🗣️ なぜ その国は その言葉? ── 世界のことばのなぞ

ワールドカップ2026に出る48か国は、どんな言葉を話しているのかな? じつは、世界の言葉にはかならず「そうなったわけ」があるよ。なぜブラジルだけポルトガル語? なぜアフリカにフランス語や英語の国が多いの? 言葉のなぞをとくと、社会科の地理と歴史がいっぺんに見えてくる!

公開:2026年7月1日/最終更新:2026-07-01 ・ 発行:スクールコンパス編集部

🤔 まずはこのなぞ 南アメリカの地図を見ると、ブラジルだけがポルトガル語で、まわりのアルゼンチンやコロンビアはスペイン語。となりどうしの国なのに、なぜ言葉がちがうの? 答えはこのページの中にあるよ。

🌍 国の言葉が決まる「4つの大きな理由」

世界には7000をこえる言葉があるといわれるよ。でも「その国でどの言葉が使われるか」は、だいたいつぎの4つの理由で決まっているんだ。

1その土地で生まれた

大昔からその場所で育ち、ずっと使われてきた固有(こゆう)のことば。人といっしょに何千年も受けつがれてきたよ。

例:日本の日本語・イランのペルシャ語
2大きな国の言葉が広まった

昔、強い国が遠くの土地を植民地(しょくみんち)にして、自分たちの言葉を持ちこんだ。だから海のむこうに同じ言葉の国ができた。

例:南米のスペイン語・アフリカのフランス語
3貿易や人の行き来で伝わった

商売や旅、宗教の広がりで、言葉が遠くまで伝わり・混ざりあった。ちがう言葉が出会って新しい言葉になることも。

例:西アジア〜北アフリカのアラビア語
4みんなをつなぐ「共通語」に選ばれた

1つの国にたくさんの民族と言葉があるとき、だれもが通じ合える言葉(公用語)を決める。むかしの支配国の言葉が選ばれることも多い。

例:アフリカの多くの国の英語・フランス語

💡 へー!となる 世界のことばのひみつ

W杯に出る国の中から、思わず「勉強になった!」と言いたくなる話をあつめたよ。

🇧🇷ブラジルだけ、なぜポルトガル語?

いまから約530年前(1494年のトルデシリャス条約)、スペインとポルトガルは地球に1本の線を引いて「線の東はポルトガル、西はスペインのもの」と決めたんだ。南アメリカで線の東がわに入ったのがブラジルの部分だけ。だからブラジルはポルトガル語、まわりの国はスペイン語になったんだよ。地図に線を引いただけで、500年後の言葉まで決まったなんてすごいね。

🗺️ 地球に引いた「1本の線」と南アメリカ

1494年に引いた線 西がわ = スペイン アルゼンチン・チリ・ペルー・ コロンビアなどは スペイン語 🇧🇷 東がわ = ブラジル 線の東に入ったこの部分が、 ポルトガル語の国になった
※ この線は1494年のもの。ブラジルはそのあと西へ大きく広がって、いまは南アメリカでいちばん大きな国になったよ。それでもことばはポルトガル語のまま、まわりの国はスペイン語のままなんだ。(地図はわかりやすく形をシンプルにしています)

🇿🇦南アフリカは公用語が「12」もある!

南アフリカには公用語が12(ズールー語・コサ語・英語・アフリカーンス語など)。たくさんの民族がくらす国だから、みんなの言葉を大切にしているんだ。お札にはいろんな言葉が書いてあって、2023年には手話も公用語に加わったよ。世界でもトップクラスの多さ!

🇵🇾パラグアイは「先住民の言葉」が公用語

南米の多くはスペイン語だけど、パラグアイはスペイン語+グアラニー語の2つが公用語。グアラニー語は昔からこの土地に住む先住民の言葉で、いまも国民のほとんどが話している。植民地になっても消えずに残った、めずらしくてすてきな例だよ。

🇮🇷イランはアラビア語じゃない!

「中東の国=アラビア語」と思いがちだけど、イランの言葉はペルシャ語(ファルシ)。アラビア語とは別のなかまの言葉で、大昔のペルシャからずっとつづいているんだ。文字は少し似ているけれど、話す言葉は日本語と韓国語くらいちがうんだよ。

🇨🇭スイスは公用語が「4つ」

スイスはドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4つが公用語。これらの言葉の地域が、ちょうどスイスで出会うからなんだ。だから切手やお金には、どれか1つの言葉ではえこひいきになるので、大昔のラテン語で「ヘルウェティア」と書いて、国の記号は「CH」になっているよ。

🇰🇷韓国のハングルは「作られた文字」

世界の文字の多くは長い年月で自然にできたけれど、韓国のハングルは約580年前、王様(世宗=セジョン)が「だれでも読み書きできるように」と新しく考えて作った文字。いつ・だれが作ったかがはっきりわかる、めずらしい文字なんだ。

🇲🇽メキシコの言葉が、世界のことばに

メキシコはスペイン語だけど、昔から住む先住民(アステカ)の言葉もたくさん残っている。じつは「チョコレート」「トマト」「アボカド」は、もとをたどるとアステカの言葉(ナワトル語)。世界じゅうで毎日使われているんだよ。

🇨🇮国の名前がフランス語のまま

コートジボワールは、フランス語で「象牙(ぞうげ)の海岸」という意味。昔フランスとつながった歴史が、国の名前そのものに残っているんだ。国の名前を見るだけで、その国の歴史のヒントが見つかることもあるよ。

✍️ 文字(もじ)もこんなにちがう!

同じ「こんにちは」でも、国によって使う文字がまるでちがうよ。見た目をくらべてみよう。

日本語
ひらがな・カタカナ・漢字
韓国語
ハングル(約580年前に発明)
ا
アラビア語
右から左へ書く
A
英・仏・西 など
ローマ字(アルファベット)
Ñ
スペイン語
Ñ など、その国だけの文字も

同じ「ローマ字」でも、フランス語の「é」、スペイン語の「ñ」、ドイツ語の「ß」のように、国ごとにとくべつな文字(きごう)が足されているよ。文字を見るだけで「どの国の言葉か」あてられることもあるんだ。

🔎 同じ言葉の国を光らせてみよう(ボタンをタップ)

🌍 ヨーロッパ(15か国)

🇪🇸スペインスペイン語②昔、中南米を植民地にしたため、いまは世界で約5億人が話す。 🇫🇷フランスフランス語②アフリカやカナダにも広まった。国連の公用語のひとつ。 🇩🇪ドイツドイツ語①オーストリアやスイスの一部でも話される、ヨーロッパの大きな言葉。 🇳🇱オランダオランダ語②南アフリカの「アフリカーンス語」のもとになった言葉。 🇧🇪ベルギーオランダ語・フランス語・ドイツ語④1つの国の中で、言葉の境目が南北に分かれている。 🇵🇹ポルトガルポルトガル語②ブラジルの言葉の「おおもと」の国。海をこえて広まった。 🇨🇭スイスドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語④4つの言葉の地域が出会う場所。だから公用語も4つ。 🇦🇹オーストリアドイツ語①となりのドイツと同じことば。音楽の都ウィーンの国。 🇭🇷クロアチアクロアチア語①バルカン半島のことば。となりの国とよく似ている。 🇸🇪スウェーデンスウェーデン語①北ヨーロッパのことば。ノルウェー語とよく似ている。 🇳🇴ノルウェーノルウェー語①北欧のことば。となり国どうしで言葉が通じ合うことも。 🇨🇿チェコチェコ語①中央ヨーロッパのことば。すぐとなりのスロバキア語とそっくり。 🇧🇦ボスニア・ヘルツェゴビナボスニア語 など①となりのクロアチア語・セルビア語とほとんど同じ言葉。 🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿イングランド英語②③ここで生まれた英語が、世界の「共通語」に広がった。 🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿スコットランド英語(+ゲール語)①②イギリスをつくる地域のひとつ。古いゲール語も残る。

🌍 アフリカ(10か国)

🇲🇦モロッコアラビア語+ベルベル語(フランス語も)③②アラブの広がり+昔フランスとつながった歴史。 🇹🇳チュニジアアラビア語(+フランス語)③②北アフリカのアラブの国。フランス語も広く使われる。 🇪🇬エジプトアラビア語③昔は象形文字(ヒエログリフ)、今はアラビア語。ピラミッドの国。 🇩🇿アルジェリアアラビア語+ベルベル語(フランス語も)③②サハラ砂漠の広がる大きな国。フランス語も残る。 🇸🇳セネガル公用語フランス語(ふだんはウォロフ語)②④昔フランスの植民地。学校や役所はフランス語、生活はウォロフ語。 🇬🇭ガーナ公用語 英語(+多くの現地語)②④昔イギリスの植民地。たくさんの民族の共通語に英語を使う。 🇨🇮コートジボワール公用語フランス語②国の名前自体がフランス語で「象牙の海岸」という意味。 🇿🇦南アフリカ公用語が12(ズールー語・英語ほか)①④多くの民族がくらすため、公用語が世界トップクラスの多さ。 🇨🇻カーボベルデポルトガル語+クレオール語②③昔ポルトガルの島。ことばが混ざったクレオール語も生まれた。 🇨🇩コンゴ民主共和国公用語フランス語+リンガラ語 など②④昔ベルギーの植民地。広い国をまとめる共通語にフランス語。

🧩 同じ言葉のなかま分け ── 地図に「かたまり」ができるわけ

言葉ごとに国をならべると、おもしろいことに気づくよ。少しのヨーロッパの言葉が、植民地の歴史で世界じゅうに広がって、大きな「かたまり」を作っているんだ。

🌍 世界のことばの「かたまり」地図

ヨーロッパ(言葉のふるさと)
スペイン語()は中南米に、英語()は北アメリカ・オセアニアに、フランス語(むらさき)とアラビア語()はアフリカに大きく広がっているよ。ヨーロッパの小さな国の言葉が、船に乗って世界じゅうに「かたまり」を作ったんだ。(地図はわかりやすく形をシンプルにしています)
スペイン語アルゼンチン・ウルグアイ・コロンビア・エクアドル・パラグアイ・メキシコ・パナマ…(+アメリカにも多い)→ 昔スペインが進出した国が多い。
フランス語フランス・ベルギー・カナダ(一部)・スイス(一部)・セネガル・コートジボワール・コンゴ民主・ハイチ・モロッコ/アルジェリア/チュニジア(広く)→ 元フランス領が世界じゅうに。
英語イングランド・スコットランド・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・ガーナ・南アフリカ→ 元イギリス領&世界の共通語。
ポルトガル語ポルトガル・ブラジル・カーボベルデ→ 海の道でつながった小さな仲間。
アラビア語サウジアラビア・イラク・カタール・ヨルダン・エジプト・モロッコ・アルジェリア・チュニジア→ 西アジア〜北アフリカの帯(おび)。
ドイツ語ドイツ・オーストリア・スイス(一部)・ベルギー(一部)→ 中央ヨーロッパのかたまり。

☝️ 上の「同じ言葉の国を光らせてみよう」ボタンで、この「かたまり」を地図の一覧で見てみよう。

🔬 「世界のことば」を、夏の自由研究にしよう

言葉のなぞ調べは、地図(地理)と歴史が合体した、とても深い自由研究になるよ。むずかしそうに見えて、じつは「色をぬる」「くらべる」だけでかたちになる。下の3つから、気になるテーマをえらんでみよう。

テーマ① ことばで世界地図を「色ぬり」しよう

白地図に、W杯の国を話す言葉で色分けしてぬる(スペイン語=赤、英語=青、フランス語=緑…)。ぬり終わったら「なぜここは、みんな同じ言葉なの?」を調べて書きそえよう。色のかたまりが、そのまま歴史の地図になるよ。

テーマ② ひとつの言葉の「たび」を追いかけよう

スペイン語かフランス語を1つえらんで、「どの国で話される?」「いつ・なぜ広がった?」を、地図と年表にまとめる。ヨーロッパの小さな国の言葉が、海をこえて広がっていくようすが見えてくる。

テーマ③ 日本語って、めずらしい?

1つの国でほぼ1つの言葉の国(日本・韓国など)と、公用語がたくさんある国(南アフリカ・スイス・ベルギーなど)を数えてくらべる。「なぜちがうの?」を考えると、国のなりたちが見えてくるよ。

🔬 夏の自由研究テーマ685 📰 新聞にまとめる(書き方) 🗺️ 全48か国を地図で見る 🚩 国旗で48か国クイズ

🧠 腕だめしクイズ(タップで答え)

南アメリカで、ブラジルだけがちがう言葉を話すよ。何語?
答え:ポルトガル語。約530年前の線引き(トルデシリャス条約)で、ここだけポルトガルのものになったから。
アフリカに英語やフランス語を話す国が多いのは、なぜ?
答え:昔ヨーロッパの国の植民地だったから。さらに、多くの民族をまとめる「共通語」としても使われているよ。
「中東の国=アラビア語」だと思いがち。でも、イランは何語?
答え:ペルシャ語(ファルシ)。アラビア語とは別のなかまの、独自のことばだよ。
公用語が12もある、W杯出場国はどこ?
答え:南アフリカ。たくさんの民族がくらす国で、2023年には手話も公用語になったよ。
「チョコレート」「トマト」は、もともとどこの言葉?
答え:メキシコの先住民(アステカ)のことば「ナワトル語」。世界じゅうに広まったんだ。

❓ よくある質問

Q. なぜブラジルだけポルトガル語なの?

A. 1494年のトルデシリャス条約で、地図に引いた線の東側がポルトガル、西側がスペインの土地になりました。ブラジルの部分だけ線の東側だったため、ポルトガル語が根づき、まわりはスペイン語になりました。

Q. なぜアフリカにフランス語や英語の国が多いの?

A. 昔フランスやイギリスが植民地にした歴史があり、さらに1つの国にたくさんの言葉があるため、みんなが通じ合える「共通語(公用語)」として使い続けているからです。

Q. 国の言葉は、どうやって決まるの?

A. ①その土地で生まれた、②大きな国の言葉が植民地とともに広まった、③貿易や人の行き来で伝わった、④たくさんの民族をまとめる共通語に選ばれた、の4つが大きな理由です。

Q. イランの言葉はアラビア語?

A. いいえ、ペルシャ語(ファルシ)です。中東=アラビア語と思われがちですが、イランは別のなかまの言葉を話しています。

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