✏️ 今週おさえたい漢字・語(5・6年生/入試頻出)
層
読み:ソウ
6年生で習う漢字
意味:重なり。重なったもののひとつひとつ。
語例:地層/階層/高層/断層
「尸」は屋根、中の「曽」は重なる意味を表すといわれます。今週の折りたたみ画面は、ガラスの層どうしをすべらせることで割れにくくしています。理科の地層も、層がずれると断層になる。「重なり」と「ずれ」は、この字でつながります。
測
読み:ソク/はか(る)
5年生で習う漢字
意味:長さ・深さ・量などをはかること。
語例:観測/予測/測定/推測
さんずい(氵)は水。水の深さをはかることからできた字です。今週は「観測史上1位」と「半日前予測」が同じ気象ニュースの中に並びました。観測は過去と現在、予測は未来。同じ「測」でも、責任の性格がちがいます。
境
読み:キョウ・ケイ/さかい
5年生で習う漢字
意味:区切り。ものごとの分かれ目。
語例:境界/国境/環境/心境
今週は「線をどこに引くか」のニュースが並びました。13歳という年齢、EUという地域、火口から1キロという距離。境界は自然にあるのではなく、誰かが理由をもって引くものです。論点マップで扱います。
誕
読み:タン
6年生で習う漢字
意味:生まれること。
語例:誕生/生誕/誕生日
大河ドラマ第35回の題名は「秀長誕生」。人が生まれる意味だけでなく、ある立場や名前が「生まれる」ときにも使います。聖火が走る中村公園には秀吉・清正の生誕地の碑があります。
💡 今週の時事語(入試で問われる形で)
言葉の意味だけでなく、どの文脈で使われるかまでセットで覚えます。
① 透明性義務(AIの表示義務)
AIと対話していることを利用者に分かるようにし、AIが生成・加工した画像・音声・動画・文章に機械可読な印をつけることを求める決まり。EUのAI法(規則(EU)2024/1689)第50条で定められ、2026年8月2日から適用されています。EU域外の企業でも、EU向けに提供していれば対象になりうる点が、国際的な影響の大きさにつながります。
📖 透明性義務とは → 🗞️ 週刊AI・ITニュース第37号でくわしく →
② 線状降水帯の半日前予測
線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があるとき、半日程度前から気象庁が呼びかける情報。「発生する」ではなく「可能性がある」という表現であることが重要です。空振りを許容して早く出すか、確実になってから遅く出すかという、防災情報の根本的なトレードオフの上に成り立っています。
📖 線状降水帯とは →
③ 朔と望
朔は新月の瞬間、望は満月の瞬間。太陰太陽暦では朔をふくむ日をその月の1日(朔日=ついたち)とします。今年は9月11日12時27分が朔、9月27日1時49分が望。「ついたち」の語源が「月立ち」とされることも、あわせて押さえておきたい知識です。
📖 太陰太陽暦とは → 📖 中秋の名月とは →
④ 講和
戦っている者どうしが、話し合いで戦いを終えること。小牧・長久手の戦いでは、秀吉が織田信雄と講和したことで、家康は戦う名目を失いました。「戦闘の勝敗」と「戦争の結果」が一致しない例として、入試の歴史記述で扱われやすい語です。
📖 講和とは →
📰 今週のニュース
9月9日(米国時間)/日本時間10日未明 米カリフォルニア州
📱 アップル、iPhoneとして初の折りたたみ型「iPhone Duo」 ── 閉じて5.4インチ、開いて7.6インチ
📷 米カリフォルニア州クパチーノのアップル本社(写真:Google マップ)
📊 閉じた形と開いた形
🗾 米カリフォルニア州クパチーノ。9月の時差は16時間
米アップルは9月9日(日本時間10日未明)、iPhoneとして初めての折りたたみ型スマートフォン「iPhone Duo」を発表した。閉じた状態の外側の画面は5.4インチで、同社は「パスポートほどのサイズ」と説明する。開くと7.6インチの画面になり、2つのアプリを並べて使える。
予約は10月16日午後9時、販売は10月23日から。国内価格は36万4800円(税込み)から。同じ日にiPhone 18 Pro、Apple Watchの新型、AirPodsの新型も発表された。発表文でコメントを出したのは、同社CEOのジョン・ターナス氏である。
本体はチタン製で、全体の35%に再生素材を使い、バッテリーには再生コバルトを100%使っていると同社は説明している。
📌 「初」の範囲を確かめる
折りたたみ型のスマートフォン自体は、他社がすでに製品化している。今回の「初」はiPhoneとしての初である。見出しの「初」「最大」「史上」は、比較の範囲(何の中での初か、どの期間の最大か)を補って読むのが基本動作だ。同じ紙面の「観測史上1位」も、その地点での観測開始以降という範囲つきの表現である。
出典:アップルの発表「Apple、iPhone Duoを発表」(2026年9月9日)
📱 スマホデビューの判断材料(保護者向け)→ / 🔬 きょうのかがく「スマホは、どうしてわたしの声が分かるの?」→
9月9日(米国時間)
⚖️ 新Siri AIは「13歳未満は利用不可」「EUでは初期段階で提供されない」 ── 製品に引かれた2本の線
📊 年齢と地域で、使える機能が分かれる
アップルは新しい対話型AI機能「Siri AI」を、9月14日からiOS 27のベータ版として英語で提供し、10月には日本語などにも対応すると発表した。
その発表文の注意書きには、2つの制限が書かれている。1つは「13歳未満の方はSiri AIを利用できません」という年齢の制限。もう1つは「EUにおいては、初期段階ではSiri AIをiOSで利用できません」という地域の制限である。同社は、ユーザーのプライバシーとセキュリティを保護しながら進むべき道を探しているとしている。
また、サーバー側のモデルを使う一部の機能には1日の使用回数の制限があり、今後は有料で拡大する予定とも記されている。
📌 本文より注意書きを読む
製品発表の本文は、できることを中心に書かれる。できないこと、条件、例外は注意書き(脚注)に置かれることが多い。今回の2本の線は、どちらも脚注にあった。先週のニューヨーク市の措置が「教員は対象外」「3つの例外」という形で線を引いたのと同じく、制度や製品の性格は、線の引き方に最もよく表れる。
出典:アップルの発表(2026年9月9日)の注意書き
🤖 小学生とAIのつきあい方 → / 🇯🇵 日本はAIのことをどう決めているのか → / 🗽 先週号:NY市のモラトリアム →
9月9日(米国時間)/EUでは8月2日から適用
🔍 AI生成画像の「印」 ── アップルがSynthIDに対応、EUでは表示義務がすでに適用
📊 見分ける責任を、見る側から作る側へ
アップルは同じ発表で、AIで生成または編集された画像を特定できるSynthIDという規格に年内に対応するとした。ソフトウェア更新で利用可能になり、適用された編集内容に応じて、ほとんどの編集済み画像に組み込まれるという。
EUではAI法(規則(EU)2024/1689)第50条の透明性義務が2026年8月2日から適用されている。AIと対話していることを利用者に分かるようにする義務と、AIが生成・加工した画像・音声・動画・文章に機械可読な形式で印をつける義務が中心で、違反時の制裁金は最大1,500万ユーロまたは全世界年間売上高の3%のいずれか高い方とされる。EU域外の企業も、EU向けに提供していれば対象になりうる。
📌 論点:見分ける責任は誰にあるか
従来、偽の画像を見抜くのは受け手(見る側)の注意力に委ねられていた。表示義務と印の規格は、その責任の一部を作り手(生成する側)に移す仕組みである。一方で、印を消したり、印に対応しないツールを使ったりする抜け道は残る。「印がない=本物」とは言えないことまで含めて理解しておきたい。
出典:アップルの発表(2026年9月9日)、欧州連合官報 規則(EU)2024/1689 第50条
🗞️ 週刊AI・ITニュース 第37号「AIが作った絵に印をつける決まり」→ / 🔬 きょうのかがく「AIは、どうやって絵をかくの?」→
9月8日(火) 愛知県名古屋市
🌧️ 名古屋市千種区で1時間104.5ミリ、観測史上1位 ── 熱帯低気圧と秋雨前線
📷 愛知県名古屋市の街なみ(写真:Google マップ)
📊 雨量の「ミリ」を体積に換算する
9月8日、名古屋市千種区で1時間に104.5ミリの猛烈な雨が観測され、観測史上1位を更新した。浸水や冠水の被害が相次いだ。
台風24号から変わった熱帯低気圧が四国の南を北上し、その東側から暖かく湿った空気が、本州付近に停滞する秋雨前線に向かって流れ込んだ。これにより前線の活動が活発になり、西日本から東日本の広い範囲で雷を伴う非常に激しい雨となった。
📌 単位を換算して読む
降水量1ミリは、1平方メートルあたり1リットルに相当する。したがって1時間104.5ミリは1平方メートルあたり104.5リットル。100メートル四方(1万平方メートル)なら約1,045立方メートル、25メートルプール(深さ1.2メートル、6コースで幅約12.5メートルと仮定すると約375立方メートル)の約2.8杯分が1時間で降る計算になる。ミリという小さな単位の背後にある体積を想像できるかどうかが、防災の判断を左右する。
出典:気象庁の観測値(日本気象協会 tenki.jp の解説、2026年9月9日)
9月3日7時〜9日5時の雨量
📊 「1時間の強さ」と「降り続いた量」 ── 2つのものさしで大雨を読む
📊 平年の1か月分・今回の累積・最大1時間
東海地方では先週から雨が続き、降り始め(3日7時)から9日5時までの雨量は、静岡県の天城山で632.0ミリ、三重県尾鷲市で550.5ミリ、岐阜県多治見市で246.0ミリ、名古屋市千種区で284.0ミリに達した。名古屋市千種区では平年の9月1か月分(231.6ミリ)をすでに上回り、その約1.23倍となっている。
大雨の危険は、短時間の強さ(1時間雨量など)と降り続いた総量(累積雨量)の2つで評価される。前者は道路の冠水や中小河川のあふれにつながり、後者は地盤に水がしみこんだ状態をつくり、土砂災害の危険を高める。
📌 雨がやんでも警戒が続く理由
累積雨量が多い地域では、雨が弱まったあとも土砂災害の危険が残る。「いま降っているか」だけで判断しないことが重要だ。気象庁のキキクル(危険度分布)は、こうした地中の水分量も考慮して危険度を示している。
出典:気象庁の観測値(日本気象協会 tenki.jp の解説、2026年9月9日)
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9月9日(水)4時56分
🟥 線状降水帯の半日前予測、関東甲信・東海・近畿・四国に ── 「可能性」を早く出す情報
📊 線状降水帯の構造
気象庁は9月9日4時56分、関東甲信・東海・近畿・四国で、同日に線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があるとする気象解説情報(線状降水帯半日前予測)を発表した。関東甲信は茨城県・東京地方・埼玉県・神奈川県・千葉県、東海は静岡・愛知・岐阜・三重の4県、近畿は大阪府・兵庫県・和歌山県、四国は徳島県・高知県が対象で、時間帯は県ごとに示された。
線状降水帯は、次々と発生した積乱雲が列をなし、同じ場所を通過・停滞することで、線状にのびる強い降水域が数時間続く現象である。
📌 「空振り」をどう受け止めるか
半日前予測は「発生する」ではなく「可能性がある」という情報である。早く出す以上、実際には発生しない空振りも起こりうる。確実になるまで待てば、準備の時間がなくなる。早さと確実さのどちらを優先するかという問いは、先々週の「2週間先の天気予報」とも同じ構造だ。受け手の側に求められるのは、空振りでも準備したことを損と考えない姿勢である。
出典:気象庁「気象解説情報(線状降水帯半日前予測)」2026年9月9日4時56分(日本気象協会の解説による)
📖 線状降水帯とは → / 🛟 避難情報とは →
9月8日(火)11時 東京都小笠原村
🌋 西之島の火口周辺警報を引き下げ ── 判断の根拠は「噴火なし」と「衛星の地表温度」
📷 東京都小笠原村の海(写真:Google マップ)
📊 警戒範囲の縮小
気象庁は9月8日11時、西之島に発表していた火口周辺警報を「入山危険」から「火口周辺危険」へ引き下げ、警戒が必要な範囲を山頂火口からおおむね1.5キロから、おおむね1キロに縮小した。あわせて、付近を航行する船舶に向けて火山現象に関する海上警報を発表している。
判断の根拠として気象庁が挙げたのは、噴火が観測されていないことと、気象衛星ひまわりの観測でも周囲より地表面温度の高い領域が認められないことの2点である。一方で、山頂火口内では噴気が確認されており、小規模な水蒸気噴火の可能性は残るとした。ウェザーニュースによると、「火口周辺危険」となるのは2019年12月以来、約7年ぶりである。
📌 引き下げは「安全宣言」ではない
警報の引き下げは、危険がなくなったではなく、危険の及ぶ範囲の見積もりが小さくなったという意味である。気象庁は、流れ出た溶岩が表面では冷え固まっていても地形的にくずれやすい可能性があるとして、1キロを超える範囲でも注意を呼びかけた。段階を下げることと、ゼロにすることは別である。
出典:気象庁 報道発表(2026年9月8日)、ウェザーニュース(2026年9月8日)
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9月8日(火)〜19日(土) 愛媛県砥部町
🐆 とべ動物園、ジャガーの名前を来園者投票で ── 公募3,018件から5組へ絞る2段階方式
📷 愛媛県立とべ動物園(愛媛県砥部町)(写真:Google マップ)
愛媛県立とべ動物園は、6月16日に生まれたジャガーの子2頭(黄色のメス、黒色のオス)の名前を決める来園者投票を9月8日から始めた。
命名は2段階で行われる。まず名前候補を公募し(8月10日〜9月6日)、3,018件が集まった。そこから飼育員が5組を選び、9月19日までの来園者投票で決める。結果は9月20日午前11時に発表される。候補は「砥黄・砥黒」「黄金・琥徹」「瑪瑙・黒曜」「ルナ・ネロ」「シャロン・コロン」。
📌 手続きの設計を読む
この方式は、「広く集める」→「専門家が絞る」→「多数で決める」という3つの段階からなる。全員が自由に投票すると票が分散し、専門家だけで決めると参加感が失われる。段階ごとに役割を分けることで、両方の欠点を小さくしている。投票が「来園者に1人1枚」である点も、誰が決定に参加できるかという線引きの一例だ。
出典:愛媛県立とべ動物園のお知らせ(2026年9月7日更新)
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9月10日(木) 愛知県名古屋市
🏀 アジア競技大会、バスケットボール男子が開会式に先立ち開幕
📷 愛知国際アリーナ(名古屋市)(写真:Google マップ)
第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)は開会式を9月19日に控えるが、バスケットボール(5人制)男子は9月10日に先行して開幕した。会場の愛知国際アリーナは、大会公式サイトによると最大約1万7000人を収容する。日本はグループAで韓国・サウジアラビア・インドネシアと対戦する。男子は9月20日まで、女子は9月17日から26日まで。
日本サッカー協会の発表によると、サッカーも女子が9月14日、男子が9月15日から始まる。閉会式は10月4日である。
📅 開会式まであと8日
大会期間の表記には「開会式から閉会式まで」と「最初の競技から最後の競技まで」の2通りがある。資料によって日数が異なるのは、このためである。数字を比べるときは、何を起点に数えているかをそろえる必要がある。
出典:第20回アジア競技大会 組織委員会の公式情報、日本バスケットボール協会(2026年9月2日)、日本サッカー協会(2026年7月23日)
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9月12日(土)・13日(日)・16日(水) 名古屋市
🔥 聖火リレー、名古屋市内へ ── 日程表を足すと16区すべてを走る
📊 分火と集火
📊 名古屋市の発表をもとに編集部が集計
名古屋市の発表によると、2つのルートに分かれて県内を回ってきた聖火は、9月12日(土)午後5時ごろから中村区と緑区、13日(日)に西・熱田・千種・昭和・港・南・天白・名東の8区を走り、16日(水)午後5時ごろから瑞穂区で2つの火が1つにもどる。
同市の日程表には、8月22日の北・中・東・中川の4区、8月29日の守山区もある。これを足すと4+1+2+8+1=16。名古屋市の16区すべてを聖火が走ることになる。
📌 公表資料を自分で集計する
「16区すべて」とは、市の資料のどこにも一言では書かれていない。日程表の区名を数え、区の総数と照らし合わせて初めて分かる事実である。資料問題で差がつくのは、書かれていることを読む力に加えて、書かれていることを組み合わせて新しい事実を導く力である。
出典:名古屋市「第20回アジア競技大会聖火リレー」(2026年8月27日更新)。区の数の合計は同資料をもとに編集部が集計
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9月12日(土) 名古屋市中村区
🏯 聖火が走る中村 ── 秀吉・秀長兄弟と加藤清正の生誕地、そして「三英傑」の愛知
📷 中村公園(名古屋市中村区)(写真:Google マップ)
9月12日に聖火が走る中村公園周辺には、秀吉・清正の生誕地碑、秀吉を祭神とする豊国神社(1885年創祀)などの史跡があり、公園内の文化プラザには名古屋市秀吉清正記念館がある。名古屋市の観光案内は、この地を「豊臣秀吉・秀長兄弟生誕の地」として紹介している。
加藤清正はのちに熊本城を築き、名古屋城の天守の普請にもあたった武将である。
📌 地域と人物を結ぶ
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康は「三英傑」と呼ばれ、いずれも現在の愛知県(尾張・三河)の出身とされる。今週の歴史たんけんの小牧・長久手の戦いも、愛知県内が舞台だ。人物の出身地、戦いの場所、現代のイベント会場を1枚の地図に重ねると、地理と歴史を横断する設問への備えになる。
出典:名古屋市公式ウェブサイト(秀吉清正記念館・中村公園歴史散策)、名古屋市観光情報「名古屋コンシェルジュ」
🏯 歴史たんけん → / 🔥 愛知県 → / 🏯 熊本県 →
9月19日(土)〜23日(水)
🎌 5連休が生まれる条件 ── 「月曜の祝日」と「天文で決まる祝日」の組み合わせ
📊 5連休と前後の予定
今年は9月19日(土)から23日(水)までの5連休となる。21日(月)が敬老の日、23日(水)が秋分の日で、間の22日(火)は祝日法第3条第3項の「その前日及び翌日が国民の祝日である日」にあたり、休日となる。
敬老の日は「9月の第3月曜日」という曜日で決まる祝日、秋分の日は国立天文台が前年に公表する天文学上の秋分日で決まる祝日である。決まり方の異なる2つがちょうど1日あけて並んだ年だけ、この形の5連休が生まれる。
📌 条件を式にする
成立条件は「秋分の日が水曜日で、その2日前の月曜日が9月の第3月曜日(15〜21日)である」こと。秋分の日は9月22日か23日になることが多いので、秋分の日が9月23日(水)の年が典型である。曜日の周期(7日)と暦のずれ(うるう年)が組み合わさるため、毎年は起きない。
出典:国民の祝日に関する法律
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9月15日(火)老人の日・21日(月)敬老の日
👵 老人の日と敬老の日 ── 1つの日が、2つの法律に分かれた
📊 老人の日・老人週間・敬老の日
9月21日(月)は敬老の日。祝日法は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日と定め、9月の第3月曜日としている。
一方、老人福祉法は9月15日を「老人の日」、15日から21日までを「老人週間」と定めている。敬老の日はかつて9月15日に固定されていたが、祝日を月曜日に移す法改正によって2003年から第3月曜日となった。そのため、9月15日という日付の意味を残す形で、老人福祉法に老人の日が置かれている。
📌 「休みを増やす」と「日付の意味」
祝日を月曜日に移すと3連休が増え、観光や消費への効果が期待される。一方で、特定の日付に結びついた意味は薄れる。老人の日の設定は、この2つの価値を法律を分けることで両立させた例と読める。今年も祖父母へのインタビューなどで、日付の意味を形にしてみたい。
出典:国民の祝日に関する法律、老人福祉法
🖨️ 敬老の日インタビューシート → / ✉️ 敬老の日の手紙 → / 📖 敬老の日とは →
9月20日(日)〜26日(土)
🍂 秋分の日と秋のお彼岸 ── 天文の日付に、暮らしの行事が重なる
📊 秋分の日を中日とする7日間
9月23日(水)の秋分の日は、祝日法で「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日とされる。秋分の日を中日として前後3日を合わせた7日間が秋のお彼岸で、今年は9月20日が彼岸入り、26日が彼岸明けとなる。
秋分は、太陽が天の赤道を北から南へ横切る瞬間であり、二十四節気の一つでもある。天文学で決まる日付に、祖先をしのぶ行事が重なっているのが日本の秋分の日の特徴だ。
📌 ことわざと気候データ
「暑さ寒さも彼岸まで」は、季節の変わり目の経験則を表すことわざである。近年は9月下旬まで暑さが残る年も多い。ことわざを「正しいか誤りか」で読むのではなく、「いつの時代の、どの地域の経験か」で読むと、気候の変化を考える材料になる。
出典:国民の祝日に関する法律
📖 秋分の日とは → / 🍂 暑さ寒さも彼岸まで → / 🌡️ 日本の気候 →
9月25日(金)
🌕 中秋の名月は9月25日、満月は27日 ── 2日のずれは2017年以来、次は2043年
📊 名月と満月の日付
国立天文台によると、2026年の中秋の名月は9月25日、天文学上の満月(望)は9月27日1時49分で、日付が2日ずれている。名月と満月の日付がずれることはしばしばあるが、同天文台は2日ずれるのは「少々珍しい」とし、前回は2017年、次回は2043年と注記している。
中秋の名月をめでる習慣は平安時代に中国から伝わったとされ、日本では農業の行事と結びついて「芋名月」とも呼ばれる。さらに日本独自の風習として十三夜(今年は10月23日)の月見があり、「栗名月」「豆名月」「後の月」とも呼ばれる。
📌 「名月=満月」という思い込み
「十五夜は満月」という理解は、おおむね正しいが、厳密には正しくない。入試の選択肢では、この種の「おおむね正しい言い方」を断定した文が誤りの選択肢として置かれやすい。定義に戻って判定する習慣をつけたい。
出典:国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」
🌕 お月見2026特集 → / 🖨️ 月の観察シート →
今日9月11日12時27分が朔(新月)
📅 なぜずれるのか ── 暦は「朔から数え」、満月は「望の瞬間」で決まる
📊 朔の日を1日目と数える
中秋の名月は、明治5年まで日本で使われた太陰太陽暦の8月15日の夜の月である。太陰太陽暦では、朔(新月の瞬間)をふくむ日をその月の1日とする。国立天文台によると、今年は9月11日(朔は12時27分)が旧暦8月1日であり、9月25日が8月15日となる。
一方、望(満月)は、地球から見て月が太陽と反対方向になった瞬間である。月の公転軌道はだ円で、地球に近いところでは速く、遠いところでは遅く動く。そのため朔から望までの時間は毎回同じではなく、「朔の日から15日目」と「望の日」は一致しないことがある。
📌 暦は「約束」、天体は「現象」
暦は、人間が日付を数えるための約束(規則)であり、月の満ち欠けは自然の現象である。約束は単純な数え方に落とし込む必要があるため、現象と少しずつずれる。規則と現実のずれをどう扱うかは、うるう年、うるう秒、そして旧暦のうるう月にも共通する論点である。
出典:国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」
📖 中秋の名月とは → / 🔬 きょうのかがく「月は、どうしていつも同じ面しか見えないの?」→
🔌 デジタルのなぜ 第3回
📱 折りたためる画面は、なぜ割れないのか ── 厚さの3乗と「すべる層」
📊 一体の板と、すべる層の比較
毎週ひとつ、身のまわりの技術のしくみをのぞくコーナー。第3回は「折りたためる画面は、なぜ割れないのか」。
板を曲げると、外側はのび、内側はちぢむ。のびちぢみの大きさは、板の厚さの中心(中立面)からの距離に比例する。つまり厚い板ほど表面ののびが大きく、ガラスのようにのびに弱い材料は割れやすくなる。
さらに、板の曲げにくさ(曲げ剛性)は厚さの3乗に比例する。厚さtの1枚を、厚さt÷10の10枚に分け、層どうしが自由にすべるようにすると、1枚の曲げにくさは1000分の1、10枚合わせても100分の1になる。「層に分けて、すべらせる」だけで、同じ厚さのまま曲げやすさが100倍になる計算だ。
アップルは、iPhone Duoの折りたたみ画面について、独自の接着剤が上下の高強度ガラスの層を本のページのように相互にスライドさせ、折り曲げたときの摩擦をやわらげると説明している。開閉を支えるヒンジは100以上の部品で構成されるという。
✨ びっくり大事実!
コピー用紙10枚は、はしをホチキスでとめるだけで急に曲げにくくなる。とめると層がすべれなくなり、10枚が1枚の厚い板としてふるまうからだ。本が何百回開いても割れないのも、ページが1枚ずつ独立しているからである。割れを防ぐ鍵は「強く固める」ではなく「うまくずらす」にあった。
出典:アップルの発表「Apple、iPhone Duoを発表」(2026年9月9日)。曲げ剛性の計算は材料力学の一般的な関係による
🔌 IT・AIの入口 → / 🏅 デジタルはかせ検定 →
🧭 今週の論点マップ ── 「線」は誰が、何を根拠に引くのか
今週のニュースには、境界線を引く判断がいくつも含まれていました。線を引いた主体と根拠を並べると、共通の構造が見えます。
13歳未満はSiri AI利用不可
引いた主体:企業/線の種類:年齢/根拠:発表文には明記されていない/線の性質:利用規約として一律
EUでは初期段階で提供なし
引いた主体:企業/線の種類:地域/根拠:発表文では「プライバシーとセキュリティを保護しながら進む道を探している」とのみ説明/線の性質:「初期段階」とされ暫定
西之島の警戒範囲1キロ
引いた主体:気象庁/線の種類:距離/根拠:噴火なし・衛星の地表温度・噴気の存在/線の性質:観測に応じて変更
老人の日と敬老の日
引いた主体:国会(法律)/線の種類:日付/根拠:連休の効果と日付の意味の両立/線の性質:法律で固定
並べると、①誰が引いたか(企業・行政・国会) ②根拠が示されているか ③後から変わりうるかという3点で、線の性格が大きく異なることが分かります。気象庁の線は観測に応じて動き、法律の線は改正しない限り動かない。企業の年齢の線は、根拠が発表文には書かれていない。
どの線にも反論の余地があります。13歳の手前と後で本当に何かが変わるのか。1キロの外側は本当に安全なのか。線の外側と内側、両方の立場から書けるかどうかが記述の評価を分けます。
💭 200字で書いてみよう
「ルールに境界線を引くとき、その線の根拠を示すことはなぜ大切か。今週のニュースを1つ挙げて説明しなさい。」
書き方の型:①具体例を1つ挙げる ②誰が、何を基準に線を引いたかを書く ③根拠が示されている場合と示されていない場合で、受け手の納得がどう変わるかを書く ④線の近くにいる人(例外になりそうな人)への配慮に触れる。④まで書けると、評価が一段上がります。
🔭 科学・技術コーナー
今週のニュースの背後にある原理を、2つ掘り下げます。
① 秋分の日でも、昼のほうが長い ── 定義と大気差
📊 日の出・日の入りの定義と大気差
秋分の日は太陽がほぼ真東から昇り真西に沈むため、「昼と夜が同じ長さ」と説明されることが多い。しかし国立天文台は、実際には昼のほうが長いとし、主な理由を2つ挙げている。
第1に、日の出・日の入りを、太陽の中心ではなく上辺が地平線に接する瞬間と定義していること。第2に、大気による光の屈折(大気差)で、地平線近くの天体が浮き上がって見えること。国立天文台は日の出入りの計算で、この浮き上がりを35分8秒角(時間ではなく角度)としている。
✨ びっくり大事実! 国立天文台が示す2020年の春分の日の東京の例では、日の出5時45分、日の入り17時53分で、昼12時間8分、夜11時間52分。16分の差がある。「同じ長さ」は、定義と大気の影響をならした近似の表現だったことになる。9月23日の自分の地域の日の出入り時刻から、今年の差を計算してみよう。
② 満ち欠けと、だ円軌道 ── 名月と満月がずれるもう1つの理由
📊 太陽光が当たる半球の見え方
月は太陽光を反射して光る。照らされた半球のうち、地球に向いている部分の割合が変わることで、満ち欠けが起きる。月が太陽と同じ方向にあるときが朔(新月)、反対方向にあるときが望(満月)である。
月の公転軌道は円ではなくだ円で、地球に近いところでは速く、遠いところでは遅く動く。朔から望までの半周にかかる時間が毎回変わるため、「朔の日から数えて15日目」が望の日と一致しない年が生まれる。今年は朔が9月11日、望が9月27日で、朔から望まで約15日半かかっている。
🔬 確かめる:9月11日12時27分から9月27日1時49分までの時間を計算してみよう。15日と13時間22分になる。これを「約15日半」と言い換えられるか、日と時間の単位換算の練習にもなる。
やあ、みんな。スクールコンパスのマスコット、ハナちゃんだよ。ぼくはオオルリという青い鳥なんだ。
最初にひとつ。いま雨が強い地域にいる人は、ぼくの話より先に、そばの大人の話と自治体の発表を確認してください。新聞は逃げません。
今週、ぼくがいちばん長く見ていたのは、新しいiPhoneの発表文のいちばん下だった。小さな字で、「13歳未満の方はSiri AIを利用できません」と書いてあった。
13歳。ぼくは、なぜ12でも14でもないのかを探した。でも、発表文には書いていなかった。
線を引くこと自体は、悪いことじゃない。むしろ必要だ。気象庁は西之島に1キロの線を引いた。そこには「噴火がない」「衛星で温度の高い場所がない」「でも噴気はある」という理由が、全部書いてあった。だから、1.5キロから1キロに縮んだことにも納得できる。
老人の日と敬老の日も、線の引き直しだった。連休を増やしたい、でも9月15日という日付の意味も残したい。だから法律を2つに分けた。理由が分かると、線は「押しつけ」から「約束」に変わる。
ぼくが言いたいのは、13歳の線がまちがっているということではない。理由がないと、線の近くにいる人が困るということだ。
12歳11か月の人は、あと1か月で何が変わるのか分からない。13歳になったばかりの人は、自分がもう大丈夫なのかどうか分からない。理由が分かれば、線の手前にいる人も、自分で準備ができる。
みんなも、これからたくさんの線に出会う。学校の決まり、ゲームの年齢制限、受験の出願資格。そのときは、「この線は、誰が、何を理由に引いたのか」を一度だけ考えてみてほしい。
そしていつか、みんなが線を引く側になったとき。線だけでなく、理由も一緒に置いていく人になってほしい。ぼくはそう思っているよ。
スクールコンパス編集部 ハナちゃん
✒️ 編集長から ── 脚注を読むという練習
今週の紙面で、いちばん多くの記事の材料になったのは、アップルの発表文の本文ではなく注意書きでした。13歳未満の利用制限、EUでの初期提供なし、1日の使用回数の上限と今後の有料化、画像の印の対応時期。いずれも本文の華やかな説明の下に、小さな番号つきで置かれていました。
発表文は、発表する側が伝えたいことを中心に組み立てられます。それ自体は当然のことです。だからこそ読む側は、条件・例外・時期が書かれた場所を自分で探しに行く必要があります。
中学入試の資料問題でも、表の下の注や、グラフの単位に答えの鍵が置かれていることがよくあります。本文を読み終えたら、最後に一番下を見る。それだけで、見える情報の量が変わります。
📖 読みとりチャレンジ① 説明文
板を曲げると、外側はのび、内側はちぢむ。のびちぢみの大きさは、板の厚さの中心からの距離に比例するため、厚い板ほど表面が大きくのびる。ガラスのようにのびに弱い材料は、このために割れやすい。また、板の曲げにくさは厚さの3乗に比例する。アップルは、折りたたみ型スマートフォンの画面について、独自の接着剤が上下の高強度ガラスの層を本のページのように相互にすべらせ、折り曲げたときの摩擦をやわらげると説明している。層どうしがすべることができれば、全体の厚さが同じでも、1枚ごとの曲げはうすい板の曲げとして扱える。
1 厚い板ほど割れやすいのはなぜか。文章中の語を用いて説明しなさい。
解答例:のびちぢみの大きさは厚さの中心からの距離に比例するため、厚い板ほど表面が大きくのび、のびに弱い材料では割れやすくなるから。
2 厚さを半分にすると、板の曲げにくさは何分の1になるか。
解答:8分の1(2の3乗)。
3 【計算】厚さtの板を、厚さt÷10の板10枚に分け、層どうしが自由にすべるようにしたとき、10枚全体の曲げにくさはもとの何分の1になるか。
解答:100分の1。1枚は(1/10)の3乗=1000分の1で、それが10枚あるので1000分の10=100分の1。
4 【記述】コピー用紙10枚のはしをホチキスでとめると曲げにくくなる理由を、「すべる」という語を使って50字以内で書きなさい。
解答例:とめると層どうしがすべれなくなり、10枚が1枚の厚い板として曲がるので、曲げにくさが大きくなるから。(50字)
📖 読みとりチャレンジ② 資料の読み取り
【資料】9月3日7時から9日5時までの降り始めからの雨量:静岡県天城山632.0ミリ、三重県尾鷲市550.5ミリ、名古屋市千種区284.0ミリ、岐阜県多治見市246.0ミリ。名古屋市千種区の平年の9月の月降水量は231.6ミリ。名古屋市千種区では9月8日に1時間104.5ミリを観測し、観測史上1位を更新した。降水量1ミリは、1平方メートルあたり1リットルの水に相当する。
1 名古屋市千種区の降り始めからの雨量は、平年の9月の月降水量のおよそ何倍か。小数第2位を四捨五入して答えなさい。
解答:約1.2倍(284.0÷231.6=1.226…)。
2 1時間104.5ミリの雨が、100平方メートルの校庭の一角に降ったとき、1時間でたまる水は何リットルか(しみこまないものとする)。
解答:10450リットル(104.5×100)。
3 【記述】資料の4地点のうち、名古屋市千種区が「観測史上1位」として報じられたのに、雨量の合計がより多い天城山や尾鷲市が同じ形で報じられていない。考えられる理由を、「ものさし」という語を使って60字以内で書きなさい。
解答例:観測史上1位は地点ごとの過去と比べるものさしで、しかも1時間雨量の記録なので、合計雨量の大小とは一致しないから。(56字)
✍️ 記述にそなえる ── 小牧・長久手の戦いは、なぜ「勝敗が分かりにくい」と言われるのか
大河ドラマ第35回「秀長誕生」(9月13日放送)で描かれる戦いです。「戦闘の勝敗」と「戦役の結果」が食い違う例として、中学入試の歴史記述で扱われることがあります。資料を読んで考えてみてください。
【資料】本能寺の変(1582年)ののち、羽柴秀吉は清須会議や賤ヶ岳の戦いを経て、織田家臣の中で優位に立った。これを警戒した織田信長の次男・織田信雄は、三河の徳川家康に援助を求めた。1584年(天正12年)、家康は主家である織田氏を助けるという名目のもと、約1万5千の兵をひきいて清須城に入り、信雄の軍と合流した。家康は小牧山に陣を構え、秀吉の軍(約8万とされる)とにらみ合った。4月、秀吉方の池田恒興(勝入)は、家康の兵の多くが小牧山にいるため家康の拠点の一つである岡崎が手うすだとして、岡崎を攻める作戦を進言し、実行された。しかしこの動きを察知した家康は軍を動かし、長久手で秀吉方を破った。その後、戦いは各地に広がって決着がつかないまま続き、同年11月、秀吉は信雄と単独で講和した。家康は戦いを続ける名目を失い、兵を引いた。
1 家康が戦いに加わるときに掲げた「名目」は何か。資料中の語を用いて答えなさい。
解答:主家である織田氏(織田信雄)を助けること。
2 池田恒興が岡崎を攻める作戦を進言した理由を、30字以内で答えなさい。
解答例:家康の兵の多くが小牧山にいて、岡崎が手うすだと考えたから。(29字)
3 秀吉が家康ではなく信雄と講和したことには、どのような効果があったか。「名目」という語を使って説明しなさい。
解答例:家康は信雄を助けるという名目で戦っていたため、その信雄が講和すると、家康は戦いを続ける名目を失い、兵を引かざるをえなくなった。
4 【記述】小牧・長久手の戦いが「勝敗が分かりにくい」と言われる理由を、資料をふまえて100字以内で説明しなさい。
解答例:長久手の戦いでは兵の少ない家康の側が秀吉方を破ったが、秀吉は信雄と講和して家康の戦う名目を失わせ、兵を引かせた。戦場での勝敗と、戦いを終わらせたあとの立場とが一致しないから。(87字)
📌 あわせて押さえる:兵の数(約8万、約1万5千)は史料や研究によって異なる値が示されることがある。入試では、数値の出典や「〜とされる」という書き方に注意して読むことが求められる。今週の論点マップ(線の根拠)とも通じる読み方である。
出典:小牧市「小牧・長久手の合戦」、長久手市観光交流協会「小牧・長久手の戦い 史跡めぐり」
🏯 歴史たんけん
📷 小牧山(愛知県小牧市)。家康が本陣を置いた(写真:Google マップ)
🗾 小牧山(小牧市)。長久手は南東、名古屋市の東に位置する
📊 両軍の兵力(長久手市観光交流協会の資料による)
📺 今週日曜の放送
第34回「最強のライバル」で家康は秀吉との対決を決めた。次回9月13日(日)は第35回「秀長誕生」。ここでは小牧・長久手の戦い(1584年)を、「同盟の構造」と「講和による決着」という2つの視点で読む。
① 同盟の構造 ── 実力と正統性の組み合わせ
小牧市の資料によると、秀吉の勢力拡大を警戒した織田信雄が家康に援助を求め、家康は主家織田氏を助けるという大義名分で1万5千の兵をひきいて清須城に入った。
この同盟は、家康の軍事力(実力)と、信長の子である信雄の立場(正統性)の組み合わせである。家康は実力を持ち、信雄は戦う理由を与えた。どちらか一方だけでは、秀吉に対抗する構図は成り立たなかった。
② 長久手の局地戦 ── 兵力差を覆した判断
家康は小牧山に陣を構え、両軍は砦を築いてにらみ合った。長久手市観光交流協会の資料によると、秀吉方の池田勝入(恒興)は、家康の兵の多くが小牧山にいて岡崎が手うすだとして岡崎を突く作戦を進言し、秀吉は当初難色を示しながらも承諾した。
家康はこの動きを察知し、長久手で秀吉方を破った。兵力は秀吉方約8万、家康・信雄方約1万5千とされる。「数」ではなく「動きを先に読むこと」が勝敗を分けた局地戦であった。
③ 講和による決着 ── 正統性の側を切り離す
戦いは各地に広がり、決着がつかないまま長期化した。同年11月、秀吉は信雄と単独で講和する。信雄が戦いから降りれば、家康には「主家を助ける」という名目が残らない。家康も兵を引いた。
秀吉は、実力(家康)を正面から倒すのではなく、同盟の支柱である正統性(信雄)を先に外した。先週の投票で整理した「脅威の種類」が、そのまま戦略の選択に表れている。
✨ びっくり大事実! 戦場と聖火が同じ県にある
小牧山(小牧市)と長久手(長久手市)は、いずれもアジア競技大会が開かれる愛知県にある。9月12日には聖火が、秀吉・秀長兄弟の生誕地とされる名古屋市中村区を走る。約440年前に天下をかけた対立の舞台で、今年はアジアの選手が競い合う。同じ土地に、時代の異なる出来事が重なっているという見方は、史跡を訪ねるときの基本視点でもある。
💭 考えてみよう
第35回のあらすじでは、戦いが各地に広がって膠着する中、小一郎(のちの秀長)がある人物の言葉をきっかけに打開の糸口を見つけるとされる。戦場で勝てないとき、どうすれば目的を達成できるか。題名の「秀長誕生」とあわせて、放送前に予想を1行書いておくと、視聴後の分析が深まる。
出典:小牧市「小牧・長久手の合戦」、長久手市観光交流協会「小牧・長久手の戦い 史跡めぐり」、名古屋市秀吉清正記念館、NHKの番組案内
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📚 今週の3冊 ── 「本当かどうか」と「時間のずれ」を扱った本
今週の紙面を貫いたのは、見分ける・線を引く・ずれを受け止めるの3つでした。それぞれに対応する本を1冊ずつ。
📕 二分間の冒険
岡田淳(偕成社)
黒猫に「いちばんたしかなものをつかまえろ」と言われた少年が、竜のいる世界に入ります。読み終わってから題名の意味が分かる作りになっていて、読み返したくなる1冊です。
🔗 今週との接続:AIの画像に「印」をつける話は、「たしかなもの」をどう見分けるかという問題でした。この物語も、見た目ではなく何を手がかりに本物を見分けるかが鍵になります。
📗 大草原の小さな家
ローラ・インガルス・ワイルダー 作(各社から出ています)
19世紀のアメリカで、一家がほろ馬車で移り住み、家を建て、井戸をほるまでが細かく書かれています。事件で引っぱる本ではなく、暮らしそのものを読む本です。
🔗 今週との接続:敬老の日のインタビューの前に読むと、「電話も電気もない暮らし」から「折りたためるスマホ」までの距離が実感できます。祖父母の子どものころは、その間のどのあたりにあったのか。聞き取りの問いが具体的になります。
📘 星の王子さま
サン=テグジュペリ 作(各社から出ています)
さばくに不時着した飛行士が、小さな星から来た王子さまに出会います。字の量は多くないのに、意味が分かるまでに時間がかかる本です。
🔗 今週との接続:王子さまが出会う大人たちは、数字やきまりで物事を判断します。今週の論点マップで扱った「線」と「その理由」を考えながら読むと、大人たちの言葉の聞こえ方が変わります。分からないところを抱えたまま読み終えることが、5・6年生のこの本の読み方です。