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週刊 AI・ITニュース 2026年 第38号(9月14日〜20日)
先週の第37号では、AIが作ったものに印をつける決まりを取り上げました。今週は、その続きにあたる大きなニュースです。ヨーロッパは、子どもがSNSやAIのサービスを使う年齢と、「安全です」と示す責任を誰が負うかを、法律で決めようとしています。
なにが あったのか
2026年9月16日、ヨーロッパ連合(EU)の欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、欧州議会で1年の方針を話す一般教書演説を行いました。その中で、子どもをインターネットの害から守る「子ども法案(Kids Act)」を提案すると表明しました。
柱は、年齢に合わせた3つの段階です。
❶ 13歳未満は、SNSを使わない。
❷ 13歳と14歳は、保護者が見守る「ミニアカウント」だけ。使える機能と時間が限られます。報道によると、1日1時間までとされています。
❸ 15歳から18歳未満は、会社に「安全な設計」を義務づける。
SNSだけでなく、オンラインゲームやAIと会話するサービス(チャットボット)も対象になる見通しです。委員長は「少女の写真がAIで性的な画像に使われることを受け入れる必要はない」とも述べました。
なぜ ニュースなのか
いちばん新しいのは、「安全だと証明する責任」を会社の側に置いたことです。
これまでは、「子どもに害がある」と示すのは、利用者や国の側でした。害がはっきりするまでは、サービスはそのまま使われ続けます。提案では逆に、会社が「未成年にとって安全だ」と示せなければいけないとしています。
もう1つは、子どもの意志の強さに頼らないことです。動画が次々に始まる、画面がいつまでも続く、といった「やめにくくするつくり」そのものを問題にしています。委員長は「中毒性のある仕組みを受け入れる必要はない」と話しました。
世界に どうひびくか
この提案は、まだ決まったわけではありません。これからEUの加盟国(EU理事会)と欧州議会が話し合って決めます。
ほかの国でも同じ動きがあります。オーストラリアは2025年12月に16歳未満のSNS利用を禁止し、EUはその例も参考にしたとしています。
先週の第37号で見たように、ヨーロッパの決まりは、世界で同じサービスを出す会社の作り方を変えることがあります。日本で使っているアプリの設計が、ヨーロッパの決まりに合わせて変わる可能性もあります。
うちの子に どうかかわるか
日本の家庭にこの決まりがそのまま当てはまるわけではありません。年齢の区切り方は、国や家庭によって考え方がちがいます。
そのうえで、この提案から持ち帰れる考え方が1つあります。「やめなさい」と言うより、「やめる場面」を先に用意することです。アプリには本の最後のページのような区切りがありません。だから、見る前に本数や時間を決めておく、タイマーを使う、といった区切りを家で足すことが効きます。
親子で話す問い
SNSを使える年齢を決めることと、会社に安全なつくりを求めること。
子どもを守るには、どちらがより大事だと思う? 両方が必要だとしたら、それはなぜ?
出典:欧州委員会「2026 State of the Union Address by President von der Leyen」(2026年9月16日)https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/speech_26_1868。1日1時間の上限とオーストラリアの例はCNN・RTÉの報道(2026年9月16日)による。法案の詳細は演説の翌日に公表される予定とされた(2026年9月17日 確認)。
なにが あったのか
子ども法案の背景には、EUが先に作ってきたAI法があります。欧州委員会によると、AI法は2026年8月2日に本格的に適用されました。
AI法は、AIを危なさの大きさで4段階に分けます。人の安全や権利をおびやかすものは禁止、学校の成績評価や採用などに使う「高リスク」のAIは厳しい義務、チャットボットなどは「AIです」と示す義務、ほとんどのAIは規制なし、という考え方です。
ただし2026年7月27日に発効した見直しで、教育などに使う高リスクAIの義務は2027年12月2日に延期されました。一方で、同意のない性的な画像を作るAIの禁止が新しく加わり、2026年12月から適用されます。
なぜ ニュースなのか
EUは、世界で最初に包括的なAIの法律を作った地域です。その一方で、「規制が厳しすぎるとヨーロッパの会社が育たない」という声もありました。守ることと育てることのバランスをどう取るかが、延期の背景にあります。
世界に どうひびくか
日本は、AIの研究開発と活用を進める法律を2025年に作り、規制よりも活用を進める方向をとっています。EUの「先に決まりを作る」やり方と、日本の「まず進めて、問題があれば直す」やり方は、同じAIに対するちがう答え方です。
うちの子に どうかかわるか
子どもがよく使う学習アプリや翻訳アプリにも、AIが入っています。「このアプリのどこにAIが使われているか」を親子で1つ探してみると、AIの決まりがぐっと身近になります。
親子で話す問い
学校のテストの点数をAIがつけることになったら、どんな決まりがあると安心できる?
出典:欧州委員会「AI Act」(2026年8月3日更新)https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/regulatory-framework-ai(2026年9月17日 確認)。
時事問題としては、次の形で問われる可能性があります。
❶ 語句 「2026年9月、13歳未満のSNS利用禁止を柱とする法案の提案を表明したのはどこか」→ ヨーロッパ連合(EU)の欧州委員会。「EU」「欧州議会」の区別も社会で問われます。
❷ 理由を書く問題 「安全であることを会社の側に証明させる考え方には、どんなよい点があるか。30字以内で書きなさい」→「害がはっきりする前に、子どもを危険から守れる点」のように書きます。
❸ 比べる問題 「年齢で利用を制限する方法と、会社に安全な設計を求める方法を比べ、それぞれの弱点を書きなさい」→年齢制限は年齢をいつわる抜け道がある、設計の義務は新しいサービスが生まれにくくなるおそれがある、など両方を書けると得点になります。
日付は2026年9月16日(一般教書演説)。先週の2026年8月2日(AI法の本格適用)とセットで覚えましょう。
動画やゲームを始める前に、「今日は何本(何分)」を紙に書いてみてください。
終わったら、書いた数と実際の数を比べます。次の日は書かずに同じように数えて、2日分を比べてみましょう。大事なのは守れたかどうかではなく、「区切りを先に決めると、やめやすくなるか」を自分で確かめることです。
週刊小学生しんぶん9月18日号の「デジタルのなぜ④ 動画は、なぜ次々と始まるの?」で、しくみを学年別に解説しています。スマホを持たせる時期を考えている方は、はじめてのスマホのページも判断材料になります。
その週のニュースだけでは分からないことは、しくみのほうから読むと早いです。どれも、親が説明できるようになることを目標に書いています。