴田勝家はどのような立場の人物か。
A. 織田信長に仕えた重臣で、家臣団の筆頭格とされます。「鬼柴田」の異名で知られ、信長から越前(現在の福井県北部)を任され北ノ庄城(現在の福井市)を拠点としました。
Q. 清須会議で勝家と秀吉はそれぞれ誰を推したか。
A. 秀吉は三法師(信長の嫡孫)、勝家は織田信孝(信長の三男)を推しました。結果として三法師が家督を継ぎ、秀吉の立場が強まる契機となります。
Q. 賤ヶ岳の戦いはいつ・どこで起きたか。
A. 1583年(天正11年)4月近江(現在の滋賀県)の賤ヶ岳付近です。秀吉が勝家を破りました。本能寺の変(1582年)の翌年という時間関係を押さえてください。
Q. 越前の雪が、なぜ戦の時期を決めたのか。
A. 冬の北西の季節風が日本海の上で水蒸気を含み、山地にぶつかって上昇する際に雪を降らせるためです。北ノ庄は豪雪地帯にあたり、雪に閉ざされると大軍を動かせません。勝家が雪解けを待つ間に、秀吉は準備を整えられました。歴史の設問が地理の知識を問う典型例です。
Q. 「賤ヶ岳の七本槍」とは何か。
A. この戦いで功績を挙げた秀吉方の若い武将たちの呼称で、加藤清正・福島正則らが含まれます。これは勝った側の物語であるという点も意識しておきましょう。
Q. 市と三姉妹は、その後どうなったか。
A. は北ノ庄城の落城に際し勝家と運命をともにしました。三人の娘は城を出され、長女・茶々(淀殿)は秀吉の側室となり秀頼を生み三女・江は徳川秀忠に嫁いで三代将軍・家光の母となります。戦国から江戸への転換が一つの家族の中で起きているという点が、しばしば設問の題材になります。
Q. 歴史上の人物の評価は、なぜ慎重に扱う必要があるのか。
A. 史料には必ず書き手の立場があり、敗れた側の記録は残りにくいためです。勝家が「立ちはだかる存在」として描かれるのは、秀吉を主人公に据えた場合の見え方です。勝家の側から見れば「織田家の家臣が織田家の跡取りを支える」という筋になります。立場の異なる複数の史料を突き合わせて確認するのが史料批判の方法です。
Q. この時期の年表として押さえるべき順序は。
A. 1582年 本能寺の変 → 山崎の戦い → 清須会議1583年 賤ヶ岳の戦い1585年 秀吉が関白に1590年 全国統一旧国名と現在の県名の対応(越前=福井、近江=滋賀、尾張=愛知)もあわせて確認しておきましょう。
📅 今週のできごとカレンダー(8月7日〜8月13日)

8月7日(金) 夏の甲子園で2部制が始まる(12日まで8日間)⚾。立命館宇治−有明戦で高校野球の公式戦として初のビデオ検証が行われ、確証が得られず判定は維持📹。小学生しんぶん8月7日号を発行📰。H3ロケット9号機の打ち上げが8月11日へ再設定🚀。

8月8日(土) お盆の帰省ラッシュが始まる(下りのピーク)🚗。

8月9日(日) 長崎原爆の日、被爆81年🕊️。平和祈念式典に98か国とEUが参列。台風接近のなか、気象予報を確認したうえで平和公園での開催を決定。台風16号「ペイロー」が発生🌀。宮古島の前浜漁港が砂で埋没(台風13号の影響)🏝️。

8月10日(月) 台風15号「チャンホン」が日本の東方海上を西へ進む🌀。関東地方に接近。

8月11日(火・祝) 山の日⛰️。4時23分31秒、H3ロケット9号機が種子島から打ち上げ、約29分後にみちびき7号機を軌道投入🚀。ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCが熊本県合志市の合弁会社設立で確定契約(約7470億円)📷。熊本地震から2週間、応急仮設住宅が着工🏠。20時、台風15号が茨城県南部に上陸(統計開始以来初)🌀。関東で倒木・足場倒壊、鉄道が一部運転見合わせ🚃。

8月12日(水) 9時、台風17号「ナンカー」が小笠原近海で発生🌀。2026年は1〜8月の全月で台風が発生し統計開始以来3例目📊。台風15号は夜までに熱帯低気圧へ。甲子園の第4試合が天候不良で順延🌧️。明け方に6惑星が並ぶ🪐。現地時間でヨーロッパ本土27年ぶりの皆既日食(日本時間13日未明)🌑。

8月13日(木) 11時ごろペルセウス座流星群が極大🌠。同日が新月のため観測条件が良好🌑。

📌 この先の予定 8月15日(土)終戦の日/甲子園3回戦開始。8月16日(日)大河ドラマ「豊臣兄弟!」第31回。8月18日(火)アジア大会の聖火を東京で採火。8月20日(木)広島で採火。8月22日(土)名古屋城で聖火誕生/甲子園決勝。8月24日ごろ ペルセウス座流星群の活動終了。9月19日(土)アジア競技大会開幕

📒 ことばメモ ── 今週の重要語

上陸/接近:上陸は「台風の中心が海上から陸地へ移ること」、接近は「中心が気象官署等から300km以内に入ること」。定義が明確でなければ統計は取れません。

偏西風:中緯度帯の上空を西から東へ吹く強い風。日本の天気が西から東へ移り変わる理由でもあります。

太平洋高気圧:夏に日本の南東へ張り出す温暖な高気圧。台風はその縁を回るように北上します。張り出し方が年ごとに違うため、進路も年によって変わります。

統計開始以来:気象庁の台風統計は1951年から。「初めて」はこの75年分に限った話であり、それ以前については判断できません。

平年値:直近30年の平均値で、10年ごとに更新されます(現行は1991〜2020年)。「平年より多い」はこの値との比較です。

熱帯低気圧:台風との区分は最大風速がおよそ17.2m/s(風力8)に達するか否か。同じ渦でも名称が変わります。

基幹管路:浄水場から地域全体へ水を送る主要な水道管。損傷すると広範囲が一度に断水しますが、1本の復旧で多数の世帯が同時に回復します。

活断層:最近の地質時代に繰り返し活動し、今後も動く可能性がある断層。日本に約2000が確認されています。すべてを避けて管路を敷設することは不可能です。

復旧/復興:復旧は「もとの状態に戻すこと」、復興は「もとよりよい形に立て直すこと」。今週の熊本の記事はすべて復旧の段階です。混同すると減点されます。

みなし仮設:民間賃貸住宅を自治体が借り上げて提供する方式。建設型より速く供給できる一方、地域コミュニティが分散するという課題もあります。

経済安全保障:生活と産業の基盤に不可欠な物資について、他国への過度な依存で供給が断たれる事態を防ぐ考え方。2022年に推進法が成立しました。

サプライチェーン:原材料の調達から製造・流通・販売に至る一連の連鎖。どこか一箇所が途絶すれば全体が止まります。

合弁会社:複数の企業が共同で出資して設立する会社。異なる強みを持ちよる場合に用いられます。

超純水:イオン・有機物・微粒子・溶存気体を極限まで除去した水。半導体の洗浄に不可欠で、ミネラルを含まないため飲用には適しません

準天頂衛星:日本のほぼ真上を長時間通過する軌道に配置された衛星。仰角が高いほど電波が遮られにくいため、山地や都市部の多い日本に適します。

測位:複数の衛星からの電波の到達時間差から距離を求め、位置を確定する技術。「位置を測る」とは実際には「時間を測る」ことです。

打ち上げ窓(ローンチウィンドウ):目標の軌道面へ効率よく投入できる時間帯。人間の都合ではなく軌道力学が日程を決めます。

皆既/金環:皆既は太陽が完全に隠れる状態、金環は月が遠く見かけが小さいため縁が環状に残る状態。部分日食は一部が隠れる場合です。

コロナ:太陽の外層大気。皆既の数分間だけ観測できます。温度は100万度を超え、表面温度(約6000度)より高いという未解明の問題があります。

新月/黄道:新月は月が太陽とほぼ同じ方向にある状態で、日食は必ず新月に起こります。黄道は地球の公転面が天球と交わる線で、太陽・月・惑星はこの付近を動きます。

極大:流星群の出現数が最多となる時期。ZHR(天頂出現数)は理想条件での値であり、実測はこれを下回ります。

断熱圧縮:気体が急激に圧縮されて高温になる現象。流星の発光も宇宙船の大気圏再突入時の加熱も、摩擦ではなくこの機構によります。

立証責任:ある主張を証明する義務を負う側のこと。ビデオ検証では変更を求める側が、刑事裁判では検察官が負います。示せなければ現状が維持されます。

非核三原則:核兵器を「持たず、つくらず、持ちこませず」とする日本の方針。1967年に国会で表明、1971年に国会決議。法律ではありません。

史料批判:史料の書き手の立場や成立事情を検討し、複数の史料を突き合わせて信頼性を確かめる方法。勝った側の記録が残りやすいという非対称を補正するために不可欠です。

👨‍👩‍👧 保護者のひとこと
💬 今週の問いかけ

「わからない」と言えるお子さまに、どう育っていただくか。

今週号の芯は、甲子園で初めて実施されたビデオ検証の結果です。3人が映像で確認した結論は「確証が得られなかったので、判定は変更しない」でした。編集部はこの場面を、今週最も価値のある題材として紙面の中心に置きました。

大がかりに確かめておいて「わかりませんでした」と述べるのは、格好のつかない結論です。試合を止め、全員が待ち、注目が集まっている。そういう場面ほど、人は何らかの結論を出したくなります。「わからない」と言うコストが高い場面ほど、正直でいることが難しくなる——これは大人にも等しく当てはまります。

だからこそ、それをルールとして先に決めておくことに意味があります。ビデオ検証の3類型も、刑事裁判の「疑わしきは被告人の利益に」も、統計で観測期間を明示する作法も、すべて同じ設計思想です。個人の慎み深さに委ねず、制度として組み込む。

ご家庭でできることとして一つ提案があります。お子さまが「わからない」「まだ確かめていない」と述べたとき、それを後退ではなく前進として受け止めていただくことです。「知らないの?」ではなく「どこまでは分かっていて、どこから先が分からないのか」と尋ねる。言えることと言えないことの境目を確定させる作業こそが、思考力そのものだからです。

高学年版で今週とくに力を入れたのは、分野をまたぐ構造の共有です。ビデオ検証・司法の立証責任・科学の仮説検証・統計の観測期間・被爆体験の継承・歴史学の史料批判。この6つが、証拠の扱い方という一点で同じ形をしています。思考力型入試で評価されるのは知識の量ではなく、異なる分野の事実を同じ原理で説明できることです。

もう一つ、日食と流星群を「新月」で結んだ記事も同じ狙いです。まったく別に見えた2つのニュースが、1つの事実で説明できる。この気づきの快感は、学習の動機として非常に強いものです。もし食卓で話題にしていただけるなら、「なぜ同じ日だったと思う?」と問いかけてみてください。

熊本については、先週と同じ方針を維持しました。扱ったのは応急仮設住宅の着工、断水が長期化する構造的要因、そして合志市の合弁会社設立です。被害の数字や描写は一切扱っていません。避難所でこの紙面を開く読者がいる前提で、一行ずつ確認しました。

あわせて「復旧速度の差は、努力の差ではなく工程数の差である」という一点を、今週も繰り返し明記しています。分からないものは不安を生みますが、分かるものには納得できます。復旧の遅れている地域の方が、自らや誰かを責めずに済むようにするためです。

📌 読み終わったら ── 次の3ステップ

  1. 解く:入試予想問題の記述7問と一問一答15問に取り組みましょう。指定語がある問題は、必ずすべて使ってから解答例と比べます。記述チャレンジの問5(分野をまたぐ発展問題)は、時間をかけて考える価値があります。
  2. 束ねる:今週の共通原理「確かめられないことを、どう扱うか」で、分野の異なるニュースを3つ結びつけて180字で説明してみましょう。第2原理「事前に決めておくから、速く確実に動ける」でも同じ練習ができます。思考力型入試で直接使える力です。
  3. 確かめる:今夜、空を見上げてください。ペルセウス座流星群は8月24日ごろまで活動が続きます。そして8月13日の新月から8月27日ごろの満月まで、ちょうど2週間の月の記録が取れます。紙面で読んだことを、自分の目で確かめる——それが一次情報です。

🔬 この夏の「探究テーマ」にしよう ── ニュース×自由研究

今週は台風・天文・宇宙のニュースが重なり、探究テーマの宝庫です。いずれも今日から始めて8月末に間に合います。「①問い→②方法→③データ→④考察」の流れは、記述問題の構成そのもの。条件をそろえた比較を設計できれば、それだけで質が一段上がります。方法と条件を明記するのは、読んだ人が同じ手順で確かめられるようにするためです。

🌀 2026年の台風の進路を1枚の地図に重ねる
問い:なぜ15号だけ進路が逆だったのか。方法:気象庁の台風経路図をもとに、今年発生した台風の進路を日本地図へ色別に描き込む。考察:太平洋高気圧の張り出し方と偏西風で説明する。予想(西から東)と実際(東から西)の差を説明するという探究の型がそのまま成立する。
🌗 新月から満月まで、月を2週間記録する
問い:月の形と見える方位はどう変わるか。方法:8月13日の新月から27日ごろの満月まで、毎日同じ時刻・同じ場所で形・方位・高度をスケッチ。考察:太陽・月・地球の位置関係の図で説明。同じ時刻の方位が日々東へずれることに気づければ、月の公転を自分の観測から導いたことになる。
🌠 流星の出現数を時間帯別に数える
問い:出現数は時間帯でどう変わるか。方法:8月24日ごろまで、同じ場所・同じ観察者・同じ視野・同じ姿勢で15〜30分ごとに計数し、日時・天候・月齢・周囲の明るさを併記。考察:放射点の高度および極大からの日数との関係。「見えなかった時間帯」も必ず記録する——ゼロにも意味がある。夜間は必ず保護者と。
🏷️ 台風の名称140個を提案国別に分類
問い:命名の発想は国でどう違うか。方法:140個を提案国別・由来別(星座・動物・植物・地名)に分類して表化。日本はすべて星座名。考察:自然観や文化との関係。甚大な被害をもたらした名称が引退する運用まで調べると制度設計に踏みこめる。
🚰 ライフラインの復旧順序を調べる
問い:なぜ復旧の速さに差が出るのか。方法:電力・ガス・上水道・通信・鉄道について、設備が地上か地下か/工程がいくつか/安全確認が必要かを表に整理。考察:速さの差を「しくみ」で説明する。ガスが最も時間を要しうる理由(地下+各戸での安全確認)まで書ければ完成。
🌡️ 気温と暑さ指数のずれを分解する
問い:同じ気温でも体感が違うのはなぜか。方法:毎日同時刻の気温・湿度・体感(5段階)を記録し、暑さ指数と並べて2軸グラフに。さらに日なた/日かげ/アスファルト/芝生で同時測定。考察:湿度で説明できる部分と輻射熱で説明できる部分を分ける。WBGTの重み配分(湿度7割)とつなげる。
🔢 「統計開始以来」を検証してみる
問い:ニュースの数字はどこまでのことを言っているか。方法:今週の記事から「統計開始以来初」「3例目」「27年ぶり」など期間つきの表現を10個抜き出し、それぞれ①いつからの記録か②何と比べているか を表に整理。考察:期間を書かなければ何も言えないことを、自分の手で確かめる研究。
🏮 お盆の習慣の地域差を聞き取る
問い:お盆の習慣は地域でどう違うか。方法:祖父母や近所の方に迎え火・供え物・盆おどりを聞き取り、地図上に整理。日付・場所・話し手を必ず記録する。考察:1873年の改暦と「月おくれ盆」との関係。一次情報を自分で集める研究。
🔬 自由研究テーマ図かん → ⚾ 甲子園で自由研究 → 🗓️ 夏休み計画メーカー → ☀️ 夏休み特集 → 🛟 夏の安全ガイド → 🌟 体験ガイド → 🏯 歴史体験ガイド(北ノ庄・名古屋城)→

🛡️ 今週の関連ページ ── 防災・用語・特集

台風と地震への備え、今週の重要用語(台風・活断層・人工衛星・半導体・避難情報・酷暑日)、甲子園とアジア大会の特集をまとめています。ハナちゃん(オオルリ)と学べるしごと図鑑もあわせてどうぞ。

🛡️ こども防災ガイド → 🌀 台風の大きさと強さ → 🪨 活断層とは → 🛰️ 人工衛星とは → 💾 半導体とは → 🚨 避難情報の5段階 → 🌡️ 酷暑日とは → ⚾ 甲子園2026特集 → 🔥 アジア大会2026特集 → 🗾 茨城県のページ → 📝 中学受験 時事問題まとめ → 💼 しごと図鑑 →

❓ よくある質問(この号について)

Q. 小学生しんぶん5・6年生版は無料で読めますか?
A. はい、無料です。スクールコンパス編集部が毎週金曜日に発行し、中学受験の時事問題を意識して、しくみと数字から解説しています。入試予想問題(記述7問と一問一答15問)も毎号収録しています。画面の『ふりがな』ボタンで表示・非表示を切り替えられます。
Q. 2026年8月14日号の主なニュースは何ですか?
A. 8月11日20時、台風15号チャンホンが茨城県南部に上陸しました。気象庁によると茨城県への台風上陸は1951年の統計開始以来初めてです。同日4時23分31秒にはH3ロケット9号機が種子島宇宙センターから打ち上げられ、約29分後に準天頂衛星みちびき7号機を軌道へ投入しました。また同じ8月11日、ソニーセミコンダクタソリューションズと台湾のTSMCが熊本県合志市を拠点とする合弁会社の設立で確定契約を結び、約7470億円を拠出して2029年にイメージセンサーを量産すると発表しました。熊本地震から2週間が経過し応急仮設住宅が着工した一方、断水は断層沿いの基幹管路の被害により長期化しています。現地時間8月12日にはヨーロッパ本土で27年ぶりの皆既日食が観測され、8月13日にはペルセウス座流星群が極大を迎えました。甲子園では暑さ対策の2部制が実施され、8月7日に高校野球の公式戦として初のビデオ検証が行われました。8月9日は長崎原爆の日で被爆81年にあたります。
Q. 台風はなぜ普通は西から東へ進むのに、今回は東から西へ進んだのですか?
A. 台風は自らの推進力で移動しているのではなく、周囲の大規模な気流に流されて動いているためです。夏の日本の南東には太平洋高気圧が張り出しており、台風はその縁を回るように北上します。そして日本付近まで達すると、中緯度帯の上空を西から東へ吹く偏西風に流されて進路を東寄りに変えます。これが台風は西から東へという通念の内実です。今回の台風15号は日本のはるか東方の海上で発生し、そこから西へ向かって進みました。その時の気圧配置が通常と異なっていたためで、日本の東側から接近したことにより最初に到達した陸地が茨城県となりました。進路は台風の性質ではなく、その時の気圧配置によって決まります。
Q. なぜ茨城県への台風上陸はこれまで記録がなかったのですか?
A. 台風が通常の進路をとる場合、日本の東側に位置する茨城県には、台風が到達する時点で既に海上へ抜けている例が多かったためです。なお上陸とは台風の中心が海上から陸地へ移ることを指し、近傍を通過しただけでは上陸と呼びません。また統計開始以来初という表現は、気象庁の台風統計が始まった1951年からの75年分の記録の中で初めてという意味であり、それ以前については記録がないため判断できません。
Q. 異例の進路の台風は、なぜ危険が大きいとされるのですか?
A. 経験の蓄積が使えなくなるためです。台風が頻繁に通過する地域では、どこが浸水しやすく、どの構造物が倒れやすいかという知見が住民にも自治体にも共有されています。しかし前例の乏しい進路ではこの蓄積を参照できません。堤防や防風林、建物の向きも、その土地で卓越する風向を前提に設計されているため、前提と異なる方向から風が吹けば同じ強さでも被害の現れ方が変わります。加えて数値予報は過去の類似事例が多いほど精度が上がるため、前例の乏しい進路では予報の不確実性も大きくなります。
Q. なぜ電気は早く復旧したのに、上水道は時間がかかるのですか?
A. 工程の数が違うためです。電線は地上に架けられているため断線箇所を目視で特定でき、別系統からの迂回送電も可能です。これに対し水道管は地下に埋設されており破損箇所を上から見ることができないため、探索、掘削、交換、水質確認という4つの工程を要します。しかも上水道の水は飲用であるため安全確認を省略できません。熊本県では断層に沿って埋設されていた基幹管路の被害が復旧長期化の要因の一つとみられています。復旧速度の差は担当者の努力の差ではなく工程数の差である、という点が重要です。
Q. ロケットは空気のない宇宙空間で、どうやって進んでいるのですか?
A. 自らの一部である推進剤を高速で後方へ噴射し、その反作用として前方への力を得ています。空気を押して進んでいるという説明は誤りで、もしそうであれば空気のない宇宙空間では推進できないことになります。物体に力を加えれば加えた側も同じ大きさで逆向きの力を受けるという作用反作用の法則により、周囲に押す対象がなくても推進が成立します。むしろ大気は空気抵抗と断熱圧縮による加熱をもたらす障害でもあります。ふくらませた風船の口を放すと空気が噴出する向きと反対方向へ飛ぶのと、同じ原理です。
Q. 衛星測位はどのようにして位置を求めているのですか?
A. 電波が届くまでの時間を測定しています。各衛星は現在時刻を含む信号を発信し続けており、受信機が受け取った時点では電波の伝搬に要した時間だけ遅れが生じています。電波の速度は光と同じ秒速約30万キロメートルですから、遅れに速度を掛ければ衛星までの距離が求まります。3基以上の距離が定まれば位置は空間上の一点に確定します。位置を測るとは実際には時間を測ることです。みちびきは日本のほぼ真上を長時間通過する準天頂軌道に配置されており、衛星の仰角が高いほど電波が遮られにくいため、山地や都市部の多い日本に適しています。GPSはアメリカが整備し運用しているシステムで、日本は現在これとみちびきを併用しています。
Q. 皆既日食と流星群の好条件が、なぜ同じ日に重なったのですか?
A. どちらも8月13日が新月であったことが理由です。日食については、月が太陽と地球の間に入る位置関係は新月のときにのみ成立するため、日食は必ず新月に起こります。流星群については、新月は夜間に月が出ないため夜空が暗いまま保たれ、光度の低い流星まで観測できます。同じ一つの事実が、日食では位置の条件として、流星群では明るさの条件として、それぞれ別々に作用したことになります。なお月の公転面は地球の公転面から約5度傾いているため、毎回の新月で日食が起こるわけではありません。
Q. ビデオ検証で判定が変わらなかったのは、どういう意味ですか?
A. 映像でも確証が得られなかったため、元の判定が維持されたということです。日本高等学校野球連盟が2026年4月の理事会で導入を決定した制度で、8月7日の試合が公式戦での初適用となりました。この制度は、判定を変更するには明らかに誤りであると示せることが必要であり、示せない場合は現状を維持するという設計になっています。あいまいな根拠で変更すればかえって誤りが増えるおそれがあるためです。判定は覆っておらず、いずれのチームも有利や不利を受けていません。これは刑事裁判における疑わしきは被告人の利益にという原則や、科学において データが不十分なら差があるとは言えないと結論する姿勢と、同じ形の考え方です。
Q. 経済安全保障とは何ですか。中学受験ではどこが問われますか?
A. 国民生活や産業の基盤に不可欠な物資や技術について、他国への過度な依存によって供給が断たれる事態を防ぐという考え方です。2022年に経済安全保障推進法が成立し、半導体、医薬品、重要鉱物などが特定重要物資に指定されています。半導体はスマートフォン、自動車、医療機器などのすべてに不可欠でありながら最先端の製造が特定の国と地域に集中しているため、国内生産体制の整備が進められています。入試では、輸入は悪で自給は善という単純な図式ではなく、国際分業には効率という利益がある一方で供給途絶時の損失が大きい分野が存在するため、どこまでを自前で確保するかという程度の問題として論じることが求められます。食料自給率やエネルギー自給率と同じ構造の問題です。
Q. 柴田勝家について、中学受験ではどこが問われますか?
A. 柴田勝家は織田信長に仕えた重臣で家臣団の筆頭格とされ、鬼柴田の異名で知られます。信長から越前つまり現在の福井県北部を任され、北ノ庄城つまり現在の福井市を拠点としました。1582年の清須会議では信長の三男である織田信孝を推しましたが、羽柴秀吉が推した三法師が家督を継ぎました。翌1583年4月、近江つまり現在の滋賀県の賤ヶ岳の戦いで秀吉に敗れています。入試で重要なのは、越前が日本有数の豪雪地帯であり、冬の北西の季節風が日本海の上で水蒸気を含み山地にぶつかって上昇する際に雪を降らせるため、雪に閉ざされると大軍を動かせなかったという点です。歴史の設問が地理の知識を問う典型例といえます。旧国名と現在の県名の対応もあわせて確認しておきましょう。
Q. 歴史上の人物の評価は、なぜ慎重に扱う必要があるのですか?
A. 史料には必ず書き手の立場があり、敗れた側の記録は残りにくいためです。柴田勝家は物語の中で主人公の前に立ちはだかる存在として描かれることが多いのですが、これは秀吉を主人公に据えた場合の見え方です。勝家の側から見れば、織田家の家臣が織田家の跡取りを支えようとしたという筋になります。この非対称は意図的な改竄がなくても構造的に生じます。そのため歴史学は、一つの史料だけで断定せず、立場の異なる複数の史料を突き合わせて記述が一致するかを確認するという方法をとります。これを史料批判といいます。
Q. 今週号の共通テーマは何ですか?
A. 確かめられないことをどう扱うか、という論点です。ビデオ検証で確証が得られず判定を維持したこと、刑事裁判における立証責任、科学において データが不十分なら差があるとは言えないと結論すること、統計開始以来という表現で観測期間を限定して述べること、被爆体験を直接聞ける時間が減るなかで記録を残し照合すること、歴史学において複数の史料を突き合わせること。分野の異なるこれら6つが、証拠の扱い方という一点で同じ構造を持っています。思考力型入試で評価されるのは知識の量ではなく、異なる分野の事実を同じ原理で説明できることです。
Q. 被災地から離れた地域の子どもには、どう伝えればよいですか?
A. 「自分は何もできない」という無力感を持つお子さまには、気持ちを具体的な行動に変える関わり方をおすすめします。直接的支援、間接的支援、関心の維持、自らの備えという4層で整理すると考えやすくなります。また、元気に過ごすことは悪いことではない、とはっきり伝えてください。今週号では、復旧速度の差は努力の差ではなく工程数の差であるという点を繰り返し明記しています。分からないものは不安を生みますが、分かるものには納得できるためです。

🐦 ハナちゃんから、熊本のみなさんへ

この新聞を、熊本県で読んでくれている人がいると思います。いつもとちがう場所で過ごしている人もいるかもしれません。

今週、新しい住まいの工事が始まりました。9月の上旬には、入居が始まる地域もあります。そして同じ日に、合志市に新しい会社をつくるという契約が結ばれました。2029年から、そこで働く人が必要になります。いま復旧を進めている場所に、これから始まるものの話も届いているということです。

水がまだ出ない地域があります。これは、誰かの努力が足りないからではありません。水道管は地下にあって、探して、掘って、取りかえて、水の安全を確かめる——工程が多いのです。時間がかかるのは、ていねいにやっているからです。全国から入った技術者が、いまこの時間も作業を続けています。

つかれた日があってもかまいません。眠れない日があってもかまいません。むりに元気でいなくていいのです。近くの大人に「今日はしんどい」と言っていいのです。

私たちスクールコンパス編集部は、毎週この新聞をつくって待っています。来週も、またここで会いましょう。

📰 ニュースを読んだら、自分でも新聞を書いてみよう

今週のニュースから1つ選び、見出しとリード、本文を書けば、自分だけの新聞になります。高学年なら、「事実→原因→つながり」を1本の筋で通すことを目標にしましょう。見出しに主語と述語を入れるだけで、ぐっと読みやすくなります。夏休みの自由研究にもそのまま使えます。

📰 新聞の書き方・作り方ガイド 🔎 ネタの見つけ方
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