地図記号の覚え方|形には理由があります
多くの記号は、関係するものの形や文字をもとに作られています。学校は「文」の字、工場は歯車。理由が分かると、覚える作業が推理に変わります。
そして、覚えたあとは本物の地図で探すこと。一覧表を眺めて覚えた記号は、地図の中では見つけられません。
3年生から、地図帳が始まります
3年生になると、社会科で身近な地域や市区町村を学び、地図帳を使うようになります。文部科学省の小学校学習指導要領解説社会編では、第3学年及び第4学年の目標と内容を系統的・段階的に再整理するとともに、地図帳の使用を第3学年から目標に示すこととされています。
出典(一次情報):小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編/文部科学省
つまり3年生は、地図というまったく新しい情報の読み方に出会う学年です。文章でも数でもない、記号と位置で表された情報。ここに慣れるまでは、誰でも時間がかかります。
覚える前に、向きを固定する
記号より先に押さえたいのが方位です。ここが曖昧なままだと、記号を覚えても地図が読めません。
まず伝えるのは1つだけ。地図は、上が北。特別な印がない限り、これが約束です。
上が北。下が南。右が東。左が西。
時計回りに「北・東・南・西(ほく・とう・なん・せい)」。
この順番で覚えると、途中から聞かれても答えられます。 メモ:地図帳を開いて、「今、上はどっち?」と聞くところから始めてください。方位が入っていない状態で記号を覚えても、地図は読めるようになりません。
あわせて、地図には縮尺があることも触れておきます。実際の長さを縮めて描いてあるという考え方は、算数の割合や倍の考え方とつながっています。細かい計算は必要ありませんが、「本物より小さく描いてある」という理解は3年生でも十分にできます。
形の理由から覚える
地図記号は、ばらばらに決められた形ではありません。多くは関係するものの形や文字をもとにしています。
| もとになっているもの | 例 |
|---|---|
| 文字を図案化したもの | 学校は「文」の字をもとにした形 |
| そこにあるものの形 | 工場は歯車の形、灯台は光を放つ様子 |
| そこで扱うものの形 | 果樹園は実の形、茶畑は茶の実の断面 |
| 昔使われた道具の形 | 消防署は昔の消火に使った道具の形 |
覚えにくい記号に出会ったら、「これ、何の形に見える?」と聞いてみてください。正解でなくても構いません。自分で理由を考えた記号は忘れにくくなります。
20個の記号のうち、すぐ覚えられるものが15個あるなら、由来を調べるのは残りの5個だけで十分です。全部を調べようとすると、それ自体が作業になって続きません。
由来は、地図帳の巻末や、国土地理院のウェブサイトで確認できます。
似た記号は、2つ並べて覚える
間違いのほとんどは、似た形どうしの混同です。1つずつ覚えるより、対にして違いで覚えるほうが混ざりません。
| 間違えやすい組 | 見分け方の考え方 |
|---|---|
| 田 と 畑 | どちらも作物を作る場所。何を作るかで形が違う |
| 寺 と 神社 | 建物にあるものの形の違いで見分ける |
| 警察署 と 交番 | 同じ形に囲みがあるかどうか。囲みがあるほうが上位 |
| 小中学校 と 高等学校 | 同じ「文」の形に囲みがあるかどうか |
| 果樹園 と 広葉樹林 | 人が育てているか、自然に生えているか |
ポイントは、囲みがあると「より大きい・より上位」を表すことが多いという見方です。警察署と交番、高等学校と小中学校。この規則に気づくと、覚える負担が減ります。
似た2つを紙に並べて描き、違いを言葉で説明させる。
「こっちは丸がついてる」
「こっちのほうが大きい建物」
説明できたら覚えています。説明できなければ、まだです。 メモ:言葉で説明させるのが肝心です。「なんとなく分かる」状態では、テストで迷います。
本物の地図で探す
一覧表で覚えた記号は、実際の地図の中では見つけられません。地図の中の記号は小さく、周りに道路や地名などの情報が重なっているためです。
覚えたら、必ず本物の地図で探す時間を作ってください。いちばんよいのは、自分の家のまわりの地図です。
1. 地図で自分の家を見つける
2. 通っている学校を探す(「文」の記号)
3. よく行く場所を探す(郵便局、図書館、病院)
4. 知らない記号を1つ見つけて、何か調べる メモ:4が大事です。知っている場所の記号を確認するだけでなく、知らない記号に出会う経験を入れてください。「これ何だろう」から調べたものは、強く残ります。
散歩と組み合わせるのも有効です。地図で見た記号の場所に実際に行ってみると、記号と現実がつながります。3年生の社会科は身近な地域が対象なので、この経験がそのまま授業の理解につながります。
覚える数を、テスト範囲に絞る
地図記号は全部で数十種類あります。すべてを一度に覚えようとすると、量に押しつぶされます。
まずはテスト範囲や教科書に出てくるものだけに絞ってください。その中でも、次のように3つに分けると進めやすくなります。
| 区分 | 扱い方 |
|---|---|
| もう分かるもの | 触らない。確認だけ |
| あやふやなもの | 似た記号と対にして、違いを言わせる |
| まったく覚えていないもの | 由来を調べる。ここに時間をかける |
ほとんどの子は、3つめが数個しかありません。その数個に集中すれば、翌日には形が変わります。全部を毎日眺めるより、はるかに短時間で済みます。
一覧を見せて、指でさしながら聞く。
「これ、わかる?」
即答できたら○、迷ったら△、分からなければ×。
×だけを紙に書き出す。今日やるのはそれだけ。 メモ:仕分けの作業そのものが復習になります。5分で終わりますし、残りが見えると本人も動きやすくなります。
地図記号は変わることがあります
地図記号は固定されたものではなく、社会の変化に応じて追加や見直しが行われることがあります。新しい施設が増えれば、それを表す記号が必要になるためです。
ですので、古い問題集と最新の教科書で内容が違うことがあります。家庭で問題を用意する場合は、いま使っている教科書や地図帳を基準にしてください。
この点も、子どもに伝えると面白がることがあります。「記号は誰かが決めていて、増えることもある」と知ると、記号が生きたものに見えてきます。地図記号は暗記項目ではなく、社会の約束ごとだという理解につながります。
地図帳の使い方も、同時に教える
記号を覚えても、地図帳を引けなければ使えません。3年生のうちに、次の3つを習慣にしておくと、その後がずいぶん楽になります。
- 索引を引く。地名から、そのページと位置を探す。辞書を引くのと同じ作業です。
- 記号の凡例を見る。分からない記号は、巻末や欄外の説明で確認できます。「覚えていないから分からない」ではなく「調べれば分かる」と知ることが大切です。
- 気になったページに付箋を貼る。自分の地図帳にしていく感覚が、地図への親しみを作ります。
2つめは特に重要です。全部を暗記する必要はないと知ると、地図への抵抗が下がります。調べ方を知っていることのほうが、大人になってからも役に立ちます。
4年生は都道府県とセットで
4年生になると、学習の対象が自分たちの県に広がります。同時に、国語の学年別漢字配当表では都道府県名に用いる漢字20字が第4学年に加わっています。社会と国語が、この学年でつながる設計になっています。
ですので、4年生では地図帳と漢字を一緒に扱うのが効率的です。都道府県名を漢字で書きながら、地図帳で位置を確認する。1つの作業で2教科分の学習になります。
都道府県の位置や特徴は、当サイトの都道府県ずかんでも扱っています。クイズ形式なので、地図帳と行き来しながら使えます。
やってしまいがちなこと3つ
地図が好きになる入口
地図記号は、テストのための暗記項目に見えがちですが、地図が読めるようになると世界の見え方が変わります。旅行先で地図を見る、ニュースの地図を読む、災害時のハザードマップを理解する。すべて同じ力です。
家庭で無理なくできる入口をいくつか挙げておきます。
- おでかけの前に地図で場所を確認する。目的地までの道を一緒に指でたどるだけで構いません。
- 天気予報の地図を見る。県の形と位置が、自然に頭に入ります。
- 地図記号を自分で作ってみる。「うちの家の記号を作るなら?」。由来から考える力がつきます。
最後の「自分で作る」は、遊びのようでいて効果があります。記号を作るには、そのものの特徴を1つに絞る必要があります。この作業をすると、既存の記号がなぜその形なのかも見えてきます。
よくある質問
Q. 地図帳はいつから使いますか?
文部科学省の小学校学習指導要領解説社会編では、第3学年及び第4学年の目標と内容を系統的・段階的に再整理するとともに、地図帳の使用を第3学年から目標に示すこととされています。実際にいつ配られ、どう使うかは学校や教科書によって異なりますが、3年生から地図帳を使った学習が始まるのが基本です。
Q. 地図記号は丸暗記させるしかないですか?
形の由来から入るほうが定着しやすくなります。多くの記号は、関係するものの形や文字をもとに作られています。たとえば学校は文という字を図案化した形、工場は歯車の形、消防署は昔の消火に使った道具の形をもとにしています。なぜその形なのかが分かると、覚える作業が推理に変わります。全部の由来を調べる必要はなく、覚えにくい数個だけで十分です。
Q. 似た記号を間違えてしまいます。
1つずつ覚えるより、似たものを2つ並べて違いで覚えるほうが混同しません。田と畑、寺と神社、警察署と交番のように、間違えやすい組を対にして比べてください。どこが違うかを言葉で説明させると、その違いが記憶に残ります。ばらばらに並んだ一覧表を眺めるより、はるかに効率的です。
Q. 覚えたのに、テストで書けません。
一覧表を見て覚えただけで、実際の地図の中で見つける経験が足りていない可能性があります。地図の中の記号は小さく、周りに他の情報もあるため、一覧表とは見え方が違います。自分の家のまわりの地図を出して、知っている場所の記号を探す練習をしてみてください。実際に探した記号は忘れにくくなります。
今日からの5ステップ
- ☑ 「地図は上が北」を先に固定した
- ☑ 覚えにくい記号だけ、由来を調べた
- ☑ 似た記号を2つ並べて、違いを言わせた
- ☑ 家のまわりの地図で、実際に探した
- ☑ 地図帳の索引の引き方を教えた