中1ギャップに備える──小6の秋から、家でできること
半年後には中学生。テスト、内申点、部活、スマホ。言葉は聞いたことがあるけれど、何が変わって、いま何をしておけばいいのかが分からない。周りの話を聞くほど、なんとなく不安だけがふえていく。
中学で変わる4つ
| 変わること | 小学校 | 中学校 |
|---|---|---|
| テストと成績 | 単元ごとの小テスト | 何週間分もの範囲をまとめて出す定期テスト。成績(評定)は高校入試の調査書に入る(何年生の分が入るかは都道府県でちがう) |
| 英語 | 聞く・話すが中心。600〜700語程度に出会う | 読む・書くも成績に入る。さらに1,600〜1,800語程度を学ぶ |
| 友だちと部活 | ずっと同じ顔ぶれ | いくつもの小学校から集まる。部活が始まる(休日の部活を地域のクラブなどに移す取り組みが進んでいて、形は地域でちがう) |
| スマホと夜 | 持っていない子もいる | スマホでネットを使う子は、12歳で66.3%。部活やクラスの連絡がグループで来ることもある |
※ 英語の語数は学習指導要領、スマホは こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」。
いちばん心配なのは、どれですか?(1つ選ぶ)
📝 勉強のスピードとテスト
宿題は毎日やっている。ただ、言われないと始めない。テストの前に何をするかは、まだ考えたことがない。
なぜ:小学校の宿題は、何をいつやるかを先生が決めてくれます。中学の定期テストは、何週間分もの範囲から出ます。いつ、何をやるかを自分で決めることになる。中学の最初につまずくのは、勉強の中身より、この「自分で決める」ところです。
小6のいまからできること:小学校の漢字テストや単元のテストで、「何日前から・何を」を本人に決めてもらい、終わったら結果と並べて見ます。算数でどこが止まっているかは 小学6年生の勉強の悩み(止まる場所の見分け方) と 6年生の算数 で確かめられます。
冬休みの前に見ること:言われる前に、テストの何日か前から自分で始めた日が1回でもあれば、合っています。
🔤 英語
小学校の英語は楽しそうにやっている。ただ、単語を書けるかは分からない。中学に入って急に難しくなったらどうしよう。
なぜ:中学の英語は、小学校で出会った言葉を知っている前提で始まります。小学校では聞く・話すが中心でしたが、中学では読む・書くも成績に入ります。つまずきやすいのは、書く前の「声に出して読めない」ところです。
小6のいまからできること:1日5分、小学校の英語の教科書を声に出して読みます。英検の5級や4級を目安にするなら 英検5級 ・ 英検4級 へ。
冬休みの前に見ること:教科書の単語を見て、声に出して読めるものがふえていれば、合っています。
🤝 友だちと部活(なじめるか)
「中学、知らない子ばっかりになる」「部活、何に入ればいいか分からない」。ぽつりと言われて、何と返せばいいか迷う。
なぜ:新しい学校の最初の数か月は、だれでも「なじめていないのは自分だけ」と感じやすいものです。そのとき「自分がだめだから」と受け取ると、人に話しかけなくなって、本当になじみにくくなります。「だれでも最初はそうで、だんだん慣れていく」と先に知っているだけで、同じ出来事の受け取り方が変わります。
小6のいまからできること:「中学で不安になったときの自分への手紙」を、いま書いておきます。この端末に残しておくと、中学に入った4月にここで読めます。
書き出しの例:「4月の自分へ。いま、ちょっと不安かもしれないけど、それはみんな同じらしいよ。」
冬休みの前に見ること:中学の話を、自分からするようになっていれば、合っています。
💭 中学のことを考えて親のほうが不安になったときは、子育ての相談・愚痴を書ける場所(スクールコンパスのトップ)に、そのまま書いてください。名前もメールもいりません。
📱 スマホと夜
中学に入ったらスマホ、と約束している。ただ、いつ、どんな決まりで渡すかは、まだ決めていない。
なぜ:夜、スマホを部屋に持っていくと、寝る時間が少しずつ後ろにずれていきます。小学生に要る睡眠は9〜12時間です(厚生労働省)。夜のずれは、そのまま朝の体の重さになって出ます。決まりを全部そろえるより、「夜の置き場所」を1つ先に決めておくほうが続きます。
小6のいまからできること:持つ前に決めておくことは スマホデビューの前に決めること にまとめています。
冬休みの前に見ること:ゲーム機やタブレットで、決めた場所に自分で置けている日が続いていれば、合っています。
相談できるところ
中学のことは、小6の担任の先生がいちばん近い窓口です。秋から冬にかけて、中学校の説明会や見学がある地域もあります(学校からのお知らせで確かめてください)。子どもの気持ちのことで迷ったときは、24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(文部科学省。保護者も相談できます)。
よくある質問
Q. 中1ギャップとは何ですか?
小学校から中学校に上がったとき、勉強や人間関係の変化になじめずにつまずくことを指して使われる言葉です。国立教育政策研究所は、この言葉に明確な定義はなく、中1でいじめや不登校が急に増えるという前提も客観的な事実とは言い切れないとしています。小学校のうちから続いていることが、中学で見えやすくなると考えると、小6のいまの様子を見ておく意味が分かります。
Q. 中1ギャップに備えて、小6のうちに何をすればいいですか?
テスト・英語・友だちと部活・スマホのうち、いちばん心配なものを1つだけ選んで、家でできることを1つ続けます。たとえばテストなら、小学校の漢字テストで「何日前から何をするか」を本人に決めてもらい、結果と比べます。全部を先回りして準備するより、1つを本人が自分で決める形のほうが、中学の最初に役立ちます。
Q. 中学の英語は、小学校とどう変わりますか?
小学校では聞く・話すが中心ですが、中学では読む・書くも成績に入ります。学習指導要領では、小学校で600〜700語程度に出会い、中学校ではそれに加えて1,600〜1,800語程度を学ぶことになっています。小6のうちは、教科書の英語を声に出して読めるようにしておくと、中学の最初が楽になります。
Q. 子どもが「中学でなじめるか不安」と言います。どう声をかければいいですか?
「中学の最初は、だれでも自分だけなじめてないって感じるんだって。〇〇のせいじゃなくて、学校が変わる時期だから。だんだん慣れていくよ」のように、不安はみんなにあって、だんだん小さくなると伝えます。米国では、中学に上がる子にこのことを伝える取り組みで、その後の成績と学校への気持ちが良くなったと報告されています。
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参考 「中1ギャップ」の言葉の問題点と、いじめの被害経験の推移は、国立教育政策研究所「生徒指導リーフ Leaf.15『中1ギャップ』の真実」。最初の不安は「みんなにあって、だんだん小さくなる」と知っておく取り組みは、米国で中学に上がる子を対象に行われ、その後の成績・学校への信頼・問題行動が改善したと報告されたもの(Borman ほか、米国科学アカデミー紀要、2019年。2,171人での再現研究 Pyne・Borman、2020年)。英語の語数は文部科学省「学習指導要領」、睡眠は厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」、スマホはこども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」。