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週刊 AI・ITニュース 2026年 第44号(10月26日〜11月1日)

先週の第43号では、PHPの弱点で多くのサイトが一斉に止まった夜を伝えました。今週は、実際に情報がもれる事件が相次ぎ、国が初めて大臣を集めて対策を話し合いました。何が起きたのか、なぜ大きな会社でも防げないのか、そして家族を守るためにいちばん大事な「二次被害」の見分け方を、図でまとめます。
なにが あったのか
10月27日、ソニーネットワークコミュニケーションズは、インターネット接続サービスSo-netの会員データベースに不正アクセスがあり、情報が漏えいしたと発表しました。NTTドコモの「plala(Sコース)」分とあわせて約258万件と報じられています。So-netは対象のメールアドレス用パスワードを初期化し、再設定を呼びかけています。
同じころ、GMOインターネットグループのサービスにも不正アクセスがあり、攻撃者が身代金を求め、顧客の情報とされるものがインターネット上に公開されたと報じられました。警視庁が不正アクセス禁止法違反などの疑いで捜査しているとされます。ほかにも、外部に仕事を任せている会社(委託先)から入りこまれる例が相次いでいます。
なぜ ニュースなのか
情報漏洩とは、会社などがしまっておいた名前・メールアドレス・パスワードなどの情報が、外にもれてしまうことです。攻撃者は、プログラムの弱点、使い回されたパスワード、本物そっくりのメール(なりすまし)などから入りこみます。
最近目立つのが、データを人質にとるランサムウェアと、「お金を払わなければ情報を公開する」とおどす二重恐喝です。データを暗号化されるだけでなく、盗んだ情報をさらす、とおどすのです。
世界に どうひびくか
攻める側は1か所の穴を見つければよく、守る側は全部の入口を守らなければなりません。さらに、大きな会社ほど、メール配信や会員サイトの運営をほかの会社に任せているため、いちばん守りの弱い会社が入口になります。攻撃側もAIを使い始めており、攻めと守りのいたちごっこは速くなっています。
うちの子に どうかかわるか
So-netやplalaを使っている家庭は、案内に従ってパスワードを再設定してください。それ以外の家庭も、同じパスワードを使い回していないかを、この機会に確かめましょう。
親子で話す問い
大きな会社でも情報がもれてしまうのは、なぜだと思う?「守る側」と「攻める側」のちがいから考えてみよう。
出典:ソニーネットワークコミュニケーションズの発表(2026年10月27日)、NHK(10月27日)、テレビ朝日(10月26日)、SmartScope・各社公表資料のまとめ(10月28日)(2026年10月29日 確認)。
なにが あったのか
相次ぐ情報漏えいを受けて、政府は10月26日、高市首相が出席してサイバーセキュリティーに関する関係閣僚会議を初めて開きました。首相は「来週中をめどに、政府としての緊急対策パッケージを取りまとめる」と述べ、被害を受けた会社が警察や情報処理推進機構(IPA)などに相談しやすい体制づくりや、自治体・民間との連携強化を指示しました。
なぜ ニュースなのか
あわせて話題になったのが能動的サイバー防御です。攻撃を受けてから守るだけでなく、攻撃の兆しを平時からつかみ、必要なときは警察や自衛隊が攻撃元のサーバーに入って無害化する考え方で、日本でも2025年に関連する法律ができ、準備が進められています。首相は「あらゆる対処オプションを戦略的に選択し、実行する」と述べました。
世界に どうひびくか
能動的サイバー防御では、攻撃の兆しをつかむために通信の情報を分析します。そのため、日本国憲法第21条が保障する「通信の秘密」とどう両立させるかが、法律をつくるときの大きな論点になってきました。安全を守ることと、自由やプライバシーを守ることのバランスは、AIやネットの時代にくり返し問われるテーマです。
うちの子に どうかかわるか
国の対策がまとまるのは来週の予定です。家庭でできることは変わりません。「二段階認証を使う」「パスワードを使い回さない」「知らないリンクを押さない」の3つです。
親子で話す問い
みんなの安全のために国が通信を調べるとしたら、どんな「決まり」があれば安心できるかな?
出典:時事通信(2026年10月26日)、日本経済新聞(10月26日)、FNNプライムオンライン(10月26日)、Impress Watch(10月27日)(2026年10月29日 確認)。
なにが あったのか
情報がもれたあとに起きるのが二次被害です。もれた名前やメールアドレスを使って、本物そっくりの「おわび」「返金のご案内」「パスワード再設定のお願い」が届き、カード番号やパスワードを入力させようとします。今回の一連の漏えいでも、クレジットカードの不正利用などの二次被害が報じられています。
なぜ ニュースなのか
なぜ「おわびの連絡」があぶないのでしょうか。本当に漏えいがあった直後は、利用者が「本物の連絡かもしれない」と思いやすいからです。攻撃者は、ニュースになったタイミングをねらって、同じ会社を名乗る偽の連絡を送ってきます。
見分ける3つのチェック:①「今日中に」「アカウント停止」などあわてさせる言葉があったら注意。②メールやSMSのリンクは押さず、公式アプリやブックマークから自分で開く。③子どもは家の人に見せる。
世界に どうひびくか
漏えいを防ぐのは会社の仕事ですが、二次被害を防げるかどうかは、受け取った一人ひとりの行動にかかっています。社会全体の安全は、会社・国・利用者が分担して守るものなのです。
うちの子に どうかかわるか
今週、家族で「本物の連絡か、自分で確かめる方法」を1つ決めてください。たとえば「お知らせは、メールのリンクではなく公式アプリで見る」。子どもにも「ゲームのアイテムがもらえる」などのメッセージは押さずに見せる、と約束しておきましょう。
情報漏えいとセキュリティのしくみは、「情報漏洩とは?」のページに図でまとめました(お城の図・ずらし暗号・ワンタイムパスワードのしくみ)。
親子で話す問い
本物そっくりのメールが来たとき、きみが「あやしい」と気づけるのはどんなところ?
出典:NHK(2026年10月28日)、警察庁「フィッシング対策」、国家サイバー統括室などの注意喚起(2026年10月)(2026年10月29日 確認)。
時事問題としては、次の形で問われる可能性があります。
❶ 理由を書く問題 「大きな会社でも情報漏えいが起きる理由を、『守る側』『攻める側』の語を用いて書きなさい」→「攻める側は1か所の弱点を見つければよいが、守る側はすべての入口を守る必要があるから。」
❷ 公民の記述 「能動的サイバー防御と通信の秘密の両立のために必要な工夫を書きなさい」→「分析を攻撃に関係する情報に限り、独立した機関が事前に認めた場合だけ行う。」
❸ 用語 「もれた情報が悪用されてあとから起きる被害を何というか」→「二次被害」。
中学入試の時事の整理は2026年10月の時事問題まとめ(㉙ 情報漏えいと能動的サイバー防御、予想問題 問26)と、入試で時事はどう出るかにあります。
家族のアカウントで、パスワードの使い回しを1つだけ解消してください。そして「お知らせは公式アプリで確かめる」を、家族のルールにしましょう。
週刊小学生しんぶん10月30日号の「デジタルのなぜ⑩ ワンタイムパスワード」を学年別に用意しています。1・2年生版、3・4年生版、5・6年生版(なぜ送り合わずに同じ数字になるのか)。
その週のニュースだけでは分からないことは、しくみのほうから読むと早いです。どれも、親が説明できるようになることを目標に書いています。