🗞️ 小学生しんぶん 5・6年生版|8月7日号

2026年8月7日号(7月31日〜8月6日のニュース)/毎週金曜発行・無料/中学受験の時事問題対応

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🔊 30秒まとめ(音読してみよう)

今週の要点。①8月5日、夏の甲子園が開幕。熊本県代表・有明高校の入場行進に大きな拍手、全校でもくとう、司会進行に初の手話(=情報保障)。選手宣誓は八王子実践・矢沢陵磨主将。②熊本県は電気がほぼ復旧、8月3日に仮設住宅70戸が着工(宇城市50・氷川町20)、8月7日に九州新幹線が再開断水は8月末の解消をめざす。政府は激甚災害の指定方針を示し予備費200億円超をあてる。③8月6日は広島原爆の日・被爆81年、式典に過去最多の123か国・地域とEUが参列。④台風13号「ドルフィン」が沖縄へ、13〜15号が同時に3つ。⑤8月3日、熊本市で40.3度(観測136年で初の40度超え)。⑥はやぶさ2が小惑星トリフネの400mを通過し、フライバイ中のレーザー測距に世界初成功。⑦8月5日、食料品の消費税を1%とする基本方針を臨時閣議で決定(1989年の導入以来はじめての引き下げ方針)。今週の共通原理は「見えないものを、見えるようにする」

🧭 ニュースを深く読む「4ステップ思考」 ── 記述問題の土台

中学受験の記述問題は、ニュースを「覚える」のではなく「考える」力を問います。次の4段階で読むクセをつけよう。

1 事実をつかむ 何が起きた? 数字・名前を正確に 2 原因を考える なぜ起きた? 背景は? 3 つながりを広げる 他と何が関係? 影響は? 4 自分の考え どう思う? これからどうすべき? 読む → 考える → 書く の流れ
記述の土台「4ステップ思考」 図:スクールコンパス編集部

この号では、各ニュースに 「📝 記述のヒント」 を付けています。①②で正確に押さえ、③④で自分の頭で考える――この往復が、合格答案を書く力になります。今週は「見えないものを、見えるようにする」という原理で6つのニュースを束ねられます(→ 論点マップ)。

✏️ 今週おさえたい語(5・6年生/入試頻出)
ゲキ/はげ(しい)(6年)
激甚げきじん災害・急激
例:激甚げきじん災害に指定する方針
ジン/はなは(だ)(中学)
甚大じんだい激甚げきじん
例:被害が甚大じんだいである
ショウ/さわ(る)(6年)
情報保障ほしょう障害しょうがい
例:情報保障ほしょうの観点から
リョ(中学)
合理的配慮はいりょ考慮こうりょ
例:合理的配慮はいりょの提供
ソ(中学)
措置そち
例:時限的な措置そちとする
カン/ゆる(める)(中学)
緩和かんわ緩慢かんまん
例:逆進性の緩和かんわをねらう
カク(6年)
閣議かくぎ・内かく
例:臨時閣議かくぎで決定する
トウ/す(ける)(中学)
透明性とうめいせい・浸とう
例:AI法の透明性とうめいせい義務
ソク/はか(る)(5年)
レーザー測距そっきょ・観そく
例:距離をそく定する
ゲン/へ(る)(5年)
減衰げんすい・軽げん税率
例:うねりは減衰げんすいしにくい
キ/しる(す)(2年)
新種記載きさい記録きろく
例:新種として記載きさいされる
ケイ/つ(ぐ)(中学)
けい者・継承けいしょう
例:織田家の後けい者を決める
📚 今週の時事キーワード ── 入試で問われる言葉
1 激甚げきじん災害・予備費よびひ
被害が著しく大きい災害について国が行う指定。指定されると、道路・河川・水道・学校などの復旧事業費に対する国の負担割合が引き上げられ、市町村の財政負担が軽くなる。小規模な自治体ほど自主財源が限られるため、「費用が足りず必要な復旧を断念する」という事態を防ぐ効果がある。予備費は、使い道を細かく特定せずにあらかじめ計上しておく予算で、国会の議決を経ずに内閣の責任で支出できる(事後に国会の承諾が必要)。「あらかじめルールと財源を決めておくから、いざというとき速く動ける」という設計思想は、応援協定・仮設住宅の事前決定とまったく同じ構造。今回、政府は激甚災害に指定する方針を示し、予備費から200億円を超える額をあてるとしている。
2 情報保障じょうほうほしょう合理的配慮ごうりてきはいりょ
情報保障とは、情報を「受け取れる形」ですべての人にとどけること。手話通訳、字幕、要約筆記、点字、音声読み上げなどがこれにあたる。今年の甲子園の開会式では、司会進行に初めて手話が導入された。従来は音声のみだったため、聴覚に障害のある人には内容が届かない状態だった。合理的配慮は、障害のある人が他の人と同じように参加できるよう、過重な負担にならない範囲で環境を調整すること(障害者差別解消法で、行政機関等および事業者に義務づけられている)。記述では「親切としての配慮」ではなく「参加の条件をそろえる措置」と位置づけると、評価が上がる。駅の電光掲示板、テレビの字幕、点字ブロックも同じ発想の産物である。
3 軽減けいげん税率と逆進性ぎゃくしんせい
消費税は所得の多少にかかわらず同じ税率がかかるため、収入に占める負担の割合は低所得層ほど重くなる。この性質を逆進性という(累進課税である所得税の対義的な性質)。これを和らげるしくみが軽減税率で、日本では2019年10月の10%への引き上げと同時に導入され、酒類・外食を除く飲食料品と定期購読の新聞が8%に据え置かれている。今回、政府は8月5日の臨時閣議で食料品の消費税を1%とする基本方針を決定した。2027年4月から2年間の時限的な措置とされる。1989年の消費税導入以来、税率引き下げの方針が示されるのは初めて。記述では「食料品は必需品で支出に占める割合が高いため、低所得層ほど恩恵が大きい」という因果で書くとよい。
4 フライバイと測距そっきょ
フライバイは、探査機が天体の近くを停止せずに通過して観測すること(周回するランデブーや着陸とは区別する)。燃料を大きく消費せずに観測できる利点がある一方、観測できる時間はごく短い。はやぶさ2は小惑星トリフネの表面から400メートルを通過し、太陽系天体へのフライバイとしては世界最小距離を記録した。同時に、フライバイ中のレーザー測距に世界で初めて成功している。レーザー測距はレーザー光を対象に当て、反射して戻るまでの時間から距離を求める方法。光速は既知なので「時間×光速÷2」で距離が出る。探査機も小惑星も高速で移動しているため照準の方向が刻々と変わる点が難しく、JAXAはこれを流鏑馬にたとえて説明した。
5 うねり(と高潮たかしおとの区別)
台風の強風によって生じた波のうち、波長の長い成分は減衰しにくく、台風本体より速く遠方へ伝わる。これをうねりという。そのため、台風が1000キロメートル以上離れていても、晴天・無風の海岸に突然大きな波が打ち寄せることがある。高潮は別の現象で、中心気圧の低下による海面の吸い上げと、強風による海水の吹き寄せで海面そのものが上昇すること。うねり=波、高潮=海面の高さと区別して覚える。なお河川では、自分のいる地点で降雨がなくても上流の降雨で急激に増水することがあり、これも「離れた場所の現象が到達する」という同型の危険である。
6 酷暑日こくしょび(予報用語)
最高気温40度以上の日。気象庁が2026年から正式に使いはじめた予報用語。従来は25度以上が夏日、30度以上が真夏日、35度以上が猛暑日、最低気温25度以上が熱帯夜。40度を超える日が各地で観測されるようになり、35度と41度を同じ「猛暑日」と呼ぶと危険度の差が伝わらないという課題が背景にある。8月3日には熊本市で40.3度を観測し、観測開始から136年で初めて40度を超えた。佐賀市・福岡県太宰府市でも初の40度超えとなった。用語を新設すること自体が防災上の手段であるという視点は記述で書きやすい。
7 新種しんしゅ記載きさい
ある生物が、これまで知られているどの種とも異なることを確認し、学名を与えて学術論文として正式に発表すること。「見たことがない」だけでは新種にならず、過去の文献をすべて調査し、形態を比較し、DNAを解析し、他の研究者の査読さどくを経る必要がある。新江ノ島水族館が8月2日に世界初展示したカグツチクラゲは、2022年に沖縄県久米島で発見され、記載までに約4年を要した。名は日本神話の火の神カグツチに由来し、体の中央部が火のように見えることから名づけられた。疑い、確かめ、公開して検証を受けるという科学の手続きを説明する好例。
8 EUのAI法と透明性とうめいせい義務
EU(ヨーロッパ連合)が定めたAIに関する包括的な法律。リスクの大きさに応じて規制の強さを変えるリスクベース・アプローチをとる。8月2日に適用が始まった透明性義務は、AIが生成した内容には、それと分かる表示をしなければならないとするもの。米カリフォルニア州でも同日に同様の規定が施行された。ポイントは「禁止」ではなく「表示」である点。AIは翻訳・医療・防災など有用な用途が多く、禁止すれば利益も失われる。そこで使用は認めたうえで、判断材料を受け手に渡すという設計にした。なお、EUの規制が事実上の世界標準となる現象をブリュッセル効果とよぶことがある。

📰 今週のニュース

7月31日〜8月5日

🔌 熊本県、電気はほぼ復旧ふっきゅう ── ライフラインが戻る順序には理由がある

熊本県のライフライン復旧状況(8月6日ごろ) ⚡ 電力 ほぼ復旧(工程が2段階) 🛒 商業施設 順次 営業再開(電力復旧が前提) 🚄 九州新幹線 8月7日 新水俣〜鹿児島中央が運転再開 🚰 上水道 8月末の解消目標(工程が4段階) 復旧の順序は、重要度の順ではありません。 損傷箇所を特定できるか、工程がいくつあるか——「しくみ」で決まります。
熊本県のライフライン復旧状況 図:スクールコンパス編集部

7月28日に熊本県で発生した地震から1週間が経過しました。今週入ってきた情報の多くは、「復旧」の進ちょくに関するものです。

まず電力です。発災直後は広い範囲で停電ていでんが生じましたが、電力会社が昼夜を通して復旧作業にあたり、現在はほとんどの世帯で送電が回復しています。

電力の回復は、そこから連鎖れんさ的に他の回復を可能にします。冷蔵設備が動き、空調が使え、通信機器の充電ができる。信号機が作動し、店舗のレジや決済システムが動く。1つの復旧が、その先の10の復旧を可能にする——これがライフラインを「基盤」とよぶ理由です。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアも順次営業を再開しています。棚に商品が並ぶ光景を見て「いつもの町が戻ってきた」と感じた人が多かったと伝えられます。

🤔 なぜ電力の復旧が先行したのか

損傷箇所を目視で特定できるからです。電線は地上(架空)にあるため、断線している場所は上から見て分かります。分かれば人員と資材を送り、接続し直せばよい。「見える」という一点が、復旧速度を大きく左右します。次の記事の上水道と読みくらべてください。

📝 記述のヒント

「復旧の順序は重要度の順ではない」という一文は、そのまま記述の核になります。①事実(電力が先行)→②原因(損傷箇所を目視で特定できる/工程が少ない)→③つながり(他のライフラインとの比較)→④自分の考えの順で組み立てましょう。なお「復旧」=もとの状態に戻すこと、「復興」=もとよりよい形に立て直すこと。今週の熊本の記事はすべて「復旧」の段階です。混同すると減点されます。

出典:経済産業省、熊本県、各自治体の発表

8月3日〜

🚰 断水だんすいは8月末めざす ── なぜ水道だけ工程が2倍なのか

電力と上水道 ── 復旧工程の比較 ⚡ 電線は地上(架空)=目視可能 断線箇所が上から確認できる ①特定 → ②接続 工程は 2 段階 → ほぼ復旧済み 🚰 水道管は地下(埋設)=目視不能 破損箇所を上から確認できない ①探索 → ②掘削 → ③交換 → ④水質確認 工程は 4 段階(=電力の2倍) → 8月末の解消を目標 速度の差は、努力の差ではなく 工程数の差 です。 しかも水道水は飲用のため、水質確認を省略することはできません。
電力と上水道の復旧工程の比較 図:スクールコンパス編集部

熊本県では、まだ断水だんすいが続く地域が残っています。県は「8月末までに断水を解消したい」という目標を示しています。

「電気は戻ったのに、なぜ水道はこれほど時間がかかるのか」——この問いには明確な答えがあります。電線は地上(架空)にあり目視で特定できるのに対し、水道管は地下に埋設されており、破損箇所が上から見えないのです。

上水道の復旧は、まず破損箇所の探索から始まります。水圧の変化を測定したり、漏水音を聞き取る装置を用いたりして位置を絞りこみます。特定できたら道路を掘削し、管を交換し、その後水質を確認します。この4工程がすべて完了して、はじめて蛇口じゃぐちから水が出ます。

この作業のため、いま全国の水道事業者から応援隊が熊本に入っています。日本水道協会などの枠組みにもとづき、東京・大阪・北海道など各地から人員と資機材が派遣されています。40度に迫る暑さのなか、朝早くから掘削作業が続いています。

🤔 なぜ水質確認を省略できないのか

上水道の水は飲用だからです。工事中に管の内部へ土砂や細菌が混入することがあります。確認せずに給水を再開すれば、健康被害が生じるおそれがあります。「急がないことが、結果として最も安全な選択になる」——上水道の復旧は、その典型例です。

📝 記述のヒント

この記事は「速さの差=しくみの差」という原理を最もはっきり示す教材です。記述では次の型が有効です。
「電線は地上にあり損傷箇所を目視で特定できるのに対し、水道管は地下にあるため、探索・掘削・交換・水質確認という四つの工程を要する。加えて水道水は飲用であるため検査を省略できない。したがって復旧に日数を要する。」(約110字)
指定語に「工程」「飲用」が入る形式が考えられます。因果を接続語(〜のに対し/したがって)で明示するのが得点のこつです。

🗾 熊本県(九州のほぼ中央。阿蘇あそのカルデラと有明海ありあけかいにはさまれ、地下水が豊富な県として知られる)

出典:厚生労働省、熊本県の発表

8月3日

🏠 応急おうきゅう仮設かせつ住宅70戸が着工 ── 6日という速度を生んだ事前決定

なぜ発災6日目に着工できたのか 【平常時=何も起きていない日】 ・自治体と業界団体が協定 ・建設候補地を選定 ・住宅の仕様を標準化 =「決めること」を前倒し 【7月28日 発災】 ⚠️ 協議に時間を使う必要がない =「動くこと」に集中できる 【8月3日=6日目】 🏠 着工 宇城市50戸/氷川町20戸 合計 70戸 「決めておく」ことが、そのまま「速さ」に変換された 災害後の作業は「決めること」と「動くこと」に分かれる。前者は平時に前倒しできる。 準備とは、未来の時間を先に確保しておく行為である。
応急仮設住宅の着工までの流れ 図:スクールコンパス編集部

8月3日(月)、熊本県の宇城市うきしで50戸、氷川町ひかわちょうで20戸、合計70戸の応急仮設住宅が着工しました。

応急仮設住宅は、住まいを失った人が一定期間生活するための住宅で、災害救助法さいがいきゅうじょほうにもとづいて供給されます。1戸ごとに玄関・台所・浴室が設けられます。

注目すべきは日数です。発災が7月28日、着工が8月3日。6日です。通常であれば、用地の選定、事業者の決定、設計の確定といった手続きに何週間もかかりそうなものです。

なぜ6日で着工できたのか。答えは「地震が起きる前に決めてあったから」です。多くの自治体は、平常時のうちに①住宅生産団体等と協定きょうていを締結し、②建設候補地をあらかじめ選定し、③住宅の仕様しようを標準化しておきます。そのため発災後は協議を経ずに発注へ進めるのです。

🤔 準備は、なぜ「速さ」に変換されるのか

災害後にやるべきことは、大きく「決めること」と「動くこと」に分けられます。このうち「決めること」は平常時に前倒しできる。前倒ししておけば、発災の瞬間から「動くこと」だけに資源を集中できます。準備とは、未来の時間を先に確保しておく行為だと言い換えられます。応援協定・受援計画・激甚災害の指定基準も、すべて同じ設計思想です。

📝 記述のヒント

「なぜ速く動けたのか」型の設問は頻出です。「たまたま」「運よく」で説明しないのが鉄則。制度・取り決め・訓練という「事前の設計」に原因を求めると、ほぼ確実に正答方向へ進めます。今週はこの型が3つ(仮設住宅・応援協定・激甚災害の指定基準)そろっています。

出典:熊本県、宇城市、氷川町の発表

8月7日(本日)

🚄 九州新幹線が本日運転を再開 ── 「安全確認」という不可逆の手順

九州新幹線 ── 8月7日 運転再開区間 博多 福岡県 熊本 熊本県 新水俣 熊本県 鹿児島中央 鹿児島県 この区間が8月7日に再開 軌道の変位、トンネルの覆工、高架橋の橋脚を1か所ずつ点検し、安全を確認したうえでの再開です。 時速260キロメートル前後で走行するため、「たぶん大丈夫」という判断は成立しません。
九州新幹線の路線と再開区間 図:スクールコンパス編集部

本日8月7日(金)、九州新幹線の新水俣しんみなまた駅〜鹿児島中央かごしまちゅうおう間で運転が再開されます。

地震のあと、新幹線はすぐには走行できませんでした。軌道きどう(レール)にわずかな変位へんいがないか、トンネルの覆工ふっこうに亀裂がないか、高架橋の橋脚に損傷がないか——1か所ずつ確認する必要があるからです。

時速260キロメートル前後で走行する交通機関では、「たぶん大丈夫」という判断が成立しません。点検の担当者は徒歩で確認し、打音検査を行い、記録を残し、そのうえで「安全である」と判断します。この手順を経て、本日の再開に至りました。

鉄道が動くと、人だけでなく物資と人材も動きます。復旧資材が運べる。応援に入る技術者が移動できる。離れて暮らす家族が会える。鉄道は地域の動脈どうみゃくにあたります。

🤔 なぜ「一部区間」から再開するのか

被害の程度は区間ごとに異なるためです。安全が確認できた区間から順次開放するのが鉄道の復旧原則です。「全区間がそろうまで待つ」より「できた区間から動かす」ほうが、社会全体の利益が大きくなります。段階的復旧という考え方で、道路や電力の復旧にも共通します。

📝 記述のヒント

安全確認は不可逆の判断です。省略して事故が起きた場合、取り返しがつきません。「時間をかけることが、結果として最も損失の小さい選択になる」という論理は、上水道の水質確認・H3ロケットの打ち上げ延期と同型です。今週はこの型が3つそろっているので、「異なる分野の例を3つ挙げよ」という設問にそのまま使えます。

出典:国土交通省、鉄道会社の発表

8月1日〜

🐶 分散ぶんさん避難とペット同行 ── 「全員同じ」から「必要に応じて選べる」へ

避難形態の多様化(分散避難) 🏫 指定避難所 食料・情報・支援が 最も早く届く拠点 安否確認の基点にもなる 🏨 ホテル・旅館 8月から受付開始 睡眠の質が保たれ エコノミークラス症候群を防ぐ 🐕 ペット同行可の区画 アレルギーのある人と 区画を分けて両立させる 車中泊の抑制にもつながる 🏡 親族・知人宅 県外への広域避難 所在の届け出が 支援を受ける条件になる 1つの方式を全員に当てはめると、必ず誰かが対応できなくなります。 「全員同じ」から「必要に応じて選べる」へ——避難所運営の考え方は変わってきました。
避難形態の多様化 図:スクールコンパス編集部

住まいに戻れない人のため、今週は避難の選択肢が広がりました

1つめはホテル・旅館への避難です。県が宿泊事業者と調整し、一定期間の滞在を可能にしました。受付も始まっています。ベッドで睡眠がとれると、疲労ひろうの回復が進み、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症しんぶじょうみゃくけっせんしょうのリスクも下がります。

2つめはペットと同行避難できる区画です。犬や猫は家族ですが、体育館ではアレルギーのある人や動物が苦手な人への配慮が必要になります。今回は区画を分けることで両立させました。これは車中泊の抑制という効果ももたらします。ペットのために車内で過ごし、体調を崩す例が過去の災害で問題になってきたためです。

3つめは、県外の親族・知人宅への広域避難です。これは「逃げる」ことではなく、自分と家族が健康を保てる場所を選ぶという正当な判断です。ただし所在を自治体に届け出ることが、支援情報を受け取る条件になります。

🤔 なぜ「選べる」ことが重要なのか

必要とするものが人によって異なるからです。乳幼児のいる世帯、持病のある人、高齢者、障害のある人、ペットのいる世帯——1つの方式をすべての人に適用すると、必ず対応できない人が生じます。過去の災害の教訓から、避難所運営は「全員同じ」から「必要に応じて選べる」へと転換してきました。福祉避難所の整備も同じ流れにあります。

📝 記述のヒント

この論点は手話の記事(情報保障)と同じ構造です。どちらも「多数派に合わせた1つの方式では、参加・利用できない人が生じる」→「条件を整えて全員が使えるようにする」という筋道。分野をまたいで同じ構造を指摘できると、思考力型入試で高く評価されます

出典:熊本県、内閣府防災の発表

今週

🏛️ 激甚げきじん災害の指定方針と予備費よびひ200億円超 ── 財政のしくみを読む

激甚災害に指定されると、何が変わるのか 通常の災害復旧 市町村の負担 国庫補助 自主財源の乏しい小規模自治体ほど負担が重い → 財源不足で必要な復旧を断念するおそれ 復旧の速度と範囲が財政力に左右される 激甚災害に指定された場合 市町村 国庫負担の割合が上がる 市町村の財政負担が軽くなる → 財源不足による断念が起きにくい 必要な復旧をやりきれる 今回、政府は激甚災害に指定する方針を示し、 予備費から200億円を超える額をあてるとしています。 予備費=使途を特定せずに計上しておく予算。内閣の責任で支出し、事後に国会の承諾を得る。
激甚災害指定のしくみ 図:スクールコンパス編集部

今週のニュースに「激甚災害に指定する方針」という表現が登場しました。用語としてはやや硬いものの、意味を理解すると復旧の速度と範囲に直結する話だと分かります。

「激甚」は「程度が著しくはなはだしい」という意味です。被害が特に大きい災害について、国が激甚災害法げきじんさいがいほうにもとづき「激甚災害」として指定することがあります。

指定されると何が変わるのか。復旧事業費に対する国の負担割合が引き上げられます。道路・河川・水道・学校などの復旧費は、通常は市町村がかなりの部分を負担します。しかし自主財源の乏しい小規模自治体にとって、これは重すぎる負担です。

指定されれば市町村の負担が軽くなり、「財源が足りないため、この復旧は断念する」という事態が起きにくくなります。今回、政府は予備費よびひから200億円を超える額をあてる方針も示しました。

🤔 なぜ「指定」という手続きを経るのか

例外的な措置だからです。すべての災害に国が全額を支出すると、財政が持ちません。そこで被害の規模に関する基準を法律で定めておき、その基準に該当するかを確認したうえで指定します。ルールを事前に定めておくから、いざというとき速く動ける——応急仮設住宅の事前決定とまったく同じ構造です。

📝 記述のヒント(頻出)

「激甚災害指定」「予備費」「復旧と復興の区別」は時事問題の定番です。とくに予備費は「使い道を細かく決めずに計上しておく予算で、内閣の責任で支出し、事後に国会の承諾を得る」という説明を書けるようにしておきましょう。財政民主主義(予算は国会が議決する)の例外にあたる、という位置づけまで書ければ上位答案です。

出典:内閣府、政府の発表

💗 ここまで読んだあなたへ

今週の熊本の記事6本は、すべて「回復した事実」と「始まった事実」で構成しました。被害の数字や描写は扱っていません。まだ困難は残っていますが、電力が戻り、店舗が再開し、住宅の工事が始まり、本日は新幹線が走ります。断水も8月末に向け、全国から入った技術者が作業を続けています。前に進んでいることは、事実として確かです。

8月5日(水)

⚾ 夏の甲子園が開幕 ── 「49代表」という数字の意味

夏の全国高校野球選手権大会がひらかれる阪神甲子園球場
📷 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場(写真:Google マップ)

8月5日(水)、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で、第108回全国高等学校野球選手権大会が開幕しました。

阪神甲子園球場(模式図) 本塁 一塁 二塁 三塁 投手板 アルプススタンド アルプススタンド 外野(フェアグラウンドの外縁) 全国49代表が この舞台を目ざします
甲子園球場の模式図 図:スクールコンパス編集部

出場するのは全国の49代表です。都道府県は47なのに49になるのは、参加校数が突出して多い北海道と東京だけが2地区に分かれるためです(北北海道・南北海道/東東京・西東京。45+2+2=49)。1地区にまとめると地方大会の試合数が増えすぎ、夏場の選手の負担が過大になります。

開会式では、49校が順に入場します(入場行進)。プラカードを先頭に、ブラスバンドの演奏に合わせて行進する形式です。

🤔 制度は目的から逆算してつくられる

「北海道と東京だけ2地区」は不公平に見えるかもしれませんが、「参加校数が多い→試合数が増える→選手の負担が増える→地区を分割して試合数を抑える」という逆算の結果です。制度は結果の性質を決めます。この視点は、選挙制度(小選挙区制と比例代表制)や税制の理解にもそのまま使えます。

🗾 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場(大阪湾に近い阪神間はんしんかんに位置する)

⚾ 甲子園2026特集を見る →

出典:日本高等学校野球連盟の発表

8月5日(水)

👏 有明ありあけ高校への大きな拍手 ── 今週いちばんの場面

拍手は、とどく スタンドの観客 👏👏👏👏👏👏👏👏 熊本県代表 有明高校(初出場) 物理的な音はグラウンドまで。しかし放送を通じて、意味は熊本にとどきました。 拍手は、費用も道具も準備も要らないのに、伝わる範囲がきわめて広い。
開会式の場面を表した図 図:スクールコンパス編集部

入場行進で、熊本県代表・有明ありあけ高校がグラウンドに入ってきたとき、球場全体から大きな拍手が起こりました

有明高校は今年が初出場です。そして、地震のあった熊本県から出場しています。スタンドの観客は、そのことを全員が知っていました。

あの拍手は、単なる「初出場おめでとう」ではありませんでした。「よく来た」の拍手であり、「見ている」の拍手であり、「熊本のみなさん、日本中が一緒にいます」の拍手でした。

この場面を放送で見ていた熊本県の人たちからは「なみだが出た」「うれしかった」という声が多数届いたと伝えられています。避難所で、集まって画面を見ていたところもあったといいます。

🤔 なぜ拍手は「遠くまで」とどくのか

物理的な音は球場の外までは届きません。それでも意味がとどくのは、拍手が「意思表示」だからです。放送・インターネットを通じて、場面とその意味が伝わっていく。費用も道具も事前準備も要らないのに、伝達範囲がきわめて広い——これが今週いちばん覚えておきたい事実です。

📝 記述のヒント

「被災地から離れた人にできることは何か」という設問は、災害の年に必ず出ます。「募金」だけで終わらせないのがこつです。
直接的支援(募金・物資・ボランティア)②間接的支援(節水・節電・被災地の産品を買う)③関心の維持(報道を追う・語り継ぐ)④自らの備え(家庭の防災を進める)——この4層で整理して書くと、答案に厚みが出ます。今週の拍手は②③の象徴的な例として使えます。

🗾 有明高校のある熊本県荒尾市あらおし(有明海に面した県北西部。三池みいけ炭鉱関連の世界文化遺産がある地域)

出典:日本高等学校野球連盟の発表

8月5日(水)

🕊️ 全校でもくとう ── なぜ「声を出さない」形式なのか

同じ時刻に、全員が同じ姿勢をとる 🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏 選手・監督・審判・観客・放送席——立場を問わず、同じ時刻に。 声は出さず、動かず、ただ静かに。 「黙」=だまる、「祷」=いのる。声を出さないことで、内容を各自にゆだねる形式です。 8月6日の広島の式典でも、8時15分に同じ形式がとられました。
黙とうの図解 図:スクールコンパス編集部

開会式の途中、球場にいた全員でもくとうが行われました。選手も、監督も、審判も、観客も、同じ時刻に同じ姿勢をとりました。

黙とうは、目を閉じて静かに祈ることです。「もく」は「だまる」、「とう」は「いのる」という意味の漢字です。

数万人が集まる球場が、しんと静まりかえりました。人が大勢いるのに音がしない。「全員が同じことを思っている」という、音のない意思表示がそこにありました。

🤔 なぜ「声を出さない」形式が選ばれるのか

声を出すと、言葉の内容を統一しなければならなくなるからです。参列者の立場も、思う相手も、宗教も、それぞれ異なります。声を出さない形式であれば、祈る内容は各自にゆだねられます。黙とうは「全員に同じことを言わせない」ための形式でもあるのです。
この考え方は、公的な儀式が特定の宗教に偏らないようにする(政教分離の考え方)とも関係します。8月6日の広島の式典で午前8時15分に行われたのも、同じ形式です。

8月5日(水)

📣 選手宣誓「困難こんなんは前を向く原動力げんどうりょく」 ── 内発と外発のちがい

選手宣誓(8月5日・開会式) 「困難は前を向く原動力」 八王子実践(東東京)矢沢陵磨 主将 外から与えられる励まし 「がんばれ」 受け手の状態にかかわらず 外側から発せられる 内側から生じる力 「原動力」 今すぐ出てこなくてもよい =外から急がせない言い方
選手宣誓の言葉 図:スクールコンパス編集部

開会式では、選手の代表が正々堂々と戦うことを誓う時間があります。これを選手宣誓といいます。

今年の選手宣誓は、八王子実践(東東京)の矢沢やざわ陵磨りょうま主将がつとめました。その中に、次の言葉がありました。

「困難は前を向く原動力」

「困難」は思うようにいかないこと、「原動力」は物事を動かすもとになる力です。つまり「困難は、前に進むための力になりうる」という意味になります。

🤔 「がんばれ」とは、どこがちがうのか

力の出どころがちがいます。「がんばれ」は外発的——外から与えられる励ましです。これに対し「原動力」は内発的——自分の内側から生じる力を指します。
この差は重要です。困難のただ中にいる人に「がんばれ」と言うことは、「まだ足りない」という含意がんいを伴うことがあります。一方「原動力」は、力が今すぐ湧かなくてもよいことを許容します。外から急がせない言い方である点が、この宣誓のすぐれたところです。

📝 記述のヒント

災害報道での言葉づかいは、記述問題の題材になります。「被災した人に『がんばれ』と言うことの問題点を説明せよ」という設問に対しては、①すでに限界まで努力している人に対して「まだ足りない」という含意を持ちうる、②努力すれば解決するという誤った前提を含む、③励ます側と励まされる側という非対称な関係を固定する——といった論点が使えます。今週号は、この論点を紙面全体の方針としても採用しています(→ 編集長コメント)。

8月5日(水)

🤟 開会式の司会に初の手話しゅわ ── 情報保障じょうほうほしょう合理的配慮ごうりてきはいりょ

音声+手話 = 全員に同じ情報がとどく 🔊 音声によるアナウンス 聴覚で受け取る人にとどく (従来はこれのみ) 🤟 手話 視覚で受け取る人にとどく (2026年から導入) これを「情報保障」といいます = 情報を「受け取れる形」ですべての人にとどけること 「親切としての配慮」ではなく「参加の条件をそろえる措置」 字幕・要約筆記・点字・音声読み上げ・点字ブロックも同じ系統
音声と手話 図:スクールコンパス編集部

今年の開会式では、甲子園の歴史で初めて行われたことがあります。司会進行の言葉に合わせて手話がついたことです。

手話は、手指の形と動き、表情、体の動きによって意味を伝える言語です。日本語や英語と同じく文法体系を持ち、地域による方言もあります。日本では2011年の障害者基本法改正で「言語(手話を含む)」と明記されました。

従来の開会式は音声のアナウンスのみでした。そのため聴覚に障害のある人には内容が届かない状態が続いていました。今年からは、視覚的にも受け取れるようになったのです。

これを情報保障といいます。情報を「受け取れる形」ですべての人にとどける、という考え方です。「親切にしてあげた」という話ではありません。「同じ場にいる人が、同じ情報を受け取れる状態にした」という話です。

🤔 なぜ「配慮」ではなく「保障」なのか

「配慮」は任意、「保障」は義務だからです。同じ大会に参加している以上、情報を受け取れない人が生じている状態を放置するのは合理的ではない——そう考え方が転換してきました。
関連する法律用語が合理的配慮です。障害のある人が他の人と同じように参加できるよう、過重な負担にならない範囲で環境を調整することを指し、障害者差別解消法により行政機関等および事業者に義務づけられています(事業者は2024年4月から義務化)。駅の電光掲示板、テレビの字幕、点字ブロック、スロープも、すべて同じ発想の産物です。

📝 記述のヒント(頻出テーマ)

「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」「情報保障」「合理的配慮」は、公民・時事の頻出語です。区別を確認しておきましょう。
バリアフリー=すでにある障壁を取り除く(段差にスロープを付ける)
ユニバーサルデザイン=はじめから誰もが使える設計にする(センサー式の自動ドア)
情報保障=情報を受け取れる形でとどける(手話・字幕・点字)
合理的配慮=個別の必要に応じ、過重な負担にならない範囲で調整する
今回の手話導入は情報保障の例として書くのが最も正確です。

8月6日(木)

🕊️ 広島原爆の日・被爆ひばく81年 ── 123か国・地域とEUが参列(過去最多)

広島市の平和記念公園にある原爆ドーム
📷 広島市の平和記念公園にある原爆ドーム(写真:Google マップ)

8月6日(木)は、広島市にとって特別な日です。81年前のこの日、広島の市街地は戦争によって甚大な被害を受けました。

毎年この日、平和記念公園で平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式・平和祈念式)が開かれます。午前8時15分にかねが鳴り、参列者全員で黙とうをささげます。

平和記念式典に参列した国・地域の数(推移のイメージ) 約85 10年前ごろ 約100 5年前ごろ 123か国・地域+EU 2026年(今年) 過去最多 参列国・地域の数は、国際社会がこの問題にどれだけ関心を向けているかを示す指標のひとつです。
式典に参列した国・地域の数(イメージ) 図:スクールコンパス編集部

今年の式典には、123の国と地域、およびEU(ヨーロッパ連合)が参列しました。これは過去最多です。

3日後の8月9日(日)は長崎原爆の日、8月15日(土)は終戦の日です。8月は、日本社会全体が平和について考える月だといえます。

🗾 広島県広島市の平和記念公園(太田川おおたがわの三角州上に発達した瀬戸内せとうちの都市。原爆ドームは1996年に世界文化遺産に登録)

📝 記述のヒント(8月の頻出テーマ)

入試では次の点が問われます。
8月6日=広島、8月9日=長崎、8月15日=終戦の日(日付と対応を確実に)
原爆ドームは1996年に世界文化遺産に登録された。「の遺産」とよばれ、繰り返してはならない出来事を将来に伝えるための遺産という位置づけである
・広島市長が読み上げる平和宣言、日本の非核三原則(持たず・つくらず・持ちこませず)
「なぜ保存するのか」という問いには、「美しいから」ではなく「証拠として残し、検証と継承を可能にするため」という論理で答えます。

出典:広島市の発表

8月6日〜7日

🌀 台風13号「ドルフィン」が沖縄へ ── 6日大東島だいとうじま、7日本島

台風13号の進路(発表時点) 沖縄本島 大東島 🌀 8月5日ごろ 🌀 8月6日(木) 🌀 8月7日(金) 最接近の見こみ ※「接近」は中心が気象官署等から300km以内に入ることを指す定義があります
台風13号の進路 図:スクールコンパス編集部

台風13号が沖縄県に接近しています。8月6日(木)に大東島付近、8月7日(金)に沖縄本島付近に最も接近する見こみです。

この台風には「ドルフィン」という名前がついています。英語で「イルカ」の意味です。

🛡️ 台風接近時に守る3原則

① 早めに屋内へ。風は漸増ぜんぞうせず、ある時点から急激に強まります。安全な行動は、危険になる前にしか取れません。

② 川・海・用水路・アンダーパスに近づかない。「ようすを見に行く」が最も危険な行動です。

③ 情報を能動的に取りに行く。気象庁の警報・注意報、自治体の避難情報(警戒レベル)を確認します。レベル4「避難指示」で全員避難、レベル5は「緊急安全確保」=すでに災害発生またはその可能性です。

📝 記述のヒント(防災の定番)

警戒レベルは必ず押さえてください。レベル3=高齢者等避難、レベル4=避難指示(全員避難)、レベル5=緊急安全確保「避難勧告」は2021年の法改正で廃止され、避難指示に一本化されています。ここは古い教材に注意。
また「垂直避難」(浸水時に建物の上階へ移動する)という用語も頻出です。避難=屋外へ出ること、とは限りません。

🗾 沖縄県(大東島は本島の東約360キロメートル。南西諸島なんせいしょとうは台風の主要な経路にあたる)

🛡️ こども防災ガイドを見る →

出典:気象庁の発表

8月3日〜6日

🏷️ 台風の名前140個 ── 識別子しきべつしはなぜ必要か(同時に3つ)

台風の名前は、どう決まるのか 14の国と地域が 10個ずつ 名称を提案(台風委員会) 全体で 140個の名称 発生順に用い、140個を使い切ると再び1番目に戻る(年をまたいで循環) 13号 ドルフィン 14号 🌀 15号 🌀 同時に3つ存在 日本は「13号」と番号で呼ぶが、各国は独自に数える。番号は国ごとにずれる可能性がある。 だから、国をまたいで通じる共通の識別子(名称)が必要になる。
台風の名称のしくみ 図:スクールコンパス編集部

台風には、あらかじめ140個の名称が用意されており、発生順に付けられていきます。この名称は、日本・中国・タイ・フィリピン・ベトナム・韓国・カンボジアなど14の国と地域10個ずつ提案したものです(14 × 10 = 140)。運用は台風委員会が担っています。

日本が提案している名称は星座に由来するものが中心で、「コイヌ」「ヤギ」「ウサギ」「カジキ」「コンパス」などがあります。

そして今週、台風13号・14号・15号が同時に3つ存在するという状況が生じました。

🤔 なぜ番号だけでなく名称も必要なのか

番号は国ごとにずれるからです。日本は気象庁が「13号」と番号で呼びますが、フィリピンや中国も同じ台風を独自に追跡し、独自の数え方をしています。国際的な情報共有では番号だけでは特定できません。そこで国をまたいで通じる共通の識別子が必要になります。今週のように3つ同時に存在する状況では、なおさら重要です。
これは「見えないものを、見えるようにする」という今週の共通原理の一例でもあります。名前を与えることは、対象を識別可能にすることだからです。

🔬 探究テーマのヒント

「台風の名称140個を提案国別に分類する」。日本は星座、他国は花・動物・地名・人名など、命名の発想が国によって異なります。表にまとめると、地理と文化が同時に見えてきます。さらに、甚大な被害をもたらした台風の名称は引退いんたい(除外)されるという運用もあり、そこまで調べると質の高い研究になります。

出典:気象庁の発表

台風接近時の注意

🌊 うねりのしくみ ── 1000km先の台風が高波を届ける理由

うねりは、台風本体より先に到達する 🌀 台風(1000km以上先) 波長の長い成分は減衰しにくく、台風本体より速く伝わる 🏖️ 海岸 ① 台風の強風が波を発生 → ② 波長の長い成分は減衰しにくい → ③ 台風本体より速く伝わる → ④ 晴天・無風の海岸に、突然大きな波が到達する 【区別】高潮=中心気圧の低下による吸い上げ+強風による吹き寄せで、海面そのものが上昇する現象 うねり=波/高潮=海面の高さ。入試ではここを区別して問われます。
うねりのしくみと高潮との区別 図:スクールコンパス編集部

台風接近時に最も注意が必要なのはです。しかも、台風が1000キロメートル以上離れていても海は危険になります

理由はうねりです。台風の強風は海面に波を生じさせますが、そのうち波長の長い成分はエネルギーを失いにくく(減衰しにくく)、しかも台風本体より速く遠方へ伝わります

その結果、空は晴れ、風もほとんどないのに、突然大きな波が海岸に打ち寄せるという状況が生じます。「今日は晴れているから海に行こう」という判断が、最も危険になるのです。

河川も同型です。自分のいる地点で降雨がなくても、上流の降雨が流下して急激に増水することがあります。「上流の天気は、自分の地点の天気とは異なる」——これも押さえておきたい原則です。

🤔 なぜ波長の長い波は減衰しにくいのか

波は進むあいだに水の粘性などでエネルギーを失いますが、波長が長いほど、単位距離あたりのエネルギーの損失が小さくなります。細かい波(風浪ふうろう)は発生域を離れるとすぐ消えていくのに対し、波長の長い成分だけが遠方まで残る。これが「うねり」です。台風が通過したあともしばらくうねりが残るのは、このためです。

📝 記述のヒント(区別が命)

うねり高潮津波は、必ず区別して覚えます。
うねり=台風の風でできた波長の長い波が遠方へ伝わる(の現象)
高潮=低気圧による吸い上げ+強風による吹き寄せで海面そのものが上昇する
津波=地震などによる海底の地形変化で生じ、水全体が動く(波長が極端に長い)
「台風のときに海面が上がるのはどれか」→高潮、「晴天でも高波が来るのはどれか」→うねり。この形で問われます。

🛟 夏の安全ガイドを見る →
8月2日〜6日

🌡️ 熊本市40.3度、観測かんそく136年で初 ── 「言葉をつくる」という防災

気温に関する予報用語の段階 25度 夏日 最高気温25度以上 30度 真夏日 最高気温30度以上 35度 猛暑日 最高気温35度以上 40度 酷暑日 2026年から使用開始の予報用語 熊本市 8月3日 40.3度 ※夜の最低気温25度以上は 「熱帯夜」
気温に関する予報用語 図:スクールコンパス編集部

8月3日(月)、熊本市で最高気温が40.3度を記録しました。熊本市で気象観測を開始して136年になりますが、40度を超えたのは初めてです。

同日、佐賀市福岡県太宰府市でも初めて40度を超えました。九州各地で記録が更新された1日となりました。

気温に関する予報用語には段階があります。最高気温25度以上が夏日、30度以上が真夏日、35度以上が猛暑日。そして40度以上が「酷暑日」です。なお夜間の最低気温が25度以上の場合は熱帯夜といいます。

「酷暑日」は気象庁が2026年から正式に使い始めた予報用語です。かつては40度を超える日がほとんどなかったため、区別する必要がありませんでした。

🤔 なぜ新しい用語が必要になったのか

用語は「区別する必要が生じたとき」に新設されるからです。40度以上の日がまれだった時代には「猛暑日」でひとくくりにして問題ありませんでした。しかし35度と41度では、熱中症のリスクがまったく異なります。同じ言葉で呼び続けると、危険度の差が伝わりません。
つまり用語を新設すること自体が、防災上の手段なのです。言葉の誕生が、気候の変化を示す記録にもなっています。

📝 記述のヒント(頻出)

基準値(25/30/35/40度、熱帯夜25度)は暗記必須です。そのうえで、「なぜ新しい用語をつくったのか」という問いには次の型で答えます。
「40度以上の日が各地で観測されるようになり、35度以上をすべて猛暑日と呼ぶと危険度の差が伝わらなくなったため。区別して呼ぶことで、注意の呼びかけを段階的に行えるようになる。」(約90字)
関連してヒートアイランド現象(都市部の気温上昇)、暑さ指数(WBGT)も一緒に整理しておきましょう。

出典:気象庁の発表

7月30日 発表

🛰️ はやぶさ2、トリフネの400mを通過 ── 太陽系天体で世界最小距離

はやぶさ2 × 小惑星トリフネ ── フライバイ観測 小惑星 トリフネ はやぶさ2 400メートル =25mプール16個ぶん 太陽系天体へのフライバイとしては、世界で最も小さい接近距離を記録しました
はやぶさ2のフライバイ 図:スクールコンパス編集部

日本の探査機「はやぶさ2」が、小惑星「トリフネ」の表面から400メートルの距離を通過しました。

400メートルは、学校のグラウンド1周ほど、25メートルプールなら16個ぶんです。地上ではありふれた距離ですが、宇宙探査では極端に近い数値です。

このように停止せずに天体のそばを通過して観測することを「フライバイ」といいます。今回のフライバイは、太陽系天体に対するものとしては世界で最も小さい接近距離を記録しました。

はやぶさ2は2014年に打ち上げられ、小惑星リュウグウの試料しりょうを地球へ持ち帰りました(2020年)。その後、カプセルだけを地球に投下し、探査機本体はそのまま次の目標へ向かう「拡張ミッション」に入っています。今回のトリフネへの接近も、その途上の出来事です。

🤔 なぜ、そこまで接近するのか

接近するほど分解能が上がるからです。カメラの解像度には限界があるため、遠方からでは点にしか写りません。近づけば表面の岩塊やクレーターの形状まで判別できます。ただし接近するほど衝突リスクも上がる。この相反そうはんする条件のバランスを計算して決めたのが400メートルという数値です。「利益とリスクのつり合いで判断する」という考え方は、防災・医療・政策にも共通します。

📝 記述のヒント

宇宙探査は「なぜ行うのか」を問われます。小惑星は太陽系ができた当時の物質を比較的そのまま保っているため、太陽系や生命の材料の起源を探る手がかりになる、というのが基本の答えです。「めずらしいから」ではなく「何を明らかにできるか」で書くこと。世界遺産の評価基準と同じ論理構造です。

出典:JAXA(宇宙航空研究開発機構)の発表

7月30日 発表

🎯 フライバイ中のレーザー測距そっきょに世界初成功 ── 「流鏑馬やぶさめ」の比ゆ

「移動しながら、照準を合わせる」という共通構造 流鏑馬(やぶさめ) 🏇 走る馬上から弓で的を射る 自分も的も、相対位置が刻々と変わる 日本に古くから伝わる騎射きしゃの技 はやぶさ2のレーザー測距 🛰️ 飛行しながらレーザーを照射し、 反射光が戻る時間から距離を算出する 2026年、フライバイ中では世界初の成功 距離 = 光速 × 往復時間 ÷ 2  光速は既知(約30万km/秒)なので、時間から距離が求まる。 難しさの本質は「双方が高速で移動している状態での照準」——JAXAはこれを流鏑馬にたとえた。
流鏑馬とレーザー測距 図:スクールコンパス編集部

はやぶさ2は、トリフネのそばを通過する間に、もう1つの成果をあげました。レーザーを照射して小惑星までの距離を測定することに成功したのです。フライバイ中にこれを行ったのは世界で初めてです。

レーザー測距の原理は単純です。レーザー光を対象に照射し、反射して戻るまでの時間を測る。光速は既知(真空中で約30万キロメートル毎秒)なので、距離=光速×往復時間÷2で求まります。

難しいのは状況です。探査機も動き、小惑星も動く。しかも双方が高速です。照準の方向は一瞬ごとに変化します。

この難しさを、JAXAの担当者は「流鏑馬のようだ」と説明しました。流鏑馬は走る馬上から弓で的を射る日本の伝統的な騎射きしゃの技です。自分も動き、的との相対位置も刻々と変わる——構造が同型です。

🤔 なぜ「たとえ」が有効なのか

相手がすでに持っている知識に接続できるからです。「フライバイ中のレーザー測距」と言われても難しさの実感は湧きませんが、「流鏑馬」と言われれば難しさの質が一瞬で伝わります
これは記述問題でも使える技術です。「〜のようなものである」という比ゆは、説明の精度を落とさずに理解の速度を上げます。ただし比ゆだけで終わらせず、必ず本来の説明も添えるのが条件です。

📝 記述のヒント

「なぜ距離を測る必要があるのか」という問いには、①正確な位置関係が分かれば画像から天体の大きさや形を精密に算出できる、②今後の探査計画の設計に使える、③技術そのものが将来の着陸・接近探査の基礎になる——という3方向で答えられます。成果は「今の意味」と「将来の意味」に分けて書くと厚みが出ます。

出典:JAXAの発表

8月12日夜〜13日未明

🌠 ペルセウス座流星群 ── 極大きょくだい放射点ほうしゃてん・新月という3条件

ペルセウス座流星群(2026年) 放射点(ペルセウス座の方向) 実際の流星は平行に飛んでいるが、遠近法により1点から広がって見える ① 極大:8月13日11時ごろ 見ごろは13日3時ごろ ② 放射点の高度が上がる 深夜〜明け方が有利 ③ 8月13日は新月 月明かりなし=好条件
ペルセウス座流星群の見え方と条件 図:スクールコンパス編集部

国立天文台によると、ペルセウス座流星群8月12日(水)の夜から13日(木)の未明にかけて見ごろとなります。極大(活動が最も活発になる時刻)は13日11時ごろで、日本では13日の午前3時ごろが最も見やすく、東京では1時間あたり35個程度が期待されます。

今年は3つの条件がそろった好条件の年です。①極大の時刻が観察しやすい時間帯に近い、②深夜から明け方は放射点の高度が上がる、③8月13日が新月にあたり月明かりがない。とくに③が効きます。空の背景が暗いままなので、暗い流星まで見えるのです。

🔭 観察の3つのこつ

① 空を広く見わたす。望遠鏡や双眼鏡は視野が狭くなるため、かえって不利です。流星は放射点付近だけでなく空全体に出現します。

② 15分ほど待つ。目が暗さに慣れる(暗順応あんじゅんのう)まで時間がかかります。スマートフォンの画面を見ると、そのたびにリセットされます。

③ 必ず保護者と一緒に、安全な場所で。深夜の観察になります。

🤔 なぜ「1点から放射状に」見えるのか

実際の流星はほぼ平行に飛んでいます。しかし、まっすぐな線路や並木が遠方で1点に収束して見えるのと同じ遠近法の効果により、1点から広がって見えます。その1点を放射点とよび、放射点のある星座の名が群の名称になります(ペルセウス座の方向にあるからペルセウス座流星群)。
なお流星群の正体は、母天体である彗星すいせいが残したちりの帯に地球が突入することで生じます。ペルセウス座流星群の母天体はスイフト・タットル彗星です。

📝 記述のヒント

「なぜ毎年ほぼ同じ時期に見られるのか」という問いが定番です。答えは「彗星が残したちりの帯の位置が決まっており、地球が公転軌道上の同じ場所を毎年同じ時期に通過するから」公転という周期運動に原因を求めるのがポイントです。

出典:国立天文台の発表

8月3日 発表

🚀 H3ロケット9号機が延期 ── 準天頂衛星じゅんてんちょうえいせい「みちびき」とは何か

打ち上げ延期という判断 🚀 H3ロケット9号機 準天頂衛星「みちびき7号機」を搭載 🌀 台風の接近 強風・降雨・落雷のリスク ⏸️ 延期を決定 8月7日の予定だった 中止ではなく「安全な条件の日に実施する」という判断です。 実行しない判断ができる組織のほうが、結果として成功率が高くなります。
打ち上げ延期の判断 図:スクールコンパス編集部

8月7日に打ち上げ予定だったH3ロケット9号機が、台風の接近により延期となりました(8月3日発表)。

このロケットは、準天頂衛星「みちびき7号機」を軌道に投入する予定でした。「みちびき」は日本版の測位そくい衛星システムで、カーナビやスマートフォンの位置情報の精度を高める役割を担います。

準天頂軌道とは、日本のほぼ真上(天頂付近)に長い時間とどまるように設計された軌道です。日本は山地が多く、都市部には高層ビルが林立するため、低い角度からの電波はさえぎられやすい。真上に衛星があれば、谷間やビル街でも電波が届きます。地形と都市構造という日本固有の条件から逆算して設計されたシステムです。

🤔 「延期」は失敗ではないのか

まったく異なります。延期は「判断機能が働いた」という証拠です。危険な条件下で予定どおり強行することのほうが、はるかに深刻な問題です。無理に打ち上げて失敗すれば、何年もの開発、多数の技術者の労力、多額の費用が一瞬で失われます。
「実行しない」を選べる組織のほうが、結果として成功率が高くなる——これは航空機の欠航、工事の中断、上水道の水質確認とも同型の論理です。

📝 記述のヒント

「みちびき」は時事の頻出テーマです。「日本は山地が多く都市にはビルが多いため、低い角度の衛星では電波がさえぎられやすい。日本のほぼ真上にとどまる軌道を用いることで、山間部やビル街でも安定した測位ができるようにしている」——この因果を書けるようにしておきましょう。地理的条件から技術設計を説明するという型は、他分野にも応用できます。

出典:JAXAの発表

8月2日(日)

🎐 新種「カグツチクラゲ」を世界初展示 ── 記載きさいまでの4年が意味すること

神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館
📷 神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館(写真:Google マップ)

8月2日(日)、神奈川県の新江ノ島水族館が、新種のクラゲ「カグツチクラゲ」世界で初めて展示しました。

発見から新種記載・展示までの4年 2022年 🌊 沖縄県・久米島の海域で 未知の個体を採集 2022〜2026年 🔬 既知種との形態比較・DNA解析 論文化 → 査読 → 新種記載 2026年8月2日 🎐 新江ノ島水族館で 世界初展示 命名の由来:「カグツチ」=日本神話に登場する火の神 体の中央部が火のように見えることに由来する 「見たことがない」から「新種である」までに、4年の検証が必要だった
発見から展示までの経緯 図:スクールコンパス編集部

このクラゲが採集されたのは2022年、沖縄県の久米島周辺の海域です。そこから研究者が4年をかけて調査し、今年「既知のどの種とも異なる新しい種である」と確認されました。これを新種記載といいます。

名称の「カグツチ」は、日本神話に登場する火の神に由来します。体の中央部が火のように見えることから名づけられました。

🤔 なぜ「新種」と確定するのに4年かかるのか

「見たことがない」と「新種である」は別だからです。世界のどこかですでに報告されている種かもしれない。既知種の幼体や、変異の大きい個体かもしれない。
そのため研究者は、①過去の文献を網羅的に調査し、②形態を比較し、③DNAを解析し、④論文として発表し、⑤他の研究者の査読さどくを受けるという手順を踏みます。疑い、確かめ、公開して検証を受ける——これが科学の手続きです。

📝 記述のヒント(探究学習にも直結)

「なぜ研究成果は論文として公開されるのか」という問いへの答えは、「他者が検証できる形にするため」です。検証されない主張は科学的な知識になりません。
この論理は、自由研究のまとめ方にもそのまま当てはまります。方法と条件を明記するのは、読んだ人が同じ手順で確かめられるようにするためです。「①問い→②方法→③データ→④考察」という構成は、この必要から生まれています。

🗾 神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館(相模湾さがみわんに面し、湾内は生物の多様性が高いことで知られる)

出典:新江ノ島水族館の発表

8月1日・2日

🏐 バレー男子日本、VNL4位 ── 13連勝という再現性さいげんせい

ネーションズリーグ2026 ── 日本代表の歩み 予選ラウンド 12戦 全勝 準々決勝 13連勝 ベスト4進出 準決勝(8/1) アメリカに フルセットで敗戦 3位決定戦(8/2) スロベニアに 1-3 最終順位:世界4位 🏐 1試合の勝敗は偶然に左右されるが、13連勝は偶然では説明できない。 相手が変わっても勝てる=実力の「再現性」が高い、ということ。
ネーションズリーグの結果 図:スクールコンパス編集部

13連勝と好調だったバレーボール男子日本代表は、8月1日(土)の準決勝でアメリカにフルセットの末に敗れ、8月2日(日)の3位決定戦でもスロベニアに1対3で敗れて、最終順位は世界4位となりました。3位決定戦では髙橋たかはしらん選手が20得点をあげています。

🤔 「13連勝」の何がすごいのか ── 再現性という考え方

1試合の勝敗には偶然が入りますが、13試合連続となると偶然では説明できません。相手のチームも戦い方も毎回異なるなかで勝ち続けたということは、「条件が変わっても発揮できる実力」があったことを意味します。これを再現性といいます。
科学でも同じです。1回だけの結果は認められず、条件をそろえて何度も再現できて初めて事実として扱われます。自由研究で「複数回測定する」よう指導されるのは、このためです。

📝 記述のヒント

順位を評価する設問では、母数を確認するのが鉄則です。「4位」は、参加国数を書かなければ意味が定まりません。「何チーム中の何位か」「全何試合中の何勝か」——分母を示すことで、初めて数字が評価可能になります。これは「率と実数を区別する」という資料問題の基本と同じです。

出典:日本バレーボール協会の発表

8月6日(木)

大谷翔平おおたにしょうへい、今季初の1試合2本塁打 ── 「今季」と「通算」を区別する

同一試合で2本(対カブス) 今季25号 先頭打者本塁打 試合の最初の打席での一発(1点) 今季26号 2ラン本塁打 走者1人の場面での一発(2点) 先頭打者本塁打は、これで 通算35本目 「今季25号・26号」と「通算35本」は、数え方の異なる別の指標です
大谷選手の2本の本塁打 図:スクールコンパス編集部

メジャーリーグでプレーする大谷翔平選手が、8月6日のカブス戦で今季初めて1試合に2本の本塁打を記録しました。

1本目は今季25号の先頭打者本塁打。試合の最初の打席で放つ本塁打を指します。2本目は今季26号の2ラン本塁打で、走者が1人いたため2点が入りました。

なお、先頭打者本塁打は通算35本目です。

📝 記述のヒント ── 数字は「範囲」とセットで

ここは資料問題の練習として非常に有効です。「25号」「26号」は今季の通し番号、「35本」は通算(デビュー以来の累計)。同じ「本塁打の数」でも、集計範囲が違えば別の指標です。
ニュースの数字を読むときは必ず①何の数か ②いつからいつまでの数か ③どんな条件下の数かを確認します。「今年の台風発生数13個」も「7月28日までの速報値」という範囲つきの数字でした。範囲を書かない数字は、比較に使えません。

💡 用語整理

ソロ=走者なし(1点)/2ラン=走者1人(2点)/3ラン=走者2人(3点)/満塁本塁打=走者3人(4点)。「先頭打者本塁打」は試合の第1打席に限られる点に注意(各回の先頭打者ではありません)。

8月5日(水)

🍚 食料品の消費税しょうひぜいを1%に ── 逆進性ぎゃくしんせいと軽減税率、1989年以来の転換

なぜ「食料品だけ」なのか ── 逆進性という考え方 収入に占める食費の割合(模式) 収入が少ない 食費 収入が多い 食費 食料品の税率を下げると 収入に占める食費の割合が高い世帯ほど 相対的な負担軽減が大きくなる = 消費税の「逆進性」を和らげる効果 ※ 軽減税率(8%据え置き)も同じ考え方 1000円の食料品では 現在(8%):税額 80円 改定後(1%):税額 10円 差は 70円 押さえる年号と用語 1989年:消費税導入(3%) 2019年10月:10%へ/軽減税率8%を導入 2026年8月5日:引き下げ方針を初めて決定
消費税の逆進性と今回の措置 図:スクールコンパス編集部

8月5日(水)、政府は臨時りんじ閣議かくぎ「食料品の消費税を1%とする」基本方針を決定しました。現在は軽減税率の8%なので、大幅な引き下げとなります。2027年4月から2年間の時限的な措置とされています。

たとえば1000円ぶんの食料品を購入した場合、現在の税額は80円。これが10円になります。

ここで押さえるべき点があります。消費税は1989年に導入されました(当初3%)。以来、税率が引き上げられることはあっても、引き下げの方針が示されるのは今回が初めてです。

🤔 なぜ「食料品だけ」なのか ── 逆進性

消費税は所得の多少にかかわらず同じ税率がかかります。そのため収入に占める負担の割合は、低所得層ほど重くなります。この性質を逆進性といいます(所得が多いほど税率が上がる累進課税の対義的な性質)。
食料品は必需品であり、収入が少ない世帯ほど支出に占める割合が高くなる傾向があります。したがって食料品の税率を下げると、低所得層ほど相対的な負担軽減が大きくなり、逆進性が緩和されます。2019年に導入された軽減税率も、まったく同じ考え方でつくられています。

📝 記述のヒント(公民・頻出)

次の年号と用語は暗記必須です。1989年=消費税導入(3%)/1997年=5%/2014年=8%/2019年10月=10%と軽減税率の導入
そのうえで、以下の対概念を整理しておきましょう。
直接税と間接税(所得税は直接税、消費税は間接税)
累進課税と逆進性
公平・中立・簡素(税の3原則)
記述では「消費税は所得にかかわらず同率であるため、収入に占める負担の割合は低所得層ほど重くなる(逆進性)。食料品は必需品で支出に占める割合が高いため、その税率を下げると低所得層ほど恩恵が大きく、逆進性の緩和につながる。」(約110字)という型が有効です。

⚖️ 反対側の論点も押さえる

思考力型入試では「反対の立場の意見も述べよ」と問われます。税率引き下げには次の課題が指摘されます。
税収が減り、社会保障などの財源が不足するおそれ ②複数の税率が並立し、事業者の事務が複雑になる時限措置の終了時に再び引き上げる際、反発が生じやすい
賛否の両論を挙げたうえで自分の立場を示す——これが上位答案の型です。

出典:政府の発表(8月5日 臨時閣議)

8月2日(日)

🤖 EU AI法の透明性とうめいせい義務が適用開始 ── 「禁止」ではなく「表示」

「AIが生成した」と示す義務(透明性義務) 🤖 AIが生成した内容 画像・文章・音声・動画 🏷️ AI生成であると表示 禁止ではなく、開示を求める 👀 受け手が 判断できる 🇪🇺 EU(ヨーロッパ連合) AI法の透明性義務が8月2日に適用開始 リスクベース・アプローチを採用 🇺🇸 米カリフォルニア州 同じ8月2日に同様の規定が施行 主要IT企業が集積する州 禁止すれば利益も失われる。だから「使用は認め、判断材料を受け手に渡す」設計にした。
AIの透明性義務 図:スクールコンパス編集部

AIは、画像を生成し、文章を書き、音声や動画までつくれるようになりました。有用である一方、課題も生じています。「人が作ったのか、AIが生成したのか」の区別がつかなくなることです。実在の人物が言っていない発言の動画(ディープフェイク)が容易に作れてしまいます。

そこで8月2日(日)からEUAI法透明性義務が適用を開始しました。「AIが生成した内容には、それと分かる表示をしなければならない」とするルールです。米国のカリフォルニア州でも同日、同様の規定が施行されました。

🤔 なぜ「禁止」ではなく「表示」なのか

AIは翻訳・医療・防災・研究など有用な用途が多く、禁止すればその利益も同時に失われるからです。そこでEUはリスクベース・アプローチを採りました。リスクの大きさに応じて規制の強さを変えるという設計です。許容できないリスクのある用途は禁止し、高リスクの用途には厳しい要件を課し、それ以外には透明性の確保を求める——という段階構造になっています。
今回の透明性義務は「使用は認めたうえで、判断材料を受け手に渡す」という位置づけです。規制の目的は「使わせないこと」ではなく「判断できる状態をつくること」だといえます。

📝 記述のヒント(新傾向の頻出テーマ)

AI規制は近年の入試で急増しているテーマです。押さえるべき論点。
「禁止」と「表示義務」の違い——後者は利益を残しつつリスクを下げる設計
ブリュッセル効果——EUの規制が事実上の世界標準になる現象。EU市場向けに仕様を合わせると、他地域向けも同じ仕様になるため
規制と技術革新のバランス——厳しすぎれば開発が停滞し、緩すぎれば被害が生じる
記述では「AIには有用な用途が多く、一律に禁止すれば利益も失われる。そこで使用は認めたうえで、AI生成である旨の表示を義務づけ、受け手が判断できる状態をつくることをねらっている。」(約100字)という型が使えます。

🐦 ハナちゃんから

インターネットで画像や動画を見たとき、「これは本当か」と一度立ち止まること。発信元を確かめる、複数の情報源を比べる——これがこれからの時代に必要な力(メディアリテラシー)だよ。

8月3日〜5日

🔥 アジア競技大会まで43日 ── 聖火採火さいかは8月22日、名古屋城

愛知県名古屋市の名古屋城
📷 愛知県名古屋市の名古屋城(写真:Google マップ)
第20回アジア競技大会 2026(愛知・名古屋)まで 8月7日 本日 🔥 8月22日(土) 名古屋城で聖火を採火 🏟️ 9月19日(土) 開幕 開幕まで あと43日
アジア大会までのカウントダウン 図:スクールコンパス編集部

9月19日(土)から、愛知県と名古屋市でアジア競技大会が開かれます。アジアオリンピック評議会(OCA)が主催する、オリンピックに次ぐ規模の総合競技大会で、4年ごとに開催されます。本日から数えてあと43日です。

今週は準備関連の動きが続きました。8月4日(火)からチケットのリセール(購入者が行けなくなった場合に公式に譲渡できるしくみ)が開始。8月5日(水)には、公式アンバサダーのINIによる応援ソングがリリースされました。

そして8月22日(土)名古屋城で聖火の採火が行われます。

🤔 なぜ公式リセールのしくみがあるのか

2つの問題を同時に解決するためです。①行けなくなった人のチケットが放置されると空席が生じる。公式に譲渡できれば、観たい人にわたります。②非公式の転売では価格が高騰し、本来の価格で観られなくなります。公式リセールなら適正価格で取引されます。
1つの制度が複数の課題に同時に効く——制度設計を評価する際の重要な視点です。

📝 記述のヒント(地理と結びつける)

大会開催地は地理の設問と結びつきます。愛知県は中京工業地帯の中心で、自動車産業の集積で知られます。濃尾平野のうびへいやに位置し、木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)の下流域には輪中わじゅうとよばれる集落形態が見られます。「大会が開かれる県について地理的特色を述べよ」という設問に備え、産業・地形・気候をセットで押さえておきましょう。

🗾 愛知県名古屋市の名古屋城(濃尾平野の東部。中京工業地帯の中心都市)

🔥 アジア大会2026特集を見る →

出典:大会組織委員会の発表

8月11日(火)〜16日(日)

🏮 お盆と山の日 ── 「月おくれ盆」が生まれた理由

8月の暦と、お盆の地域差 8月11日(火) ⛰️ 山の日 2016年施行の祝日 8月12日(水) 🌠 流星群 夜〜13日未明 8月13日(木) 🏮 お盆の入り 迎え火 8月14・15日 👨‍👩‍👧‍👦 家族で過ごす 15日は終戦の日 8月16日(日) 🔥 送り火 お盆明け なぜ「7月盆」と「8月盆」があるのか もとは旧暦7月15日ごろの行事 → 明治期の改暦(1873年、太陽暦へ) ① 日付をそのまま新暦7月15日にした地域(東京の一部など) ② 季節感を合わせて1か月ずらした地域(多くの地方)=「月おくれ盆」
8月の暦とお盆の地域差 図:スクールコンパス編集部

来週の8月11日(火)山の日。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ための国民の祝日で、2016年に施行された最も新しい祝日です。

そして8月13日(木)から16日(日)ごろお盆です。ご先祖を迎え、ともに過ごし、送り出す期間とされ、13日夕方にむかえ火、16日に送り火をたく地域が多くあります。

お盆に帰省する人が多いため、交通機関が集中的に混雑します。多くの人が同じ時期に、同じ方向へ移動するためです。

🤔 なぜ「7月盆」の地域があるのか ── 改暦という歴史

もともとお盆は旧暦(太陰太陽暦)の7月15日ごろの行事でした。1873年(明治6年)の改暦で日本は太陽暦(グレゴリオ暦)に移行します。このとき地域の対応が2つに分かれました。
日付をそのまま新暦7月15日にした地域(東京の一部など)
季節感を合わせて1か月ずらした地域(多くの地方)=月おくれ盆
②が多数派になった理由の1つは農作業の暦です。7月中旬は農繁期にあたる地域が多く、行事を行いにくかったのです。1つの制度変更が、150年たったいまも地域差として残っている——歴史が生活に残る好例です。

📝 記述のヒント

「改暦」は社会と理科の両方にまたがるテーマです。「旧暦は月の満ち欠けを基準とするため、実際の季節と少しずつずれる。閏月うるうづきを入れて調整していたが、太陽暦に移行することで国際的な基準に合わせた」という説明を書けるようにしておきましょう。七夕(7月7日と8月7日)や旧正月にも同じ構造があります。

🚗 おでかけの前に

お盆の時期は気温が高くなります。車内には絶対に残らないこと。また、出かけ先の避難場所とハザードマップを家族で確認しておきましょう。旅先で被災した場合、地理に不案内なことが大きなリスクになります。夏の安全ガイド →

学習の設計

🍉 夏休みの逆算 ── 「日数が必要なもの」から着手する

課題は「性質」で2種類に分かれる ① 日数を圧縮できないもの 🌱🌡️🌠 観察・栽培・毎日の記録・実験 1日1回しか進まない → 最優先で着手する ② 日数を圧縮できるもの 📖✏️ ドリル・読書感想文・工作 まとめて進めることが可能 → 後半に回してもよい 8月末に破たんするのは、①を後回しにしたときです。
課題の性質による分類 図:スクールコンパス編集部

夏休みも折り返しを過ぎました。ここで計画の考え方を1つ提案します。

夏休みの課題は、性質によって2種類に分かれます

①日数を圧縮できないもの——観察、栽培、毎日の記録、条件をそろえた実験。これらは1日に1回しか進みません。10日ぶんの観察記録を1日でつくることは不可能です。

②日数を圧縮できるもの——ドリル、読書感想文、工作。集中すれば短期間でも仕上げられます。

8月末に破たんする典型は、①を後回しにしたケースです。「量が多いもの」からではなく「日数が必要なもの」から着手する——これが計画の原則です。

🤔 これは、今週のニュースと同じ構造です

仮設住宅が6日で着工できたのは、「決めること」を平常時に前倒ししていたからでした。夏休みの計画も同じで、「日数が必要なもの」を前倒しすることで、後半の自由度が上がります。
制約の強いものから配置する——これは時間割の作成、スケジュール管理、さらには入試当日の解答順序にも当てはまる、汎用性の高い原則です。

🗓️ 夏休み計画メーカーを使う →
探究テーマ

🔬 今週のニュースから組む探究テーマ

今週のニュースは、探究テーマの素材が豊富です。「①問い→②方法→③データ→④考察」という流れは、記述問題の構成そのものです。3つ提案します。

① 🌠 流星の出現数は時間帯でどう変わるか

問い:出現数は時間帯によってどう変化するか。方法:8月12日夜〜13日未明、同じ場所・同じ観察者・同じ視野・同じ姿勢で30分ごとに計数し、時刻と天候も記録。考察:放射点の高度との関係。条件を統一したことを明記するのが要点です。友人と離れた地点で同時観測し、地点差を比べればさらに質が上がります。

② 🌡️ 気温と体感のずれはどこから生じるか

問い:同じ気温でも体感が異なるのはなぜか。方法:毎日同時刻に気温・湿度・体感(5段階)を記録し、暑さ指数(WBGT)と並べて2軸グラフにする。さらに日なた/日かげ/アスファルト上/芝生上で同時測定。考察:湿度で説明できる部分と、放射熱で説明できる部分を分ける。1つの結果を複数の要因に分解するという思考が示せます。

③ 🏷️ 台風の名称140個を提案国別に分類する

問い:命名の発想は国によってどう異なるか。方法:140個を提案国別に一覧化し、由来(星座・動物・植物・地名・人名など)で分類して表にする。考察:国ごとの自然観や文化との関係。さらに甚大な被害をもたらした台風の名称が引退(除外)される運用まで調べると、制度の設計思想にまで踏みこめます。地理・国語・社会が同時に扱えるテーマです。

🔬 自由研究テーマ図かんを見る →
しごと図鑑

💼 今週のニュースを支えた仕事

ニュースの背後には、必ず働いている人がいます。今週は次の6職種が中心的な役割を果たしました。

🛰️ 軌道設計・航法の技術者

はやぶさ2の飛行経路を計算する仕事。400メートルという接近距離は、観測の利益と衝突リスクの均衡きんこう点として算出されたものです。

🐠 飼育員・分類学者

クラゲを健全に飼育する仕事と、新種か否かを4年かけて検証する仕事。両者がそろって初めて「世界初展示」が成立します。

🚰 水道の技術者

地下の破損箇所を探索し、掘削・交換・水質確認を行う仕事。全国の水道事業者から応援が入り、相互支援の枠組みが機能しています。

🌡️ 気象予報士・気象庁職員

台風の進路と気温を予測し伝える仕事。ロケットの打ち上げ延期という判断も、この予報を根拠にしています。

🔧 鉄道の保線・検査技術者

軌道・トンネル・高架橋を1か所ずつ点検する仕事。本日の新幹線再開は、この判断にもとづいています。

🤟 手話通訳者

話される言葉をその場で手話に変換する仕事。情報保障を実際に成立させる担い手で、今年の甲子園で新たな役割を担いました。

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夏の体験

🌟 夏の体験 ── 一次情報いちじじょうほうにふれる価値

受験学年であっても、実物を見る時間には確かな価値があります。理由は明確です。

一次情報——自分の目で見た、自分で測った、当事者から直接聞いた情報——は、記憶への定着が段違いです。教科書で「クラゲには骨も心臓もない」と読むのと、水槽の前で10分間その動きを見るのとでは、残るものが違います。

そして記述問題では、具体例を1つ持っているかどうかが答案の説得力を左右します。「体験した具体例を挙げて述べよ」という設問は、実際に頻出です。

☀️ 夏休み特集 🎴 夏休みやることカード 🌟 体験ガイド 🌿 自然の体験 📍 地域からさがす 🏯 歴史体験ガイド
📝 記述のヒント

一次情報と二次情報の区別は、資料問題でも問われます。一次情報=当事者・現地・原資料から直接得た情報(気象庁の観測データ、JAXAの発表、自分の観察記録)。二次情報=それをもとに他者がまとめた情報。この新聞も、必ず一次情報にあたって作成しています(各記事末の「出典」を見てください)。情報の出どころを確認する習慣そのものが、いま最も重要な学力の1つです。

毎日の注意

🥵 熱中症と水の事故 ── 体温調節のしくみと、助け方の原則

なぜ湿度が高いと危険なのか ── 体温調節のしくみ 湿度が低いとき 💧 💨 汗が蒸発する → 気化熱で体温が下がる 体温調節が働く 湿度が高いとき 💧 🚫 汗が蒸発しにくい → 熱が体内にこもる 同じ気温でも危険度が高い だから「気温」だけでなく、湿度と放射熱を組みこんだ 暑さ指数(WBGT) を見ます。 汗が出なくなったら、体温調節が失われかけている危険な合図です。
体温調節のしくみ 図:スクールコンパス編集部

今年の夏は40度を超える日が出るほどの暑さです。熱中症への警戒が必要です。

人の体は発汗によって体温を調節します。汗が蒸発するとき、体から気化熱を奪うため体温が下がります。ところが湿度が高いと汗が蒸発しにくく、熱が体内にこもります。同じ気温でも、湿度が高いほど危険度が上がるのはこのためです。

だからこそ、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)を見ます。これは気温・湿度・放射熱を組み合わせた指標で、湿度の影響が大きく反映されるように設計されています。

症状は頭痛・吐き気・めまい・けいれん、そして汗が出なくなること。とくに最後の1つは、体温調節そのものが失われかけている危険な合図です。

また台風接近時は川・海・用水路・アンダーパスに近づかない。うねりの記事で説明したとおり、晴天でも海は危険です。

💡 助け方の原則

相手の様子がおかしいとき——「大丈夫?」と声をかけ、返答があいまい・意識がはっきりしない場合は、迷わず救急要請(119番)。同時に日かげへ移動、衣服をゆるめる、首・わきの下・足の付け根を冷やす自分だけで解決しようとしないことが最も重要です。
水の事故でも同じで、自分が飛びこまないのが原則。浮くもの(ペットボトル・クーラーボックス)を投げ入れ、大人を呼ぶ。救助しようとした人が二次被害にあう例が毎年報告されています。

🛟 夏の安全ガイドを見る →

🔬 科学・技術コーナー

ニュースの「どうして?」を、しくみから調べてみましょう。

① 台風はなぜ発達するのか ── 潜熱せんねつというエンジン

台風の発達(一般的なしくみ) ① あたたかい海面 海面水温 約27度以上 水が蒸発して水蒸気となり 上昇気流にのって上空へ ② 凝結し、潜熱を放出 水蒸気が水滴に戻るとき 熱(潜熱)が放出される → 周囲を暖め、上昇気流をさらに強める ③ 回転しながら発達 地球の自転による転向力(コリオリの力)で 北半球では反時計回りにうず巻く 中心の下降域=「台風の目」 海面水温が高いほど水蒸気の供給が多く、放出される潜熱も増え、台風は強く発達します。 「猛暑のニュース」と「台風のニュース」は、しくみの上で直結しています。
台風の発達のしくみ(一般的な図) 図:スクールコンパス編集部

台風のエネルギー源はあたたかい海水です。海面水温がおよそ27度以上になると蒸発がさかんになり、大量の水蒸気が上昇気流にのって上空へ運ばれます。

ここが核心です。上空で水蒸気が冷やされて水滴に戻る(凝結ぎょうけつする)とき、熱が放出されます。これを潜熱といいます。放出された熱が周囲の空気を暖め、上昇気流をさらに強める。すると水蒸気の供給がいっそう増え、雲が発達し、また潜熱が放出される——正のフィードバック(自己強化)が生じます。台風は、潜熱を燃料とする熱機関だと言えます。

さらに地球は自転しているため、転向力(コリオリの力)が働き、集まった気流は北半球では反時計回りにうず巻きます。これが台風の構造です。

中心には台風の目があります。ここでは下降気流が生じるため風が弱く、晴れることさえあります。しかし目が通過した後、逆向きの猛烈な風が戻ってきます。「静かになった」と外へ出る行動が、最も危険です。

ここまで理解すると、今週のニュースが1本につながります。海面水温が高い → 水蒸気の供給が多い → 潜熱の放出が大きい → 台風が発達しやすい。今年は40度を超える日が出るほどの猛暑でした。「猛暑のニュース」と「台風のニュース」は別々の話ではありません。

🛡️ こども防災ガイドで台風への備えを見る →

② クラゲはなぜ心臓を持たずに生きられるのか ── 拡散かくさんという戦略

クラゲの体のしくみ ── 「持たない」という設計 クラゲ 骨格・心臓・脳・肺・血管を持たない それでも約5億年、生き延びている 体の95%以上が水分 透明に見え、陸上ではしぼむ 体が薄いため、酸素は「拡散」で届く 海水から直接、細胞へしみこむ → 血管も心臓も必要ない かさの収縮で推進する 水を押し出し、反対方向へ進む =作用・反作用(ロケットと同原理)
クラゲの体のしくみ(一般的な図) 図:スクールコンパス編集部

今週、新種のクラゲ「カグツチクラゲ」のニュースがありました。ところでクラゲは、生物として際立って変わった設計をしています。骨格がなく、心臓がなく、脳も肺も血管もありません

クラゲの体は95パーセント以上が水分です。だから透明に見え、陸に上げるとしぼんでしまいます。

では、心臓がないのにどうやって全身へ酸素を届けるのか。答えは「届ける必要がないから」です。体が薄いため、海水から直接、細胞へ酸素が拡散かくさんで到達します。したがって血管も心臓も要りません。
逆に言えば、体が厚く大きくなる生物ほど、循環器が必要になります。魚・鳥・ほ乳類が心臓と血管を持つのは、拡散だけでは奥まで酸素が届かないからです。「体のつくり」は「体の大きさ」から必然的に決まるという関係が見えてきます。

推進方法も独特です。かさを収縮させて水を押し出し、その反対方向へ進みます。ロケットが燃料を後方へ噴射して前進するのと同じ、作用・反作用の法則です。

そしてクラゲは約5億年前から地球に存在すると考えられています。恐竜の出現が約2億3千万年前ですから、はるかに古い系統です。複雑な器官を持たないという設計が、長期にわたる存続と両立している——生物の見方が変わる事実です。

🔬 生き物の探究テーマを見る →

スクールコンパスのマスコット ハナちゃん(オオルリ)
🌸 ハナちゃんの社説
遠くにいても、できることがある

やあ、みんな。スクールコンパスのマスコット、ハナちゃんだよ。ぼくはオオルリという青い鳥なんだ。

今週いちばん心に残ったのは、8月5日の甲子園の拍手だった。熊本県の有明高校がグラウンドに入ってきたとき、球場じゅうから大きな拍手が起こったんだ。

ぼくは考えた。拍手とは何だろうって。

拍手は費用がかからない。準備も要らない。道具も要らない。手が2つあればできる。それなのに、あの音の意味は何百キロも離れた熊本までとどいた。放送で見ていた人が「なみだが出た」と言っていたそうだ。

ぼくは、熊本から遠い場所にいる人にこれを言いたい。「何もできなくて申し訳ない」と思わなくていいって。

できることは、ちゃんとある。募金をする。節水をする。被災地の産品を買う。報道を最後まで見る。そして、自分の家の防災を1つ進める。どれも、りっぱに「何かしている」ということだ。

それから、これも大事。きみが普通に元気に過ごすことも、りっぱな応援なんだ。「自分だけ楽しくていいのかな」と思うやさしい人がいる。でも、熊本の人がいちばん望んでいるのは「みんなが元気をなくすこと」じゃない。「みんなが元気でいること」なんだよ。

今週の記事を書いていて、ぼくはもう1つ気づいたことがある。今週のニュースは、ほとんどが「見えないものを、見えるようにする」話だったということだ。

手話は、音声だけだった情報を目で見える形にした。AIの表示ルールは、生成の出どころを見える形にした。「酷暑日」という新しい言葉は、35度と41度の危険度の差を区別できる形にした。台風の名前は、どの台風かを識別できる形にした。はやぶさ2のレーザーは、宇宙の距離を数値という見える形にした。そして水道管は、地下にあって見えないからこそ、復旧に時間がかかっている。

見えないものは、扱えない。区別できないものは、対応できない。だから人は、名前をつけ、表示をつけ、測り、形にしてきた。それは地味な作業だけれど、世界を少しずつ良くしてきた作業でもあるんだ。

もうすぐお盆だね。家族と過ごす時間がある人は、その時間を大切にしてほしい。あたりまえの時間が、じつはいちばんの宝物だって、今週ぼくはあらためて思ったよ。── ハナちゃん/スクールコンパス編集部

💭 家族で話してみよう

「身のまわりで『見えないものを見えるようにしている』ものは何だろう」 3つ挙げてみましょう。信号の色、賞味期限の表示、成分表示、駅の電光掲示板、点字ブロック——探しはじめると、いくらでも見つかります。

✒️
✒️ 編集長から
今日の紙面を、こう作りました

先週号に続き、今週も編集部で最も長く議論したのは熊本の記事をどう書くかでした。

結論は明確です。主語を「復旧」にそろえる。今週の熊本の記事6本は、すべて「回復した事実」「始まった事実」で構成しました。電力が復旧した。店舗が再開した。仮設住宅70戸が着工した。本日、新幹線が走る。断水は8月末を目標に全国から応援が入っている。激甚災害の指定方針が示された。事実を並べるだけで、前進していることは十分に伝わります。

逆に、書かないと決めたこともあります。被害の数字、損壊した建物の写真、避難所の困難の描写。これらは一般紙の役割です。避難所でこの紙面を開くお子さまがいる——その前提で一行ずつ確認しました。

高学年版では、そのうえで「なぜ」を徹底しました。なぜ電力は早く、上水道は遅いのか。なぜ6日で着工できたのか。なぜ1000km先の台風で高波が来るのか。分からないものは不安を生みますが、分かるものには納得できます。とくに「速さの差は、努力の差ではなく工程数の差」という一点は、紙面のあちこちで繰り返しました。復旧に時間を要している地域の方が、自分を責めたり誰かを責めたりせずにすむようにするためです。

もう一点、言葉づかいについて。今週の紙面では「がんばれ」という語を、被災地に向けて一度も使っていません。選手宣誓の記事で書いたとおり、「がんばれ」は外発的な言葉であり、すでに限界まで努力している人に対して「まだ足りない」という含意を持ちうるからです。代わりに用いたのは「日本中が一緒にいる」という事実の提示です。今週号の芯を甲子園の拍手に置いたのは、そのためです。

今週の共通原理として掲げた「見えないものを、見えるようにする」は、後付けではありません。手話(情報保障)、AI法の透明性義務、酷暑日という新語、台風の識別名、レーザー測距、そして地下の水道管——分野の異なる6つの事実が、同じ構造で説明できる。この束ね方こそ、思考力型入試で問われる力そのものです。論点マップと入試予想問題の発展問題で、そのまま使えるようにしてあります。

最後に。今週は広島の8月6日があり、はやぶさ2の世界初があり、新種のクラゲがあり、流星群があり、消費税の歴史的な転換がありました。悲しいニュースと誇らしいニュースが同じ週に並ぶのが世の中です。どちらも同じ大きさで扱っています。── スクールコンパス編集部 編集長

📖 4コマまんが「ハナちゃんと拍手」
1
🐦📺😔
ハナちゃん:
「熊本のニュース…
ぼくは遠くにいるから
何もできないなあ」
2
📺⚾👏
ハナちゃん:
「あ! 甲子園で
熊本の学校に
拍手が起きてる!」
3
🐦💡👏
ハナちゃん:
「費用も道具も要らない。
それなのに、
ちゃんと意味がとどくんだ」
4
🐦👏🌸
ハナちゃん:
「よし、ぼくもたたこう。
そして今日も
元気に過ごすぞ!」
🐦 ハナちゃん(オオルリ)はスクールコンパスのマスコットです! ゲームでも遊べる →

🧩 今週の論点マップ ── 1つの原理で6つのニュースを束ねる

思考力型入試で高く評価されるのは、分野の異なる事実を同じ構造で説明できることです。今週は「見えないものを、見えるようにする」という原理で、6つのニュースを束ねられます。

見えないものを、見えるようにする 識別・表示・命名・測定を通じて、対応を可能にする 人権(情報保障・手話) 音声のみ → 視覚でも受信可 → 全員が同じ情報を得る 技術規制(EU AI法) 生成の出どころを表示 → 受け手が判断できる 気象(酷暑日という新語) 35度と41度を区別 → 危険度に応じ呼びかけ 防災(地下の水道管) 見えないから探索が必要 → 工程が増え日数がかかる 宇宙(レーザー測距) 距離を数値として取得 → 形状・大きさを精密に算出 国際協調(台風の名称) 共通の識別子を用意 → 国をまたいで特定できる
今週の論点マップ 図:スクールコンパス編集部
✍️ 使い方 論述問題で「異なる分野の例を挙げよ」と指定されたとき、この図から離れた分野を選ぶと説得力が上がります。たとえば「人権(手話)」「気象(酷暑日)」「宇宙(レーザー測距)」の3つ。同じ分野から3つ選ぶより、分野をまたいで同じ構造を指摘するほうが抽象化の力を示せるからです。
なお今週は第2の原理も立ちます。「準備が速さを決める」——仮設住宅の6日着工、応援協定にもとづく給水支援、激甚災害の指定基準の事前策定。原理を1つに絞りきれないときは、無理に束ねず2つに分けて書くほうが読みやすくなります。
❓ 今週のニュースクイズ
Q1
熊本県で電力の復旧が上水道より早かった主な理由として、最も適切なものはどれか。
① 電力会社のほうが人員が多いから
② 電線は地上にあり損傷箇所を目視で特定できるが、水道管は地下にあり探索から始める必要があるから
③ 法律で電力の復旧を優先すると定められているから
こたえ: 電力は「特定→接続」の2工程。上水道は「探索→掘削→交換→水質確認」の4工程を要します。速度の差は努力ではなく工程数の差です。
Q2
地震発生から6日で応急仮設住宅を着工できた背景として、最も適切なものはどれか。
① 平常時に協定・候補地・仕様を決めてあったから
② 近隣の県から住宅を移築したから
③ 地震の発生が事前に予知されていたから
こたえ: 災害後の作業は「決めること」と「動くこと」に分かれ、前者は平時に前倒しできます。応援協定・激甚災害の指定基準も同じ設計思想です。
Q3
激甚災害に指定されると起きる変化として、最も適切なものはどれか。
① 被災者に一律の見舞金が支給される
② 復旧事業費に対する国の負担割合が引き上げられ、市町村の財政負担が軽くなる
③ 自衛隊の派遣が初めて可能になる
こたえ: 自主財源の乏しい小規模自治体ほど効果が大きく、財源不足で必要な復旧を断念する事態を防げます。今回は予備費から200億円超をあてる方針です。
Q4
甲子園の開会式に手話が導入されたことを表す語として、最も適切なものはどれか。
① 福祉
② 情報保障
③ ユニバーサルデザイン
こたえ: 情報保障=情報を「受け取れる形」で全員にとどけること。③は「はじめから誰もが使える設計にする」という別概念で、既存の運用に手話を追加した今回は②が最も正確です。
Q5
台風が1000km以上離れていても海岸に高波が到達する現象と、その原因の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 高潮 ── 気圧低下による海面の吸い上げ
② うねり ── 波長の長い波が減衰しにくく、台風本体より速く伝わる
③ 津波 ── 海底の地形変化
こたえ: うねり=波の現象、高潮=海面の高さの上昇と区別します。晴天・無風でも高波が来るのがうねりの怖さです。
Q6
食料品の消費税率を引き下げると、収入の少ない世帯ほど効果が大きいとされる理由はどれか。
① 収入の少ない世帯のほうが食料品の購入金額が多いから
② 収入に占める食費の割合が高くなる傾向があり、税率変更の影響が相対的に大きいから
③ 低所得世帯には別の税率が適用されるから
こたえ: 金額ではなく割合で考えます。消費税は所得にかかわらず同率のため、負担の割合は低所得層ほど重くなる(逆進性)。食料品は必需品なので、ここを下げると逆進性が緩和されます。
Q7
EUのAI法が、AI生成物を「禁止」ではなく「表示義務」で扱っている理由として、最も適切なものはどれか。
① 技術的に禁止することが不可能だから
② AIには有用な用途が多く、一律に禁止すればその利益も失われるため、使用を認めたうえで判断材料を受け手に渡す設計にしたから
③ 各国の意見がまとまらなかったから
こたえ: EUはリスクベース・アプローチ(リスクの大きさに応じて規制の強さを変える)を採用しています。規制の目的は「使わせないこと」ではなく「判断できる状態をつくること」です。
Q8
はやぶさ2のフライバイで、400メートルという接近距離が選ばれた理由の説明として最も適切なものはどれか。
① 燃料の残量から、それ以上近づけなかったから
② 近づくほど観測の分解能は上がるが衝突リスクも上がるため、両者のつり合いから算出されたから
③ 過去の探査機の記録を超えることだけを目的としたから
こたえ: 利益とリスクのつり合いで判断するという考え方です。防災・医療・政策にも共通する視点で、記述問題でも応用できます。
Q9
お盆に「7月盆」と「8月盆」がある理由として、最も適切なものはどれか。
① 宗派によって日付が異なるから
② 明治の改暦の際、日付をそのまま新暦に移した地域と、季節感を合わせて1か月ずらした地域に分かれたから
③ 気候の南北差に合わせて国が定めたから
こたえ: 1873年(明治6年)の太陽暦への改暦が原因です。多くの地方が1か月ずらした(月おくれ盆)背景には、7月中旬が農繁期にあたる地域が多かったことがあります。
Q10
「酷暑日」という予報用語が新設された理由として、最も適切なものはどれか。
① 「猛暑日」という語感が弱いと指摘されたから
② 40度以上の日が観測されるようになり、35度以上をすべて猛暑日と呼ぶと危険度の差が伝わらなくなったから
③ 国際的な基準に合わせる必要が生じたから
こたえ: 用語を新設すること自体が防災上の手段です。区別できなければ、危険度に応じた呼びかけができません。8月3日に熊本市で40.3度(観測136年で初)を記録しています。
📝 今週の時事チェック ── タップで自動採点

今週の記事から、入試で問われやすい角度で6問(防災・制度/人権/財政/気象/宇宙)。答えと解説はすべてこの号の本文にあります。全問答えるとスコアが出ます。終わったら、下の「記述チャレンジ」「中学受験 予想問題」で記述まで仕上げよう。

🔎 資料(グラフ・比較表・規約)の読み取りを常設で鍛えるなら → 国語よみとりドリル【小6】小5版はこちら)。今週の時事は 中学受験 時事問題まとめ、防災の基礎は こども防災ガイド へ。
📖 記述チャレンジ ── 「4ステップ思考」で書いてみよう
2026年7月28日に熊本県で発生した地震から1週間が経過した8月上旬、県内では復旧が段階的に進んでいる。電力はほぼ復旧した一方、上水道の断水は8月末までの解消を目標としている。この差は、両者のしくみの違いによって生じている。電線は地上に架けられているため、断線した箇所を目視で特定できる。特定できれば、そこへ人員と資材を送り、接続すればよい。これに対し水道管は地下に埋設されており、破損箇所を上から見ることができない。そのため作業は、水圧の変化を測定したり漏水音を聞き取る装置を用いたりして破損箇所を探索するところから始まる。特定した後は道路を掘削し、管を交換し、さらに水質を確認する。上水道の水は飲用であるため、この確認を省略することはできない。工程の数が多く、一つひとつに時間を要するのである。一方で、8月3日には宇城市で50戸、氷川町で20戸の応急仮設住宅が着工した。発災からわずか6日である。これが可能だったのは、多くの自治体が平常時のうちに住宅生産団体等と協定を結び、建設候補地を選定し、住宅の仕様を標準化しているからである。災害後に行うべきことは「決めること」と「動くこと」に分けられるが、このうち「決めること」は平常時に前倒しできる。前倒ししておけば、発災の瞬間から「動くこと」だけに資源を集中できる。政府は今回の災害を激甚災害に指定する方針を示し、予備費から200億円を超える額をあてるとしている。指定されれば復旧事業費に対する国の負担割合が引き上げられ、市町村の財政負担が軽くなる。
問1 電力の復旧が上水道より早く進んだ理由を、「目視」「工程」の二語を必ず用いて、100字程度で説明しなさい。
解答例:電線は地上にあるため断線箇所を目視で特定でき、特定と接続という少ない工程で復旧できる。これに対し水道管は地下にあり目視できないため、探索・掘削・交換・水質確認という多くの工程を要するから。(94字)
※「工程の数の差」に触れているかが最大の得点要素。「努力の差ではない」という趣旨まで書ければなお良い。
問2 上水道の復旧において水質の確認を省略できないのはなぜか。本文の語を用いて40字程度で説明しなさい。
解答例:上水道の水は飲用であり、確認を省けば健康被害が生じるおそれがあるから。(35字)
問3 応急仮設住宅を発災から6日で着工できた理由を、「平常時」の語を必ず用いて80字程度で説明しなさい。
解答例:平常時のうちに自治体が住宅生産団体等と協定を結び、建設候補地の選定と住宅の仕様の標準化を済ませていたため、発災後に協議を行わずに発注へ進めたから。(72字)
問4 (発展)本文は、災害後の作業を「決めること」と「動くこと」に分けている。この区分にもとづくと、平常時にどのような準備をしておくことが有効だと考えられるか。本文に挙げられている例以外を1つ示し、その理由とともに120字程度で述べなさい。
解答例:各家庭で、避難する場所と集合場所、連絡手段をあらかじめ決めておくことが有効である。これらは「決めること」にあたり、平常時に済ませておける。災害時には通信が混乱し、話し合う時間も余裕もないため、事前に決めておけば直ちに行動に移せるからである。(118字)
※「本文の例以外」という条件を守ることが必須。自治体の受援計画、学校の引き渡し手順、企業のBCP(事業継続計画)なども可。「決めること/動くこと」の区分に当てはめて説明できているかが採点の中心。
記述のコツ ── 「4ステップ」で組み立てる
書き方:①事実(いつ・どこで・何が)→②原因・理由(なぜそうなったか)→③つながり(他の分野との共通点)→④自分の考え。字数が40〜80字なら①②に絞る100字を超える設問では③④まで入れると評価が上がります。指定語がある場合は必ずすべて使い、書き終えたら下線を引いて確認しましょう。
今週とくに意識してほしいのが接続語です。「〜のに対し」「そのため」「したがって」を使うと、因果関係が採点者に明示されます。因果は「伝わるはず」ではなく「明示する」ものです。
🌟 さらに深めよう

① 今週のニュースで「4ステップ」を1つ書く

「上水道の復旧に時間がかかる理由」「仮設住宅が6日で着工できた理由」「1000km離れた台風で高波が来る理由」「甲子園の開会式に手話が導入された意味」から1つ選び、「①事実→②原因→③つながり→④自分の考え」を100字で書いてみましょう。③では必ず別分野のニュースと結びつけるのが条件です。

② 一つの原理で複数のニュースを束ねる

今週の共通原理「見えないものを、見えるようにする」を軸に、異なる分野のニュースを3つ挙げて説明しましょう。例:手話の導入(人権)/EU AI法の透明性義務(技術規制)/「酷暑日」という新語(気象)。分野をまたいで同じ構造を見つけるのが、思考力型入試で求められる力です。
なお今週は第2の原理「準備が速さを決める」も成立します(仮設住宅の6日着工/応援協定にもとづく給水/激甚災害の指定基準)。2つの原理でそれぞれ3例ずつ整理できれば、どんな出題にも対応できます。

③ 数字を「率」と「定義」で吟味する

台風の「接近」は中心が気象官署等から300km以内という定義があります。定義を確かめずに「今年は接近が多い」と言えるでしょうか。
同様に、大谷選手の「今季25号・26号」と「通算35本」は集計範囲の異なる別の指標です。バレーの「4位」も、参加国数を書かなければ評価できません。①何の数か ②いつからいつまでか ③どんな条件下か——この3点を確認する習慣をつけましょう。

④ 対比で理解する ── 制度が結果の性質を決める

甲子園は1度の敗戦で終わるトーナメント、バレーのVNLは予選ラウンドで多数の試合を行ってから決勝ラウンドへ進む形式です。前者は一発勝負の強さを、後者は安定して勝ち続ける力(再現性)を測ります。同じ「勝負」でも、形式が違えば測っているものが違う。この視点で両者を200字で比較してみましょう。
発展:この考え方は入試制度にも当てはまります。1回の試験で決める方式と、複数回の成績を積み上げる方式とでは、測っている力が異なります。

⑤ 賛否の両論を書く練習

食料品の消費税を1%にする方針について、賛成側の論拠(逆進性の緩和/家計負担の軽減/必需品への配慮)と慎重側の論拠(税収減による社会保障財源の不足/複数税率による事務の複雑化/時限措置終了時の反発)を、それぞれ80字ずつ書いてみましょう。両論を挙げたうえで自分の立場を示す——これが思考力型入試の上位答案の型です。

🔢 数字で見る今週 ── 定義と範囲に注意して読む

時事問題では数字がそのまま問われます。「何の数か」「どの時点・どの範囲か」「定義は何か」を必ずセットで覚えましょう。

数字 意味 注意点
70戸着工した応急仮設住宅の戸数内訳は宇城市50戸・氷川町20戸。完成数ではなく着工数
6日発災(7/28)から着工(8/3)までの日数速さの原因は平常時の協定・候補地・仕様の事前決定
200億円超予備費からあてる方針の額予備費は使途を特定せず計上し、内閣の責任で支出する予算
8月末断水解消の目標時期「目標」であり確定ではない。工程は探索・掘削・交換・水質確認
49代表夏の甲子園の出場校数45+2(北海道)+2(東京)。理由は参加校数と試合数の負担
123か国・地域+EU広島の平和記念式典の参列(過去最多)「国」ではなく「国・地域」。EUは国ではなく地域統合体
81年広島の被爆からの年数(2026年時点)8月6日=広島、8月9日=長崎、8月15日=終戦の日
140個台風にあらかじめ用意された名称の数14の国と地域が10個ずつ提案。運用は台風委員会
40.3度8月3日の熊本市の最高気温40度以上=「酷暑日」(2026年から使用開始の予報用語)
136年熊本市の気象観測の期間2026−136=約1890年(明治23年ごろ)から観測
400mはやぶさ2とトリフネ表面の最接近距離太陽系天体へのフライバイとして世界最小。25mプール16個ぶん
35個/時流星群の期待出現数(東京)条件つきの数値。市街地の明るい場所では大きく減る
1%と8%食料品の消費税率(改定方針と現行)2027年4月から2年間の時限措置の方針。現行8%は軽減税率
1989年消費税が導入された年(当初3%)以来、引き下げの方針が示されたのは今回が初めて
13連勝バレー男子日本の連勝数予選12戦全勝+準々決勝1勝。最終順位は4位
25号・26号/35本大谷選手の本塁打(今季/先頭打者本塁打の通算)「今季」と「通算」は集計範囲の異なる別指標
43日8月7日からアジア大会開幕(9月19日)まで(31−7)+19=43。聖火採火は8月22日、名古屋城
4年カグツチクラゲの発見から新種記載まで2022年久米島で採集→2026年記載。文献調査・形態比較・DNA解析・査読を要する
💡 数字を読むときの3原則 ①定義を確かめる(「接近」とは中心が300km以内)②範囲を確かめる(今季か通算か、速報値か確定値か)③実数と率を区別する(4位という順位は参加数とセットで意味を持つ)。この3つを守るだけで、資料問題の正答率は大きく変わります。
✍️ 中学受験 入試予想問題 ── 記述7問+一問一答15問

実際の入試で問われやすい形式にしています。まず自分で解いてから解答例を確認しましょう。記述は「①事実→②原因→③つながり→④自分の考え」を意識してください。指定語がある問題は、必ずすべて使います。

問1 【理科・地学/防災】熊本県では電力がほぼ復旧した一方、上水道の断水解消は8月末が目標とされている。この差が生じる理由を、「地下」「工程」「飲用」の三語を必ず用いて120字程度で説明しなさい。
解答例:電線は地上にあり断線箇所を目視で特定できるため、少ない工程で復旧できる。これに対し水道管は地下に埋設されており破損箇所が見えないため、探索・掘削・交換・水質確認という多くの工程を要する。さらに上水道の水は飲用であり、安全確認を省略できないため日数がかかる。(124字)
問2 【公民・財政】政府は食料品の消費税を1%とする基本方針を決定した。この措置が、収入の少ない世帯ほど効果が大きいとされる理由を、「逆進性」「割合」の二語を必ず用いて100字程度で説明しなさい。
解答例:消費税は所得にかかわらず同じ税率がかかるため、収入に占める負担の割合は低所得層ほど重くなる。これを逆進性という。食料品は必需品で支出に占める割合が高いため、その税率を下げると低所得層ほど恩恵が大きく、逆進性の緩和につながる。(110字)
問3 【公民・人権】2026年の夏の甲子園の開会式では、司会進行に初めて手話が導入された。この取り組みは「親切としての配慮」ではなく「参加の条件をそろえる措置」と説明されることがある。その理由を、「情報保障」の語を用いて100字程度で述べなさい。
解答例:従来は情報が音声のみで伝えられていたため、聴覚に障害のある人は同じ場にいながら内容を受け取れなかった。手話を加えることで全員が同じ情報を得られる状態になる。これは情報保障とよばれ、任意の親切ではなく、参加を成り立たせる前提条件だからである。(117字)
問4 【理科・気象】台風が1000キロメートル以上離れていても、海岸で高波が観測されることがある。その理由を80字程度で説明しなさい。また、この現象と高潮との違いにも触れなさい。
解答例:台風の強風で生じた波のうち波長の長い成分はうねりとなり、減衰しにくく台風本体より速く伝わるため、晴天でも高波が到達する。一方、高潮は気圧低下と強風により海面そのものが上昇する現象で、うねりとは別のものである。(103字)
問5 【社会・国際/科学技術】EUは8月2日から、AIが生成した内容にその旨の表示を義務づける規定を適用した。AIの利用を「禁止」するのではなく「表示」を求める方式を採った理由を、100字程度で説明しなさい。
解答例:AIには翻訳や医療、防災など有用な用途が多く、一律に禁止すればその利益も同時に失われる。そこで利用自体は認めたうえで、AIが生成したものであるという判断材料を受け手に示すことで、利益を保ちながら誤認による被害を減らそうとしているから。(114字)
問6 【社会・歴史】1582年、織田信長の死後に清須会議が開かれた。この会議では、羽柴秀吉が三法師を、柴田勝家が織田信孝を後継者として推した。会議の場において、家中の序列では上位ではなかった秀吉の主張が通った背景として考えられることを、100字程度で述べなさい。
解答例:秀吉は本能寺の変の直後に中国地方から引き返し、山崎の戦いで明智光秀を討って主君のあだを報じていた。この実績によって家中での発言力が高まっていたため、序列では上位でなくとも主張が受け入れられたと考えられる。(102字)
※「会議の結果は、会議が始まる前の実績によって大きく左右される」という一般化まで書ければ加点。
発展 【思考力型・分野横断】次の6つの出来事には、ある共通する構造がある。
ア 甲子園の開会式に手話が導入された イ EUがAI生成物への表示を義務づけた ウ 気象庁が「酷暑日」という用語を新設した エ 台風に140個の名称が用意されている オ はやぶさ2がレーザーで小惑星までの距離を測定した カ 上水道は水道管が地下にあるため復旧に時間を要する
この共通構造を一文で示したうえで、ア〜カのうち分野の異なる3つを選び、それぞれがどのように当てはまるかを180字程度で説明しなさい。
解答例:共通するのは、見えない・区別できない対象を、表示や命名、測定によって扱える形にするという構造である。アは音声のみで伝えられていた情報に手話を加え、聴覚に障害のある人にも受け取れる形にした。ウは四十度以上の日を「酷暑日」と名づけ、猛暑日との危険度の差を区別できるようにした。オはレーザーによって宇宙空間の距離を数値として取得し、天体の形状や大きさを精密に算出できるようにした。いずれも、対象を扱える形にすることで初めて対応が可能になっている。(205字)
分野が離れているほど高評価(人権/気象/宇宙など)。カは「見えないために対応に時間がかかる」という裏側の例なので、他と組み合わせると論に厚みが出ます。イとエ、ウとエのように同系統ばかり選ぶと抽象化の力を示しにくい点に注意。

⚡ 一問一答15問 ── 用語と数字の確認

記述の前に、まず用語を確実にします。answer を隠して答えてから確認しましょう。

1. 被害が著しく大きい災害について国が指定し、復旧事業費の国庫負担割合を引き上げる制度を何というか。
A. 激甚災害(の指定)
2. 使途を特定せずに計上し、内閣の責任で支出できる予算を何というか。
A. 予備費(事後に国会の承諾が必要)
3. 「もとの状態に戻すこと」と「もとよりよい形に立て直すこと」を、それぞれ何というか。
A. 復旧/復興
4. 情報を「受け取れる形」ですべての人にとどけることを何というか。
A. 情報保障
5. 障害のある人が他の人と同じように参加できるよう、過重な負担にならない範囲で環境を調整することを、障害者差別解消法では何というか。
A. 合理的配慮
6. 所得の多少にかかわらず同率で課税されるため、収入に占める負担の割合が低所得層ほど重くなる性質を何というか。
A. 逆進性(対して所得税などは累進課税
7. 消費税が導入された年と、当初の税率は。
A. 1989年・3%(1997年5%/2014年8%/2019年10月10%と軽減税率導入)
8. 最高気温が40度以上の日を指す、2026年から使用が始まった予報用語は。
A. 酷暑日(25度=夏日/30度=真夏日/35度=猛暑日/最低気温25度以上=熱帯夜)
9. 台風が遠方にあっても高波をもたらす、波長の長い波を何というか。
A. うねり(海面そのものが上昇する高潮とは別現象)
10. 探査機が天体のそばを停止せずに通過して観測することを何というか。
A. フライバイ(はやぶさ2はトリフネの表面から400mを通過)
11. 流星群で、流星が飛び出してくるように見える天球上の一点を何というか。また、活動が最も活発になる時刻を何というか。
A. 放射点/極大
12. 日本のほぼ真上に長時間とどまる軌道を用いる日本の測位衛星システムの名称は。
A. みちびき準天頂衛星システム。山地やビル街でも電波が届きやすい)
13. ある生物が既知のどの種とも異なることを確認し、学名を与えて論文として発表することを何というか。
A. 新種記載(カグツチクラゲは2022年採集→2026年記載)
14. 1582年、織田信長の死後に後継者と領地配分を決めるため尾張で開かれた会議は。参加した4人の武将も答えよ。
A. 清須会議羽柴秀吉・柴田勝家・丹羽長秀・池田恒興
15. 8月6日・8月9日・8月15日は、それぞれ何の日か。
A. 広島原爆の日/長崎原爆の日/終戦の日(2026年の広島は被爆81年、式典参列は過去最多の123か国・地域とEU
📚 今週の出題予想 最も出やすいのは①消費税の引き下げ方針(逆進性・軽減税率・1989年)、次いで②情報保障と合理的配慮③激甚災害と予備費です。いずれも「制度がなぜそう設計されているか」を問う形になります。理科ではうねりと高潮の区別酷暑日の基準が有力です。中学受験 時事問題まとめ →
🏯 歴史たんけん
🗣️
清須きよす会議 ── 戦ではなく、話し合いで次の時代が決まった
大河ドラマ「豊臣兄弟!」第30回 8月9日(日)放送

📺 今週の大河ドラマ
NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」は、8月9日(日)に第30回「清須会議」が放送されます(8月2日は放送休止でした)。戦国時代において、武力ではなく合議によって大きな決着がついた、きわめて珍しい場面です。中学入試でも頻出の題材なので、構造から整理しておきましょう。

愛知県清須市にある清洲城
📷 愛知県清須市の清洲城(写真:Google マップ)
① 経緯 ── 本能寺の変から清須会議まで

1582年(天正10年)6月、明智光秀が主君織田信長を京都の本能寺で討ちます(本能寺の変)。
このとき羽柴秀吉は備中(現在の岡山県西部)で毛利氏と対峙していましたが、直ちに和睦して引き返し(中国大返し)、山崎の戦いで光秀を破ります。
しかし、そこで課題が残りました。「織田家の後継者は誰か」「領地はどう配分するか」。これを決めるため、重臣たちが尾張(現在の愛知県西部)の清須城に集まりました。

清須会議 ── 誰が集まり、何を決めたのか 清須城(尾張・現在の愛知県清須市)/1582年 🧑 羽柴秀吉 のちの豊臣秀吉 🧑 柴田勝家 最古参の筆頭重臣 🧑 丹羽長秀 古参の重臣 🧑 池田恒興 信長の乳兄弟 議題:「織田家の後継者は誰か」「領地をどう配分するか」 秀吉が推した 三法師(さんぼうし) 信長の嫡孫(長男・信忠の子)。当時なお幼少 論拠:家督は嫡流が継ぐのが筋である のちの織田秀信 柴田勝家が推した 織田信孝(のぶたか) 信長の三男。すでに成人し、実務にあたれる 論拠:当主として直ちに機能する人物が必要 結果:三法師が後継者と決まった この日を境に、秀吉の発言力が急速に高まっていく(→ 翌年、賤ヶ岳の戦いへ)
清須会議の構図 図:スクールコンパス編集部
② 参加した4人

会議に参加したのは、羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)、柴田勝家丹羽長秀池田恒興の4人です。
家中で最も格が高かったのは柴田勝家——信長に長く仕えた筆頭級の重臣でした。一方の秀吉は身分の高くない出自から実力で台頭した人物であり、本来ならこの4人の中では下位にあたります。この序列と結果のねじれが、清須会議を理解する鍵です。

③ 二つの論拠が対立した

秀吉が推したのは三法師——信長の嫡孫ちゃくそん(長男・信忠の子)で、当時なお幼少でした。論拠は「家督は嫡流ちゃくりゅうが継ぐのが筋である」
柴田勝家が推したのは織田信孝——信長の三男で、すでに成人していました。論拠は「当主として直ちに機能する人物が必要である」
どちらの主張にも筋が通っています。「原則を重んじるか、実務の即応性を重んじるか」という対立は、現代の組織でも起こりうる構図です。

④ 結果と、その後

合議の結果、後継者は三法師に決まりました。秀吉の主張が通ったのです。
ここが清須会議の要点です。武力ではなく合議によって、次の時代の方向が定まりました。そしてこの日を境に、序列では下位だった秀吉の発言力が急速に高まっていきます。翌1583年、秀吉と勝家はしずたけの戦いで直接対決することになりますが、その分岐点はこの会議の場にありました。

🤔 なぜ序列で下位の秀吉の主張が通ったのか

要因は複数考えられますが、最も大きいのは「直前に山崎の戦いで主君のあだを報じていた」という実績です。信長の死後、最も早く動き、最も明確な結果を出したのが秀吉でした。
会議において人を動かすのは、その場の弁論だけではありません。それまでに何を成したかが、発言の重みを決めます会議は、始まる前の段階で大きく方向が定まっている——これは現代の議論にもそのまま当てはまる洞察です。

🐦 ハナちゃんが思ったこと

話し合いで通るのは、声の大きさじゃない。清須会議で通ったのは、「なぜその人がよいのか」を筋道立てて示せた側の主張だった。
そして、その筋道に説得力を与えていたのは、それまでの行動だったんだ。「わたしはこう思う。なぜなら〜だから」と言えること、そして日ごろの行いで信頼を積むこと。440年前も、いまも同じだね。

🗾 愛知県清須市の清洲城(名古屋市の西隣、庄内川しょうないがわ沿い。信長が桶狭間おけはざまへ出陣した城でもある)

🔎 今週のニュースとつながるところ

清須は現在の愛知県です。そして今週のニュースに登場したアジア競技大会の開催地も愛知県。聖火を採火する名古屋城清洲城は、車で30分ほどの距離にあります。440年前に日本の行方が定まった場所と、今年アジア中の選手が集まる場所が、ほぼ同じ地域にあります。お盆に愛知県を訪れる人は、両方をたずねると、ニュースと歴史が1本につながります。

📜 豊臣秀長「出世絵巻」を見る →

誕生から最期まで、絵と地図で通して確認できます。大河ドラマの復習にも。

🏯 「清須会議と豊臣政権」まるわかりQ&A(中学受験のツボ)
Q. 本能寺の変は、いつ・誰が・誰に対して起こしたか。
A. 1582年(天正10年)明智光秀が主君の織田信長に対して起こしました。信長は京都の本能寺に滞在中で、これにより自害します。年号「1582年」は最頻出です。
Q. 「中国大返し」の「中国」とは何を指すか。
A. 中華人民共和国ではなく、日本の中国地方です。秀吉は備中(現在の岡山県西部)で毛利氏と戦っていました。ここを取りちがえる答案が毎年あります。
Q. 山崎の戦いはどこで起きたか。
A. 京都府と大阪府の境に近い山崎(現在の京都府大山崎町付近)です。近くの天王山が、「最も重要な勝負どころ」という慣用表現の由来になっています。
Q. 清須会議で対立した2つの主張と、その結果は。
A. 秀吉は三法師(信長の嫡孫・幼少)を、柴田勝家は織田信孝(信長の三男・成人)を推しました。結果は三法師に決定。翌1583年、秀吉と勝家は賤ヶ岳の戦いで対決します。
Q. 秀吉が天下統一のために行った代表的な政策は。
A. 太閤検地(全国の田畑の面積と収穫量を統一基準で調査し、石高こくだかで把握)と刀狩(農民から武器を没収)です。両者は合わせて兵農分離を進めました。
「統一基準で測ることによって、はじめて全国を比較・管理できるようになった」——この論理は、今週の気象観測予報用語の新設とまったく同じ構造です。記述で使えます。
Q. 豊臣秀長はどのような人物か。
A. 秀吉の弟で、大和郡山(現在の奈良県大和郡山市)を治めたことで知られます。前線の指揮だけでなく兵たん・財政・家臣団の調整を担いました。1591年に没し、その後の豊臣政権の動揺と関連づけて語られることが多い人物です。
Q. 織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の関係を一言で。
A. 信長が統一の道すじをつくり、秀吉が統一を完成させ、家康がそれを引き継いで長期の政権を築いたと整理できます。「鳴かぬなら」の句は後世の作ですが、性格の対比を覚える手がかりにはなります。
📅 今週のできごとカレンダー(7月31日〜8月6日)

7月31日(金) 熊本県で復旧作業が続く🔌。小学生しんぶん7月31日号を発行📰。

8月1日(土) バレー男子日本、VNL準決勝でアメリカにフルセットの末に敗れる🏐。熊本県でホテル・旅館への避難の受付が始まる🏨。

8月2日(日) VNL3位決定戦でスロベニアに1対3、最終4位🏐。新江ノ島水族館が新種「カグツチクラゲ」を世界初展示🎐。EUのAI法の透明性義務と、米カリフォルニア州の同様の規定が適用開始🤖。大河ドラマ「豊臣兄弟!」は放送休止📺。

8月3日(月) 熊本市で40.3度、観測136年で初の40度超え🌡️。佐賀市・福岡県太宰府市でも初の40度超え。宇城市50戸・氷川町20戸の応急仮設住宅が着工🏠。H3ロケット9号機(みちびき7号機)の打ち上げ延期を発表🚀。

8月4日(火) アジア競技大会のチケットリセールが開始🎫。台風13号「ドルフィン」が沖縄へ接近🌀。

8月5日(水) 第108回全国高等学校野球選手権大会が開幕⚾。熊本県代表・有明高校の入場行進に大きな拍手👏、全校で黙とう🕊️、司会進行に初の手話🤟。選手宣誓は八王子実践・矢沢陵磨主将📣。臨時閣議で食料品の消費税を1%とする基本方針を決定🍚。アジア大会の応援ソングがリリース🎵。

8月6日(木) 広島原爆の日、被爆81年🕊️。平和記念式典に過去最多の123か国・地域とEUが参列。大谷翔平選手が今季初の1試合2本塁打⚾。台風13号が大東島付近へ🌀。

📌 これから 8月7日(金)=九州新幹線 新水俣〜鹿児島中央が運転再開/8月9日(日)=長崎原爆の日、大河ドラマ第30回「清須会議」/8月11日(火)=山の日/8月12日(水)夜〜13日(木)未明=ペルセウス座流星群(新月で好条件)/8月13日(木)〜16日(日)=お盆/8月15日(土)=終戦の日/8月22日(土)=アジア大会の聖火採火(名古屋城)/9月19日(土)=アジア競技大会 開幕

📒 ことばメモ ── 今週の重要語

復旧/復興:復旧は「もとの状態に戻すこと」、復興は「もとよりよい形に立て直すこと」。今週の熊本の記事はすべて復旧の段階です。混同すると減点されます。

激甚災害:被害が著しく大きい災害について国が行う指定。復旧事業費に対する国庫負担割合が引き上げられ、市町村の財政負担が軽くなります。

予備費:使途を特定せずに計上しておく予算。内閣の責任で支出し、事後に国会の承諾を得ます。財政民主主義の例外という位置づけです。

応援協定/受援計画:災害時にどの自治体がどこを支援するか、また支援をどう受け入れるかを平常時に定めておく取り決め。「決めること」の前倒しにあたります。

情報保障:情報を「受け取れる形」ですべての人にとどけること。手話通訳、字幕、要約筆記、点字、音声読み上げなど。

合理的配慮:障害のある人が他の人と同じように参加できるよう、過重な負担にならない範囲で環境を調整すること。障害者差別解消法で義務づけられています。

逆進性:所得にかかわらず同率で課税されるため、収入に占める負担の割合が低所得層ほど重くなる性質。対概念は累進課税

軽減税率:生活必需品などの消費税率を他より低くするしくみ。日本では2019年10月に導入され、酒類・外食を除く飲食料品と定期購読の新聞が8%です。

酷暑日:最高気温40度以上の日。気象庁が2026年から使用開始。夏日25/真夏日30/猛暑日35/酷暑日40、熱帯夜は最低気温25度以上。

うねり/高潮:うねりは台風の風で生じた波長の長い波が遠方へ伝わる波の現象。高潮は気圧低下と吹き寄せにより海面そのものが上昇する現象。区別必須。

フライバイ/レーザー測距:フライバイは天体のそばを停止せずに通過して観測すること。レーザー測距は反射光の往復時間から距離を算出する方法(距離=光速×往復時間÷2)。

放射点/極大:放射点は流星が飛び出してくるように見える天球上の一点。極大は活動が最も活発になる時刻。流星は空全体に現れるため、広く見わたします。

準天頂衛星(みちびき):日本のほぼ真上に長時間とどまる軌道を用いる測位衛星。山地やビル街でも電波が届きやすくなります。

新種記載:既知のどの種とも異なることを確認し、学名を与えて論文として発表すること。文献調査・形態比較・DNA解析・査読を要します。

透明性義務/リスクベース・アプローチ:AI生成物にその旨の表示を求める義務と、リスクの大きさに応じて規制の強さを変える設計思想。EUのAI法の中心概念です。

清須会議:1582年、織田信長の死後に後継者と領地配分を決めるため尾張で開かれた合議。羽柴秀吉・柴田勝家・丹羽長秀・池田恒興が参加し、三法師が後継者に決定しました。

👨‍👩‍👧 保護者のひとこと
💬 今週の問いかけ

災害報道に「無力感」を抱いたお子さまに、何を伝えればよいでしょうか?

今週号の芯は、8月5日の甲子園で有明高校に送られた拍手です。編集部はこの場面を、今週最大の希望として紙面の中心に置きました。被災地から離れた地域のお子さまにとっても、この場面には重要な意味があるためです。

災害報道が続くと、被災地から離れて暮らすお子さまが「自分は何もできない」「楽しく過ごしていて申し訳ない」という気持ちを抱くことがあります。これは共感性の高さの表れであり、否定すべきものではありません。ただ、その気持ちが行き場を失うと、無力感や罪悪感として残ってしまいます。

そこでお伝えしたいのが、「気持ちを、具体的な行動に変換する」という関わり方です。紙面では、できることを4層に整理しました。①直接的支援(募金・物資)②間接的支援(節水・被災地の産品を買う)③関心の維持(報道を追う・語り継ぐ)④自らの備え(家庭の防災を進める)。規模ではなく、「自分の気持ちには出口がある」と体験することが重要です。

もう一つ、はっきり伝えていただきたいことがあります。「元気に過ごすことは、悪いことではない」。これは紙面にも明記しました。今を健やかに過ごした子が、いつか誰かを助ける側に立ちます。それが最良の備えです。

高学年版でとくに力を入れたのが「なぜ」の徹底です。なぜ電力は早く、上水道は遅いのか。なぜ6日で仮設住宅を着工できたのか。なぜ1000km先の台風で高波が来るのか。分からないものは不安を生みますが、分かるものには納得できます。とくに「速さの差は、努力の差ではなく工程数の差」という一点は、紙面のあちこちで繰り返しました。復旧に時間を要している地域の方が、自分を責めたり誰かを責めたりせずにすむようにするためです。

言葉づかいについても方針を定めました。今週の紙面では「がんばれ」という語を、被災地に向けて一度も使っていません。すでに限界まで努力している方に対して「まだ足りない」という含意を持ちうるためです。代わりに用いたのは「日本中が一緒にいる」という事実の提示でした。選手宣誓の「困難は前を向く原動力」という言葉を紙面で丁寧に扱ったのも、これが内発的な力を指す表現であり、外から急がせないためです。

被災地にお住まいのご家庭には、別の観点からお伝えします。今週の紙面では、被害の数字や描写を一切扱っていません。扱ったのは、電力の復旧、店舗の再開、仮設住宅の着工、新幹線の再開、断水解消に向けた全国からの応援——回復の事実だけです。お子さまと一緒に読んでいただいても、不安を強める内容にはならないよう構成しています。

💭 受験生の保護者の方へ ── 今週の使い方

時事対策としては、①消費税の引き下げ方針(逆進性・軽減税率・1989年)②情報保障と合理的配慮③激甚災害と予備費の3点が最優先です。いずれも「制度がなぜそう設計されているか」を問う出題になりやすく、暗記だけでは対応できません。
入試予想問題の発展問題(6つの出来事を1つの原理で束ねる)は、思考力型入試の練習として設計しています。お子さまが選んだ3つの分野が離れているほど良い答案です。答え合わせの際は、正誤よりも「なぜその3つを選んだか」を聞いてみてください。選択の理由を言語化できることが、そのまま記述力になります。

📌 読み終わったら ── 次の3ステップ

  1. 解く:入試予想問題の記述6問+発展1問と、一問一答15問に取り組みましょう。指定語がある問題は、必ずすべて使ってから解答例と比べます。
  2. 束ねる:今週の共通原理「見えないものを、見えるようにする」で、分野の異なるニュースを3つ結びつけて180字で説明してみましょう。思考力型入試で直接使える力です。第2原理「準備が速さを決める」でも同じ練習ができます。
  3. 決める:家族で「災害時にどこで会うか」「連絡手段は何か」を決めて紙に書く。これは記述チャレンジの問4で扱った「決めること」の前倒しそのものです。あわせて8月12日夜〜13日未明の流星群を予定に入れ、そこから逆算してお盆前に日数の要る課題を終える計画を立てます。

🔬 この夏の「探究テーマ」にしよう ── ニュース×自由研究

今週のニュースと歴史コーナーは、探究テーマの宝庫です。「①問い→②方法→③データ→④考察」の流れは、記述問題の構成そのもの。条件をそろえた比較を設計できれば、それだけで質が一段上がります。方法と条件を明記するのは、読んだ人が同じ手順で確かめられるようにするためです。

🌠 流星の出現数を時間帯別に数える
問い:出現数は時間帯でどう変わるか。方法:8月12日夜〜13日未明、同じ場所・同じ観察者・同じ視野・同じ姿勢で30分ごとに計数。考察:放射点の高度との関係。条件統一の明記が要点。
🌡️ 気温と暑さ指数のずれを分解する
問い:同じ気温でも体感が違うのはなぜか。方法:毎日同時刻の気温・湿度・体感(5段階)を記録し、暑さ指数と並べて2軸グラフに。さらに日なた/日かげ/アスファルト/芝生で同時測定。考察:湿度で説明できる部分と放射熱で説明できる部分を分ける
🏷️ 台風の名称140個を提案国別に分類
問い:命名の発想は国でどう違うか。方法:140個を提案国別・由来別(星座・動物・植物・地名)に分類して表化。考察:自然観や文化との関係。甚大な被害をもたらした台風の名称が引退する運用まで調べると制度設計に踏みこめる。
🚰 ライフラインの復旧順序を調べる
問い:なぜ復旧の速さに差が出るのか。方法:電力・ガス・上水道・通信・鉄道について、設備が地上か地下か/工程がいくつか/安全確認が必要かを表に整理。考察:速さの差を「しくみ」で説明する。過去の災害の記録とも比較できる。
🤟 まちの「情報保障」を探す
問い:身のまわりで、情報を受け取れる形にする工夫はどれだけあるか。方法:駅・学校・商業施設を歩き、字幕・電光掲示板・点字・音声案内・ピクトグラムを写真と地図で記録。考察:どの感覚を補っているかで分類し、不足している場所を提案する。
🏮 お盆の習慣の地域差を聞き取る
問い:お盆の習慣は地域でどう違うか。方法:祖父母や近所の方に迎え火・供え物・盆おどりを聞き取り、地図上に整理。考察:1873年の改暦と「月おくれ盆」との関係。一次情報を自分で集める研究。
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🛡️ 今週の関連ページ ── 防災・用語・特集

台風と地震への備え、今週の重要用語、甲子園とアジア大会の特集をまとめています。ハナちゃん(オオルリ)と学べるしごと図鑑もあわせてどうぞ。

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❓ よくある質問(この号について)

Q. 小学生しんぶん5・6年生版は無料で読めますか?
A. はい、無料です。スクールコンパス編集部が毎週金曜日に発行し、中学受験の時事問題を意識して、しくみと数字から解説しています。入試予想問題(記述と一問一答)も毎号収録しています。画面の『ふりがな』ボタンで表示・非表示を切り替えられます。
Q. 2026年8月7日号の主なニュースは何ですか?
A. 8月5日に第108回全国高等学校野球選手権大会が阪神甲子園球場で開幕し、熊本県代表の有明高校の入場行進に大きな拍手がおくられ、全校で黙とうがささげられました。選手宣誓は八王子実践の矢沢陵磨主将、開会式の司会進行には初めて手話が導入されました。熊本県では電気がほぼ復旧し、断水は8月末までの解消をめざしています。8月3日には宇城市50戸・氷川町20戸の応急仮設住宅が着工し、九州新幹線の新水俣〜鹿児島中央は8月7日に運転を再開します。政府は激甚災害に指定する方針を示し、予備費から200億円を超える額をあてるとしています。8月6日は広島原爆の日で被爆81年にあたり、平和記念式典には過去最多の123か国・地域とEUが参列しました。台風13号ドルフィンが沖縄に接近し、8月3日には熊本市で40.3度を観測して観測開始から136年で初めて40度を超えました。はやぶさ2は小惑星トリフネの表面から400メートルを通過し、フライバイ中のレーザー測距に世界で初めて成功しました。8月5日の臨時閣議では食料品の消費税を1パーセントとする基本方針が決定されています。
Q. なぜ電気は早く復旧したのに、上水道は時間がかかるのですか?
A. 電線は地上にあり断線箇所を目視で特定できるため、特定と接続という二つの工程で復旧できます。これに対し水道管は地下に埋設されており破損箇所が見えないため、探索、掘削、交換、水質確認という四つの工程を要します。さらに上水道の水は飲用であるため、安全確認を省略することができません。速度の差は努力の差ではなく、工程数の差によるものです。
Q. 「激甚災害に指定する」とは、どういう意味ですか?
A. 被害が著しく大きい災害について国が行う指定です。指定されると、道路、河川、水道、学校などの復旧事業費に対する国の負担割合が引き上げられ、市町村の財政負担が軽くなります。自主財源の乏しい小規模自治体ほど効果が大きく、財源不足で必要な復旧を断念する事態を防ぐことができます。今回、政府は予備費から200億円を超える額をあてる方針も示しました。予備費は使途を特定せずに計上しておく予算で、内閣の責任で支出し、事後に国会の承諾を得ます。
Q. 食料品の消費税を1パーセントにすると、なぜ収入の少ない世帯ほど効果が大きいのですか?
A. 消費税は所得の多少にかかわらず同じ税率がかかるため、収入に占める負担の割合は低所得層ほど重くなります。この性質を逆進性といいます。食料品は必需品であり、収入が少ない世帯ほど支出に占める割合が高くなる傾向があるため、食料品の税率を下げると低所得層ほど相対的な負担軽減が大きくなり、逆進性の緩和につながります。なお消費税は1989年に3パーセントで導入され、以来引き下げの方針が示されるのは今回が初めてです。2027年4月から2年間の時限的な措置とされています。
Q. 甲子園の開会式に手話が導入されたことには、どのような意味がありますか?
A. 従来は開会式の情報が音声のみで伝えられていたため、聴覚に障害のある人は同じ場にいながら内容を受け取れませんでした。手話を加えることで、全員が同じ情報を得られる状態になります。これを情報保障といいます。親切としての配慮ではなく、参加を成り立たせる前提条件をそろえる措置と位置づけられます。関連する法律用語として、障害のある人が他の人と同じように参加できるよう過重な負担にならない範囲で環境を調整する合理的配慮があり、障害者差別解消法で義務づけられています。
Q. うねりと高潮は何がちがうのですか?
A. うねりは、台風の強風によって生じた波のうち波長の長い成分が、減衰しにくく台風本体より速く遠方へ伝わる現象で、波そのものの現象です。そのため台風が1000キロメートル以上離れていても、晴天で風のない海岸に突然大きな波が到達することがあります。これに対し高潮は、中心気圧の低下による海面の吸い上げと、強風による海水の吹き寄せによって、海面そのものが上昇する現象です。うねりは波、高潮は海面の高さと区別して覚えます。
Q. 「酷暑日」とは何ですか?
A. 最高気温が40度以上になった日のことで、気象庁が2026年から正式に使い始めた予報用語です。25度以上が夏日、30度以上が真夏日、35度以上が猛暑日、40度以上が酷暑日という段階になっています。夜間の最低気温が25度以上の場合は熱帯夜といいます。40度以上の日が各地で観測されるようになり、35度以上をすべて猛暑日と呼ぶと危険度の差が伝わらなくなったことが新設の背景です。2026年8月3日には熊本市で40.3度を観測し、観測開始から136年で初めて40度を超えました。
Q. EUのAI法は、なぜ禁止ではなく表示を求めるのですか?
A. AIには翻訳、医療、防災など有用な用途が多く、一律に禁止すればその利益も同時に失われるためです。そこでEUはリスクの大きさに応じて規制の強さを変えるリスクベース・アプローチを採用し、8月2日から適用が始まった透明性義務では、AIが生成した内容にその旨の表示を義務づけました。利用自体は認めたうえで、判断材料を受け手に渡すという設計です。米国のカリフォルニア州でも同日に同様の規定が施行されました。
Q. 清須会議とは何ですか。中学受験ではどこが問われますか?
A. 1582年、本能寺の変で織田信長が亡くなった後、織田家の後継者と領地の配分を決めるため、尾張の清須城で開かれた合議です。羽柴秀吉、柴田勝家、丹羽長秀、池田恒興の4人が参加しました。秀吉は信長の嫡孫である三法師を、柴田勝家は信長の三男である織田信孝を推し、結果は三法師に決まりました。入試では、本能寺の変が1582年であること、中国大返しの中国が日本の中国地方を指すこと、山崎の戦いと天王山、太閤検地と刀狩による兵農分離が頻出です。序列では上位でなかった秀吉の主張が通った背景として、山崎の戦いで主君の仇を報じた実績が挙げられます。
Q. 被災地から離れた地域の子どもには、どう伝えればよいですか?
A. 「自分は何もできない」という無力感を持つお子さまには、気持ちを具体的な行動に変える関わり方をおすすめします。直接的支援(募金・物資)、間接的支援(節水・被災地の産品を買う)、関心の維持(報道を追う・語り継ぐ)、自らの備え(家庭の防災を進める)という4層で整理すると考えやすくなります。また、元気に過ごすことは悪いことではない、とはっきり伝えてください。今週号では、甲子園で有明高校に送られた拍手を例に、費用も道具も要らないのに伝わる範囲が広いものがある、という形で説明しています。

🐦 ハナちゃんから、熊本のみなさんへ

この新聞を、熊本県で読んでくれている人がいると思います。いつもとちがう場所で過ごしている人もいるかもしれません。

今週、甲子園で有明高校がグラウンドに入ってきたとき、球場じゅうから大きな拍手が起こりました。あの拍手は、熊本のみなさんに向けられたものだったと、私たちは思っています。

電気が戻りました。店が開きました。新しい住まいの工事が始まりました。今日は新幹線がまた走ります。断水も、8月末に向けて全国から入った技術者が、いまこの時間も作業を続けています。1つずつ、確かに戻ってきています。

つかれた日があってもかまいません。眠れない日があってもかまいません。むりに元気でいなくていいのです。近くの大人に「今日はしんどい」と言っていいのです。

私たちスクールコンパス編集部は、毎週この新聞をつくって待っています。来週も、またここで会いましょう。

📰 ニュースを読んだら、自分でも新聞を書いてみよう

今週のニュースから1つ選び、見出しとリード、本文を書けば、自分だけの新聞になります。高学年なら、「事実→原因→つながり」を1本の筋で通すことを目標にしましょう。見出しに主語と述語を入れるだけで、ぐっと読みやすくなります。夏休みの自由研究にもそのまま使えます。

📰 新聞の書き方・作り方ガイド 🔎 ネタの見つけ方
📕 1・2年生版を読む 📗 3・4年生版を読む ⚾ 甲子園2026特集 🔥 アジア大会2026特集 📝 中学受験 時事問題まとめ 🛟 こども防災ガイド 💼 しごと図鑑

🗂️ バックナンバー

📰 7月31日号(熊本地震と支援体制・飛鳥藤原が世界文化遺産・甲子園49代表) 📰 7月24日号(W杯スペイン優勝・バレー12戦全勝・今年初の酷暑日) 📰 7月17日号(W杯決勝カード決定・大谷オールスター欠場・中国大返し) もっと前の号を見る →