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週刊 AI・ITニュース 2026年 第45号(11月2日〜8日)

1社が破られ、380社に広がった
「本物から届くにせメール」に気をつけて

2026年 第45号

先週の第44号では、大きな会社で情報漏えいが相次ぎ、国が初めて大臣を集めて話し合ったことを伝えました。今週は、たくさんの会社が仕事をたのんでいた1社がねらわれ、被害が一気に広がりました。なぜ広がったのか、なぜ今回のにせメールは見分けにくいのか、そして学校のAIに起きた変化を、図でまとめます。

1. メール配信の1社から、最大約380社・約7700万件の流出 ── サプライチェーン攻撃とは(11月2日)

なにが あったのか

会社のお知らせメールやメールマガジンを代わりに送るサービス「アララメッセージ」が不正アクセスを受け、運営会社の親会社は11月2日、契約していた最大約380社の、約7700万件のメールアドレスと会員情報が持ち出されたと発表しました(件数は精査中)。家電量販店、旅行予約サイト、通信販売など、たくさんの会社が「うちのお客さんの情報も含まれていた」と次々に公表しています。

さらにこのサービスのしくみを使って、カード会社をよそおうメールが最大約713万通送られていました。

なぜ ニュースなのか

取引先や、仕事を任せている会社(委託先)など、仕事のつながりの中で守りの弱い所をねらう攻撃をサプライチェーン攻撃といいます。多くの会社が同じ1社にメールの仕事を任せていれば、そこを破るだけで、全部の会社のお客さんの情報に手が届きます。

メールを配る会社!たのんでいた会社約380社メールアドレス約7700万件1か所のかぎが破られ、たくさんの会社に広がった
📊 1社の「かべの穴」が、仕事をたのんでいた全部の会社の穴になる

今回のにせメールがやっかいなのは、本物の配信のしくみから送られたことです。送り主のアドレスも、送ってきたサーバーも本物なので、迷惑メールのフィルターをすり抜けやすく、見た目ではほとんど区別できません。「送り主が本物か」ではなく、「メールの中で何をさせようとしているか」で判断するしかないのです。

世界に どうひびくか

サプライチェーン攻撃は、世界でも大きな問題です。大きな会社ほど守りを固めているので、攻撃者は守りのうすい取引先から回りこみます。だから今は、会社が自分だけでなく、仕事を任せる相手の守りまで確かめることが求められています。

うちの子に どうかかわるか

家族の中で、次の約束を決めておくと安心です。①メールのリンクからは、パスワードやカード番号を入れない。②「至急」「利用停止」とあったら、いつものアプリか、自分で開いた公式サイトで確かめる。③子どもは、困ったら必ず大人に見せる。

しくみは「情報漏洩とは?」のサプライチェーン攻撃の節に図でまとめました。

親子で話す問い
送り主の名前が本物のメールでも、あやしいと気づけるのはどんなところ?

出典:ペイクラウドホールディングスの発表(2026年11月2日)、共同通信(11月2日)(2026年11月5日 確認)。

2. 政府、サイバー攻撃への緊急対策へ ── 「官民サイバー救援隊」とAIを使った守り(11月6日にも公表)

なにが あったのか

相次ぐ情報漏えいを受け、政府は緊急対策をまとめています。報道によると、柱は①AIを使った基本対策の徹底、②情報を集めて分析する体制の強化、③攻撃への対処、④被害者の支援と被害の拡大防止の4つです。被害を受けた会社に、国と民間の専門家を送って初めの対応を手伝う「官民サイバー救援隊(仮称)」をつくる案が入っています。6日にも関係閣僚会議を開いて公表する見通しです。

なぜ ニュースなのか

情報がもれたとき、いちばん大事なのは最初の数日の動きです。どこから入られたかを調べ、穴をふさぎ、お客さんに知らせ、にせメールなどの二次被害を防ぐ必要があります。けれど、専門の人がいない会社も多く、そこで国が助けに入るしくみをつくろうとしているのです。

日本では、情報漏えいが起きた会社は個人情報保護法にもとづき、個人情報保護委員会への報告と、本人へのお知らせが必要です。

世界に どうひびくか

攻撃する側もAIを使い、弱点を速く見つけるようになっています。守る側もAIで弱点を先に見つけ、ふさぐ時代です。今回の対策に「AIを使った基本対策」が入っているのは、そのためです。

うちの子に どうかかわるか

会社から「おわび」や「確認のお願い」のメールが届いたら、まずその会社の公式サイトのお知らせを自分で開いて、本当に出ているかを確かめましょう。

親子で話す問い
情報がもれた会社が、最初にやるべきことは何だと思う? 3つ考えてみよう。

出典:共同通信(2026年11月5日)、政府のサイバーセキュリティに関する関係閣僚会議(10月26日)(2026年11月5日 確認)。

3. 答えを教えないAIが学校に ── 子どもの学校アカウントのAIは「学校が決めるまでオフ」へ(11月3日・Google)

なにが あったのか

Googleは11月3日、答えを直接教えず、考え方を一歩ずつ導くAI機能「ガイド付き学習(Guided Learning)」を、学校向けのGoogle Classroomで世界中に提供すると発表しました。あわせて、小学校から高校までの生徒の学校アカウントでは、GeminiやGoogle検索のAI機能を、学校の管理者が使えるようにするまでオフにする方針を示しました。くわしい時期などは、今後数か月のうちに学校へ知らせるとしています。

なぜ ニュースなのか

答えを渡すAI子「この問題の答えは?」AI「答えは24です」写して終わり。考えた時間は0秒考え方を導くAI子「この問題の答えは?」AI「まず、分かっている数はどれかな?」一歩ずつ、自分で答えにたどり着く先生は、どこで多くの子が止まったかを見て、次の授業に生かせる
📊 同じ質問でも、AIの返し方で「考える時間」が変わる

AIに宿題の答えを聞くと、写して終わってしまうことが心配されてきました。ガイド付き学習は、答えのかわりに「まず何が分かっている?」と問い返し、子どもが自分で答えにたどり着くように付きそいます。先生は、どこで多くの子が止まったかを見て、次の授業に生かせます。

もう1つの「初めはオフ」は、使うかどうかを学校が決めるということです。子どもの学校アカウントでAIが出てこないのは、こわれているのではなく、学校がまだ使えるようにしていない状態です。

世界に どうひびくか

Google Classroomでこの機能を使えるのは、学校が上位の契約(Education Plusなど)を結んでいる場合などに限られます。日本の学校にいつ、どう広がるかはまだ分かっていません。

うちの子に どうかかわるか

家でAIを使うときも、「答えを聞く」より「ヒントを聞く」使い方を親子で決めておくと、考える力が育ちます。たとえば「答えは言わないで、最初の一歩だけ教えて」と頼むやり方です。学校アカウントでAIが使えるかどうかは、学校に聞くのが確実です。

親子で話す問い
AIに「答え」を聞くのと「ヒント」を聞くのでは、何がちがうと思う?

出典:Google公式ブログ「Introducing updates to help schools in the AI learning era」(2026年11月3日)(2026年11月5日 確認)。

📝 中学入試では、こう出ます

時事問題としては、次の形で問われる可能性があります。

❶ 理由を書く問題 「1つの会社への不正アクセスで、多くの会社の情報が流出した理由を書きなさい」→「多くの会社が同じ会社にメール配信の仕事を任せていたため、その1社が破られると、すべての会社の情報に被害が広がったから。」
❷ 公民 「情報漏えいが起きた会社に、個人情報保護委員会への報告を求めている法律を何というか」→「個人情報保護法」。
❸ 考えを書く問題 「学校でAIを使うとき、よい点と気をつける点を1つずつ書きなさい」→「よい点:一人ひとりのつまずきに合わせて助けてもらえる。気をつける点:答えを写すだけになり、自分で考えなくなるおそれがある。」

中学入試の時事の整理は2026年11月の時事問題まとめ(第1週の追記)と、入試で時事はどう出るかにあります。

🎒 今週、家で1つやること

家族で「メールのリンクから入力しない」を、今日の約束にしてください。カード会社や通販のお知らせは、いつものアプリか自分で開いた公式サイトで確かめる。これだけで、今回のようなにせメールのほとんどを防げます。

週刊小学生しんぶん11月6日号の「デジタルのなぜ⑪ にせメール」を学年別に用意しています。1・2年生版、3・4年生版、5・6年生版(サプライチェーン攻撃と入試の視点)。

ニュースのしくみを、もう少し知る(14本)

その週のニュースだけでは分からないことは、しくみのほうから読むと早いです。どれも、親が説明できるようになることを目標に書いています。

親のAIはじめて体験小学生とAIとの付き合い方デジタルはかせ検定学校のタブレットが家に来たらわが家のデジタル年表AIは、なぜ堂々とまちがえるの?日本は、AIのことをどう決めているの?QRコードは、なぜ白黒のもようだけで読めるの動画サイトは、なぜ「次はこれ」がわかるの?シンガポールは、なぜ国ぐるみでAIをやるの?プログラミング教室はいつから?たのみ方の練習小学生のスマホデビュー小学生のタイピング練習

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🗂 これまでの号

2026年 第45号 1社から380社に広がった情報流出(サプライチェーン攻撃)と、答えを教えないAI 2026年 第44号 情報漏えい258万件と二次被害、初のサイバー関係閣僚会議と能動的サイバー防御 2026年 第43号 PHPの弱点でサイトが一斉停止、ランサムウェアとワンタイムパスワード 2026年 第42号 AIがAIを作る「再帰的自己改善」と、テスラの空を飛ぶ車 2026年 第41号 AIのニセ画像はなぜ見ぬけない?と米政府のAI司令塔 2026年 第40号 米大統領とAI大手6社の安全の約束と、AIはなぜ危ないのか 2026年 第39号 子ども法案KIDSの中身と、AIを人が管理する呼びかけ 2026年 第38号 子どものSNSとAIに年齢のルール(EU) 2026年 第37号 AIが作った絵に印をつける決まり(EU)

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